3Dプリンターヘッド

3Dプリンターヘッドとは

3Dプリンターヘッドとは、3Dプリンターの中で物体を作成するために、造形材料を正確に判断して物体を作る部分です。

このヘッドは、熱溶解性フィラメントや樹脂などの材料を使用し、デジタルデザインファイルに基づいて物体を層状に形成します。ヘッドは、ノズル、熱源、冷却機構、および動作制御装置で構成されています。ノズルは、材料を層状に積み重ね、熱源で材料を溶かし、冷却機構で固め、デジタルデザインから物体を立体的に作成することが可能です。

また様々なタイプがあり、異なる材料や精度、速度での造形が可能です。これらのヘッドは、産業用途から個人で使用するなど幅広い分野で利用され、製品開発やカスタム製品の製造に革命をもたらしています。

コンクリートバッチプラント

コンクリートバッチプラントとは

コンクリートバッチプラント (英: concrete batch-type plant) とは、骨材・セメント・水・混和剤などを混ぜてコンクリートを製造する装置です。

コンクリートの生産方法には、バッチ方式と連続方式があります。コンクリートバッチプラントは名前の通り、バッチ式の装置です。バッチ方式の方が、精度が高く良質の製品に仕上がります。

各材料は各供給装置から計量して入れ、所定時間混錬ミキサーで混ぜ合わせて生コンクリートを生成します。

コンクリートバッチプラントの使用用途

コンクリートプラントは需要地の近くに設置され、そこからミキサー車で工事現場まで運搬するのが一般的です。生コンクリートは時間と共に硬化していくので、プラントでは時間の管理が重要となります。

必要な時に必要な量を、一定の品質で供給する役目があります。需要に対して柔軟に対応できる綿密な生産計画が不可欠です。

ダムやトンネルなどの大規模な工事では、工事現場の近くに専用のコンクリートプラントを建設する場合があります。中には、小規模の工事に使う移動可能な装置もあります。トレーラーに1式の装置を取り付け、材料毎装置を工事現場に移動して、効率的に供給可能です。

コンクリートバッチプラントの原理

コンクリートの品質は、材料の混ぜ合わせ比率が重要です。JIS A 5308 レディーミクストコンクリートに品質基準などが規定されています。普通・軽量・舗装用の3種類があります。各材料の役割を次に示します。

1.セメント

セメントは、凝結固化材です。硬化と骨材の接着を行います。

2. 水

水はセメントが固まるのを補助し、生コンクリートの軟度を左右します。水とセメントの比率により、強度と施工性が変わります。水セメント比が小さいと強度は上がりますが、施工性が悪くなります。

3. 骨材

砂利や砂の骨材は、重量比でコンクリートの70~80%を占めます。充填剤ですが、収縮・発熱の低減、剛性や耐摩耗性の付与の役目があります。骨材の大きさが品質などに影響します。

4. 混和材料

混和材料には混和材と混和剤があります。混和材は膨張剤など大量に添加する材料で、品質向上用です。また、混和剤は、AE減水剤など少量で品質を向上させます。

コンクリートバッチプラントの構造

プラントの構成は、材料の供給装置、貯蔵設備、計量装置、ミキサーなどです。骨材・セメント・水・混和剤を1バッチずつ計量してミキサーに投入し、混練して精度のよい均等質の製品を作ります。

1. 材料供給装置

材料の供給装置は、プラントの最上部に設置します。ほとんどの骨材は自動投入でターンヘッドを使用します。セメントはスクリーンコンベア又はシュートによる自動投入が一般的です。

2. 貯蔵設備

材料を貯蔵する貯蔵設備は、プラントの上部に設置します。検知信号により自動制御して、送り出しします。

3. 計量装置

計量装置の正確なはかりで投入材料を計量します。はかりはJIS規格で精度が規定されており、より精度が高いロードセルを使うのが一般的です。

4. ミキサー

ミキサーは材料を混ぜ合わせる装置で、種々の種類があります。ミキサー車のドラムの様な形をした可傾式ミキサー、たらい状のパン形ミキサー、強制2軸ミキサーなどです。最近では、強制2軸ミキサーが多く使われています。このタイプは、スランプの固いものから柔らかいものまで、短時間で混ぜ合わせることが可能です。

コンクリートバッチプラントのその他情報

1. コンクリートのスランプ値

生コンクリートのスランプ値は、硬化する前の柔らかさを表す数値です。スランプ値が大きいほど柔らかい生コンクリートです。柔らかいと施工がしやすいメリットがありますが、強度が低下します。

スランプの測定は、規定のスランプコーンに生コンクリートを入れ、平らな面に伏せてコーンをゆっくり抜きます。コンクリートの元の高さ (300mm) から下がった高さがスランプ値です。スランプ値が大きいと、水密性の低下、耐久性の低下、乾燥収縮の増加などの弊害が発生するので、JISでは標準値を定めています。

