監修:ニュートラル株式会社
データ分析ツールとは
データ分析ツールとは、大量のデータの収集、整理、分析を行い、結果を可視化するソフトウェアツールです。
データ分析ツールは、ビジネスや学術研究など、幅広い分野で活用されています。データを視覚的にわかりやすくすることができるため、データの傾向を把握することが容易となるツールです。データの分析結果を元に、方針の立案や課題の抽出、改善方法の発見・決定など、業務上の決定・判断を行うことに用いられます。
また、データ分析ツールの一種に分類されるものとして、BIツール (Business Intelligence tools) があります。BIツールは、業務プロセスに合わせたデータの収集、分析、可視化に特化しており、ビジネスにおける意思決定・判断を目的とするツールです。
データ分析ツールの使用用途
データ分析ツールは、大量かつ多様な形式のデータに対して分析を行うことができるツールであり、様々な業種の業務において用いられています。事業一般では、大量のデータを分析して必要な情報を得ることで、経営に役立てることが可能です。具体的な利用例としては下記のようなものが挙げられます。
- 経営分析・財務分析
- 営業分析・売上分析
- 人事データ分析
- 予算管理システム
- データ集計
- 帳票自動作成
また、事業活動以外では、地方創生において産業振興や観光振興などの方針決定などにも活用されています。その他、具体的な各業種における使用用途は下記の通りです。
1. 製造業
製造業では、工場における様々なデータを分析し、業務の効率化や生産性向上に役立てることが可能です。具体例は下記のようなものがあります。
- 工場内のセンサーやカメラなどからリアルタイムでデータを収集し、生産ラインの稼働状況の把握と生産管理を行う
- 設備の点検データから故障やトラブルを予測し、設備保全に活かす
- 製品の検品データの分析から、ミスが多く発生している工程を割り出す
2. 小売業
小売業においては、売上記録をはじめとする様々な属性のデータが蓄積します。これら大量のデータの分析を行うことで、効果的なマーケティング展開を行う事が可能となります。小売業で活用されるデータの例は下記の通りです。
- 商品の売上データ
- 顧客の年齢や性別などの属性 (会員情報などから得ることが可能)
- 店舗の立地や商圏
- 天候、気温
- ECサイト内のデータ: 顧客の動き、バナーのクリック率、カゴ落ち、決済手段
- SNS上での自社に関するつぶやきや投稿
3. 農業
農業においても、IoT によるデータ収集が盛んになりつつあり、データ分析ツールの有効活用が可能です。 具体的な用途例としては、センサーなどから気候や土壌データを収集して適切な栽培計画を立てたり、農業用機器の稼働状況から適切な点検タイミングを決定したりすることなどがあります。
4. その他
上記以外でもデータ分析ツールは、多くの分野で有効に活用されているツールです。具体例として下記のような用途があります。
- 医療、福祉分野: 患者に関する医療情報 (CTやレントゲンなどの画像データ、投薬情報などの診療データ)
- 教育分野: 児童・生徒の学習履歴や試験結果などのデータ
- 飲食サービス業: 顧客の属性や来店日時、立地、天候、メニューごとの売上、食材のロスなど
- 金融業: 顧客の属性データや取引履歴など
- データ分析ツールの原理
データ分析ツールの原理
1. 分析の概略
データ分析ツールでは、必要なデータを収集して整理し、目的に沿った情報を抽出します。データ分析ツールの分析の流れは下記の通りです。
- データの処理:
膨大なデータを扱いやすい形に処理・変換する。
- データの抽出:
扱いやすい形に処理されたデータから必要な部分だけを抽出する。
- データのレポート:
複雑なデータをグラフやチャート、表などを用いて可視化し、素早く正確なレポートを作成する。
データの処理によって、膨大なデータが取り扱いやすくなります。また、抽出によってデータの整合性や品質が向上し、正確でわかりやすいレポートによってデータの理解が深まります。これらの効果により、精度の高い決定・判断や、考察・報告を行うことが可能です。
2. 分析手法
データ分析ツールでは様々な分析手法をシチュエーションごとに使い分けています。使用されている主な分析手法は下記の通りです。
- クロス集計:
