小径ベアリングとは
小径ベアリングとは、特に小型のベアリングのことです。
ミニチュアベアリングとも呼ばれ、外径9mm未満、もしくは外径9mm以上、内径10mm未満の小型サイズのベアリングを指します。ベアリングとは、物の回転をスムーズにするための部品で、日本語では軸受と呼ばれます。
主な役割は、回転軸の位置を保持しながら摩擦を低減させること、結果として回転を支える部分の損傷防止することです。機械の中で回転軸が存在するものにはほとんど使用されている部品であり、その重要性から「産業のコメ」と呼ばれることもあります。
小径ベアリングの使用用途
小径ベアリング (ミニチュアベアリング) は、家電やOA機器、ホビー用などに用いられています。あらゆる産業分野において小型、軽量、薄型化が強く求められる現代において、需要が急速に拡大しています。特に昨今の情報機器の発展および需要の拡大により、高品質なミニチュアベアリングが必要です。
私たちの身近なところでは、釣りのリールやミニ四駆、パソコンのハードディスクのスピンドルモータ、複写機の紙送りローラなどに使用されています。また、少し大型の製品では、医療機器やさまざまな計測機械の小型化のために使われています。
計測器や産業用機械での使用例は、ポテンシャルメータ、ジャイロジンバル及びロータ、ポリゴンスキャナモータ、エンコーダ、高周波スピンドル、VTRシリンダ及びキャプスタンなどです。
小径ベアリングの原理
ミニチュアベアリングは、ベアリングが小型化したものであり、動作原理については一般的なベアリングと変わりません。また、ベアリングには大きく転がり軸受と滑り軸受があるので、分けて説明します。なお、小径ベアリングについては、多くは転がり軸受を指すことが多いです。
1. 転がり軸受
ベアリングの主な役割は、回転時の摩擦を減らすことですが、転がり軸受において軸を支えながら摩擦を減らしている原理は、ベアリングに内蔵されている「転動体」の転がり運動によるものです。転動体は、小さな玉やころ (円筒状のもの) のことで、ベアリングには複数個配置され、軸の回転と同時に転がります。
転動体が一緒になって転がることで、回転を助ける役割を果たし、結果的に回転時の摩擦を軽減させています。
2. 滑り軸受
滑り軸受には、ブッシュなどがあります。滑り軸受には転がり軸受のような転動体が存在せず、代わりに焼きつきや摩耗に強い材料と潤滑剤によって回転運動を支えます。
滑り軸受は、転がり軸受と比較して、構造が簡単で壊れにくいのが特徴です。さらに、荷重は線接触によって支えられるため、ボールベアリングのような点接触によるベアリングよりも支えられる荷重の大きさが大きいものメリットの1つです。
小型ベアリングのその他情報
小型ベアリングの材質
小型ベアリングの材料は一般的なベアリング同様に、熱処理を施した合金鋼です。内輪、外輪、鋼球には高炭素クロム軸受高、保持器は圧延鋼板かステンレス鋼板、樹脂などが用いられています。
小型ベアリングには、プラスチック製の製品もあります。プラスチックベアリングの特徴は無潤滑、無給油で使用できること、水・薬品で錆びたり腐食しないことなどです。ただし、耐荷重の大きさでは金属には敵いません。
プラスチックではフェノール樹脂、PTFE (ポリテトラフルオロエチレン、商品名テフロン) 、PEEK、PPS、PCTFE (ポリポリクロロトリフルオロエチレン、商品名ダイフロン) 、PPなどが使われた製品があります。CV (カーボン) を用いたものは高い耐環境性能がありますが、衝撃や振動には弱く切削加工にも向いていません。また、導電性があるため、プラスチックベアリングの特徴である絶縁目的で使うことができないのもデメリットの1つです。
参考文献
https://www.ntn.co.jp/japan/products/catalog/pdf/3013.pdf
https://kashima-kagaku.com/products/ball/ball_05/
https://koyo.jtekt.co.jp/2018/11/column01-01.html