シリコーンスプレー

シリコーンスプレーとは

シリコーンスプレーとは、シリコンオイルを主成分としたスプレーのことです。

吹き付けた対象物に合成樹脂であるシリコンをコーティングすることができます。さまざまなメーカーから用途別の製品が販売されていますが、大きく分けて無溶剤タイプと石油系溶剤タイプに分類されます。

無溶剤タイプは万能スプレーとも呼ばれ、有機溶剤を含まないことから木材、紙、プラスチックなどにも使用可能です。石油系溶剤タイプは有機溶剤を添加することで浸透性を高めており、狭い隙間などにも使用することができます。

しかし、素材によっては対象物を溶かしてしまったり、染み込んでしまったりすることもあるため、使用には注意が必要です。

シリコーンスプレーの使用用途

シリコーンスプレーの使用用途は、対象物をシリコンでコーティングすることにより、潤滑性や撥水性、防水性、光沢効果を与えることです。最も一般的に使用される用途として、潤滑性の付与が挙げられ、引き戸や引き出し、カーテンレールなどに使用されます。

そのほか、傘などの雨具に用いて撥水性を付与させたり、自動車やバイクなどに用いることで、ワックスほどの効果はないものの手軽に撥水性と光沢性を付与したりすることも可能です。無溶剤タイプのシリコーンスプレーはほぼ全ての素材に対して使用できますが、床や地面に使用すると光沢の付与と同時に、非常に滑りやすくなります。

また、一部のコーティングを剥離させる可能性もあることから、事前に適用素材の確認や目立たない箇所で試し塗りしておくと安心です。

シリコーンスプレーの特徴

長所

シリコーンスプレーは、主に潤滑油の効果や錆止めの効果を発揮してくれますが、それだけではありません。防水・撥水・艶出しなどの用途で使用することも可能です。

また、種類によってはゴム・プラスチック・木材・紙など素材を問わず使用できるものもあり、さまざまな場面で活用することができます。

短所

シリコーンスプレーは、汎用性が高い反面、使用してはいけない場所もあります。その一例として、以下の3箇所が挙げられます。

  • 電装品
    シリコーンスプレーのコーティングにより、電気信号が伝わりにくくなってしまう可能性があります。
  • ブレーキ関連の部品
    摩擦が少なくなり事故につながるおそれがあります。
  • フローリングや畳
    滑って転倒してしまう危険性があります。

シリコーンスプレーの種類

1. 石油系溶剤タイプ

シリコーンオイルの中に石油系溶剤を添加しているタイプです。浸透率が高く、潤滑性に優れているので、自動車やバイクなどの機械のメンテナンスなどに適しています。

しかし、ゴムやプラスチックの部分には使用できません。劣化や溶けてしまう恐れがあります。

2. 無溶剤タイプ

無溶剤タイプのシリコーンスプレーは、石油系溶剤を添加していないため染み込みにくく、素材を傷めにくいのが特徴です。木材・プラスチック・ゴム・紙など素材を選ばずに使用できます。

滑りを良くする以外にも艶出しや撥水・防水などにも使用でき、幅広く活用できます。

シリコーンスプレーの選び方

シリコーンスプレーは、使用する対象や用途によって選ぶことが大切です。自動車やバイクなどの機械や金属製品には、石油系溶剤タイプがおすすめです。浸透率が高いため、細かい部分まで浸透しやすく、細かい部品の多い機械のメンテナンス等に適しています。

パーツ同士の滑りをよくしたり、錆を落として見た目を綺麗にしたりできます。引き出しやサッシなどの滑りを改善したい時は、素材を傷めにくい無溶剤タイプがおすすめです。

また、傘や靴などに吹き付ければ撥水・防水加工を施すことができます。幅広い素材に使用できる無溶剤タイプのシリコーンスプレーですが、商品によって使える素材が違ってくる場合もあるので、購入する前に確認することが大切です。

シリコーンスプレーの使い方

シリコーンスプレーは、対象物に直接吹きかけて使用するのが基本です。しかし、近くに使用してはいけない素材があると、意図せず吹き付けてしまうことが考えられます。この場合は、布などに吹き付けてから塗り拡げたり、事前に養生したりする必要があります。

使用する際には、屋外や換気のできる場所が望ましいです。大量に吸引すると、人体に影響が起きる可能性が高くなります。また、シリコーンスプレーの成分は可燃性があるので、火の気がある場所では使用しないでください。

剣スコップ

剣スコップとは

剣スコップ

剣スコップとは、先細りの剣のような形状をした、土木・農作業用の道具のことです。

「剣スコ」や「剣型ショベル」とも呼ばれます。剣スコップの先端には角度が付いているため土の掘削がしやすく、樹木の根切りなどにも適しています。

また、類似の角スコップは先端が平らなので、土をすくい上げたり混合したりする作業に向いていますが、剣スコップの先端は掘る作業に適した形状をしているのが特徴です。

剣スコップの使用用途

剣スコップは、広範な使用用途を持っています。具体的には、家庭菜園や農地での野菜の掘り起こし、土の移動、植樹などに使用されます。

鋭い剣先を活かして、土木現場での穴掘り、樹木の根の切断、固く締まった雪を割るなど、重労働を伴う作業にも適しています。また、剣スコップの背中を使うことで、叩く、固めるといった作業も可能です。

