電力ケーブル

電力ケーブルとは

電力ケーブルとは、強電流電気を伝送するための電気導体で、導体を絶縁層で囲んだ上からシースと呼ばれる被覆がなされている電気導体です。

市街地や工業地帯などにおいて地中に埋設されて電力輸送しているもののほか、住宅や商業施設など建物内で電力を供給するものなどがあります。広い概念でいえば、コンセントに使用されているケーブルも電力ケーブルに含まれます。

電力ケーブルの使用用途

電力ケーブルは、市街地や工業地帯などにおいて地中に埋設されて電力輸送している高圧ケーブル、住宅や商業施設など建物内で電力を供給する低圧ケーブルとして使用されています。なお、電力の供給において、発電所から変電所へ電気を送ることを送電と言い、変電所で電圧を下げた電気を家庭や工場に配ることを配電と言います。また、配線とは、電灯や機械装置へ電気を導くことです。

高圧用ケーブルは、この送電に使用され、電力会社所有の配電線や構内配線から、ユーザー側の高圧用電気設備 (キュービクル) に接続するケーブルです。なお、遠方へのデータ送信にも利用されています。

一方、低圧ケーブルは、配電や配線に使用されています。住宅や商業施設などで電力を供給する低圧用ケーブルとして屋外でよく使用されるのは、絶縁層およびシースがビニル系のビニル系ケーブルや絶縁層およびシースがゴム系のゴム系ケーブルです。このビニル系ケーブルは、固定して使用される動力源に対して多く使用されています。シースが固くて衝撃に強く、獣害などにもさらされにくいのが特徴です。

ゴム系ケーブルは、通電したままケーブルを曲げることができるという特徴を持っています。このため、ケーブルベア内部やカーテンケーブル等、動力源が移動する場合に多く使用されます。また、可撓性が高く建物の隙間等の細い場所に入り込みやすいため、家庭用や高層ビルのオフィスなどでの使用に好適です。

電力ケーブルの原理

電力ケーブルの基本構造は導体の周りを絶縁層で取り囲み、これをシースにより被覆した構造です。この導体により電力を送電や配電、および配線します。

絶縁層があるので、安全に電気の漏れや周囲への磁界の発生などの影響を低減した状態で電力を供給可能です。さらに、シースにより被覆されているので、破損などからも保護されています。

電力ケーブルの種類

電力ケーブルは、大きく直流600V (交流750V) 以下で使用可能な低圧ケーブルとそれ以上の高圧ケーブルの2つに分けられます。なお、高圧ケーブルの中でも7,000V を超えるものは特別高圧ケーブルと呼ばれています。

1. 低圧ケーブル

低圧ケーブルの構造は、などよりなる導体を絶縁層で取り囲み、これをシースで被覆した構造です。絶縁層や被覆の材料によって名称や特性が異なります。例えば、銅製の導体を絶縁ビニルよりなる絶縁層で取り囲み、これをさらにビニルよりなるシースで被覆した構造のものはVCTやVCTFと呼ばれています。

なお、VCTは600V以下、VCFTは300V以下で使用可能です。このような電力ケーブルが使用される場合には、三相交流の電力源が多いため、電力ケーブル内にビニルにより絶縁された導体を3本、または接地用配線を含む4本が配されているものがほとんどです。

このほか、天然ゴムにより絶縁されてシースも天然ゴムよりなり、導体が1本の1CTや導体が2本の2CTなどもあります。さらには、高圧ケーブルでも使用されている導体を架橋ポリエチレンよりなる絶縁層で囲み、これをビニルよりなるシースで被覆した構造のCVケーブルも低圧ケーブルとして使用されます。

2. 高圧ケーブル

高圧ケーブルの基本的な構造は、銅製の導体を架橋ポリエチレンなどの絶縁層で囲み、これをビニルなどのシースで被覆した構造です。ただし、導体と絶縁層間に内部半導体層、絶縁層と被覆間に外部半導体層を有するのが特徴です。

導体と絶縁層には膨張係数の違いがあり、隙間ができてしまうことがあります。また、導体に凸部がある場合にも隙間ができます。このような隙間による部分放電を防止するのが内部半導体層です。また、外部半導電層を絶縁体の上に設けることで、電界を均一化させることが可能で、部分放電を抑えています。

なお、高圧ケーブルの中でも6,600V以上の電力ケーブルには、被覆と外部半導体層の間に遮蔽層が必要です。高圧ケーブルが供給する高電圧電力は通電時に周囲に強力な電磁波を発するため、遮蔽層が設けられています。もし、遮蔽が無ければ、周辺機器や周辺配線に高い誘導電圧を印可する可能性があり、人体に対しては、近づくだけで感電事故を発生させる恐れもあります。遮蔽を接地すると、誘導電圧を安全に大地に逃がすことが可能です。

参考文献
 https://www.swcc.co.jp/sfcc/products/detail/sfcc014_2041.html

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