鋼材加工

監修:太田工業株式会社

鋼材加工とは

鋼材加工とは、鉄やステンレスなどの鋼材を、必要な形状や寸法に加工するものです。

鋼材はそのままの状態では活用しにくいため、建築・自動車・産業機械・家具など多岐にわたる分野での用途に応じた加工が必要になります。鋼材加工では、切断、曲げ、穴あけ、溶接、表面処理などの工程を経て、特定の仕様や設計図に沿った部品や製品を作成します。それぞれに適した工作機械などが必要になるため、自社で所有していなければ加工サービスを提供する会社への依頼が必要です。

多くの鋼材加工会社は、技術者と高精度な機械設備を備えており、大量生産だけでなく、カスタムメイドの少量生産にも対応できます。特に近年は、CAD/CAM技術やCNC (コンピュータ数値制御) 加工機の導入により、より精密で複雑な形状の鋼材加工が可能になっています。

鋼材加工の使用目的

鋼材加工の主な使用目的は、特定の用途やプロジェクトに必要な部品や製品を供給することです。具体的には以下のような分野で活用されています。

1.建築・土木工事

ビル、橋梁、道路などの構造物に使用する鉄骨や補強材などを製作するために鋼材加工が必要です。高い耐久性と精度が求められる分野です。

2.製造業・産業機械

工場設備や機械装置に使われる各種の部品が鋼材加工を通じて製作されます。特に、自動化が進む産業機械では、高精度な加工が求められます。

3.自動車産業

車体、エンジン部品、シャーシなど、自動車製造においても多くの鋼材加工部品が必要です。耐久性と軽量化を両立する加工が求められます。

4.家具・インテリア

デザイン性の高い家具や、オーダーメイドのインテリア製品にも鋼材加工が活用されます。ステンレスや鉄を使ったモダンなデザインが人気です。

5.船舶・航空機産業

船体や航空機部品にも、軽量かつ高強度な鋼材加工が必要です。高い安全性と耐久性が求められます。

鋼材加工の種類

鋼材加工にはさまざまな種類があり、目的や用途に応じて適切な加工方法が選ばれます。

1. 切断加工

鋼材を指定のサイズや形状に切り出す加工です。主に以下の方法があります。

シャーリング:直線的な切断に使用。大きな鋼板の切断に適した加工方法です。

鋸切断:直線的な切断や長い材料を切断可能です。厚みのある鋼材に適した加工方法です。

レーザー切断:高精度な切断が可能で、複雑な形状にも対応できます。

プラズマ切断:厚みのある鋼材やステンレスに適しており、切断速度が速いです。

2. 曲げ加工

鋼材を指定の角度や形状に曲げる加工です。

プレスブレーキ:大型機械で鋼板を曲げる一般的な方法です。

ロール曲げ:円筒形状や曲面に加工する際に使用します。

3. 穴あけ・タップ加工

鋼材にボルトやネジを通すための穴を開ける加工です。プレス機、CNC機械やドリルマシンで高精度な穴あけが可能です。

4. 切欠加工

鋼材の一部を指定の寸法に切り取る加工です。

プレス加工:プレス機に取り付けた金型を用いて切り取る加工方法です。

溶断加工:プレス機では対応出来ない大型の鋼材を、レーザ・プラズマ・ガス等にて切り取る加工方法です。

切削加工:CNC旋盤やマシニングセンターを使い、鋼材を削りながら精密な形状に仕上げます。

5. 溶接加工

複数の鋼材を接合する加工方法です。TIG溶接、MIG溶接、アーク溶接など、用途に応じた溶接方法が選ばれます。

6. 表面処理

鋼材の耐久性や防錆性を高めるための加工です。メッキ、塗装、研磨、ショットブラストなどが行われます。

鋼材加工の選び方

鋼材加工業者を選ぶ際には、製品の品質や納期、コストなど、様々な要素を考慮する必要があります。以下に、いくつかの選定ポイントを解説します。

1. 加工技術と設備

依頼する加工内容に対応する技術や設備が整っているか確認します。例えば、精密な切断や複雑な曲げ加工が必要であれば、最新のCNC設備を持つ業者から探すのも一案です。

2. 実績と経験

これまでの加工実績や業界での経験を確認することも重要です。特に、建築や自動車業界など高精度を求められる分野では、実績が信頼の証となります。

3. 品質管理体制

ISO認証や品質保証体制が整っているかを確認することも、大切なポイントです。品質管理がしっかりしている業者は、安定した加工精度を提供できます。

4. 対応力と納期

カスタム加工や短納期に対応できるかも重要です。プロジェクトのスケジュールに合わせて柔軟に対応できる業者を選びます。

5. コストパフォーマンス

価格も選定基準の一つですが、安さだけでなく、品質や対応力とのバランスが取れているかを考慮することが大切です。

本記事は鋼材加工を提供する太田工業株式会社様に監修を頂きました。

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スリッター刃

監修:有限会社明照ジャパン

スリッター刃とは

スリッター刃とは、スリッター加工で使用される切断用の刃物です。

スリッター加工は、薄い金属板、フィルムや紙などの切断に使用されており、通常、コイル状の素材を送り出してスリッター刃で必要な幅に切断し、再びコイル状に巻き取ります。自動車産業や包装産業をはじめ、様々な資材の加工で使用されており、高い精度で効率的に資材の切断が可能です。素材の種類に合わせて様々な種類のスリッター刃があります。スリッターナイフと呼ばれる場合もあります。