さらに、キャンプやアウトドアの際、火を囲むための掘り溝の作成や地面の整備などにも役立ちます。

剣スコップの特徴

剣スコップの形状と優れた耐久性から、多くの長所を持つものの、同時にいくつかの短所も存在します。

長所

1. 効率的な掘削能力
剣スコップは広い剣状のヘッドを持つため、一度の掘削で広範囲の土を効率的に移動できる長所があります。大きな穴を掘る場合にも適した道具です。

2. 耐久性と頑丈さ
剣スコップの多くはスチールやステンレス素材で作られており、錆びにくい長所を持ちます。また、丈夫な構造のため、長期間かつ頻繁に使用しても、刃の劣化や破損の心配が少ない点も長所の1つです。

3. 多機能性
剣スコップは、単なる掘削道具としてだけでなく、土を寄せたり固めたりなど複数の作業をこなせる点も長所です。

短所

1. 重さと取り回しの難しさ
剣スコップは一般的に1.5kg前後の重量があり、長時間の作業や細かい作業には向いていません。重さにより疲労が蓄積しやすくなることがあります。

2. 収納の問題
剣スコップの全長は80~100cmと長いため、収納スペースを要する場合があります。納屋がない住宅や、マンションなどでは収納に困る可能性が生じます。

3. 細かい作業の制約
剣スコップの広いヘッドは、広範囲の土を掘削する際には有効ですが、細かい作業や狭いスペースでの作業には向いていません。精密さや細かな制御が必要な場合は、より適した道具を選択する必要があります。

剣スコップの種類

1. 一般的な剣スコップ

一般的な剣スコップは、ヘッドの幅や長さ、ハンドルの長さ、色などのバリエーションが展開されています。

2. 折りたたみ式の剣スコップ

折りたたみ式の剣スコップはコンパクトに収納できるため、持ち運びや収納場所に困りません。車に積載しておけば、アウトドアやキャンプ、スタック時などに重宝します。

3. 穴あき型の剣スコップ

穴あき型の剣スコップは、ヘッド面に複数の穴が空いています。一般的な剣スコップと比較して、水を含んだ土をすくいやすく、土離れがよいのが特徴です。

4. 多機能型の剣スコップ

剣スコップのヘッド部分に、根切り用のノコギリやハンマー、鋤 (すき) 用の刃が一体となり、折りたたみまで可能な多機能型の剣スコップもあります。

剣スコップの選び方

使用用途に適した形状やサイズの剣スコップを選ぶことが大切です。また、耐久性の高いステンレス素材や頑丈なハンドルを持つ製品を選ぶと、長期間に渡り使用できます。

さらに、価格帯も考慮して選ぶことをおすすめします。剣スコップの価格は数千円から数万円までと幅広く、廉価なものから高級品まで様々です。レビューや評価も参考にしつつ、予算内で十分な品質を備えるものを選ぶと良いです。

剣スコップの使い方

剣スコップの使い方は比較的簡単です。まず、グリップを握り、剣スコップの刃を土に刺し、手でしっかりと持ちます。その後、ヘッドの上部に足を掛けて土中に押し込み、手でグリップを手前に倒して土を掘り起こします。

この作業を繰り返すことで、効率的に土を掘削できます。ただし、土中の石にぶつかると刃が曲がる可能性があるため、事前に確認してください。

剣スコップのその他情報

剣スコップの使用上の注意点

剣スコップは先端が尖っているため、取り扱いには十分な注意を要します。周囲に人がいないかを確認し、手袋を装着して使用するのが望ましいです。

また、使用前には刃の状態を確認し、欠けや傷があれば修理や交換をしてください。使用後はきちんと清掃し、錆びが発生しないように保管することも大切です。

ミラマット

ミラマットとは

ミラマット

ミラマットとは、高発泡のポリエチレンシートです。

緩衝材や包装材として使用される場合が多いですが、農業用途ではハウスカーテンや水稲育苗用保温材として利用されます。

ミラマットの使用用途

一般的にミラマットは、割れやすい陶器などの緩衝材や、冷凍食品などをいれる保冷バッグとして使用されます。

農業用資材としては、水稲の育苗を行う際に使用される場合が多いです。また、ミラマットの特性でもある保温性等から、ハウス全体にカーテンとして設置することもあります。

1. 果物の緩衝材

ミラマットは、気泡の集合体であり、衝撃を吸収できます。そのため、果物を輸送する際に、よく利用されます。

果物は傷がついてしまうと価値が下がるため、衝撃を吸収してくれるミラマットを、果物の間に挟むことで、価値の低下を防止することができます。

2. ハウス・露地栽培の保温材

断熱性が高く、防湿・防水性に優れているミラマットは、栽培に使用するハウスや、露地に設置することで、植物生長の阻害を抑制します。

断熱性が高いことで、環境温度の影響を小さくすることができる上、防湿・防水性もあるため、必要な量だけ、土壌に水を与えることができます。

3. 養鶏用保温材

保温性が高いミラマットは、畜産業界にも利用されています。特に、養鶏において、育雛の段階では、温度の管理が重要になります。

雛は体温調節が難しく、成育環境の温度によっては、最悪の場合、死に至ります。そこで、温度を一定に管理できる資材として、ミラマットが利用されることが多いです。

4. 育苗用保温材

育苗においても、温度の管理が重要です。根が広がっている途中では、温度の影響を大きく受けるため、温度変化を小さく抑えるためにミラマットが利用されます。

5. 冷凍バッグ

魚や肉を冷凍して、輸送するときにいれる冷凍バッグとしても利用されます。保温性が高い上、緩衝材としての特性を持っているため、冷凍した食品などを入れるために利用されることもあります。

