リモコン受光モジュール

リモコン受光モジュールとは

リモコン受光モジュールとは、テレビ等のAV機器をはじめ、さまざまな場面で機器を制御するために使用されているリモコン送信機からの光信号を受信するユニットです。

具体的には、リモコン送信機からの光信号を受信して、これを電気信号に変換するとともに信号を増幅し、さらにデジタル信号に変換します。この信号を出力とすることにより、後段に組み込まれる機器制御用マイコン等に信号を送出します。

リモコン受光モジュールの使用用途

リモコン受光モジュールは、リモコン送信機と対に使用され、家電品や音響機器などにも広く用いられています。その用途の代表例は、テレビやブルーレイおよびHDDレコーダーやプレーヤ等のAV機器やAVコンポ等のオーディオ機器をはじめ、エアコンや照明器具等の家電機器です。

一般的なテレビの場合は、電源のオン・オフ、音量制御、チャンネル選択、入力の切り替え、メニュー表示や選択等、機器が有するほぼ全ての機能をリモコン送信機で制御可能です。よってこれらの機能を送信機から受けた信号をもとに、テレビ本体の制御用マイコンに信号出力すべく、リモコン受光モジュールにて光から電気的な信号へ変換しています。

リモコン受光モジュールの原理

リモコン受光モジュールの原理は、リモコン送信機から送信される変調された光信号を受信し、復調動作の後、後段のマイコンに制御信号を伝達するため、受け取った光信号をデジタル信号へ変換し出力する機能を有する点にあります。

リモコン受光ユニットに照射される光の波長は通常は940nmまたは960nmの近赤外線の光です。リモコン送信機は、リモコンの電池の寿命を長くする目的で、信号がONとなる期間を数パーセントに抑えるため元の信号を37.9KHzで変調をかけて送信します。リモコン受光モジュールで受信するのは、この変調された光です。

リモコン受光モジュールでは、受光素子で受けたのち、この信号を増幅してさらに37.9KHzの変調波を復調し、3~6V程度のデジタル信号として出力します。これは、後段に接続されるマイコン等の電源電圧の動作電圧と合わせる目的のためです。リモコン信号を受信したマイコンは信号の中身を解析し、その結果に応じて機器の制御を行います。

リモコン信号で用いられるデータフォーマットには複数の種類があります。いずれのフォーマットも同様の光の波長と変調周波数が使用されていますが、データ構造が異なるため互いの信号が干渉して誤動作しない配慮が施されています。

リモコン受光モジュールの特徴

リモコン受光モジュールの特徴として挙げられる項目には、EIAJで規定されているバンドⅠに対応した受信回路を指すことが多いですが、バンドⅢに対応するものを含む場合もあります。リモコン送信機から送られてくる近赤外線の変調光を受光するフォト・ダイオードの出力は、遠距離もしくは壁からの反射光を検出する場合は微弱な信号になりますが、機器の至近距離から操作された場合は非常に大きな信号となります。

従って、その信号を受ける増幅回路には80dB以上の広いダイナミックレンジが求められ、それを実現するのが内蔵のAGCです。照明器具が発する光を受けるとそれがノイズとして悪影響を及ぼすので、フォト・ダイオードは可視光カット特性 (近赤外光は透過) を持った樹脂で覆われ、照明器具の光の影響を除去可能です。

さらに、高周波で点滅するインバータ蛍光灯の影響から逃れるため、急峻な通過特性を備えるバンドパス・フィルターが設けられています。なお、リモコン受光モジュールの出力端はオープンコレクタ構成が一般的ですが、それは出力信号を受けるプロセッサー側の電源電圧に適合するためで、プロセッサーの入力端子にプルアップ抵抗を設けて信号を受信します。

リモコン受光モジュールのその他情報

1.  リモコン受光モジュールのノイズ対策

リモコン受光モジュールが利用される環境にノイズ源 (インバータ蛍光灯などの外乱光ノイズ、電源リップル、電源回路の電磁ノイズ等) がある場合は、その影響によりリモコンの受信距離が短くなることがあります。そのため、それらを避ける工夫が必要です。

電源リップルや電源回路のノイズ混入は回路設計上で対応できますが、蛍光灯の影響を防ぐには天井方向からの光を遮断するなど構造上の工夫が必要です。

2. リモコン受光モジュールの使用上の注意点

リモコン受光モジュールは非常に高いゲインを持たせているので、ノイズに対しても敏感に反応します。従って、シールド・ケースがついているリモコン受光モジュールであれば、それを確実にGNDに接続することが重要です。

一般的なリモコン受光モジュールは、室内で使用することが前提になっています。屋外で使用する場合、フォト・ダイオードに太陽光が廻り込むと、フォト・ダイオードの電流出力が極めて大きくなり、それを受けるアンプ回路が飽和してリモコン送信機からの近赤外光を受信することができません。

従って、屋外で使用する機器 (例えばカメラ等の撮影機材) では、太陽光による飽和対策が施された仕様を有するリモコン受光モジュールを採用します。

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