スリッター刃の使用用途

スリッター刃は、様々なシート状の素材を切断することに用いられます。切断される主な素材には、紙、不織布、フィルム、粘着テープ、金属、プラスチックがあります。特に、金属への適用は多く、鋼板、ステンレス鋼、アルミニウム、金、銀、銅、鉛をはじめとする様々な素材を切断することが可能です。

切断した資材は様々な産業で活用されます。例えば、切断した金属シートやプラスチックシートは、自動車産業、家電製品、建設業において、下記のような用途があります。

  • 自動車産業: 車両の外装パネル (ボディーパネル) やフレーム、エンジン部品などの構造部品
  • 家電製品: テレビ冷蔵庫、洗濯機などのフレームや内部部品
  • 建設: 屋根、外壁、フレーム用に用いる板材

その他、紙製品やフィルム製品では、包装用フィルム (透明フィルムやラミネートフィルム、プラスチックフィルムなど) 、大きなロール紙 (印刷、包装、加工用途で使用される) を切断する用途でも使用されます。

スリッター刃の原理

スリッター刃は、スリッターと呼ばれる機械に取り付けて使用されます。スリッターでは、伸ばされた資材が自動的にスリッターナイフへと送り込まれ、スリッター刃が回転することで素材が切断されます。

最も一般的なものは、一組の上刃と下刃を用い、側面を擦り合わせ連続回転させるものです。「シェア刃」や「丸刃」と呼ばれます。上刃と下刃にはそれぞれ専用の刃が用いられ、刃先の形状や角度も素材によって使い分けられます。材料に合わせて適切な設定をすることで、ダレ、バリ、カエリの発生を防ぐことが可能です。一般的、刃先は鋭角なほど切れ味が良くなり、鈍角なほど刃は長寿命になります。また、刃の厚さは薄いほど抵抗が小さく、厚いほど剛性が良いです。その他、加工する素材によっては特殊な刃が用いられることもあります。

スリッター刃の素材には、ダイス鋼、ハイス鋼、SUS鋼、超硬合金、ジルコニアなどの硬質な素材が使用されることが一般的です。

スリッター刃の種類

スリッター刃の種類には、一般的なシェア刃の他にレザー刃、ギャング刃、スコアカッターなどがあります。シェア刃では対応できない材料の際に使用されることが一般的です。これらの刃は切断する材料や刃物の当て方によって適切に使い分けられます。

1. レザー刃

レザー刃は狭い溝形状のあるローラーの溝部分に先端が鋭利なレザー刃を押し当てるか、もしくは空中での切断を行います。レザー刃は、切断の際に下刃やローラーに触れることはありません。通常、四角い形状をしています。

2. ギャング刃

ギャング刃とは、上下が直角刃となり、上刃と下刃は適正なクリアランス空間を空けて使用される刃です。厚みが厚い素材から、薄い素材まで幅広く適応することができ、長尺シート状材料や、加工難易度が高い金属箔のスリット工程などに特に使用されます。

3. スコアカッター・ロールスリッター

スコアカッターは、丸形状の上刃をローラーに押し当て、ロールを回転させることで材料を切断するものです。ロールスリッターは、丸刃1枚でロールに巻かれた材料を紙管やプラスチックコアごと切断することが可能です。ロールスリッターで使用される刃には両刃と片刃があります。

本記事はスリッター刃を製造・販売する有限会社明照ジャパン様に監修を頂きました。

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スリッターライン

監修:有限会社明照ジャパン

スリッターラインとは

スリッターラインとは、コイル状の素材を送り出して必要な幅で切断を行い、再びコイル状に巻き取る生産ラインです。

薄い金属板、フィルムや紙などの切断に使用されており、加工全体では大きなコイルから複数の小さなコイルが製造されます。高いカット精度と大量生産に対応する効率的な素材加工であり、様々な産業分野で製品の品質向上とコスト削減を支える重要な加工ラインです。

自動車産業や包装産業をはじめ、様々な資材の加工で使用されています。スリッターラインで行われる切断加工は、スリット加工と呼ばれる場合があります。

スリッターラインの使用用途

1. 加工される素材

スリッターラインは、様々なシート状の素材のカットに使用される生産ラインです。主な素材には、紙、不織布、フィルム、粘着テープ、金属、プラスチックがあります。特に、金属への適用は多く、主には下記のような素材が挙げられます。

  • 鋼板、ステンレス鋼
  • アルミニウム
  • 金、銀、銅
  • パラジウム
  • モリブデン
  • タンタル
  • ニオブ

2. 使用される産業

スリッターラインは様々な産業における資材加工に用いられています。

自動車産業、家電製品、建設業では、金属シートやプラスチックの切断に活用されることが多く、主な用途は下記の通りです。これらの産業では、正確な寸法での高精度な切断が必要であり、また、大量生産に対応する効率的な加工が要求されます。

