金属用接着剤

金属用接着剤とは

金属用接着剤とは、金属表面での接着が可能な接着剤のことです。

金属用の接着剤には、ステンレス、鉄、アルミニウムなどの金属間での接着に対応している接着剤の他、金属と非金属素材 (プラスチック、木材、陶器、炭素繊維など) に対応している接着剤などがあります。多くの製品は耐熱性、耐水性、耐衝撃性などに優れています。

金属用接着剤の使用用途

金属用接着剤は、家庭用・工業用・建築用を問わず、幅広い用途で使用されている接着剤です。接着可能な金属には、ステンレス、チタン、アルミニウム、鉄、亜鉛メッキ鋼、銅、真鍮など、多様な種類が含まれます。また、金属と接着可能な他の非金属素材としては、プラスチック、木材、ガラス、陶器、炭素繊維など、様々な種類が想定されています。

1. 家庭用

家庭用の金属用接着剤は、家具のDIY、キッチンや浴室など水回り用品の補修、デジタル機器のコード修復、車のボディやマフラーの補修、水道管の修理、フェンスの修繕などの用途で用いられます。メガネフレームや、ネックレスなどのアクセサリー類の修理も可能です。その他の用途では金属を用いた手芸・工作にも用いられ、アクセサリー類のハンドメイド、鉄道模型の接着・修理、ルアーなどの釣具の修理などが挙げられます。

2. 工業用

工業用では、金属用接着剤は機械的締結、溶接などを代替する溶接手法として用いられます。電子部品をはじめとする金属部品の接合や、ワイヤー熱電対などのヒーター類、センサー、その他建材や構造物などの接着が代表的な用途です。

金属用接着剤の原理

金属用接着剤も一般の接着剤と同様に、接着力と凝集力によって接着します。接着力とは異なる分子同士をくっつける力であり、凝集力とは同じ種類の分子を結びつけて維持する力です。接着剤は液状の物質として対象物表面に液状に付着し、硬化することで効果を発揮します。硬化は重合や硬化剤などとの化学反応、溶媒の蒸発などによって引き起こされます。

金属に用いることのできる接着剤はいくつか種類があり、種類によってそれぞれ接着のメカニズムが異なります。接着剤の接着力は、通常、物理的 (力学的) な接着・化学的接着・分散接着のいずれかによるものです。

1. エポキシ樹脂系接着剤

エポキシ樹脂系の接着剤は、金属に対して使用できる接着剤の一つです。1液タイプと2液タイプの2種類があります。一般的には2つの液を混ぜた化学反応で接着が進行する2液タイプが主流です。通常の接着剤に比べて、硬化するときの体積が減少しにくいという特徴があります。金属以外では木材、陶器やガラスなどに幅広く使用できるため、非金属との接着にも使用できます。耐久性や耐熱性、耐水性に特に優れた性質を持つ接着剤です。

2. 弾性接着剤

弾性接着剤とは、硬化後も柔らかさが保たれ、ゴム状の弾性を有する接着剤です。特に、接着する素材の材質が異なっている場合に適しています。ただし、金属同士の接着に用いることはできません。

異なる素材同士を接着する場合、熱膨張係数が異なることにより、時間の経過とともにひび割れ・ゆがみ・反りなどが生じたり、剥がれてしまったりする場合があります。熱膨張係数とは、温度上昇にともなって物体の長さや体積が膨張する割合を示す値です。弾性接着剤では、硬化したあとの接着剤が弾力のあるゴム状になるため、割れ、ゆがみや剥がれが生じにくくなります。また、接着層が衝撃を吸収するので、衝撃や振動にも比較的強い場合が多いです。

金属用接着剤の種類

金属用接着剤は、家庭用、業務用に大きく分けることができます。製品によって熱伝導性・導電性・耐熱性・耐紫外線性などの特性を持っており、用途に合わせて使用することが必要です。また、金属用接着剤の中には、金属と非金属との接着は可能でも金属同士の接着には対応していない種類のものもあるため、注意が必要です。

1. 家庭用

家庭用では、金属向けの瞬間接着剤や、エポキシ樹脂系接着剤 、弾性接着剤などが用いられます。金属向けの瞬間接着剤とは、金属表面への接着強度が高い瞬間接着剤です。瞬間接着剤は化学反応によって硬化が進むため、乾くまでの時間を待たずに瞬時に接着することができます。主には、空気中や接着する物質表面の水分などとの反応が進行します。

また、各種金属用接着剤の中でも、乾くまでの時間や容量、耐衝撃性、耐水性、耐熱性、紫外線耐性などは製品によって異なります。用途に合わせて適したものを選択することが必要です。例えば、アクセサリー類の金具接着や各種小型部品の補修など、使用範囲が狭い場合には短時間で硬化する速乾性の接着剤が適しています。反対に、住宅や車、バイクなどの修繕などで使用範囲が広い場合は、硬化時間が長いものが作業しやすいと言えます。硬化までの時間の長いもののほうが、塗布後の修正が容易です。

接合部などの負荷や衝撃がかかる部分には耐衝撃タイプを使用することが適切であり、電子機器や車のエンジンの周囲などは耐熱性が必要とされます。台所・浴室など水回りへ使用する場合は耐水性の高い接着剤が必要です。アクセサリー製作などの手芸・工作類には、透明仕上げの接着剤を用いると接着の痕が目立ちにくく、美観を保つことができます。また、接着剤は長期に渡って保管していると容器の中で固着してしまう場合があるため、使用量や使用頻度が少ない場合は、小容量の商品を選択することが適切です。

2. 業務用

業務用の金属用接着剤は、溶接、ネジなどの代替手段として用いられます。具体的には、エポキシ樹脂系接着剤、アクリル系樹脂接着剤、ホットメルト接着剤、光硬化型接着剤などの種類が挙げられます。硬化時間や吐出性、作業性、耐衝撃性、耐水性、耐熱性、導電性などは製品によって異なるため、用途に合わせて選択することが必要です。

参考文献
https://www.aronalpha.com/support/19.html