ミラマットの特徴

長所

ミラマットの長所として、保温性が挙げられます。育苗や育雛をする上で、温度の変化を小さく抑えることが必要ですが、保温性や断熱性を持つミラマットは最適な農業資材になります。

また、高発泡のポリウレタンシートであるミラマットは、緩衝材としても利用可能です。輸送する際に、箱の隙間をミラマットで埋めることで、物が壊れることを防止できます。

果物を輸送する際にも、傷がつくことを防止できるため、販売時の価値低下を避けられます。

短所

ミラマットの短所として、コストがかかることが挙げられます。多くの特性を持ち、さまざまな業界で重宝されるミラマットは、やや高いです。

性能が高い分、コストも高くなるため、導入する際は、得られるメリットとコストを比較することが必要になります。

ミラマットの種類

ミラマットは、JSPが開発した高発泡ポリエチレンシートであり、1種類しかありませんが、製品の特性はさまざまです。

ミラマットの他には、低発泡ポリエチレンシートのミラシートや持続性帯電防止高発泡ポリエチレンシートであるミラマットエースなどもあります。

ミラマットの選び方

ミラマットには、さまざまな製品があります。使用用途に応じて必要な厚さや幅、巻の長さを考慮したうえで購入することが大切です。

1. 厚さ

ミラマットには、0.5~10mmまでの厚さがあります。厚さが異なると、熱伝導率や耐久性が異なってくるため、必要な物性を満たせるように選ぶことが大切です。

例えば、熱伝導率は、保温性に直結することから、保温性を重視したい方は、熱伝導率の高い、厚さが大きい製品をおすすめします。

2. 幅・巻の長さ

幅や巻の長さは、必要な長さを満たせる製品でなければなりません。水稲の育苗に使用する際は、そこまでの大きさは必要ありませんが、カーテンとしてハウス全体に設置する場合は、広い範囲が必要になります。

唐鍬

唐鍬とは

唐鍬

唐鍬 (とうぐわ) とは、刃と柄から構成されている鍬です。

平鍬と比べると刃が頑丈で、一度に多くの土を掘り返せます。

唐鍬の使用用途

唐鍬は丈夫な刃であることから、多くの土や根を掘り起こすために使用されることが多いです。例えば、地中深くに埋まっているタケノコを掘り起こす際や、根を掘り起こす際に使用されます。

唐鍬の特徴

長所

唐鍬の長所として、刃先が頑丈な素材でできているため、固い地面にも差し込めることが挙げられます。また、さまざまな唐鍬があるので、使用用途に応じ適切な製品を選ぶことができます。

短所

唐鍬の短所として、通常の農業資材よりもコストが高いことが挙げられます。刃の材質は頑丈な素材になっていて、高い製品で10,000円を超えることも多いです。さまざまな価格の幅があるため、コストパフォーマンスを考慮したうえで製品を選ぶと良いです。

唐鍬の種類

唐鍬には、刃の形状であるかや、取り外し式の刃であるかなど、さまざまな種類があります。これから紹介していきます。

1. 刃の形状による分類

唐鍬の使用用途によって、刃の形状は異なります。例えば、タケノコ掘りなどに使用する場合は、タケノコを傷つけないようにするために、細い形状の刃が付けられています。一方で、荒地を掘り起こす唐鍬は、なるべく多くの土を掘り起こすことが必要になるため、幅の広い刃が付けられています。

タケノコ掘りと荒地を耕すこと、両方に使用することができる唐鍬も販売されており、タケノコ掘り専門の唐鍬と、土起こし専門の唐鍬の、間くらいの幅がある刃を持ちます。

2. タイプによる分類

唐鍬は、基本的に柄と刃がずっとつながったままになっていますが、刃の取り外しができるタイプもあります。取り外しができると、保管や掃除がしやすいです。

一方で、取り外しが可能だと、使用する際に刃が外れてしまう危険性もあります。そのため、正しい方法で扱うことが大切です。

唐鍬の選び方

唐鍬を選ぶ際は、使用用途やコストを考慮することが大切です。

1. 使用用途

唐鍬は一般的に、タケノコ掘りや、土起こしに使用されることが多いです。タケノコ掘りの唐鍬は、刃の形状が細くなっていますが、土起こしに使用される唐鍬は、刃の形状が太めになっています。

それぞれの作業で必要な刃の形状をしているため、用途に応じて選ぶことをおすすめします。

2. コスト

唐鍬の値段の幅は広く、価格低めの製品で2,000円台から、価格高めの製品で10,000円台の製品までさまざまです。タケノコ掘りや土起こしなど、用途によっては、大きな力が加わる製品のため、頑丈なものを見定めて購入することがポイントです。安く手に入っても、すぐ壊れてしまっては意味がありません。