  • 自動車産業: 車両の外装パネル (ボディーパネル) やフレーム、その他エンジン部品などの構造部品のための金属シートの切断加工
  • 家電製品: テレビ冷蔵庫、洗濯機などのフレームや内部部品に使用される金属シート、プラスチックシートの切断加工
  • 建設: 屋根、外壁、フレーム用に用いるスチールやアルミニウムなどの板材の切断加工

また、スリッターラインは、包装資材の切断加工にも使用されます。包装用フィルム (透明フィルムやラミネートフィルム、プラスチックフィルムなど) や紙資材の切断が可能です。特に、食品産業をはじめとする様々な産業で使用されており、スリッターラインによる正確なカットによって衛生や美観に優れた加工を行うことが必要とされます。

印刷、包装、加工用途で使用される大きなロール紙を細いロールに切断する用途でも使用されます。

スリッターラインの原理

スリッターラインは、一般的に下記のような作業工程で加工が行われます。

  1. コイルセッティング・通板: 切断する資材をアンコイラー (繰り出し機) へセットし、ラインへ通します。
  2. 刃組: カット寸法に合わせてスリッターナイフ (スリッター刃) の位置をセットします。システムで自動化されている場合もあります。
  3. 切断 (スリット加工) : 伸ばされた資材が自動的にスリッターナイフへと送り込まれ、刃物が回転することで素材が切断されます。
  4. 品質検査
  5. リコイリング: 切断加工済みの資材を再度巻き取ってコイル状にします。
  6. 計量・梱包・出荷

スリッターラインは、切断の幅の微調整や巻きズレが起こらないように精密に設計されています。また、多くのスリッターラインにおいて、加工プロセスは自動化されており、効率的な加工が可能です。これによって、大量生産に対応することができます。

スリッターラインの種類

スリッターラインは、様々な製造ラインで使用されており、切断する素材・厚みや、切断後の寸法などに合わせて多様な種類があります。

特に、切断に用いられるスリッターナイフは素材に合わせて使い分けられます。例えば、金属には高硬度の回転式剪断カッターを使用しますが、紙やフィルムなどの薄い素材にはかみそりスリッターの方が適している可能性があります。一般的な丸刃で対応できない素材に対しては、レザー刃や、ギャング刃などの特殊な刃を使用することもあります。切断精度を高め、刃の摩耗を最小限にするためには、扱う材料のために最適な刃を用いることが必要です。

本記事はスリッターラインを製造・販売する有限会社明照ジャパン様に監修を頂きました。

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絶対に触らないでください(日本会社ニュース)

メトリーを騙る不審な迷惑電話にご注意ください

弊社 (ZAZA株式会社) が運営するサービス「メトリー」にご契約いただいているクライアント様より、「弊社と提携しているかのような誤解を招く営業活動を受けた」とのご報告が寄せられております。

現在確認されているところによりますと、「ウィンクルム」という企業名を名乗り、あたかも弊社と提携関係にあるかのように営業を行っているとのことですが、当該企業と弊社との間に一切の関係はございません。

クライアントの皆様におかれましては、誤認なさらぬよう十分ご注意くださいますようお願い申し上げます。

万が一、当社からの正規の連絡か判断がつかない場合は、以下のフォームよりお問い合わせください。

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変圧器鉄心

監修:有限会社明照ジャパン

変圧器鉄心とは

変圧器鉄心は、変圧器の主要構成要素の1つであり、磁束 (磁気の流れ) を効率よく伝えるための磁性材料で構成された部分です。

変圧器は電力の電圧を上げたり下げたりする機器ですが、鉄心は電磁誘導の原理に基づいて効率的にエネルギーを伝達するために必要です。

変圧器にはコイル (巻線) と鉄心が組み込まれています。一次巻線に電流が流れると磁束が発生し、鉄心を通してその磁束が二次巻線に誘導されます。この磁束の流れをスムーズにする役目を担うのが鉄心です。鉄心は高い透磁率を持つため、磁束を逃さずに伝え、電力損失を最小限に留める工夫が施されています。

変圧器鉄心の使用用途

変圧器鉄心は、変圧器が使用されるさまざまな分野で重要な役割を果たしています。主な用途は以下のとおりです。

1.送配電網

発電所で生まれた電力は高電圧で送電されていますが、家庭やオフィスで使用するには電圧を下げる必要があります。変圧器鉄心は送電網の中で効率的に電圧を変換し、安定した電力供給を可能にします。

2.家庭用電化製品

電子レンジ、エアコン、冷蔵庫など、多くの電化製品には小型の変圧器が搭載されています。これらの変圧器には鉄心が組み込まれ、適切な電圧に変換して機器を動作させています。