2. コンクリートバッチプラントのメリット

大量で均質な生産
大規模な装置なら大量に均質な生コンクリートの生産が可能です。バッチごとに、材料の正確な計量ができ、品質が優れています。

効率的な生産
計量やプラント内の輸送の自動化ができるので、効率良い生産が可能です。

輸送が効率的
プラントを工事現場近くに設置ができるので、ミキサー車で長距離を輸送する必要がありません。必要量を迅速に供給できます。

ダクト式電気ヒーター

ダクト式電気ヒーターとは

ダクト式電気ヒーターとは、電力によって空気を加熱して対象物を暖める装置です。

通常はダクト(空気の流れを制御する管)に接続され、空気を加熱して送り込むことで対象物の温度を上昇させます。作業場やオフィスなどの部屋を対象に使用される場合が多いです。冷暖房システムのダクトに接続し、建物の中央暖房システムに組み込むことができます。

電熱線を使用した製品が多く、構造が簡単な点が特徴です。電力を使うため設置が簡単で、電力供給があればどこでも使用できます。ただし、電気の単位価格が高い場合、運用コストが高くなる可能性もあるため注意が必要です。

製品によっては室内空気を循環させることも可能で、室内の空気品質を向上させるのに役立ちます。なかには外気を導入する製品も販売されています。

ダクト式電気ヒーターの使用用途

ダクト式電気ヒーターはさまざまな用途で利用されています。以下はダクト式電気ヒーターの使用用途です。

1. 住宅暖房

ダクト式電気ヒーターは、住宅の中央暖房システムとして使用されます。主に家庭内のさまざまな部屋を暖めるために、中央の暖房ユニットとダクトを介して空気を分散させます。寒冷地域や国では一般的な暖房手法です。

2. 商業施設

商業ビルや工場・倉庫などの大規模な施設で、ダクト式電気ヒーターは広範囲に渡る暖房を提供するために使用されます。これらの施設では、ダクト式の暖房システムによって建物内の異なる区画を均一に暖めることが可能です。また、オフィスビルやホテルなどでは集中空調と組み合わせて使用され、快適な環境を提供します。

3. 公共施設

学校の教室や体育館など、さまざまな施設でダクト式電気ヒーターが暖房に使用されます。集中空調の暖房システムに組み込まれることが多く、各教室を適切な温度に保つことが可能です。また、病院や医療クリニックの室温管理や、市民プールなどにも使用される場合があります。

ダクト式電気ヒーターの原理

ダクト式電気ヒーターは電気エネルギーを使用して空気を加熱し、ダクトを通じて建物内の各部屋に分配する仕組みです。

通常は電熱線や電熱コイルが加熱要素として内蔵されています。これら部品によって電力を消費し、抵抗を通じて発熱します。これらの加熱部品が発熱することで、周囲の空気を加熱することが可能です。

ダクト式電気ヒーターには、エアハンドリングユニットと呼ばれる装置が組み込まれている場合が多くあります。エアハンドリングユニットはファンなどで空気を取り込み、フィルターや湿度制御装置を通じて空気を調整します。これにより、清浄で快適な暖房空気を生成可能です。

暖房空気はダクトを通じて建物内の各区画に送られます。ダクトは壁面や天井内に隠されていることが多く、必要に応じて保温することで空気の流れを効果的に制御する構造物です。各部屋にはダクトからの空気供給口があり、暖房空気がそこから放出されます。

ダクト式電気ヒーターの選び方

ダクト式電気ヒーターを選ぶ際には、いくつかの要因を考慮することが重要です。以下はダクト式電気ヒーターの選定要素です。

1. 設置場所

ダクト式電気ヒーターを設置する際、屋外か屋内かで設計要件が異なります。屋外設置する場合は電源配線の保護などが必要であり、屋内設置の方が安価です。設置場所を確定させた後に、それに合わせて製品を選定します。

2. 電源電圧

ダクト式電気ヒーターは特定の電源電圧で動作します。設置場所の電源電圧と、選択したヒーターの動作電圧が一致することが重要です。一般的な電源電圧はAC110Vまたは1φAC110V、3φAC220Vです。

3. 電力

ダクト式電気ヒーターの電力要件は、ヒーターの加熱能力によって異なります。必要な暖房能力に基づいて加熱能力を計算し、十分に加熱できるダクト式電気ヒーターを選定することが重要です。電気ヒーターの電力は製品仕様で指定されています。

4. 寸法

集中空調などのダクトは、必要な冷暖房能力と必要な風量に基づいて設計されます。本製品の寸法は、ダクトに合致しつつ、設置スペースに合わせて選ぶことが多いです。特に天井に設置する場合、高さや幅が許容範囲内であることを確認します。

製氷機

製氷機とは

製氷機 (英: ice maker)とは、氷を製造するための機械や装置です。

氷を手軽に製造できるため、飲料や冷たい料理を作る際に役立ちます。氷を事前に用意する必要がなく、需要に応じてすぐに氷を生成できます。

また、商業用の製氷機は衛生的な環境で氷を製造するための設計がなされており、安全で清潔な氷を提供します。手作りの氷よりも衛生的な選択肢です。一部の製氷機は氷の形状をカスタマイズできるため、異なるニーズに合わせてさまざまな形状の氷を製造できます。

ただし、製氷機を使用する際には、安全性や衛生面に注意を払う必要があります。定期的に洗浄し、細菌やカビの繁殖を防ぐために衛生的な状態を維持することが重要です。

製氷機の使用用途

製氷機はさまざまな使用用途があり、家庭や商業環境で広く利用されています。以下は製氷機の一般的な使用用途です。

1. 飲料

製氷機は冷たい飲料を提供するために広く使用されます。アイスティーやソフトドリンクなど、さまざまな飲料に氷を加えて飲み物を冷やす際に有用です。これにより、常温で製造・保存した飲料を瞬時に冷却して飲みやすくすることができます。

