盤用クーラー

盤用クーラーとは

盤用クーラーとは、制御盤内部を冷却するための機械装置です。

産業用制御盤は、内部にインバータやマグネットスイッチなどの発熱する装置が収納されています。簡単な制御盤の場合には、自然放熱だけで冷却することが可能です。ただし、インバータなどの発熱機器が多くなると、制御盤内部温度が上昇し、重要な電子部品を故障させてしまう恐れがあります。

盤用クーラーは、制御盤内部を冷却し、電子部品の故障を未然に防ぐために使用されます。適切な盤用クーラーを選択することで、機器の信頼性と効率性を向上させることが可能です。

盤用クーラーの使用用途

盤用クーラーは、さまざまな使用用途で活躍しています。以下は盤用クーラーの使用用途一例です。

1. 通信機器

通信基地局やデータセンターなどの通信機器は、高い負荷で長時間稼働することも多いです。これらの機器はデータの処理や通信の制御を行い、その過程で熱を発生します。盤用クーラーは、これらの機器の冷却に使用され、適切な動作温度を維持します。

2. 医療機器

医療機器は高度な制御や処理を行うため、冷却が重要です。手術室やMRI装置などの医療機器は高い電力を消費し、熱を発生させます。これらの機器は適切な冷却方法が必要です。

盤用クーラーを使用することで、内部温度を適正な範囲に保ち、正確な動作と信頼性を確保します。盤用クーラーは医療機器の冷却に使用され、患者の安全性と診断の正確性を確保する機器です。

3. 工場や産業施設

工場や産業施設では、多様な設備が使用されます。製造ラインや冷凍装置、ボイラーなどがその一例です。これらの設備は高い負荷で運転されるため、熱の発生が頻繁に起こります。

盤用クーラーは、これらの設備内の制御盤や機器の冷却に使用されます。効果的な冷却により、設備の信頼性を高め、生産の安定性を確保します。

産業用制御盤に多く用いられるプログラマブルコントローラは、使用温度が0~40℃程度と定められています。それ以上の温度となると信頼性を担保できなくなるため、盤用クーラーなどで温度を一定に保つことが重要です。

盤用クーラーの原理

盤用クーラーは、熱を効果的に除去するためにいくつかの原理を使用します。圧縮冷凍サイクルや空気流通などがその一例です。

一部の盤用クーラーは、圧縮冷凍サイクルと呼ばれる原理に基づいています。この原理は冷媒と呼ばれる特殊な物質を使用して熱を移動させる仕組みです。

冷媒は圧縮と膨張のプロセスを繰り返すことで熱を吸収し、放出します。冷媒は圧縮機で圧縮され、高圧の状態で熱を放出し、それから膨張弁を通じて低圧に戻されることが多いです。このプロセスにより、熱は周囲の空気から吸収され、内部の熱を取り除きます。

また、盤用クーラーは、内部の空気循環を促進するために設計されていることが多いです。通常は冷却ファンによって外部から空気を取り込み、内部の機器や制御盤に送り込みます。この空気の流れにより、熱が効果的に排出され、機器の冷却が実現されます。

盤用クーラーの種類

盤用クーラーには、冷却ファン型、熱交換器型、クーラー型の3種類があります。

1. 冷却ファン型

冷却ファン型は制御盤に給気口をあけ、冷却ファンを用いて外気導入することで冷却する方式です。最も安価で冷却性能にも優れ、産業機器に広く用いられます。ただし、外気を導入して盤内に粉塵を招く恐れがあるため、フィルタ取り付けなどの対策が必要です。

2. 熱交換器型

熱交換器型は、熱交換器と内気ファン、外気ファンに分かれます。内気ファンが制御盤内部の空気を循環させ、外気ファンで内気と外気を熱交換することで制御盤内を冷やします。

熱交換器が必要となり、冷却ファンタイプに比べて高価です。また、冷却能力も劣ります。その反面、外気を導入しないため、保守が比較的容易です。

3. クーラー型

クーラー型は、圧縮冷凍サイクルを持つ盤用クーラーです。冷媒を圧縮開放することで、さらに冷却能力を高めています。

ただし、上記2種に比べ圧倒的に高価で保守点検も専門知識が必要です。また、冷媒にフロンを使用した場合、第1種特定製品として扱われます。したがって、3ヶ月毎の簡易点検を法令で義務付けられます。

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