3.工業用機器

工場では、大型モーターや機械に電力を供給する装置として変圧器が使われます。高出力や高効率が求められるため、鉄心の性能が工業用変圧器の品質を左右します。

4.電子回路の電源装置

電子機器やコンピュータには、安定した電圧を得るための電源回路が必要です。スイッチング電源やACアダプタにも変圧器鉄心が使われています。

変圧器鉄心の原理

変圧器鉄心は、電磁誘導の原理によって動作します。電磁誘導は、イギリスの物理学者マイケル・ファラデーによって発見された法則に基づくものです。

電磁誘導の基本原理

1.1次側に交流電流が流れる

変圧器の1次巻線に交流電流が流れると、その周囲に交番磁界が発生します。

2.磁束が鉄心を通じて2次側へ伝わる

鉄心は高い透磁率を持つため、磁束が効率よく鉄心内を通り、2次巻線に到達します。

3.2次側に電圧が誘導される

磁束が2次巻線を貫通することで、ファラデーの法則に従い、二次巻線に電圧が誘導されます。誘導される電圧を決めるのは、1次巻線と2次巻線との巻数の割合です。

鉄心が磁束を効率よく伝達することで、エネルギー損失を最小限に抑えた電圧変換が実現します。

鉄損の低減

変圧器鉄心には「鉄損」と呼ばれるエネルギー損失が発生します。鉄損にはヒステリシス損失と渦電流損失が生じます。

•ヒステリシス損失

磁化と脱磁を繰り返す際に、鉄心材料が持つ磁気特性によってエネルギーが消費されます。

•渦電流損失

交流磁束が鉄心内に流れることで誘導電流が発生し、それによって発熱する損失です。

これらの鉄損を低減するために、鉄心は薄い電磁鋼板を積層して絶縁し、渦電流の発生を抑制しています。

変圧器鉄心の種類

変圧器鉄心には、用途や構造によってさまざまな種類があります。構造による種類では「短冊鉄心」「打ち抜き鉄心」「巻き鉄心」があります。

1. 短冊鉄心

短冊鉄心は、薄い電磁鋼板を一定の形に切断し、それらを短冊状に積み重ねて作られた鉄心です。主に大容量の変圧器で使用され、鉄損を抑えるために絶縁された鋼板を積層することで、渦電流の発生を最小限に抑えます。比較的大型の変圧器に適しており、短冊状の鋼板を積み重ねることで、効率的に磁束を通します。製造コストは比較的安価です。

2. 打ち抜き鉄心

打ち抜き鉄心は、電磁鋼板をプレス機で特定の形状に打ち抜いて製作されます。主に小型の変圧器や電源トランスに用いられます。鉄心の形状が均一になるため、精度が高く、製造が容易です。小型変圧器や電子機器用トランスに適しており、プレス加工により大量生産が可能です。

3. 巻き鉄心

巻き鉄心は、薄い電磁鋼帯をコイル状に巻いて形成する鉄心です。鉄心全体を合成樹脂で接着した後に2箇所で切断し、巻線をはめ込んだ後に加圧して突合せ接続します。突合せによって磁束がスムーズに流れるため、鉄損を低減できます。

構造以外の分け方では、鉄心の形状による種類もあります。鉄心を英語でコアと表現しています。

4. 斜角コア鉄心

積層鉄心形変圧器において、コーナ部での損失を低減するために斜め接合にした鉄心構造です。額縁に似ていることから、額縁鉄心とも呼ばれます。

<斜角コアの特長>
方向性電磁鋼板の特性を有効に発揮させることができます。
無負荷損の低減に効果的です。主に大型変圧器(2000KVA)以上で多用されています。

鉄芯は、モーターや変圧器などの電機機器のコイルに挿入され磁力を高める役割を担っています。鉄芯で生じる損失(鉄損失)は電力の無駄となり振動や発熱を引き起こすため数値が小さいほど高性能・高効率と捉えられます。

5. ユニコア鉄心

一般的にトランス用鉄芯(EIコア、短冊コア等)は、EI形状に打抜いた鉄芯、又は指定の長さに切断した電磁鋼板を積層し組合せて使用する。それに対して、ユニコアは、電磁鋼板を設定した長さ寸法と設定した角度を折り曲げた構成で切断したシートを縦に巻き合わせて形成します。接合部は各シートの位置を離します。単相変圧器、三相変圧器等の鉄心に採用可。

<ユニコアの特長>

方向性電磁鋼板(t0.18~0.35mm対応)を使用して鉄損及び磁束密度に優れています。
「高効率」 「低鉄損率」

1.トロイダルコア (リングコア)

トロイダルコアはドーナツ状の鉄心です。磁界は円周状に発生するものなので、トロイダルコアは理想的な形状と言えます。一方で自動機による機械巻きがしにくいため、手巻きが必要な場合が多いです。

2.EEコア、EIコア

鉄心のパーツとなる形状がアルファベットのEやIの形状をしています。二つのパーツを組み合わせて、一つの鉄心として機能します。2つのコアには隙間があり、漏れ磁束が生じるのが欠点です。

3. EERコア

EERコアはEEコアを改良したもので、中央の柱部分が角柱から円柱になったものです。メリットはEEコアやEIコアに比べると太い電線でも巻線しやすく、電線の密着性も向上することです。