2. 食品冷却

製氷機は食品の冷却にも使用されることが多いです。サラダバーやデリカウンターで食材を冷却する際に氷を使うことがあります。これにより、冷たい状態で提供したい食品を瞬時に冷却することが可能です。

3. 医療

病院や医療施設において、氷は患者の体温を下げるために使用されることがあります。高熱の患者体温を急速に下げるため、氷水を使った冷却パッドやアイスパックを使用することは一般的です。これにより、患者の体温を制御し、緊急時の治療に役立ちます。

また、手術室や外科手術で凍結した器具や材料を使用することがあります。氷はこのような材料を冷却し、手術中に組織を保護するのに有利です。

4. 粉氷製造

粉氷は氷を細かく砕いてできる氷の一種で、氷の粒が小さく、飲料やデザートに混ぜやすい特徴があります。したがって、カクテルの一部として使用され、飲料に爽やかな冷たさを演出することが可能です。また、かき氷の材料としても使用され、シロップや果物をかけて楽しむことができます。

製氷機の原理

製氷機の動作原理は水を凍らせて氷を作る工程に基づいています。 まず、製氷機に水の供給が行われます。水は製氷機の供給タンクや水道などから供給され、製氷機内の氷製造部分に流れ込む仕組みです。

製氷機には冷却システムが組み込まれており、冷媒を使用して内部を冷却します。一般的にはフロンガスなどが使用されますが、環境に配慮した製品ではCO2が使用される場合も多いです。冷媒を圧縮・膨張させることによって製氷室内を冷却します。

製氷機には氷の形状を決定するための氷型を有することが多いです。氷の形状は製氷機の設計によって異なり、キューブ状や角柱状などさまざまな製品が販売されています。氷型によって氷を形作り、一貫性のある形状を保つことが可能です。

一定の時間が経過すると、凍結した氷が氷型から取り出されます。一般的には氷型に内蔵された加熱要素やバイブレーターなどの装置を使用して、氷を緩めて取り出す仕組みです。

製氷機の選び方

製氷機を選ぶ際に考慮すべき要因はいくつかあります。以下は製氷機の選定要素です。

1. 電源の種類

製氷機には単相電源や単相電源など、さまざまな電源種類が存在します。適切な電源を確保し、設備に合わせた製氷機を選ぶことが重要です。大型の商業用製氷機は3相200V電源などを使用し、家庭用製氷機は単相100Vの家庭用コンセントに合わせて設計された製品が多いです。

2. 氷型の形状

製氷機にはさまざまな氷の形状があります。アイスキューブやアイスボールが一般的な形状です。使用する氷の形状に応じて製氷機を選びます。

3. 冷媒の種類

製氷機の冷却システムにはさまざまな冷媒が使用されます。冷媒の種類によって、冷却効率や環境への影響に差異があります。省エネルギーな冷媒を使用する製氷機は、エコフレンドリーかつ経済的です。

4. 製氷能力

製氷機の製氷能力は1日あたりに製造できる氷の量を示す重要な指標です。需要に合わせて適切な製氷能力を選びます。商業用製氷機は大容量の氷を製造可能で、需要の多い場所に適しています。

銅電線

銅電線とは

銅電線 (英: Copper wire)とは、電気伝導性に優れた銅で作られた電線です。

銅は非常に良い電気伝導体であり、電流を効率的に伝達することができる材料の1つです。したがって、電気配線や電子機器などさまざまな用途で使用されています。この性質を利用して、銅を使用した電線が銅電線です。

銅は比較的柔軟で加工しやすい素材です。これにより、さまざまな形状の電線を製造し、設置することができます。また、導電率が高い材料には他に金や銀がありますが、それらと比較して安価に製造することが可能です。

銅は耐食性にも優れており、酸化や腐食に対して耐性があります。これにより、屋内外のさまざまな環境で使用することが可能です。銅電線は長寿命であり、数十年にわたって信頼性を保つことができます。

銅電線の使用用途

銅電線は電線であるため、電気回路に使用されます。銅電線の使用用途を列挙すると、枚挙に暇がありません。以下は銅電線の使用用途の一例です。

1. 一般家屋

銅電線は一般家屋の電力供給と電気配線に広く使用されます。壁コンセントから照明器具まで、さまざまな電気の配線として使用することが可能です。銅電線は安全性と信頼性が高く、電気システムの効率的な動作を支えています。

2. 電子機器

銅電線は電子機器の内部配線に使用されることが多いです。例えば、コンピュータやスマートフォンなど、ほとんどの電子機器には銅電線が使用されます。銅は高い電気伝導性を持つため、信号伝送や電力供給に適しており、信頼性の高い動作を実現します。

3. 自動車

自動車業界では、銅電線は自動車の電気システムやエンジン部品に広く使用される部品です。自動車のバッテリーケーブルやスターター点火システム、照明、センサーなどの電気部品に銅電線が用いられます。銅は高い耐熱性と耐久性を有するため、自動車の電気系統において信頼性を高めることができます。

