RO装置

RO装置とは

RO装置

RO装置とは、水中に含まれる有機塩素化合物などの不純物や重金属イオンを逆浸透膜で除去し、高純度の水を精製する装置です。

RO装置で精製した水はRO水と呼ばれます。また、日本語表記では逆浸透膜濾過装置と示されます。

*逆浸透膜: 2nm以下の孔を持つ濾過膜で、水のみを透過し、それ以外の不純物は阻止します。

主な除去対象物質は、重金属イオンや細菌類、有機塩素化合物などで、これらを99.9%除去できます。具体的な原理は後述しますが、簡潔に示すと非純水に圧力を加えて、逆浸透膜で不純物を阻止し、高純度な水のみを透過させているのです。

RO装置の使用用途

使用用途は多岐にわたりますが、海水淡水化への利用が多くを占めています。日本のように川をはじめとした水資源が豊富な国では、海水淡水化装置は必要ありませんが、東南・中東アジアでは大きな需要があります。日本では、海水を淡水化する用途ではなく、水道水の浄水処理に使用されることが多いです。RO装置は浄水分野だけでなく、医療分野にも必要不可欠な存在です。透析医療で透析液原液の希釈などの透析用水として使用されています。

RO装置の原理

RO装置は、逆浸透圧を応用して純水を精製しています。水しか通さない浸透膜で容器を仕切り、片側に純水、もう一方に非純水を入れると両者の濃度を等しくしようと、純水側から非純水側に水が移動していきます。この圧力を浸透圧と呼びます。一方で、逆浸透圧とは非純水側に圧力を加え、水のみを移動させる現象を指します。これにより不純物を含まない純水を精製できます。こうした原理のため、純水精製には逆浸透膜の選定が重要になります。逆浸透膜の孔径を小さくすれば、より高純度の水を精製できますが、その分精製速度が遅くなり、また高い圧力が必要になります。そのため、非純水の不純物量やどの程度の純度が必要かなどを考慮しなければなりません。

また、RO装置を用いる注意点として前処理を行うことが挙げられます。逆浸透膜の孔径は非常に小さいため、工業用水や井戸水のような不純物が多い水を使用すると、すぐに目詰まりを起こし故障の原因になります。そのため、事前に目の粗い濾過膜で濾過してから使用する必要があります。一般的には、水道水レベルの純度であれば、そのまま使用しても問題ありません。

RO装置のメリット

RO装置の最大のメリットは、廃液処理の心配がない点です。RO装置はきれいな水を得るために濃縮水が発生します。原水が工業用水などであれば有害物質が含まれないので、濃縮水はそのまま廃棄できます。イオン交換樹脂では樹脂の再生に酸やアルカリを使用しますが、pH調整など手を加えないと排水基準に適合しません。

RO装置導入例

RO装置は、省スペースでそして容易に、超純水に近い水質の水を得ることができます。導入例は以下の通りです。

1. 研究施設

小規模の研究施設の場合は、生成された水を瓶やキュービテナーで購入していますが、使用量によるコスト比較から、小型のRO装置を導入しているケースがあります。

2. プリント基板製造

プリント基板製造工程では、各種表面処理の工程間で付着している薬液の洗浄が必要です。非常に精密な工程であり、次工程への不純物を持ち込まないためにきれいな水の供給を求められ、RO水を利用する事例が多くあります。

3. メッキ等の表面処理工程

メッキ等の表面処理工程では、次工程に処理液を持ち込まないために、工程毎に水洗する必要があります。特に精密メッキの場合は、品質維持のために水洗水はRO水以上の水質を求める場合があります。

4. イオン交換システムの前処理

超純水を製造するイオン交換システムでは、イオン交換樹脂への負荷を軽減するため、前段にRO装置を組み込む場合があります。使用する原水に不純物が多い場合はイオン交換樹脂だけでは対応できず、また樹脂の寿命が短くなります。工業用水などの場合は、砂ろ過設備や活性炭による不純物の除去を経て、ミネラル分をRO装置による前処理するなどの組み合わせになります。

5. 透析用水

人工透析に使用する透析用水は、原水として水道水を使用しますが、水道水には各種ミネラル分として透析の障害となる不純物が含まれています。このミネラル分を除く手段としてRO装置が利用されています。

6. ボイラ用水

ボイラとは、燃料の燃焼により水に熱を加えて湯や水蒸気にする熱交換器です。水蒸気になると水に溶け込んでいるミネラル分が析出し、配管等の内壁に付着して熱効率を妨げることになります。そのため熱媒として循環する水には、不純物が取り除かれたRO水を使用する場合があります。 

 

参考文献
https://waterstand.jp/filter_ro.html
http://www.top-water.co.jp/technical.htm

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