吸引乾燥機

吸引乾燥機とは

吸引乾燥機とは、液切りと蒸発を同時に行う機器のことです。

濡れている洗浄ワークの周辺の空気も含めて付着した洗浄溶媒を吸い取り、乾燥室内に温風を送風して乾燥効率を上げる場合もあります。とくに熱風吸引乾燥機は上部から乾燥した熱風をワークに送り、ワークの下部からブロアで槽内を吸引するため、ワークに熱を効率的に与えます。重なった乾きにくい製品の乾燥にも適しており、同時に短時間で乾燥可能です。

乾燥機には吸引乾燥機以外にも、温風乾燥機、真空乾燥機、スピン乾燥機、バレル乾燥機などの数多くの種類があります。方式の違う複数の乾燥方法から対象物の性質に合わせて適切な方法を組み合わせ、乾燥の強度や温度を微調整すれば乾燥を効率的に行えます。水や薄い洗浄剤を使用した際に水分が乾燥室中に拡散してもあまり問題はなく、基本的には圧力や温度によって一気に吹き飛ばせば染みや残留物が残りにくいです。

吸引乾燥機の使用用途

産業機械の製品や部品の洗浄は一般的な工程であり、洗浄工程の後に乾燥工程が必要不可欠です。

吸引乾燥機は強力なファンを用いて槽内の空気を吸い込んで循環させ、一部を排気して乾燥させます。大量に乾燥させる場合に適しており、条件によりますが少ない消費電力で熱風乾燥より乾燥時間が短い場合が多いです。急速乾燥のため染みが残りにくく、強制的に熱風をワーク間に通過させるため接点部も乾燥できます。ただし音が大きいため、吸引ファンの選定や乾燥槽内の構造を検討する必要があります。

吸引乾燥機はネジや小部品のような工業用部品を静止状態でまとめて乾燥でき、ワークは動かないため変形や傷なども生じません。温度を設定すれば基板や樹脂部品に利用可能です。

吸引乾燥機の原理

洗浄での乾燥とは乾燥溶媒や洗浄溶媒の乾燥や洗浄を行い、洗浄ワークに残さないことです。乾燥品質は乾燥後や洗浄後に洗浄ワーク表面に残った洗浄溶媒の量や乾燥で作られる欠陥の度合いを指します。以前は洗浄ワークに洗浄溶媒が見られなければ乾燥したと見なされました。しかし品質規格が厳しい分野では洗浄ワークに残る洗浄溶媒も製品品質に影響し、乾燥の不備に加えて洗浄やリンス不足も乾燥による欠陥とみなされます。

乾燥品質評価は後工程が求める洗浄物の乾燥品質を達成したかどうかの確認のことです。染みのような乾燥欠陥は洗浄品質評価で検出され、欠陥を防止するために洗浄欠陥と分けて取り扱われます。ただし乾燥溶媒や洗浄溶媒に有機溶剤を用いると、残留物は有機物残渣として洗浄品質評価で検出されます。

吸引乾燥機の原理は、掃除機で塵を吸い取るように洗浄溶媒を吸い取るイメージです。洗浄ワークの周りの雰囲気を洗浄溶媒の蒸気圧以下に減圧して蒸発速度を高めます。乾燥を促進させるためにエアブローや温風ブローを併用したり、エアナイフや遠心力で振り切るなどの物理的な力で洗浄ワークから洗浄溶媒を引き離す場合もあります。底に穴が多数開いた洗浄トレーに並べた洗浄ワークの乾燥に使用可能です。

吸引乾燥機の種類

吸引乾燥や蒸気乾燥は同時に液切りと蒸発を行う手法です。産業洗浄の乾燥方法には吸引乾燥だけでなく、温風乾燥、真空乾燥、スピン乾燥、バレル乾燥などの複数の方式があります。温風乾燥や真空乾燥は洗浄溶媒を蒸発させる乾燥方法で、スピン乾燥やバレル乾燥は液切りを用いた乾燥方法に分類可能です。

温風乾燥はヘアドライヤーなどの家電にも使われる単純な仕組みの乾燥方法です。温風発生機から液体が付いた乾燥対象物に熱した風を吹き付け、液体の蒸発を促進します。真空乾燥は乾燥室内を減圧し、乾燥対象物に付いた液体の沸点を下降させて気化させる方法です。スピン乾燥は対象物の高速回転で生み出される遠心力を使用して水分を除去します。低速回転のタイプをバレル乾燥と呼びます。

吸引乾燥機の選び方

乾燥の工程には吸引乾燥以外にも複数の技法があり、効率的な乾燥のために対象物の素材や乾燥の難易度を考えて乾燥方法を選ぶことが重要です。原理的にシンプルな温風乾燥機は低コストで容易に導入でき、吸引乾燥などの乾燥方法と組み合わせて使用可能です。

1. 温風乾燥機

温風乾燥機は乾燥した空気を対象物に吹き付けると対象物の近くに高濃度の乾燥気体が滞留し、乾燥効率の低下を防げます。吹き付ける空気が低温だと乾燥効率は悪く、高温だと乾燥対象物の酸化で変色が起きる可能性があります。

2. 真空乾燥機

真空乾燥機は気化した気体を減圧装置で吸引するため、乾燥室内の乾燥効率は低下しません。温風乾燥機では乾燥が難しい穴の内部に滞留した水分なども減圧で押し出されて気化されます。大型の真空ポンプが必要で、導入コストが高く、水系洗浄剤や溶剤系で乾燥の条件が違い、水系は難しいです。

3. スピン乾燥機

スピン乾燥機は大量の対象物を同時に乾燥させる場合に向いていますが、回転させるためカゴの形状を考慮し、破損、折れ、曲がりが懸念される部品への影響も考える必要があります。バレル乾燥機は回転カゴへのセットに時間がかかります。

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