秤量器具とは
秤量器具 (英: Measuring device) とは、重量および質量、または容量 (体積) をはかる際に使用する器具の総称です。体重計やクッキングスケール、計量カップなどの一般家庭で使用される器具や、トラック、クレーン、タンクなどの産業用はかりも含まれますが、一般には、化学分析などにおいて試料を高精度にはかりとるための器具を指します。
秤量器具の種類
質量をはかるための器具としては、物理天秤と電子天秤があります。現在一般的に利用されている電子天秤にはロードセル式 (電気抵抗式) と電磁式 (電磁力平行式) がありますが、構造が簡単なロードセル式の精度には限界があります。そのため、分析などの高い精度が求められる現場では、主に電磁式天秤が使用されています。
液体の体積をはかるための器具には、主に一定量にすることを目的とするメスフラスコや、一定量を採取して別の容器に移すことを目的とするメスシリンダーやピペット、シリンジ、また滴定時に使用するビュレットなどがあります。
比較的少量の液体をはかるために使用するピペットには数多くの種類があり、それぞれ用途や精度が異なります。駒込ピペットやパスツールピペット、トランスファーピペットは正確な計量には適していませんが、使用方法が簡便なため、精度が求められない摘下や分注に利用されます。
高い精度が求められる場面では、ホールピペット (全量ピペット) や、ホールピペットより精度は劣るものの採取量の自由度が大きいメスピペットを使用します。これらのピペットは、吸い上げ時に口に薬品が入ることのないよう、ゴム製のピペッターや安全ピペッターを装着して使用します。
主に1.0mL (= 1000µL) 以下の微量の液体をはかりとる用途では、使い捨てのピペットチップを取り付けて使うマイクロピペットが広く使用されており、これを一般にピペッターと呼ぶこともあります。電動でピペッティングできるものやデジタルで液量を設定できるもの、マルチチャンネル式のものなど、種類が豊富です。
秤量器具の校正
秤量器具は、計量法トレーサビリティ制度 (JCSS) に基づいた品質確保が行われています。
秤量器具に付帯するJCSS校正証明書は、計量計測トレーサビリティが確保された証明です。電子天秤やマイクロピペットなどは、定期的にJCSS登録事業者で校正を行うことが推奨されています。