唐鍬の使い方

唐鍬の使い方として付いている刃のところで、土を掘り起こすことで、畑を耕したり、タケノコを掘ったりすることができます。今回はタケノコ掘りを例に、唐鍬の使用手順を紹介します。

1. 使用前のチェック

唐鍬を使用する前には、唐鍬の柄や刃に、欠けやひびがないかを確認する必要があります。また、柄のゆるみがあった場合には、唐鍬の頭の部分を下にして、地面に軽く数回、叩くことで緩みを直します。

2. タケノコを掘る準備

タケノコを掘る際は、まず、持ちやすい位置で、唐鍬の柄を持ちます。次に、タケノコの周りの土を少しずつ削り、タケノコの根が見えるまで、刃で土を掘っていきます。

3. タケノコを収穫

タケノコの根元の赤い粒が見えるまで土を掘ったら、タケノコの根元に、唐鍬の刃先を差し込みます。差し込んで根を切ると、ポロッとタケノコが収穫できます。

4. 唐鍬の洗浄

使用後は、唐鍬を洗浄します。刃を傷つけないように、柔らかいスポンジを使って、刃先に向かって、水で洗い流します。洗浄の時に、薬剤や洗剤を使用して、刃先に成分が残ってしまうと、サビの原因にもなるため、注意が必要です。

鋼管パイプ

鋼管パイプとは

鋼管パイプ

鋼管パイプとは、農業用ビニールハウスの支柱などに使用される鋼管のことです。

農芸用鋼管とも呼ばれ、天井部分はアーチ形のパイプが多く使われます。農業用の鋼管はJIS規格があり、外径が19.1mm、22.2mm、及び25.4mmのパイプが多く使われます。積雪地や果樹栽培では、さらに大径のパイプが使用されます。

鋼管パイプは湿度が高く風通しが悪い環境で使用するため、耐食性に優れた表面処理が行われています。内外面に溶融亜鉛めっきや溶融アルミニウム亜鉛合金めっきなどが施されます。ガルバリウム鋼管を使う場合も多いです。

鋼管パイプの使用用途

鋼管パイプは、農業・農芸用ハウスの支柱などに多く使われます。また、野菜や果樹、花きの支柱にも有用です。

この他、植栽棚、道路関連ではガードパイプ、住宅関連では住宅構造材、手すり、土木関連ではトンネル内ハンドレール、工場関連ではパレット、自動車部品など用途は多岐にわたります。農業用の鋼管に替え、単管パイプを使用することもあります。

農業用は外面の亜鉛付着量が約200g/m2に対し、単管パイプは約120g/m2程度であるため、耐食性は単管パイプが不利になります。

鋼管パイプの特徴

農業用で使用するものをハウスパイプや園芸用鋼管、農業用パイプと呼びます。これらにはJIS規格で定められたサイズがあり、19.1mm、22.2mm、25.4mmの3種類が最も多く使用されています。

仮設資材や足場として使われるものに、単管パイプと呼ばれるものがあります。こちらは直径φ48.6、厚み2.4mmのサイズが主流です。足場などに使用されることが多いですが、農業でも仮設の小屋などを建設する際に使用されています。

長所

強度が強いため、丈夫なビニールハウスを作る事ができます。雪国では太いパイプを使用することによって、耐雪型のビニールハウスを建てている農家も多いです。

ハウスパイプや単管パイプは個人でも扱いやすいため、業者に委託しなくてもビニールハウスや小屋を建てることができます。

短所

重量が重たいため、一度に多くの鋼管パイプを持ち運ぶことができません。サイズが長い状態で使用することが多いため、持ち運びなどの作業をする際には、周りに十分注意する必要があります。

注意を怠ると、大きな怪我につながる可能性もあります。特に鋼管パイプの落下による事故は、大事故につながりやすいので特に注意しなければなりません。

鋼管パイプの種類

農業用の鋼管パイプには、直管のものとアーチパイプと呼ばれる曲げ加工をされているものがあります。ビニールハウスを建てる際は、アーチパイプを2本ずつ組み合わせてハウスの形を作っていきます。

一定の間隔でアーチパイプを組み合わせていき、それを直管の鋼管パイプでつなぎ補強していきます。農業で使用する鋼管パイプは直径でサイズを別けており、以下の3種類が一般的です。

  • 19.1mm
  • 22.2mm
  • 25.4mm

鋼管パイプにビニールハウスシートを固定する際に使用するパッカーには19、22、25という数字が記入されております。これらはそれぞれ鋼管パイプのサイズである19.1mm、22.2mm、25.4mmに対応しているという意味です。

仮設資材や足場として使用されている単管パイプは、直径φ48.6が一般的でありますが、厚みは2.4mmのものに加え、軽量タイプである厚み1.8mmのものがあります。軽量タイプは厚み2.4mmのパイプに比べ24%軽く、作業しやすですが、その分強度は落ちます。

鋼管パイプの選び方

直径が小さいものほど軽くて作業がしやすく、コストも安いです。雪が降らない地域や冬場にビニールハウスを撤去する場合においては、コストの安い19.1mmを選ぶのがおすすめです。

