コンクリートバッチプラント

コンクリートバッチプラントとは

コンクリートバッチプラント (英: concrete batch-type plant) とは、骨材・セメント・水・混和剤などを混ぜてコンクリートを製造する装置です。

コンクリートの生産方法には、バッチ方式と連続方式があります。コンクリートバッチプラントは名前の通り、バッチ式の装置です。バッチ方式の方が、精度が高く良質の製品に仕上がります。

各材料は各供給装置から計量して入れ、所定時間混錬ミキサーで混ぜ合わせて生コンクリートを生成します。

コンクリートバッチプラントの使用用途

コンクリートプラントは需要地の近くに設置され、そこからミキサー車で工事現場まで運搬するのが一般的です。生コンクリートは時間と共に硬化していくので、プラントでは時間の管理が重要となります。

必要な時に必要な量を、一定の品質で供給する役目があります。需要に対して柔軟に対応できる綿密な生産計画が不可欠です。

ダムやトンネルなどの大規模な工事では、工事現場の近くに専用のコンクリートプラントを建設する場合があります。中には、小規模の工事に使う移動可能な装置もあります。トレーラーに1式の装置を取り付け、材料毎装置を工事現場に移動して、効率的に供給可能です。

コンクリートバッチプラントの原理

コンクリートの品質は、材料の混ぜ合わせ比率が重要です。JIS A 5308 レディーミクストコンクリートに品質基準などが規定されています。普通・軽量・舗装用の3種類があります。各材料の役割を次に示します。

1.セメント

セメントは、凝結固化材です。硬化と骨材の接着を行います。

2. 水

水はセメントが固まるのを補助し、生コンクリートの軟度を左右します。水とセメントの比率により、強度と施工性が変わります。水セメント比が小さいと強度は上がりますが、施工性が悪くなります。

3. 骨材

砂利や砂の骨材は、重量比でコンクリートの70~80%を占めます。充填剤ですが、収縮・発熱の低減、剛性や耐摩耗性の付与の役目があります。骨材の大きさが品質などに影響します。

4. 混和材料

混和材料には混和材と混和剤があります。混和材は膨張剤など大量に添加する材料で、品質向上用です。また、混和剤は、AE減水剤など少量で品質を向上させます。

コンクリートバッチプラントの構造

プラントの構成は、材料の供給装置、貯蔵設備、計量装置、ミキサーなどです。骨材・セメント・水・混和剤を1バッチずつ計量してミキサーに投入し、混練して精度のよい均等質の製品を作ります。

1. 材料供給装置

材料の供給装置は、プラントの最上部に設置します。ほとんどの骨材は自動投入でターンヘッドを使用します。セメントはスクリーンコンベア又はシュートによる自動投入が一般的です。

2. 貯蔵設備

材料を貯蔵する貯蔵設備は、プラントの上部に設置します。検知信号により自動制御して、送り出しします。

3. 計量装置

計量装置の正確なはかりで投入材料を計量します。はかりはJIS規格で精度が規定されており、より精度が高いロードセルを使うのが一般的です。

4. ミキサー

ミキサーは材料を混ぜ合わせる装置で、種々の種類があります。ミキサー車のドラムの様な形をした可傾式ミキサー、たらい状のパン形ミキサー、強制2軸ミキサーなどです。最近では、強制2軸ミキサーが多く使われています。このタイプは、スランプの固いものから柔らかいものまで、短時間で混ぜ合わせることが可能です。

コンクリートバッチプラントのその他情報

1. コンクリートのスランプ値

生コンクリートのスランプ値は、硬化する前の柔らかさを表す数値です。スランプ値が大きいほど柔らかい生コンクリートです。柔らかいと施工がしやすいメリットがありますが、強度が低下します。

スランプの測定は、規定のスランプコーンに生コンクリートを入れ、平らな面に伏せてコーンをゆっくり抜きます。コンクリートの元の高さ (300mm) から下がった高さがスランプ値です。スランプ値が大きいと、水密性の低下、耐久性の低下、乾燥収縮の増加などの弊害が発生するので、JISでは標準値を定めています。

2. コンクリートバッチプラントのメリット

大量で均質な生産
大規模な装置なら大量に均質な生コンクリートの生産が可能です。バッチごとに、材料の正確な計量ができ、品質が優れています。

効率的な生産
計量やプラント内の輸送の自動化ができるので、効率良い生産が可能です。

輸送が効率的
プラントを工事現場近くに設置ができるので、ミキサー車で長距離を輸送する必要がありません。必要量を迅速に供給できます。