ペレットプレスとは
ペレットプレス (英: pellet press) とは、錠剤や樹脂などをプレスして成形する機械です。
金型に各種材料を入れ、プランジャーを押し込んで成形する方法が一般的です。手動式、手動油圧式、自動油圧式などの種類があります。成形されたペレットは、各種計測器の試料や試験片、電極、リサイクル試料などに使用されます。
ペレットプレスの使用用途
ペレットプレスは、以下のものを作成するときに使用されています。
- 蛍光X線分析・赤外分光分析・電子顕微鏡分析用の試料片
- 全固体電池の正極や負極
- 歯科材料の研究開発の試料片
- 新商品の研究開発の試料片
- 固体電解質のペレット
- タブレット洗浄剤
- 金属粉末
- マグネシウム
- セラミックス
- 機能性材料
- 食品
- 古紙
- 廃プラスチック燃料RPF
その他、結晶材料、ゼオライト、樹脂、シリカ・アルミナなどの成形にも使われます。
プレスペレッターやペレット成形装置などと呼ばれる機械は、燃料、肥料、飼料、産業廃棄物などの固形化・減容化を行う装置です。連続してペレットの生産が可能です。円錐型のローラーにより、原料を均一な圧力で押し出します。
ペレットプレスの原理
ペレットプレスは金型に材料を充填し、プランジャーで押し込むと加圧が始まります。圧力が上がるにつれ、材料内部の空気が押し出されて密度が上がっていき、ペレットの形状が定まる仕組みです。
最大荷重に達したら、材料の粒子が密着するように、圧力を一定時間保持すると、安定したペレットが完成します。圧力を高くして、確実に成形し、表面が滑らかなペレットができます。自動加圧式は圧力をステップ状に制御できるので、成形が困難な材料でも高品質のペレット作成が可能です。
ペレットプレスに加熱装置を組み込んだタイプは、温度上昇させてプレスができます。樹脂や粉体の圧縮成形テストやサンプルの作成などの高温プレスが可能です。
ペレットプレスの種類
1. 駆動方式による分類
手動式
てこの原理を使ってレバーやスクリューにより、プランジャを動かし油圧でペレットを作る方式です。油圧を使って増圧するので軽い力で操作できます。手動なので電気が不要で、手軽に使えます。圧力の上昇や速度の微妙な調整が可能です。研究室での試行品や少数のペレット作成に使用されます。
手動自動式
電動の油圧ポンプを内蔵しており、圧力の調整が容易です。圧力の上昇速度、圧力の上限、保持時間などを自動で行えます。
自動式
プログラムを組み込むことが可能で、自動で均質のペレットを作成できます。大量生産する時に使用されるタイプです。
2. プレス手法による分類
金型を使用した粉末プレス方法には、1軸成形と両軸成形があります。1軸成形は下の金型を固定し、上パンチの加圧する力でプレスする方法です。粉末を充填した金型の壁面の摩擦により、ペレットの上下で密度差が発生する場合があり、変形やクラックなどが生じる原因になります。
また、両軸成形は金型を固定しない状態にし、フローティング状態でプレスする方法です。成形中の粉体の動きに合わせ、金型が上下に動くことで上下の密度差を小さくします。
3. 付加機能による分類
加熱装置
試料を高温でプレスすることが可能です。樹脂や粉体の圧縮成形試験、ポリマー薄膜の作成などの用途です。400℃まで可能な高温タイプもあります。水冷装置が付いたものもあり、金型の温度の細かい調整が可能です。
加圧装置
耐圧の洗浄装置CIPと組み合わせて、試料に圧力をかけてプレスする方法です。水圧を使って全方向から均一に加圧してペレットを成形します。面圧2t程度まで加圧が可能です。
ペレットプレスのその他情報
KBr錠剤法
KBr錠剤法は、固体の赤外分光分析を行う基本的方法です。試料が希少試料の場合の測定に適しています。試料を少量添加した臭化カリウムKBrをペレットプレスにより錠剤を成形して赤外分光分析装置の試料にします。