雪が降る地域で一年中ビニールハウスを建てていたいという場合には、強度のある25.4mmが適しています。しかし、1日の降雪量が多い地域では、25.4mmよりもさらに太い資材を使用する必要があります。

また、台風による被害の多い地域でも、直径の大きいものを使用するのが望ましいです。

鋼管パイプの使い方

農業でビニールハウスを建てる際は、直管の鋼管パイプを繋げる必要があります。この直管のパイプ同士を繋げる部品をジョイントと呼びます。

鋼管パイプの中には、スウェージ加工されている物があります。この加工がされている場合は、ジョイントを使わずに直管の鋼管パイプ同士を繋げることが可能です。

アーチパイプと直管のパイプとを繋げる際には、フックバンドや角バンドと呼ばれる資材を使用します。仮設資材や足場として使用されている単管パイプは、直管ジョイントやクランプと呼ばれる資材を使用して、パイプ同士をつなぎ合わせて小屋などを作ります。

育苗器

育苗器とは

育苗器とは、種子をまいた育苗箱を中に積み、人工的に加温して苗を発芽させる装置です。

育苗器は主に水稲の苗を育てるのに使われ、棚式で200箱程度の育苗箱を収容するものが一般的です。水稲育苗では育苗器で2日間、発芽の適温30〜32℃を保ちます。

熱源としては電気ヒーターが一般的ですが、スチームを使用するものもあります。スチームタイプは育苗器の温度ムラが少なく、苗に優しいというメリットがあります。どちらのタイプの育苗器も、太陽の熱の影響を受けないように日陰に置きます。 

育苗器の使用用途

育苗器は、水稲栽培において田植えまでに、ある程度育成の進んだ苗を育てる育苗作業で使われます。水稲栽培が始まる春は気候の変化が激しく、自然環境下では温度・湿度の管理が非常に難しいです。

そのため、人工的な環境で健康な苗を大量に育てることができる育苗器は、特に寒冷地の水稲栽培において必需品と言えます。水田に苗を植え付けるときは田植機を使うのが一般的なので、温度管理によって発芽のタイミングを合わせ、苗丈を揃えることも、育苗器の重要な役割の一つです。

育苗器は主に水稲栽培に使われていますが、家庭菜園用の小さいサイズの育苗器もあります。

育苗器の特徴

長所

1. 発芽のムラが少ない
育苗器は全体を光を遮断する保温シートで被覆されています。そのため、温度が一定に全体へいきわたり、発芽のムラが少なくなります。

2. 精度の高い温度管理が可能
育苗器の発芽のための加温はサーモスタットを使用しているため、精度の高い温度管理が可能です。なお、サーモスタットとは、加温・冷却を制御することで対象物の温度を一定に保つための装置のことです。

3. 作業の効率化
育苗器は全体を保温シートで被覆されているため、天気や気温に左右されにくいです。発芽までの日数がおおよそ一定で、発芽後の作業の予定が立てやすく、効率的に作業できます。

短所

1. 設置場所が必要
育苗器は精度の高い温度管理が可能ですが、太陽の熱による温度変化の影響を受けてしまうので、日陰に置かなければなりません。また、育苗器のサイズが大きくなればなるほどサイズに見合う設置場所が必要になります。

2. 育苗器から出す手間がかかる
育苗器で発芽させた場合、光があまり当たっていませんので、苗は白っぽい状態です。苗を緑化~硬化させるために育苗器から出して並べる必要があります。

育苗器の種類

1. 熱源による分類

熱源は主に電熱ヒーターです。他には蒸気で加温・加湿する方式や、両者の組み合わせ方式などがあります。

2. 電源による分類

単相100V・単相100V/200V・三相200Vがあります。

3. 育苗箱の収容方法による分類

積み重ね式
育苗器の中に手で積み重ねて育苗箱を入れていく方式です。オプションでキャスター付きのリフタをつけると、積み重ねた育苗箱の出し入れがスムーズになります。

棚式
育苗器の中にある棚に育苗箱を入れていく方式です。積み重ね式と比べ、育苗箱同士に空間ができて、ムラなく全体に温度がいきわたります。その反面、同じサイズの積み重ね式の育苗器に比べ、育苗箱の収容数が少なくなります。

フォークリフト仕様
育苗箱をパレットの上に積み重ね、フォークリフトで育苗器の中に入れます。一度で多くの育苗箱を出し入れできるため、効率的な作業が可能です。育苗箱の収容数が約500枚~1,000枚と大きいサイズの育苗器になります。

育苗器の選び方

基本的に育苗箱の枚数で育苗器のサイズが変わります。少ないもので60枚、多いものだと1,000枚程度入ります。サイズが大きくなると、奥行きと高さが若干変わり、幅が大きく変わります。

フォークリフト仕様の育苗器であれば、育苗箱をパレットの上に積み重ねて、一度に多くの育苗箱の出し入れが可能になります。収容数も多いためフォークリフトを所有している方におすすめです。