4. 発・変電所

発電所では、発電機から送電線への電力伝送に銅電線が使用されることも多いです。変電所で電圧を調整して電力を分配するためにも銅電線が不可欠です。銅は高い電気伝導性と耐久性を持ち、発電所から需要設備まで電力を効率的に伝送するのに適しています。

銅電線の原理

銅原子が電子を自由に移動させることができるため、銅電線は非常に高い電気伝導性を有しています。銅原子の外部には自由電子が存在し、これらの自由電子が電流を運びます。

電流が銅電線内を流れると自由電子は銅原子の結晶格子を移動し、電場に応じて移動します。電場は電流を生じる原因であり、電子は電場に従って銅電線内を移動することで電流が発生する仕組みです。銅の高い電気伝導性によって電流が効率的に伝わり、エネルギーの損失が少なくなります。

銅電線の原理に関連する重要な法則の一つがオームの法則です。オームの法則によれば、電流(I)は電圧(V)に比例し、抵抗(R)に反比例します。具体的には、以下の式で表されます。

 V = I×R

銅電線の場合、抵抗は非常に低く、電流が流れるときにほとんど電圧降下が発生しないため、電気システムの効率が高まります。

銅電線の選び方

銅電線を選ぶ際にはさまざまな要因を考慮します。以下は銅電線の選定要素です。

1. 形状

銅電線は用途に応じて形状を選定する必要があります。架空電線として使用する場合は、強度を補強するために単芯線または太い電線を使用します。また、壁内や狭い箇所を敷設する場合は、細線が集合した撚線を使用することが多いです。

2. 許容電流

銅電線は大きな電流を流すと発熱するため、この発熱量が許容値内に収まることが重要です。したがって、大電流を伝達する銅電線は太い直径の製品を選定する必要があります。機器を小型化したい場合などには、耐熱性に優れた銅電線を採用することも多いです。

3. 絶縁被覆・保護

銅電線は導電材料であるため、柱脚や筐体を構成する金属に接触すると回路を地絡・短絡させてしまう恐れがあります。したがって、銅電線を絶縁するために樹脂性の絶縁材料で銅電線を覆った製品も多いです。この絶縁体をさらにシールド層や頑丈な絶縁体で覆った製品をケーブルと呼ばれ、用途に応じてこれらの製品を選択します。

ペレットプレス

ペレットプレスとは

ペレットプレス (英: pellet press) とは、錠剤や樹脂などをプレスして成形する機械です。

金型に各種材料を入れ、プランジャーを押し込んで成形する方法が一般的です。手動式、手動油圧式、自動油圧式などの種類があります。成形されたペレットは、各種計測器の試料や試験片、電極、リサイクル試料などに使用されます。

ペレットプレスの使用用途

ペレットプレスは、以下のものを作成するときに使用されています。

  • 蛍光X線分析・赤外分光分析・電子顕微鏡分析用の試料片
  • 全固体電池の正極や負極
  • 歯科材料の研究開発の試料片
  • 新商品の研究開発の試料片
  • 固体電解質のペレット
  • タブレット洗浄剤
  • 金属粉末
  • マグネシウム
  • セラミックス
  • 機能性材料
  • 食品
  • 古紙
  • 廃プラスチック燃料RPF

その他、結晶材料、ゼオライト、樹脂、シリカ・アルミナなどの成形にも使われます。

プレスペレッターやペレット成形装置などと呼ばれる機械は、燃料、肥料、飼料、産業廃棄物などの固形化・減容化を行う装置です。連続してペレットの生産が可能です。円錐型のローラーにより、原料を均一な圧力で押し出します。

ペレットプレスの原理

ペレットプレスは金型に材料を充填し、プランジャーで押し込むと加圧が始まります。圧力が上がるにつれ、材料内部の空気が押し出されて密度が上がっていき、ペレットの形状が定まる仕組みです。

最大荷重に達したら、材料の粒子が密着するように、圧力を一定時間保持すると、安定したペレットが完成します。圧力を高くして、確実に成形し、表面が滑らかなペレットができます。自動加圧式は圧力をステップ状に制御できるので、成形が困難な材料でも高品質のペレット作成が可能です。

ペレットプレスに加熱装置を組み込んだタイプは、温度上昇させてプレスができます。樹脂や粉体の圧縮成形テストやサンプルの作成などの高温プレスが可能です。

ペレットプレスの種類

1. 駆動方式による分類

手動式
てこの原理を使ってレバーやスクリューにより、プランジャを動かし油圧でペレットを作る方式です。油圧を使って増圧するので軽い力で操作できます。手動なので電気が不要で、手軽に使えます。圧力の上昇や速度の微妙な調整が可能です。研究室での試行品や少数のペレット作成に使用されます。

手動自動式
電動の油圧ポンプを内蔵しており、圧力の調整が容易です。圧力の上昇速度、圧力の上限、保持時間などを自動で行えます。

自動式
プログラムを組み込むことが可能で、自動で均質のペレットを作成できます。大量生産する時に使用されるタイプです。

2. プレス手法による分類

金型を使用した粉末プレス方法には、1軸成形と両軸成形があります。1軸成形は下の金型を固定し、上パンチの加圧する力でプレスする方法です。粉末を充填した金型の壁面の摩擦により、ペレットの上下で密度差が発生する場合があり、変形やクラックなどが生じる原因になります。

