ステッパ

ステッパとは

ステッパ

ステッパとは、半導体や液晶の製造工程であるフォトリソグラフィ (photolithography) で用いられる投影露光装置のことです。

IC回路パターンの微細化に伴い、実寸大のフォトマスクパターンの作成が困難になってきており、実寸より大きなマスクパターンを縮小投影露光する際に、ステップアンドリピート方式で露光を行う露光装置を意味しています。ステップアンドリピート方式とは、半導体ウェーハや液晶の基板に露光する際に、露光エリアをいくつかの区分に分割し、一つの区分を露光すると次の区分に移動 (ステップ) し、露光を繰り返すことを指します (リピート) 。

ステップとリピートを行いながら、露光したいエリア全面の露光を行うタイプの露光装置がステッパです。

ステッパの使用用途

ステッパの使用用途は、半導体や液晶の製造の中で特にフォトリソグラフィ工程でのマスクを用いた露光処理を行うために用いられます。

ステッパの方式には、一回で転写できる領域が小さいことからウェーハをステップさせながら逐次露光をするステップアンドリピート方式と、スキャナーと呼ばれるレチクルとウェーハを投影倍率に応じた速度で同期させてスキャンすることで露光を行うタイプがあり、後者はステッパとは区別され、スキャナーとして扱われる場合があります。

ステッパの原理

ステッパは、大口径のウェーハや液晶に対して縮小投影露光を高速で行うために、高い解像度を得る波長の短い光源と、レチクル上のICマスクのパターンを投影露光したのち、ステージを移動させウェーハに複数のパターンの露光を繰り返す動作を実施します。ステッパの内部の構造は、露光光源、投影レンズ、ウェーハステージ、ウェーハローダでなどです。

露光光源はICの大規模集積化の要求に伴い、波長が短いものが利用されるようになりました。微細化が望まれ、一般的に露光に用いる光の波長が短いほど高解像度が得られるためです。90年代は365nmのi線が中心でしたが、その後Krf (波長248nm) 、Arf (波長193nm) と短波長化が進んでいます。

ウェーハステージは、ICなどの半導体をより速くより多く生産性高く作るために、ウェーハを高速に動かすステージです。高速に動かすのはもちろんのこと、微細な加工のため、高い位置決め精度が求められます。ウェーハローダは、ウェーハステージからウェーハを取り外したり、ウェーハを置いたりなどウェーハの搬送を担います。

IC製造に異物の付着などは大敵で、その繊細なウェーハの出し入れを高速に行うことが必要です。ステッパは、上記のような構成でウェーハをステップさせながら逐次露光を行います。

ステッパのその他情報

1. 液浸

昨今のステッパやスキャナー装置はその精密さの要求の高さから、大規模な機構が施されており、1台あたりの単価も上昇しています。よって配線プロセスノードの微細化に伴い、いきなり光源や装置の機構を大きく変えるのは好ましくなく、何世代も装置の改良により使いこなそうとする傾向にあります。

それらを実現する技術の一つが「液浸」です。液浸とは、光源の露光解像度を高めるべく、純水などの溶液をウェーハ上のレジストと投影レンズの間に挿入し、光の波長を空気中に比較して短くすることで、露光解像度を上げる手法を指します。最先端のフォトリソグラフィ工程で用いられている技術の一つです。

2. EUVリソグラフィ

EUVリソグラフィ (Extreme ultraviolet lithography) は、波長13.5nmで露光可能な、数nmの最先端プロセスノード向けの次世代露光技術の中心的存在であり、極端紫外線リソグラフィと呼ばれています。最先端プロセスでしのぎを削る世界の大手半導体メーカーはこの技術を活用していますが、現在このEUVリソグラフィ装置を実用化できているメーカーは、2022年現在において世界で1社のみの寡占状態になっています。

参考文献
https://www.ushio.co.jp/jp/technology/glossary/glossary_sa/stepper.html
https://www.tochigi-nikon-precision.co.jp/stepper/structure/index.htm
http://sts.kahaku.go.jp/diversity/document/system/pdf/022.pdf

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