育苗器の使い方

1. 育苗器の設営

育苗器の骨組みを組み立てて行きます。連結部分は付属のボルトで締めるものとボルトを使わずに組み立てられる、ボルトレスタイプがあります。

2. 育苗箱を入れる

播種した育苗箱を育苗器に入れます。積み重ね式の場合、一番上の苗が伸びやすい傾向があるので、空の育苗箱などを上に乗せるのがおすすめです。

3. 保温シートをかけてヒーターの電源を入れる

保温シートはファスナーをしっかりと締め、隙間がないようにします。ヒーターの温度は30~32度に設定します。

育苗器のその他情報

1. 育苗器の取り扱いにおける注意点

育苗器使用時の注意点として、電源部分やサーモスタット、ヒーターに水をかけないよう注意するとともに、アースの取り付けも必要です。また、タコ足配線やテーブルタップへの接続はNGです。育苗器に育苗箱を搬入する前に、温度テストを行っておくことをおすすめします。

また、フォークリフト利用時は、ゆっくり移動しないと転倒事故を起こす恐れあがあります。

2. 栽培対象の適温

ネギやキュウリといった野菜類などに使用する際は、栽培対象の適温を把握しておく必要があります。水稲苗を一例として挙げると、出芽時の適温は30℃です。

育苗器で2日間ほど適温を維持しながら保温し、一斉に出芽させます。30℃を大きく超えると病害発生のリスクが高まるので温度管理は大切です。また、中古の育苗器を入手した際は、清掃・消毒などを実施して病気の発生を防ぎましょう。

サニーホース

サニーホースとは

サニーホースとは、化学繊維と軟質塩化ビニールを原料とした多目的ホースのことです。

もともと、サニーカンパニー社が製造販売を始めましたが、その他のメーカーのものでも、同様の製品の通称としてサニーホースと呼ばれます。正式名称は、樹脂製送排水ホースです。

サニーホースの使用用途

サニーホースは主に低圧用ホースとして、高低差の少ない場所での排水作業や、農業用の散水などに用いられます。耐薬品性があるため、液肥・農薬の散布などにも適していることが特徴です。

また、サニーホースは軽く、耐久性にも優れており、農業用や土木用、園芸用、工業設備用など様々な場面で使用されています。さらに、自治体等では軽量・長尺という特長を生かし、水害など出水時の緊急排水システムにも利用されています。

サニーホースの特徴

長所

1. 短時間で大量の水を運搬できる
一般的なホースと比較して、サニーホースは内径が大きい特徴があります。そのため、短時間に大量の水を運搬することが可能です。排水や取水に時間がかかると、作業時間が長引く原因になりますが、サニーホースを用いれば効率よく水を運搬することができます。

2. 小さく折りたためば収納に便利
サニーホースは軽量かつ柔軟で取り扱いやすいのが特徴です。一般的なホースであれば、使用後に巻き取りの手間が必要ですが、サニーホースの場合は巻き取りの手間がありません。使用後は小さく折りたたんで、好きな場所でコンパクトに収納することができます。

3. 長さ調整が簡単
サニーホースは切断可能なものがほとんどです。購入する際は目的に合った長さのものを購入しますが、思いのほか短かったり長かったりすることもあります。そのような場合にもサニーホースであれば、ハサミで簡単に切断し長さを調節することができます。

4. 丈夫で有機溶剤にも使用可能
サニーホースは分厚くて強度があるため、有機溶剤にも問題なく使えます。有機溶剤とは、一般に他の物質を溶かす性質を持つ有機化合物のことです。一般的なホースでは利用できないことが多い有機溶剤ですが、サニーホースであれば利用できます。

短所

1. 高低差やカーブがある場所には不向き
サニーホースは、平地で直線的に水を運ぶ場合であれば問題なく使用できます。しかしながら、高低差やカーブがあるような場所では、ホースに折り目ができて水が流れにくくなってしまいます。

直線的な使い方になるよう工夫することはもちろん、やむを得ない場合には他のホースの使用を検討することが必要です。

2. 長すぎると重く持ち運びに不便
必要以上に長いサニーホースを購入してしまうと、作業中に折れ曲がって水が出なくなるだけでなく、引っ張った際に地面と擦れて穴が開いてしまうこともあるため注意が必要です。

また、材質がやや硬いため、伸ばしたり巻いたりするのに苦労する場合がある点も欠点として挙げられます。

3. 大量の水が出る
サニーホース内径が太く、1度に運搬できる水の量が多いのが特徴です。 そのため少量の水を流したい場合にはおすすめできません。

サニーホースを購入する際には、流したい水の量とサニーホースが運搬する水の量にギャップがないか、あらかじめ確認してから検討することが大切です。

サニーホースの種類

サニーホースは、標準内径や長さによって様々な種類があります。標準内径が大きいほど一度にたくさんの水量を、長さが長いほどより遠くへ水を運ぶことができます。

また、サニーホースより耐圧が高いハイサニーホースであれば、排水や畑・ゴルフ場などの広い場所での散水にも非常に便利です。その他にも、両端に付いた金具によりポンプとワンタッチで接続可能なタイプのものも販売されています。

​サニーホースの選び方

サニーホースを選ぶ際には、標準内径と長さに注目します。標準内径に関しては、接続する機材に対応したものを選びます。また、長さに関しては、1m単位などで切り売りしている場合もあるので、目的に合った長さのものを選べば間違いありません。