4.PQコア

PQコアはEERコアをさらに改良したもので、中央の柱は円柱のまま、両側の柱の断面積を広くしています。比較的ポピュラーな形状です。

本記事は変圧器鉄心を製造・販売する有限会社明照ジャパン様に監修を頂きました。

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IoT工具

監修:株式会社サンテクノ

IoT工具とは

IoT工具とは、IoT技術を活用した工具です。

IoTとはInternet of Thingsの略であり、モノのインターネットなどと訳されます。インターネットを介して物理的なデバイスやモノが相互に接続し、データを交換し合う仕組みを指します。これらのモノにはセンサーやアクチュエーターが組み込まれており、リアルタイムでデータを収集したり、外部のシステムと通信したりする仕組みです。

IoT工具はRFIDやセンサーなどの技術を活用して、インターネット接続を通じてデータを取得したり、リモートで管理したりすることができます。製造業や建設業及び航空・宇宙などの産業で活用されます。

IoT対応の工具は、作業中にデータをリアルタイムで収集し、クラウドやモバイルアプリに送信することが可能です。これにより、作業状況などを常に監視することができ、問題が発生した際に即座に対応することができます。また、工具の劣化具合などを継続的に監視することができるため、故障が発生する前にメンテナンスを行う予知保全も可能です。

IoT工具の使用用途

IoT工具は、性能に高い品質が求められる、以下のような用途で使用されます。

1. 製造業

製造業ではIoT対応工具が生産ラインで利用されます。例えば、組立作業ではトルクレンチにIoT機能が組み込み、トルクの測定をリアルタイムで監視できます。

これにより、規定のトルクを厳守することができ、不良品を減らすことが可能です。また、工具や設備の状態を常にモニタリングすることで、メンテナンスのタイミングを最適化し、予期しない故障を防ぐことが可能となります。

2. 建設業

建設業ではIoT工具が現場作業の効率化と安全性向上を支援します。例えば、作業員の安全を守るため、工具や重機にセンサーを取り付け、過負荷や異常温度を感知した際にはアラートを発信します。これにより、危険な状態を未然に防ぎ、事故のリスクを低減することが可能です。

また、現場で使用される工具にGPS機能を搭載することで、工具の位置を追跡し、紛失や盗難のリスクを減らすことが可能です。

3. 航空宇宙

航空宇宙業界では、IoT工具が特に品質管理とメンテナンス分野で活用されます。航空機の部品組立や修理作業では、IoT対応のトルクレンチを使用して、トルクが正確にかかっていることを確認して航空機の安全性を確保します。このように、IoT工具は航空機の品質維持と修理作業の効率化を実現することが可能です。

IoT工具の原理

IoT工具はRFID技術や各種センサーを活用して、工具の位置や使用状況をリアルタイムで把握することに基づいています。これにより、効率的な管理やメンテナンスが可能になります。

まず、RFID技術をIoT工具に組み込むことで、工具自体の識別が簡単になります。工具がどこにあるか、誰が使用しているかを追跡することが可能です。工具の位置や状態を中央のデータベースに送信し、工具の盗難や誤使用を防ぐことができます。

センサーはIoT工具の重要な要素です。温度やトルク、負荷などを計測し、そのデータをリアルタイムで収集します。例えば、トルクレンチにセンサーを取り付けて作業中のトルクを測定し、設定された基準値を超えるとアラートを発信します。これにより、過剰な力が加わるのを防ぎ、品質の低下を防止することが可能です。

このように、RFIDやセンサーなどを組み合わせたIoT工具によって、工具の管理や監視を効率化します。作業の精度向上や安全性の強化、メンテナンスの予知などに役立つ仕組みを提供します。

IoT工具の種類

IoT工具は、従来の工具にIoT技術を融合させることで、作業効率の向上、品質管理の強化を可能にするツールです。以下に、代表的なIoT工具の種類と、それぞれの特長を詳しく解説します。

1. スマートトルクレンチ

スマートトルクレンチはトルクの測定をデジタル化し、リアルタイムでデータを収集する工具です。内蔵されたセンサーがトルク値を測定し、設定した基準値を超えるとアラートを発信します。また、作業データはクラウドに送信し、後で確認することができます。

2. スマートドライバー

スマートドライバーはトルクや回転数などのデータをリアルタイムで測定するドライバーです。アラートや振動などに従うことで、適切な締め付けを行うことができます。効率的な作業と不良品の削減に貢献します。

3. スマートメジャー

スマートメジャーは寸法や角度などを正確に測定できるIoT対応の測定工具です。レーザー距離計や電子水平器にIoT機能が搭載され、測定値を即座にデータとして記録し、管理システムに送信します。施工や設計の精度を向上させるために利用されます。

本記事はIoT工具を製造・販売する株式会社サンテクノ様に監修を頂きました。

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半導体微細加工

監修:MMIセミコンダクター株式会社

半導体微細加工とは

半導体微細加工とは、シリコン基板上に微細なパターンを形成する技術です。

半導体は、CPUのようなデータを演算・制御を行なうデバイスから、パワー半導体のような電力の供給・制御を行なうデバイスまで多様な用途があります。半導体微細加工は、これらのデバイスを製造するうえで欠かすことのできない技術であり、デバイスによって数10nm (ナノミリ) オーダーの超微細パターンや微細加工形状が重要となります。この技術を応用して半導体製品のみならず、シリコンを用いた微細かつ高精度な構造体の作製も可能です。