また、両軸成形は金型を固定しない状態にし、フローティング状態でプレスする方法です。成形中の粉体の動きに合わせ、金型が上下に動くことで上下の密度差を小さくします。

3. 付加機能による分類

加熱装置
試料を高温でプレスすることが可能です。樹脂や粉体の圧縮成形試験、ポリマー薄膜の作成などの用途です。400℃まで可能な高温タイプもあります。水冷装置が付いたものもあり、金型の温度の細かい調整が可能です。

加圧装置
耐圧の洗浄装置CIPと組み合わせて、試料に圧力をかけてプレスする方法です。水圧を使って全方向から均一に加圧してペレットを成形します。面圧2t程度まで加圧が可能です。

ペレットプレスのその他情報

KBr錠剤法

KBr錠剤法は、固体の赤外分光分析を行う基本的方法です。試料が希少試料の場合の測定に適しています。試料を少量添加した臭化カリウムKBrをペレットプレスにより錠剤を成形して赤外分光分析装置の試料にします。

建設用ブルドーザー

建設用ブルドーザーとは

建設用ブルドーザー (英:construction bulldozer) とは、主に建設工事で使用する土砂の削り取り・運搬・地ならしなどを行う建設機械です。

ブルドーザーは、車体の前方にブレードと呼ばれる排土板を付けた重機です。進行方向に土砂を押し出して整地する役割があります。アタッチメントを交換すれば、さまざまな作業が可能です。駆動には、クローラ (無限軌道) 式とホイール式があります。

建設用ブルドーザーの使用用途

ブルドーザーは建設工事に伴って、土砂の削り取り・押出し・地ならしなどの作業に使います。具体的には、土木工事、ダム工事、建築工事、敷地造成などです。また、除雪や湿地作業の用途もあります。アタッチメントの交換により、大きな岩石の掘り起こし・移動、伐根作業などにも対応可能です。

その他、特殊な作業用ブルドーザーとして、ラジコンで操作できるタイプ、水陸両用タイプ、水中タイプなどがあります。水陸両用は無線操縦によって作業を行い、浚渫船が出入りできない所などで有用です。海底を走行可能な水中用は、ダイバーが有線遠隔操縦します。

建設用ブルドーザーの原理

建設用ブルドーザーは土砂を押し出す際に非常に大きな駆動力を必要とするため、クローラ式が多く使われます。エンジンの回転数とともにギアを小さくし、強大な推進トルクを出します。

大きな岩石を掘り起こしたり、破砕したりするときは、リッパと呼ばれる爪を使うのが一般的です。リッパは岩石を砕いたり、岩石と土砂の分離をしたりするのに役立ちます。バケット型のブレードは、土砂の運搬が効率よく行えます。

ブレードを使用する作業の場合、ブレードを垂直方向から傾斜させたり、進行方向に対して左右に向きを変えたりする必要があります。その場合は、油圧を使って傾斜角を変えます。

建設用ブルドーザーの特徴

1. アタッチメントが多種

アタッチメントの交換により、様々な作業が可能です。ブレードの形状、爪タイプのリッパ、バケットを使用するタイプ、無線遠隔操縦、除雪用、ウィンチ装着など多種あります。

2. クローラのシューが多種

標準型をはじめ、湿地作業用のクローラシューが多種あり、用途に応じて選択されます。シューの断面が3角形で幅広のシューです。雪上用シューや岩盤用シューもあります。

建設用ブルドーザーの種類

ブルドーザーのブレードやリッパには、色々な種類が多くあります。

1. ブレードによる分類

ストレート型
標準型のブレードです。油圧シリンダにより、横から見て垂直方向に対して傾斜させることができます。1回で押し出す容量が大きい特徴があり、多くの中型ブルドーザーは、このタイプです。

U型
押出し用でブレードの両端が前方に折れ曲がってU字型になっており、大量の土砂の押し出しが可能です。超大型ブルドーザーなどに使います。

アングル型
ブレードを進行方向の左右に角度をつけたものです。片切作業や盛こぼし作業に使用します。パワーアングルドーザーは、ブレードを運転席から油圧で傾斜角の変更が可能です。

2. リッパによる分類

マルチシャンク型
3本爪の標準のリッパです。大きな岩石などを破砕します。岩石の硬さによりシャンクの本数の変更が可能です。

ジャイアント型
シャンクが長く、深堀り用です。

パラレルリンク
貫入深さが変わっても貫入角度を一定にするパラレルリンク機構を備えています。

3. ブルドーザーによる分類

重量によるクラス分けの目安は、小型は3~12t、中型は13~24t、大型は28~42t、超大型は44t以上です。また、使用される場所では、乾地ブルドーザーと湿地ブルドーザーに分類できます。湿地ブルドーザーは、軟弱地盤での作業が可能な設計です。

建設用ブルドーザーのその他情報

1. 日本のブルドーザーの特徴

日本では湿地用ブルドーザーが多く、軟弱地盤の工事現場でも使用が可能です。クローラの接地面積を広くして接地圧を下げ、特殊形状のシューを採用しています。横方向の滑り特性が良くなり、転圧効果が優れています。

2. 必要な資格

ブルドーザーを扱う場合は、資格が必要です。3t以上の車両を運転・操作するには、車両系建設機械運転技能の国家資格取得が必須です。指定の教習機関で、学科講習と実技講習を受けます。学科の内容は、走行装置の構造・取扱い、作業装置構造・取扱・作業方法、運転知識、法令です。また、実技は走行操作と作業装置の操作・合図を行います。