必要以上に長いものだと、持ち運びの際に重いため負担が増大する場合があります。どのような用途で使うのか、事前によく検討しておくことが大切です。

サニーホースの使い方

1. 水を運ぶ

サニーホースは水を運搬する際に使用されます。農業においては大量の水を使用するため、サニーホースを使って大量の水を短時間で運べば作業の効率化に繋がります。

また、ポンプと組み合わせて使うことで、少ない労力で一度に大量の水を運搬することが可能です。

2. 液肥・農薬を散布する

サニーホースは液肥や農薬の散布にも使用可能です。具体的には、液肥や農薬を水に混ぜて散布することができます。サニーホースを用いることで、近くに水源がない場所でも遠くの水源を利用して液肥や農薬を散布することが可能なため、作業の効率化につながります。

ハンディラップ

ハンディラップとは

ハンディラップ

ハンディラップとは、梱包や結束したい対象物にフィルムを巻き付けるための道具です。

手で握る部分の回転軸の周囲にラップ層が巻かれており、容易に片手で巻き付けられるようになっています。ハンディラップの特性から呼び名が数多く存在し、「段ボールラップ」「ミニラップ」「ストレッチフィルム」「梱包ラップ」などが代表例です。

ハンディラップの使用用途

ハンディラップは、主に、段ボールの荷造り梱包や結束に使用されます。あくまでも対象物は物であり、食品用ラップとは目的が異なります。

そのほか、長期間保管したい本などに巻き付けてホコリや虫から守ったり、旅行カバンの荷物をまとめたり、通販商品が輸送中にガタつかないように固定したりする目的で使用することも多いです。

また、四角い形だけでなくどのような形の物にも簡単に巻き付けられるので、台所内の皿やフォークなどを結束して収納する使い方もあります。

ハンディラップの特徴

ハンディラップの大きさはスマホサイズで軽量のため、女性や高齢者でも簡単に扱えます。

長所

1. 操作性が簡単
ハンディラップのホルダーにはフィルムが巻き付けられており、操作が非常に簡単です。また、手で引っ張るだけで必要な長さを切り離すことができるため、スピーディーに梱包作業を行えます。

2. 耐久性が高い
ハンディラップに使用されるフィルムは、ポリエチレンなどのプラスチック製品でできており、防水・耐久性に優れています。また、しっかりと巻き付けることで、荷物の保護性も高くなります。

3. 省スペース
ハンディラップは、巻き付けられたフィルムがコンパクトに収まっているため、収納スペースをとりません。また、必要な分だけ切り離して使えるため、余分なフィルムの廃棄も減らせます。

4. 低コスト
ハンディラップのフィルムがなくなった際は、ホルダーにはめ込むタイプの替えが販売されており、低コストである点も長所です。

短所

1. サイズの制限
ハンディラップは、その名の通り幅のサイズが狭いので、対象物が大きいものを梱包するには不向きです。大きな荷物や梱包には、より大きなサイズのストレッチフィルムなどを使用する必要があります。

2. 密着性や破損の問題
一部のハンディラップには、フィルム同士の密着性が弱いものもあります。特に荷物が重く、運搬中に振動や衝撃を受ける場合は、しっかりと巻き付けられずに破損する可能性が高いです。また、巻き付けたフィルムに尖ったものがぶつかると、破れてしまいます。

重量があり破損しやすい物に使用する際は、安価な100均のハンディラップではなく、ストレッチ性が高く破れにくい製品を選んでください。2~3重に巻き付け、強靭さを作ることが大切です。

ハンディラップの種類

ハンディラップのフィルムの色は多くが無色透明ですが、製品によっては青や赤に着色されたものもあります。使い方の一例として、引っ越し時の段ボールに色違いのハンディラップを巻き付けることで、どの部屋に移動するのかが一目瞭然でわかります。

また、色が付いたハンディラップは視認性が高いため、倉庫や現場などの仕分け作業時にも便利です。品種別に色分けすることで、誤認防止や作業効率の向上にもつながります。

ハンディラップの選び方

ハンディラップ製品を選ぶ際は、ホルダー部分が回転するタイプかどうかをチェックすることをおすすめします。ホルダー部分が回転しないタイプだと、物や体を移動しながら巻き付ける必要がありあり、手首にも負担がかかりがちです。

一方、ホルダー部分が回転するタイプの場合は、移動することなく物に巻き付けられるので作業が容易になります。また、100均で販売されるハンディラップの中には、逆さまにするとフィルム部分が落下する製品もあるため、逆手で巻き付ける際は注意してください。

ネオプレーン

ネオプレーンとは

ネオプレーン

ネオプレーンとは、合成ゴムの一種であり、ドイツのデュポン社が開発した防水、断熱、保温等に優れた特質を持つ素材です。「ネオプレン」と呼ばれることもあります。

また、クッション性にも優れ、従来は、タイヤやウェットスーツに使用されておりましたが、近年では、素材の特徴からアウトドアやファッション業界で人気が出ており、様々な用途・アイテムで使われるようになっております。