半導体微細加工の使用用途

半導体微細加工は下記のような製品を製造するために利用されます。

1. 電子機器

スマートフォンには多くの半導体デバイスが組み込まれており、微細加工技術が利用されています。プロセッサやメモリ及びグラフィック処理ユニットなどがその一例です。微細加工により、これらの部品を小型化することが可能であり、同じ空間に多くの機能が統合できるため、スマートフォンの性能やバッテリー効率を向上することができます。

また、PCの中央処理装置やグラフィックカードも同様に半導体微細加工技術を活用して製造されます。微細化したトランジスタを集積することで高速かつ効率的に動作し、小型でもマルチタスク処理や映像編集などの高負荷作業にも対応できる製品を製造することが可能です。

2. 自動車

自動車内の運転支援システムなど、現代の自動車には多くの半導体デバイスが利用されます。特に安全性や自動運転機能を支えるセンサーやプロセッサには微細加工が必須です。微細加工技術を利用することでこれらのデバイスを小型化し、高速で信頼性の高い動作が可能となります。

3. 医療機器

半導体微細加工は医療機器にも広く利用されます。診断機器やポータブル診断機器などが代表例です。微細加工技術により、これらのデバイスを人体に装着可能なサイズまで小型化することで、高精度な診断を行うことが可能です。

半導体微細加工の原理

半導体の微細加工は複数の工程から構成されます。フォトリソグラフィやエッチングなどは特に重要な工程です。

フォトリソグラフィはシリコン基板に薄い感光性のレジストを塗布し、紫外線光をレジストに照射してパターンを転写します。露光されたレジストを現像液で処理し、転写パターンを基板に残す仕組みです。要求されるパターン寸法によっては、波長の小さいKrFやArFのエキシマレーザーや電子線が用いられます。

エッチングはパターン化されたレジストを使ってシリコン基板の表面を削る工程であり、ドライエッチングとウェットエッチングの2種類があります。ドライエッチングはプラズマを利用してシリコン基板の表面を選択的に削る方法であり、非常に微細なパターンを作製することが可能です。ウェットエッチングは酸やアルカリ溶液を用いてシリコン基板の不要な部分を溶解させる方法です。エッチングによって、パターン化された回路の形状がシリコン基板上に彫刻され、微細な構造を形成する仕組みです。

半導体微細加工はこれらの高度な技術を組み合わせることで、シリコン基板上に非常に小さなデバイスを作り出します。

半導体微細加工サービスの選び方

半導体微細加工を代行するサービスも多く存在します。以下はそれらを選定する際の要素の一例です。

1. 加工精度・技術力

半導体微細加工では、実現したい構造や寸法、その精度を確認することが重要です。また、微細加工サービスではフォトマスクを必要とし、フォトマスク作製のサポート有無も重要になります。

2. プロセス能力

サービス企業が対応可能なプロセスの種類を確認します。フォトリソグラフィやエッチングなど、どの工程を得意としているか理解することで、製品に必要な技術を受領できるかを判断できます。また、特定の材料に強みを有する企業も多くあります。

3. 品質管理

半導体製造には高い品質基準が求められ、サービス企業がISO9001やISO14001などの認証を保持していること、または業界標準に従っていることを確認します。これにより、品質の一貫性と信頼性を担保することが可能です。

本記事は半導体微細加工を提供するMMIセミコンダクター株式会社様に監修を頂きました。

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Calibration Gas

What is Calibration Gas?

Calibration Gas is a standard concentration gas used to calibrate gas detection equipment and sensors.

It is used to adjust sensors so that gas measuring instruments display correct readings. It is used for gas detectors for city gas and other gases, as well as for CO2 concentration meters for environmental measurements. Various Calibration Gases are available, such as carbon dioxide, carbon monoxide, methane, etc., depending on the device.

Gas detectors and other instruments need to be calibrated periodically to maintain instrument performance. This prevents false positives and avoids false alarms. In addition, periodic calibration is often required by law in some industries.

Uses of Calibration Gases

Calibration Gases are used in a variety of applications. The following are some examples

1. Chemical and Manufacturing Industries

Hazardous or explosive gases may not be used in chemical plants or manufacturing facilities. When these gases are used, gas detectors and sensors must be used to quickly detect gas leaks.

Calibration Gases are used to adjust these sensors to accurately measure gas concentrations. Calibration Gases are essential to ensure early warning in the event of a leak of harmful gases such as carbon monoxide or hydrogen sulfide.

2. Energy Industry

In the oil and gas industry, monitoring for gas leaks and managing explosion risks is critical. Oil refineries and natural gas handling facilities use sensors to monitor leaks of flammable and toxic gases. It is important to calibrate these sensors using Calibration Gases and to calibrate them to accurately measure gas concentrations.

