微細加工

微細加工とは

微細加工

微細加工とは、通常加工 (1mm以上) とナノテク (0.001mm未満) の中間に位置する加工のことです。

人の目で実際に見ながら加工を進める限界領域であり、ミクロンオーダー (1mm~0.001mm) の加工技術です。

レーザー加工は非常に小さい面積にレーザー光を集めるため、微小加工に適しています。自由に出力、パルス幅、発振方式、周波数などを変えられ、必要な場所に適切なエネルギーを照射可能です。

微細加工の使用用途

微細加工は様々な金属・樹脂部品や精密金型に使用されています。

1. チタン材料

医療分野では、歯科医師、歯科技工所向けのアパットメント、スクリュー、ボーンスクリューが有名です。その他、航空宇宙分野等の部品加工にも使われています。

2. アルミ材料

工作機械用のエンドミル、ドリルを使用し、微細な切削加工を行う部品です。液晶ディスプレイでは、外枠フレームの段差部の薄肉加工に使われます。また、半導体製造装置関連では、半導体ウェハーを運搬移動するためのアームや吸着プレートの微細加工に使用されます。

3. ステンレス材料

電子ビーム用機器に使用される微細板ばねや医療用ノズル、医療針、医療用バブルの加工に使われます。その他、精密微細加工が必要とされる半導体封止金型加工に適用されます。

4. エンジニアリングプラスチック材料

微細加工用のエンジニアリングプラスチック (スミカスーパー、トップファイン等) を使用した各種部品が有名です。特に半導体製造の製造治具や検査治具、IC検査用コネクターの加工に使われます。

5. マシナブルセラミックス (快削性セラミックス)

LSI (半導体集積回路) のウェハー検査で、LSIチップの電気性能を検査する装置 (プローブカード) の加工に使用されます。

微細加工の構造

レーザー微細加工では、パルス幅が短い超短波パルスレーザーを使用します。具体例として、ナノ秒レーザー、フェムト秒レーザー、ピコ秒レーザーなどが挙げられます。ミクロンサイズの微細加工では熱損傷を回避しながら、穴あけ、切断、マーキングなどが必要です。超短波パルスレーザーは、熱損傷が起こる前に材料の結合を壊して原子化でき、低温で加工できます。この現象はアプレーションと呼ばれ、アプレーションを用いた加工がアプレーション加工です。

微細加工の種類

微細加工には様々な種類があります。代表的な加工方法は、NC工作機械 (数値制御で操作する工作機械) を使用した超精度の微細加工です。

1. 微細な穴形状加工

エンジニアリングプラスチック (スミカスーパー等) 、ステンレス、窒化ケイ素アルミナチタンの穴加工です。

2. 微細な溝加工

アルミダイキャストや銅材料の溝を切る加工を行います。

溝加工について詳しくみる

3. 精密な微細加工

PPS樹脂の同芯度加工、ジルコニアの角形状の加工です。

4. 複合的な曲面加工

凹形状金型 (キャビティ) の規則的な形状配置部分の段差を高精度に加工します。

5. 鏡面加工

ポケット状金型の鏡面加工です。

鏡面加工について詳しくみる

微細加工の選び方

微細加工では切削がとても細かく、工具や設備などの精度を保つために対策が必要です。

まず微細加工の精度が高い加工機の選択が重要です。通常のマシニングセンタでは、精度よく100μm以下の微細穴や微細溝を加工できません。また、金属や樹脂は温度変化で収縮します。そのため一定の温度環境下で加工しないと、高い精度が出ません。さらに微細加工機を置く場所に、振動対策が必要です。周辺の微小な振動でも、加工精度に影響が出ます。

そのほか、微細加工ではマイクロメーターやノギスを使用できず、製品の品質を担保するために高性能なCNC画像測定器などが必要です。樹脂は吸湿して寸法変位が起こる場合もあり、検査直前までデシケーターで保管するなど、適切な管理が重要です。

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