ばね鋼

ばね鋼とは

ばね鋼

ばね鋼 (英: spring steel) とは、各種ばねを作るための材料となる鋼材です。

材料の形には、線材、棒材、帯板材などがあります。ばねを製作する方法はばね形状に成形した後に熱処理を行う「熱間成形 (英: hot forming) 」と熱処理を行った材料を用いて常温でばね形状に成形する「冷間成形 (英: cold forming) 」に分類可能です。

JIS G4801で「ばね鋼鋼材」として規格化されています。この中では熱間成形ばね用途の材料 (熱処理されていない材料) のみ規定されていますが、冷間成形ばねの材料 (熱処理済の材料) も一般的にばね鋼と呼ばれています。

ばね鋼の使用用途

ばね鋼は各種ばねを作る際に用いられます。引張りコイルばね圧縮コイルばね、ネジリコイルばね、トーションバー、重ね板ばね、板ばねなどの材料に使われます。

1. 熱間成形用ばね鋼

熱間成形用のばね鋼はJISでは標準寸法として線材の場合にはΦ9から規定されており、自動車の懸架用などの大型ばね用として使用されています。

2. 冷間成形用ばね鋼

冷間成形用のばねは小さな径や薄板の材料から揃っており、精密機器、産業機械、玩具、一般家庭で使用されるばね製品など幅広く用いられます。

ばね鋼の種類

1. 熱間成形用ばね鋼

ばね鋼には強度の高い材料が使用されます。熱間成形ばねの材料は「ばね鋼鋼材 (SUP) 」が JISG4801:2021で9種類規定されています。これらの材料はばねの形状に加工する前は強度などが調整されていません。材料を900°C~1,200°C程度で真っ赤になるまで加熱し、必要な長さに切断してコイリングして成形します。

その後焼入れや焼き戻しを行うとばね特性が得られます。熱間成形ばねは大型ですが、このような工程を経ると小さな力で加工可能です。ただし厳密な温度管理が必要です。

2. 冷間成形用ばね鋼

冷間成形用のばね鋼の具体例は、硬鋼線 (SW) 、ピアノ線 (SWP) 、ステンレス鋼 (SUS) などです。これら冷間成形ばね用の材料は素材としてすでに熱処理を施され、ばね性を有しています。

ばねの成形は常温で行われ、その後焼きなまし処理を行います。熱間成形と比較して加工時に必要な力が大きいため小型のばねの加工に適しています。安定してばねを加工でき、通常目にするばねは冷間成形ばねが多いです。

ばね鋼の構造

ばね鋼の素材には、ステンレス鋼 (英: stainless steel) 、合金鋼 (英: alloy steel) 、高炭素鋼 (英: carbon steel) などが使用されます。ばね鋼の形状は細長い線材と平たい板材の2種類に分けられます。

1. 線材

線材や棒材の形状は細長いです。冷間成形用のばね鋼の線材の代表例は硬鋼線やピアノ線です。いずれもダイスの穴を通し、直径を小さくしながら引き抜いて製造されます。針金のような線材とは違い、硬鋼線の成分には炭素が多く含まれます。硬鋼線は日用品のベッドや椅子などに利用可能です。

2. 板材

板材は平たい形状です。薄板ばねに用いるばね鋼は鋼帯と呼ばれます。ピアノ線と同様に圧延加工で製造可能です。冷間圧延後にそのままばね成形に使用されるタイプ、圧延後に焼なましが施されるタイプ、圧延後に焼入れや焼戻しが施されるタイプなどがあります。

ばね鋼の選び方

鋼材の種類でばね鋼の使用用途は異なります。例えばマンガンクロム鋼鋼材やシリコンマンガン鋼鋼材は、コイルばね、重ね板ばね、トーションバーなどに使用可能です。クロムバナジュウム鋼鋼材はコイルばねやトーションバーに、シリコンクロム鋼鋼材はコイルばねに主に使われます。

クロムモリブデン鋼鋼材は大型のコイルばねや重ね板ばねに、マンガンクロムボロン鋼鋼材は大型のコイルばね、重ね板ばね、 トーションバーに用いられます。

参考文献
https://www.fusehatsu.co.jp/technology/sekkei/zairyo.html
https://caddi.jp/articles/

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