プラスチック用接着剤

プラスチック用接着剤とは

プラスチック用接着剤とは、プラスチックの接着に特に適している接着剤のことです。

プラスチックの中には一般的な接着剤を使用できる材質もありますが、一般的な接着剤では接着が難しい場合もあります。このようなときは、専用の接着剤や下処理剤 (プライマー) が必要です。

また、接着しやすい材質のプラスチックでも、プラスチック用接着剤を用いたほうがよりしっかり接着できるケースがあります。プラスチック用接着剤はさまざまな種類があるため、用途や場面によって使い分けることが大切です。

プラスチック用接着剤の使用用途

プラスチックは、私たちの身の回りの日用品一般に広く使用されている樹脂素材です。
プラスチック用の接着剤には、以下の用途があります。

  • キッチン用品や風呂部材をはじめとする水回りの修繕
  • 室内の補修
  • おもちゃの修繕
  • 各種日用品や小物
  • 電子機器
  • 家電製品
  • DIYや工作

DIYや工作では、プラモデルやフィギュアなどの製作に使用されます。接着剤の種類のなかには、水がかかることが想定される作品 (スノードームなど) にも使用可能です。

業務用の接着剤では、ガスケットの接合、各種プラスチック部材の接着、パーツ固定、大面積や平板の貼り合わせなどに使用されています。

プラスチック用接着剤の原理

難接着性プラスチックを接着する方法の一つに、プライマーを用いる方法があります。プライマーとは、素材表面の接着性を改善する目的で用いる下塗り剤です。

不揮発分が少なく粘度の低い液体で、接着性改善以外にも、表面安定化、金属表面の腐食防止、粘着性の向上、接着剤の劣化防止などの効果があります。プライマーは充分に乾いてから接着剤を塗り重ねる必要があり、接着剤と混合してはいけません。被着材や接着剤の種類によって必要なプライマーの種類は異なります。

また、メタクリレートなどを用いたアクリル接着剤では、マイクロビーズなどの含有微粒子により隙間を埋める機構により、プライマー無しで難接着性プラスチックを接着できるものもあります。

プラスチック用接着剤の種類

プラスチック用接着剤は、家庭用や業務用の製品があります。素材や用途に合わせて異なる種類の製品が用いられます。

1. 家庭用プラスチック用接着剤

家庭用のプラスチック用接着剤は、プライマーがセットになっていてPE・PPも接着が容易となっているものや、1剤だけで使用可能なものなど種類がさまざまです。また、耐熱・耐水・耐衝撃など特性が異なる接着剤や、プラスチック以外の金属や木材にも汎用できる接着剤もあります。

耐熱・耐水型の製品は、キッチンや風呂などの水回りの熱や水にさらされる部分の補修や水がかかる作品の工作などに特に有効です。なお、ABSやPVCなどには通常の瞬間接着剤を用いることもできます。

2. 業務用プラスチック用接着剤

業務用のプラスチック用接着剤製品では、合成ゴム系やメタクリレートなどを用いたアクリル接着剤などが用いられています。特に難接着性プラスチック接着用製品では、マイクロビーズなどの微粒子を含有させて接着剤の性能を向上させているものもあります。

その他、ABSやアクリル、ナイロンなどの接着が容易なプラスチックには、シアノアクリレート接着剤、エポキシ接着剤、ポリウレタン接着剤、シリコーン系接着剤なども用いられます。用途に合わせて適切なものを選択することが必要です。

プラスチック用接着剤のその他情報

プラスチックの種類

プラスチックにも様々な材質の種類があり、接着剤での接合しやすさは種類によって異なります。ポリエチレン (PE) やポリプロピレン (PP) 、PET (ポリエチレンテレフタレート) などに代表されるポリエステル類は、熱可塑性が高く様々な用途に用いられますが、いずれも接着することが難しいプラスチックです。

これは表面エネルギーが低く、疎水性が高いことから液体である接着剤を表面で弾いてしまうことが理由として挙げられます。POM (ポリオキシメチレン) などのアセタール樹脂やPTFE (ポリテトラフルオロエチレン)も、接着が難しいプラスチックとして知られている材質です。

その他、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル (PVC) 、アクリル樹脂、ナイロンなどは、比較的接着が容易で通常の接着剤を使用することも可能な材質として知られています。どれも、可塑性が高く、建材や家庭用品、機器部材などとして汎用されている素材です。

ただし、アクリル材の場合は素材の透明性を利用した製品が多いことから、接着剤にも高い透明性と着色 (黄化など) しない特性が基本的に求められます。また、PVCの場合は、同じポリ塩化ビニルでも配合によって接着しやすさが異なります。特に比較的新しい配合で製造されたリサイクル可能なポリ塩化ビニルは、比較的接着が難しい材料です。

参考文献
https://www.aronalpha.com/support/20.html
https://www.finesensing.com/adhesives/pb_plastics.html
https://www.cemedine.co.jp/basic/home/uses/plastic.html