一方、デメリットとしては、通気性をもたない、手洗いのみ可能といった特徴も備えます。

ネオプレーンの使用用途

ネオプレーンは、耐水・保温性、伸縮性、耐摩耗性といった特徴から、ウェットスーツでの利用が特に良く知られております。

近年では、農業などの作業用に、防寒グローブやソックス、胴付長靴といったものに利用されたり、釣り、バイク、キャンプ等のアウトドアユースにも用いられております。

また、ファッション業界では、バッグや衣服にも取り入れられている他、タブレット・パソコンケースやペットボトルケースなどの新しい分野でも使用されております。

点滴チューブ

点滴チューブとは

点滴チューブ

点滴チューブとは、チューブにあいた点滴孔から一滴ずつ水滴を落とすことによって、水分を補給するチューブです。

狙った場所に対して、狙った量を均一に供給できます。一般的な散水の場合、過剰な量を供給してしまい、室内だと過湿の弊害が出ますが、点滴チューブはそのようなトラブルがありません。

また、少量ずつ滴下するため、水路の形成や土壌の固化を回避し、土中の空気層を保持します。点滴チューブは植物を直接濡らすことがなく、例えば散布した薬剤を洗い落とさないことも大きな利点です。

点滴チューブを構成している素材はさまざまですが、軟質プラスティックの場合は軽量でかさばらず価格も安く、硬質プラスティックの場合は肉厚で丈夫、長寿命という特徴があります。

点滴チューブの使用用途

点滴チューブは、単位時間当たりに適切な量の水を供給できるため、施設園芸における潅水に用いられています。トマトやキュウリなどの養液土耕栽培やオクラ、ピーマンなどのポット栽培に適しています。

水は原水が用いられています。原水は場所によって、懸濁物が点滴チューブを詰まらせてしまう可能性があるため、フィルターを設置するケースも多いです。点滴チューブは、水圧が届く限り長さを伸ばすことが可能で、広範囲な施設にも対応できます。

点滴チューブの特徴

点滴チューブは、広範囲に細かい粒子の水を散水する潅水チューブとは異なり、狙った場所に少量の水滴を一定のペースで滴下していきます。

長所

点滴チューブは作物の葉や茎を濡らさないため、作物が病気になるリスクも少なくなります。また、少量の水を滴下していくので、土壌の水分過多による根腐れのリスクも少ないです。そのほか、水の使用量が少なく、節水にもつながったり、水やりのコストを抑えられたりします。

潅水チューブの場合、畝間にも散水されるため畝間などの通路も湿ってしまい、散水後の農作業がしにくくなります。しかし、点滴チューブは作物の株元のみに水滴を落とすので、通路が湿ることがなく、農作業にも支障をきたしません。点滴チューブで定期的に水やりをすることによって、作物の生育が早まるのも長所の1つです。

短所

点滴チューブは畝ごとに設置する必要があるため、広範囲に散水する潅水チューブよりも密に設置しなければなりません。そのため、初期投資のコストが高くなります。

また、点滴チューブで常に地表から水を与え続けると根系が浅くなってしまう傾向にあります。作物は水を求めて地下へと根を張っていくためです。点滴チューブを地中に埋めることである程度改善できますが、点滴チューブの撤去作業が大変になります。

点滴チューブの種類

点滴チューブには大きく分けて軟質のものと硬質のものとがあります。それぞれの特徴は以下の通りです。

1. 軟質ドリップチューブ

水が通過していない時は平たい状態で、水が通過すると膨らみます。比較的安価で、設置や撤去作業が楽に行えます。しかし、切れやすいという短所もあるため、長く使いたい人にはおすすめできません。

2. 硬質ドリップチューブ

水が通過していなくても膨らんでいる比較的に硬いチューブです。丈夫で長持ちしますが、価格が高いことと撤去後は場所を取ることが欠点です。

点滴チューブの選び方

点滴チューブは、使用する畑の状態によって軟質か硬質かを選ぶ必要があります。傾斜地で使用する際は、斜面の下方に向かうほど水の圧力が高くなっていきます。軟質の点滴チューブを選ぶと破損のリスクがあるため、硬質の点滴チューブの方が優れた効果を発揮します。

平地では水圧の差が傾斜地よりも少ないため、軟質の点滴チューブでも対応できます。しかし、チューブの長さが長くなると末端の圧力もその分高くなるので、硬質を選ばなければならないケースもあります。

硬質の点滴チューブは価格が高いため、軟質で対応できる場所は軟質の点滴チューブを使用する方が経済的です。

点滴チューブの使い方

点滴チューブは露地栽培でも使用できますが、ハウス栽培や施設栽培などの雨が当たらず、人工的に水やりが必要な個所では特に高い効果を発揮します。

また、近年では肥料を混ぜた水を点滴チューブから流す養液土耕栽培という手法も普及しています。

1. 点滴チューブの接続方法

点滴チューブは、エンジンポンプもしくは水道に接続して使用します。接続する際は、エンジンポンプや水道に繋いだホースと点滴チューブとの間に点滴チューブ用ニップルを使用します。ホースとニップルは径が同じものを使うことが重要です。

また、貯め水を使用してエンジンポンプから水を吸い上げる場合は、不純物を取り除くためにホースとニップルとの間にフィルターを設置する必要があります。点滴チューブの末端は点滴チューブ用ストッパを使用し止水します。

2. 点滴チューブの設置方法

点滴チューブは、作物の株元にチューブを這わせるように設置します。チューブを継ぎ足す場合は接手、直角に曲げる場合はエルボ、分岐する場合はチーズという部品を使用することにより、作物に対して満遍なく設置することができます。