3. medical care

In the medical industry, Calibration Gases are used in respiratory testing equipment and oxygen meters. As an example, anesthesia gas monitoring equipment is often calibrated with Calibration Gases to ensure that the proper gas concentration is detected.

Principle of Calibration Gas

Calibration Gas contains a pre-determined concentration of gas. This reference gas is a reference gas that contains the same substance as the gas to be measured by the target gas detection device or sensor. This is the mechanism used to adjust the settings so that the equipment functions properly.

Gas sensors measure gas concentrations through chemical reactions and physical changes within the sensor. For example, in semiconductor or electrochemical sensors, when gas molecules come into contact with the sensor surface, a chemical reaction occurs and an electrical signal is generated. By using a Calibration Gas, the sensor sensitivity can be adjusted to match the gas concentration.

Gas sensors can be calibrated for a zero point, which is indicated when there is no gas, and a span point, which is indicated when the sensor detects the maximum gas concentration. In zero-point calibration, the sensor is set to detect no gas and there is no reference gas. Span calibration uses a Calibration Gas of known gas concentration to check and adjust the sensor response.

The above calibration is a mechanism to adjust the gas detector and gas sensor to ensure accurate value measurement. Calibration Gases play an important role in maintaining the accuracy of gas detection instruments and providing accurate data.

Types of Calibration Gases

The following types of Calibration Gases exist

1. Carbon Monoxide

Carbon monoxide is a toxic and explosive gas and may be generated in chemical plants. Carbon monoxide is often monitored by carbon monoxide detectors because the generation and leakage of carbon monoxide can lead directly to personal injury. Carbon monoxide Calibration Gas is used to calibrate carbon monoxide sensors.

2. Nitrogen

Nitrogen gas is the most abundant gas in the atmosphere and is characterized by its inertness. It is often used to set sensor standards in a gas-free state, such as zero-point calibration. In some applications, it is mixed with other gases.

3. Nitrogen Oxides

Nitrogen oxides, also known as nox and other gases, are a source of air pollution. It is mainly generated by vehicle and factory emissions and is measured by environmental monitoring equipment. It is often measured simultaneously with sulfur oxides, which are generated for the same purpose.

4. Oxygen

Oxygen is a gas that is present at about 21% in the atmosphere and is a tributary combustion gas. Because oxygen is always needed in combustion equipment such as boilers, the oxygen concentration of exhaust gas is often constantly monitored. Oxygen analyzers are also used as a safety measure because low oxygen levels in the environment can be harmful to health.

機械彫刻

機械彫刻とは

機械彫刻とは、機械彫刻機を用いて樹脂や木材、金属などの硬質素材に文字や記号を彫り込むサービスです。

機械彫刻機はカッターで素材を削って彫刻を行う機械です。精緻な彫刻が可能なレーザー彫刻機とは異なり、文字や記号に特化しています。また、レーザー彫刻に比べて深く掘ることが可能です。

通常、彫刻した文字などには塗料が流し込まれ、工業用銘板などに使用されます。印刷文字のように退色したり傷がついたりすることも無く、シールなどのように経年変化で剥がれてしまうこともないというメリットがあります。

機械彫刻の使用用途

機械彫刻は、工業的彫刻と呼ばれており、主に様々なプレート類に文字などの彫刻を施す用途で用いられます。複雑でないものであれば記号等も彫り込むことができますが、文字の彫り込みに用いられることが最も多いです。ロゴやゴシック風、筆字風など様々な書体が使用されますが、視認性と彫刻の効率性の観点からハネや筆押さえなどを省略している場合が多いです。

また、工場によって機械彫刻用標準書体のルールに則ったそれぞれの原盤が用いられるため、製造元によって少しずつ印象が異なる場合があります。

主な用途には下記のようなものがあります。

  • 社名板
  • 精密目盛板
  • 案内板
  • 配電盤や加工機械の操作盤、各種銘板
  • 表札や電柱など、屋外に掲示する表記物
  • カップ、トロフィー、楯、ブロンズ、メダルなど、表彰品のプレート

機械彫刻の原理

1. 彫刻機

機械彫刻で用いられる機械彫刻機は、回転する細いカッター (フライスカッター) を用い、素材を削ることで目的の文字や記号のデザインを彫刻します。レーザー彫刻機のような細かな彫刻はできませんが、一方で深い彫刻を行うことができることが特徴です。

主な彫刻機の種類には、手動で彫刻を行う機械彫刻機とCADデータを読み込むコンピュータ彫刻機があります。機械彫刻機は、手作業で彫刻を行う機械です。実際の文字よりも大きな母型を用意し、順番にその母型を機械でなぞります。パンタグラフという機構を利用しているため、母型よりも縮小した文字を彫刻したい素材の上に彫刻することが可能です。

コンピュータ彫刻機は、CADソフトで作成したデータをを元に自動で彫刻する機械です。手動彫刻よりも一般に高速であり、コストが低い傾向にあります。データを保存しておくことができるため、同じ図形や文字を繰り返し彫ることにも適しています。

2. 機械彫刻で彫刻可能な主な素材

機械彫刻で彫刻可能な主な素材には下記のようなものがあります。レーザー彫刻機とは異なり、ステンレスや真鍮などの金属素材の彫刻も可能で、厚みによっては穴あけ加工を行うこともできます。

