抵抗計

抵抗計とは

抵抗計

抵抗計とは、電気回路の抵抗値を測定するための計測器具です。

電子工学や電気作業において欠かせない測定器具の1つで、さまざまな精度やレンジの製品が存在します。オームメーター (英: ohmmeter) とも呼ばれます。オームの法則を利用して抵抗値を測定するためです。

一般的な抵抗計の他にも複数の種類があり、mΩ以下の抵抗値に特化したものを低抵抗計 (ミリオームメータ) 、絶縁体の抵抗値を調べるものを絶縁抵抗計、接地された導体と大地間の抵抗値を測定する接地抵抗計と呼びます。回路などの抵抗値を調べる際に簡便なテスターを用いることもありますが、精度の高い抵抗計が開発や製造の現場で求められます。

抵抗計の使用用途

抵抗計は、電気回路の抵抗値測定に使用される計測器具です。以下は抵抗計の使用用途一例です。

1. 故障箇所の特定

電気回路の故障箇所特定に役立ちます。電気回路の各部位の抵抗値を測定し、正常な範囲から外れている箇所を特定することが可能です。このような、電気回路の保守・保安に欠かせない測定機器です。

2. 回路設計・電気機器の開発

回路の設計においても使用されます。回路を設計する際には素子の正確な抵抗値測定が必要です。抵抗計の中には基本精度0.02%、分解能1 µΩといった高精度製品も存在し、このような抵抗計を用いて電子機器設計や製造・品質管理などが行います。

また、電気機器の開発においても重要な役割を果たします。製品としての電気機器も正確な抵抗値が必要であり、抵抗計で電気機器内の抵抗値を測定して開発します。

3. 研究開発・教育

基礎素材の研究開発の分野でも使用されます。抵抗計を使用することで、材料や回路の特性を調べます。教育用途にも使用され、電気工学や電子工学の学習で抵抗計を使用して回路の測定を行います。これにより、学生は回路の特性や抵抗値の測定方法を理解します。

抵抗計の原理

抵抗計は、オームの法則を使用して抵抗を測定します。オームの法則とは、電流と電圧の比である抵抗値が一定であることを表す法則です。この法則により、回路内の抵抗値を求めることができます。

抵抗計の内部には、電源と測定回路が組み込まれています。測定用電源は一般的に電池やACアダプタから供給されます。また、測定回路には測定対象の回路電流を検出するアンペアメーターと、回路の電圧を測定するボルトメーターが組み込まれています。

精密な抵抗計の多くは接触式の4探針法で測定します。4本のうちの2本は対象に一定電流を流し、他方の2本がボルトメーターとして電圧を測定します。一定電流が流れるときに生じる電圧を測定することで、オームの法則から抵抗値が求められます。

簡便なテスターでは安価で構造が簡単な2端子法が用いられます。4端子法は測定リードの抵抗や接触抵抗の影響を受けないため、2端子法に比べて正確に抵抗値を測定可能です。

抵抗計の種類

抵抗計は用途などに応じて、さまざまな種類が販売されています。以下は抵抗計の種類一例です。

1. アナログ式抵抗計

アナログ式抵抗計は、アナログ指針で抵抗値を示す抵抗計です。回路に流れる電流によって針が振動し、抵抗値を示します。比較的安価な点が特徴ですが、測定対象回路の抵抗範囲に応じて適切なレンジを選択して使用する必要があります。

2. デジタル式抵抗計

デジタル式抵抗計は、7セグメント表示で抵抗値を示す抵抗計です。高精度な測定が可能であり、レンジも自動的に切り替える機能が備わっていることが多いです。電圧測定機能や電流測定機能を持つテスターなどもデジタル抵抗計の一部です。

3. クランプ式抵抗計

クランプを挟んで回路周囲に磁場を発生させて抵抗値を測定する抵抗計です。測定対象の回路に接触せずに測定できる点がメリットです。接地抵抗計として多く使用されます。

4. 絶縁抵抗計

絶縁状態を診断するための抵抗計です。一端子を接地させ、高電圧を印可して漏れる電流を測定することで絶縁抵抗を測定します。系統の電圧に合わせてDC1,000V程度の高電圧を印可できる絶縁抵抗計も販売されています。生産現場の保守に広く使用される抵抗計です。

参考文献
https://www.hioki.co.jp/jp/products/listUse/?category=33
https://www.akaneohm.com/column/lowmeasure/
https://www.hioki.co.jp/jp/support/faq/detail/?dbid=1682

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