金属用接着剤

金属用接着剤とは

金属用接着剤とは、金属表面での接着が可能な接着剤のことです。

金属用の接着剤には、ステンレス、鉄、アルミニウムなどの金属間での接着に対応している接着剤の他、金属と非金属素材 (プラスチック、木材、陶器、炭素繊維など) に対応している接着剤などがあります。多くの製品は耐熱性、耐水性、耐衝撃性などに優れています。

金属用接着剤の使用用途

金属用接着剤は、家庭用・工業用・建築用を問わず、幅広い用途で使用されている接着剤です。接着可能な金属には、ステンレス、チタン、アルミニウム、鉄、亜鉛メッキ鋼、銅、真鍮など、多様な種類が含まれます。また、金属と接着可能な他の非金属素材としては、プラスチック、木材、ガラス、陶器、炭素繊維など、様々な種類が想定されています。

1. 家庭用

家庭用の金属用接着剤は、家具のDIY、キッチンや浴室など水回り用品の補修、デジタル機器のコード修復、車のボディやマフラーの補修、水道管の修理、フェンスの修繕などの用途で用いられます。メガネフレームや、ネックレスなどのアクセサリー類の修理も可能です。その他の用途では金属を用いた手芸・工作にも用いられ、アクセサリー類のハンドメイド、鉄道模型の接着・修理、ルアーなどの釣具の修理などが挙げられます。

2. 工業用

工業用では、金属用接着剤は機械的締結、溶接などを代替する溶接手法として用いられます。電子部品をはじめとする金属部品の接合や、ワイヤー熱電対などのヒーター類、センサー、その他建材や構造物などの接着が代表的な用途です。

金属用接着剤の原理

金属用接着剤も一般の接着剤と同様に、接着力と凝集力によって接着します。接着力とは異なる分子同士をくっつける力であり、凝集力とは同じ種類の分子を結びつけて維持する力です。接着剤は液状の物質として対象物表面に液状に付着し、硬化することで効果を発揮します。硬化は重合や硬化剤などとの化学反応、溶媒の蒸発などによって引き起こされます。

金属に用いることのできる接着剤はいくつか種類があり、種類によってそれぞれ接着のメカニズムが異なります。接着剤の接着力は、通常、物理的 (力学的) な接着・化学的接着・分散接着のいずれかによるものです。

1. エポキシ樹脂系接着剤

エポキシ樹脂系の接着剤は、金属に対して使用できる接着剤の一つです。1液タイプと2液タイプの2種類があります。一般的には2つの液を混ぜた化学反応で接着が進行する2液タイプが主流です。通常の接着剤に比べて、硬化するときの体積が減少しにくいという特徴があります。金属以外では木材、陶器やガラスなどに幅広く使用できるため、非金属との接着にも使用できます。耐久性や耐熱性、耐水性に特に優れた性質を持つ接着剤です。

2. 弾性接着剤

弾性接着剤とは、硬化後も柔らかさが保たれ、ゴム状の弾性を有する接着剤です。特に、接着する素材の材質が異なっている場合に適しています。ただし、金属同士の接着に用いることはできません。

異なる素材同士を接着する場合、熱膨張係数が異なることにより、時間の経過とともにひび割れ・ゆがみ・反りなどが生じたり、剥がれてしまったりする場合があります。熱膨張係数とは、温度上昇にともなって物体の長さや体積が膨張する割合を示す値です。弾性接着剤では、硬化したあとの接着剤が弾力のあるゴム状になるため、割れ、ゆがみや剥がれが生じにくくなります。また、接着層が衝撃を吸収するので、衝撃や振動にも比較的強い場合が多いです。

金属用接着剤の種類

金属用接着剤は、家庭用、業務用に大きく分けることができます。製品によって熱伝導性・導電性・耐熱性・耐紫外線性などの特性を持っており、用途に合わせて使用することが必要です。また、金属用接着剤の中には、金属と非金属との接着は可能でも金属同士の接着には対応していない種類のものもあるため、注意が必要です。

1. 家庭用

家庭用では、金属向けの瞬間接着剤や、エポキシ樹脂系接着剤 、弾性接着剤などが用いられます。金属向けの瞬間接着剤とは、金属表面への接着強度が高い瞬間接着剤です。瞬間接着剤は化学反応によって硬化が進むため、乾くまでの時間を待たずに瞬時に接着することができます。主には、空気中や接着する物質表面の水分などとの反応が進行します。

また、各種金属用接着剤の中でも、乾くまでの時間や容量、耐衝撃性、耐水性、耐熱性、紫外線耐性などは製品によって異なります。用途に合わせて適したものを選択することが必要です。例えば、アクセサリー類の金具接着や各種小型部品の補修など、使用範囲が狭い場合には短時間で硬化する速乾性の接着剤が適しています。反対に、住宅や車、バイクなどの修繕などで使用範囲が広い場合は、硬化時間が長いものが作業しやすいと言えます。硬化までの時間の長いもののほうが、塗布後の修正が容易です。

接合部などの負荷や衝撃がかかる部分には耐衝撃タイプを使用することが適切であり、電子機器や車のエンジンの周囲などは耐熱性が必要とされます。台所・浴室など水回りへ使用する場合は耐水性の高い接着剤が必要です。アクセサリー製作などの手芸・工作類には、透明仕上げの接着剤を用いると接着の痕が目立ちにくく、美観を保つことができます。また、接着剤は長期に渡って保管していると容器の中で固着してしまう場合があるため、使用量や使用頻度が少ない場合は、小容量の商品を選択することが適切です。