  • 樹脂: アクリル、PET、塩化ビニル
  • 金属: ステンレス、アルミ、鉄、銅、真鍮
  • 木材
  • 塗装物

機械彫刻の種類

機械彫刻は、前述の通り、手作業で彫刻を行う機械彫刻機と、コンピュータ彫刻機とがあります。

また、表側から文字を彫る場合と、透明なアクリル板などの裏側から左右反転させた文字などを彫刻する場合があります。多くの場合、透明な材料に対して裏側から文字を彫刻する事が多く、不透明な素材の場合は表面の彫刻が多いです。

その他、特殊な彫刻には、目盛り彫刻 (機械部品及び、フロントパネルなど) や、パネル彫刻 (制御盤・計測器などの、塗装されたフロントパネルに回路図などを彫刻する) 、グラフィックパネル彫刻 (ビルなどの施設案内、避難経路表示図、機械配線回路図など、比較的大きく、何色かで塗装されるパネル) 、キートップ彫刻 (パソコンのキーボード・電子計算機など) などがあります。

MEMSセンサー

監修:MMIセミコンダクター株式会社

MEMSセンサーとは

MEMSセンサーとは、微細加工技術を用いて作られた微小なセンサーです。

MEMSは (英:Micro Electro Mechanical Systems) の略であり、電気的および機械的な構造を統合したデバイスを指します。従来のセンサーよりも小型化することが可能で、スマートフォンやウェアラブルデバイスなど、サイズを小さく、重量を軽くしたい製品に組み込みやすいのが特徴です。

また、小型軽量のためエネルギー効率が高く、低消費電力で駆動し、バッテリー駆動のデバイスでも長時間使用が可能です。

MEMSセンサーの使用用途

MEMSセンサーは、その微小なサイズと多様な機能から、私たちの生活に深く浸透しています。具体的には以下のような用途で利用されています。

1. 電子機器

スマートフォンには多くのMEMSセンサーが内蔵されています。加速度センサーやジャイロスコープを内蔵することで、画面回転やモーション操作を検出します。また、MEMSによるマイクロフォンを内蔵することで、スマートフォンに通話や音声認識などの高度機能を搭載することが可能です。

2. 自動車

自動車分野では、安全性や利便性の向上のためにMEMSセンサーが利用されます。エアバッグシステムでは、加速度センサーが衝突を瞬時に検知し、適切なタイミングでエアバッグを展開します。また、タイヤ空気圧監視システムでは、圧力センサーを使ってタイヤの空気圧をリアルタイムで監視し、異常を警告することが可能です。ジャイロスコープや加速度センサーは運転支援システムに組み込まれる場合もあります。

3. 製造業

産業分野では、MEMSセンサーがプロセス管理や機械安全に利用されます。加速度センサーを利用して機械の振動を監視し、異常を検知することで設備の故障を未然に防ぐことが可能です。また、自律型の産業機械においても、MEMSセンサーを利用して精密な位置決め・ナビゲーションを実現します。

MEMSセンサーの原理

MEMSセンサーは微細加工技術を用いて作られた機械構造が外部の物理量を感知し、それを電気信号に変換する仕組みです。特に、シリコン基板上に感知部分や変換機構を一体化している点が特徴で、これにより小型・高精度でリアルタイムの物理量測定が可能となり、幅広い分野で応用されています。

MEMSセンサーの種類

MEMSセンサーには、その小型軽量かつ高性能な特性から、多くの種類が存在し様々な製品に組み込まれています。以下はその中でも広く利用される代表例です。

1. 加速度センサー

加速度センサーは対象物の加速度を測定するためのセンサーです。内部にはバネで支えられた可動部があり、この可動部が加速度に応じて移動します。その移動による力の変化をピエゾ抵抗などにより検知し、加速度のデータとして出力する仕組みです。スマートフォンの画面回転機能や歩数計、車両の衝突検知システムに利用されます。

2. ジャイロスコープ

ジャイロスコープは回転運動や角速度を測定するセンサーです。センサー内の振動構造体が回転すると、コリオリの力が発生し、振動方向に変化が生じます。この変化を静電容量や圧電効果として検知し、回転角速度を計測する仕組みです。ゲーム機のモーション操作やカメラの手ぶれ補正、自動車の車両安定制御システムなどに利用されます。

3. 圧力センサー

圧力センサーは気体や液体の圧力を測定するセンサーです。内部の薄膜が外部圧力に応じて変形し、静電容量や抵抗変化として検知します。気圧計や高度計、自動車のタイヤ空気圧監視システム、水位検出などに利用されます。

4. マイクロフォン

MEMSマイクロフォンは音圧を検知し、それを電気信号に変換するセンサーです。音圧がセンサー内の薄膜に加わると薄膜が変位し、この変位を静電容量の変化として検知する仕組みです。スマートフォンやノイズキャンセリング機能を備えたヘッドセットなどに利用されます。

本記事はMEMSセンサーを製造・販売するMMIセミコンダクター株式会社様に監修を頂きました。

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