収集したデータを性年代別などの属性や、アンケートなどの設問などに分けて傾向を把握する手法です。属性ごとの傾向を把握しやすい手法です。
- クラスター分析:
収集したデータの中から類似性の高いものをグループに分けて分析する手法です。特に、顧客の嗜好を把握する際などに有効です。
- バスケット分析:
顧客が買い物かごへ一緒に入れる商品を分析し、商品やサービスの相関関係を分析する手法です。アソシエーション分析の一種でもあります。
- 回帰分析:
結果となる数値と要因になる数値の関係を調べて、その関係性を明らかにする手法です。
- 決定木分析:
予測の繰り返しにより複数の結果を導き出す手法です。目的変数に対して何度も説明変数のクロス集計を繰り返し、関連性を見出します。
- 主成分分析:
複数のデータを少数のデータ (主成分) に要約する手法です。多数のデータを主成分に要約することで、データを理解しやすく処理します。
これら以外にも、商品や売上、顧客などをランク分けするABC分析や、明瞭なデータと不明瞭なデータから曖昧なデータを予測するグレイモデル、複数の変数データに共通している因子、原因を探る因子分析などがあり、様々な手法が複合的に用いられます。
データ分析ツールの選び方
データ分析ツールを選ぶ際の主な着眼点は、
の4つに分類されます。
1. 導入目的
データ分析ツールを有効に活用するためには、導入する目的が明確である必要があります。データ分析ツールはあくまでもビジネス上の目的を達成するための手段です。
ツール選択の段階で、データ分析をする必要があるのは何故か、データを分析するビジネス上の目的は何であるかをはっきりさせておくことで、ツール導入自体が目的化するのを防ぐことができます。また、これによりツールに求める機能がはっきりとするため、ツール選定のプロセスもスムーズになり、導入後の目的達成もスムーズになると考えられます。
2. 機能の内容
ツールの機能を吟味する際は、第一に自社の業種・業務内容等に合っているかどうか、自社の目的を達成するのに必要な機能があるかどうかを検討することが必要です。
また、自社内の既存データやツールとの連携が可能であるかどうかも事前に確認する必要があります。企業内におけるデータ形式には、独自のデータベースやPDF、エクセルファイル (.xls, .xlsx) など色々な形式があります。データ分析ツールを用いて既存のデータを収集し、分析を行うためには既存システムとの互換性を満たすことが必要です。
3. 操作性
データ分析ツール導入に際しては、現場担当者にとっての使いやすさを検討することも必要です。直感的に操作できるデータ分析ツールもありますが、一方でプログラミングのスキルを前提としていたり専門知識を要するツールも存在しています。担当者 (利用者) のスキルに合わせて、担当者が簡単に操作できる製品を選ぶことが重要です。
トライアルが可能なツールもあるため、トライアルを試してみるのもおすすめです。
4. コスト・サポート
データ分析ツールには、無償ツールと有償ツールとがあります、有償ソフトでは、製品によってコストのかかり方が異なります。
例えば、ある製品では初期費用が無料である一方でランニングコストが高く、また別の製品では逆に初期費用は高いもののランニングコストが安くなっています。投資対効果について十分に吟味し、継続的にコストをかけられる予算内での製品を選ぶ事が必要です。
また、開発元のサポート体制については製品によって大きく異なるため、充実度を確認することが大切です。海外の企業で開発されたツールの場合、日本語でのサポートが提供されない場合があります。また、特に無償ツールでは、不明点や不具合が発生した際のサポート窓口自体が存在しない場合があります。
参考文献
https://business.ntt-east.co.jp/bizdrive/column/bizdrive_dataanalysis_tools.html
https://yellowfin.co.jp/blog/9-jpblog2-excel-vs-bi-tool#i-4
https://www.ntt.com/business/sdpf/knowledge/archive_63.html https://www.tryeting.jp/column/2391/
本記事はデータ分析ツールを製造・販売するニュートラル株式会社様に監修を頂きました。
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