2. 業務用

業務用の金属用接着剤は、溶接、ネジなどの代替手段として用いられます。具体的には、エポキシ樹脂系接着剤、アクリル系樹脂接着剤、ホットメルト接着剤、光硬化型接着剤などの種類が挙げられます。硬化時間や吐出性、作業性、耐衝撃性、耐水性、耐熱性、導電性などは製品によって異なるため、用途に合わせて選択することが必要です。

参考文献
https://www.aronalpha.com/support/19.html

薄膜蒸発装置

薄膜蒸発装置とは

薄膜蒸発装置とは、薄膜を形成して低沸点成分 (溶媒) を濃縮・蒸発させることにより混合物を分離精製する装置です。

低沸点溶媒を短時間で蒸発させることができます。加熱時間を短縮できるため、特に熱に敏感な化合物の分離精製に有効です。また、高真空にすることで高沸点液の処理に用いることもできます。

薄膜蒸発装置の使用用途

薄膜蒸発装置は溶媒の留去による溶質 (サンプル) の濃縮・乾燥・粉末化、使用済み溶剤や廃液、処理液などから再利用可能な溶剤や水の回収を行うために使用されます。

1. 化学

化学工業においては、アミン類、エステル類などの芳香物質、ラテックス類や、モノマー類など、有機化合物一般の分離精製に用いられます。酢酸の回収にも活用されている他、モノグリセライド、脂肪酸アマイド、各種脂肪酸や各種脂肪酸誘導体、メタクリル酸誘導体、アセチレン誘導体、高沸点化合物の精製にも用いられます。

2. 医薬品

医薬品工業における主な用途は、ビタミン類や、DHA、EPA、スクワレンなどの油脂類などの蒸留処理や、一般的な有機化合物の濃縮精製です。

3. 食品

薄膜蒸発装置は、食品工業においても汎用されている装置です。具体的な用途には、タンパク類、糖類の濃縮精製や、各種ジュース、ミルクなどの濃縮処理などがあります。

4. 機械・電子

薄膜蒸発装置は、真空ポンプ油、冷凍機油、トランス油の精製や、電子部品、半導体部品等に使用される封止材、モールド材の真空加熱処理などにも使用されています。

5. 廃液処理

薄膜蒸発装置は、工業生産一般における処理液・廃液の濃縮回収・水回収・溶媒回収・減容化に活用されている装置です。金属工業における切削油廃液や、金属表面処理工業、化学工業、繊維工業、皮革工業、染料工業など、様々な分野で用いられています。

薄膜蒸発装置の原理

薄膜蒸発装置は、加熱機構を備えた蒸発管内に薄膜を形成させて溶媒を蒸発させる原理で、溶質を濃縮・乾燥させます。蒸発管内にはワイパーなどが内蔵され、均一な薄膜を効率よく形成する仕組みです。通常、蒸発管内は減圧を行うことが可能な構造になっているため、減圧によって溶媒の沸点を降下させることで低温・短時間での溶媒除去が可能です。

また、固体として析出した溶質は、ワイパーなどで掻き取られて回収容器へ送られるようになっています。蒸発した溶媒は、気体として管を通って冷却管でトラップされ、再冷却されて液体として回収されます。通常、ラボスケールの装置の蒸発管や液体・気体の流路の材質は、ホウ珪酸ガラスなどの耐食・耐薬品性に優れ、かつ内部観察が可能な透明な素材です。

薄膜蒸発装置の種類

薄膜蒸発装置には、実験室サイズのものから工業用の大型のものまで、様々な大きさのものがあります。実験室サイズのものは通常ガラス製ですが、工業用スケールではステンレスなどが用いられます。

通常の薄膜蒸発装置では、留分が流下するよう蒸発管が鉛直に立てられており、効率良く分離精製を行うことが可能です。そのため、分離したい混合物を上部から投入する装置が多いですが、下部から混合物を導入して加熱上昇させる方式の上昇薄膜蒸発装置もあります。それ以外の形状では、工業用などに用いられる水平薄膜蒸発器が挙げられます。

1. 遠心薄膜蒸発装置

工業用の薄膜蒸発装置の一種に、遠心薄膜蒸発装置があります。遠心薄膜蒸発装置は、内部に回転翼を備え、遠心力で処理液を胴体内表面に薄膜化する装置です。ジャケットからの伝熱と真空減圧によって溶媒を蒸発させます。一般に工業用に大型の装置であり、横形、立形、掻き取り型、サニタリー型など、様々な種類があります。分離効率が高く、特に高沸点溶媒などの蒸留に最適です。

2. ショートパスエバポレーター

薄膜蒸発装置に似ている装置に、ショートパスエバポレーターがあります。ショートパスエバポレーターは、薄膜蒸発装置よりもガラス器具内をより高真空に引くことができる装置です。高沸点成分の蒸留・分離など、高真空での運転が必要な場合はショートパスエバポレーターの方が適しています。また、運転温度を下げ、時間を短くすることができるため、熱敏感性分離により適していると言えます。

参考文献
https://www.theglassplant.com/product/thinfilm-evaporator/
https://www.ubemachinery.co.jp/product/chemical/evaporator.html
https://www.sibata.co.jp/item/6631/
https://www.yashiro.co.jp/fd_md/