点滴チューブ

点滴チューブとは

点滴チューブ

点滴チューブとは、チューブにあいた点滴孔から一滴ずつ水滴を落とすことによって、水分を補給するチューブです。

狙った場所に対して、狙った量を均一に供給できます。一般的な散水の場合、過剰な量を供給してしまい、室内だと過湿の弊害が出ますが、点滴チューブはそのようなトラブルがありません。

また、少量ずつ滴下するため、水路の形成や土壌の固化を回避し、土中の空気層を保持します。点滴チューブは植物を直接濡らすことがなく、例えば散布した薬剤を洗い落とさないことも大きな利点です。

点滴チューブを構成している素材はさまざまですが、軟質プラスティックの場合は軽量でかさばらず価格も安く、硬質プラスティックの場合は肉厚で丈夫、長寿命という特徴があります。

点滴チューブの使用用途

点滴チューブは、単位時間当たりに適切な量の水を供給できるため、施設園芸における潅水に用いられています。トマトやキュウリなどの養液土耕栽培やオクラ、ピーマンなどのポット栽培に適しています。

水は原水が用いられています。原水は場所によって、懸濁物が点滴チューブを詰まらせてしまう可能性があるため、フィルターを設置するケースも多いです。点滴チューブは、水圧が届く限り長さを伸ばすことが可能で、広範囲な施設にも対応できます。

点滴チューブの特徴

点滴チューブは、広範囲に細かい粒子の水を散水する潅水チューブとは異なり、狙った場所に少量の水滴を一定のペースで滴下していきます。

長所

点滴チューブは作物の葉や茎を濡らさないため、作物が病気になるリスクも少なくなります。また、少量の水を滴下していくので、土壌の水分過多による根腐れのリスクも少ないです。そのほか、水の使用量が少なく、節水にもつながったり、水やりのコストを抑えられたりします。

潅水チューブの場合、畝間にも散水されるため畝間などの通路も湿ってしまい、散水後の農作業がしにくくなります。しかし、点滴チューブは作物の株元のみに水滴を落とすので、通路が湿ることがなく、農作業にも支障をきたしません。点滴チューブで定期的に水やりをすることによって、作物の生育が早まるのも長所の1つです。

短所

点滴チューブは畝ごとに設置する必要があるため、広範囲に散水する潅水チューブよりも密に設置しなければなりません。そのため、初期投資のコストが高くなります。

また、点滴チューブで常に地表から水を与え続けると根系が浅くなってしまう傾向にあります。作物は水を求めて地下へと根を張っていくためです。点滴チューブを地中に埋めることである程度改善できますが、点滴チューブの撤去作業が大変になります。

点滴チューブの種類

点滴チューブには大きく分けて軟質のものと硬質のものとがあります。それぞれの特徴は以下の通りです。

1. 軟質ドリップチューブ

水が通過していない時は平たい状態で、水が通過すると膨らみます。比較的安価で、設置や撤去作業が楽に行えます。しかし、切れやすいという短所もあるため、長く使いたい人にはおすすめできません。

2. 硬質ドリップチューブ

水が通過していなくても膨らんでいる比較的に硬いチューブです。丈夫で長持ちしますが、価格が高いことと撤去後は場所を取ることが欠点です。

点滴チューブの選び方

点滴チューブは、使用する畑の状態によって軟質か硬質かを選ぶ必要があります。傾斜地で使用する際は、斜面の下方に向かうほど水の圧力が高くなっていきます。軟質の点滴チューブを選ぶと破損のリスクがあるため、硬質の点滴チューブの方が優れた効果を発揮します。

平地では水圧の差が傾斜地よりも少ないため、軟質の点滴チューブでも対応できます。しかし、チューブの長さが長くなると末端の圧力もその分高くなるので、硬質を選ばなければならないケースもあります。

硬質の点滴チューブは価格が高いため、軟質で対応できる場所は軟質の点滴チューブを使用する方が経済的です。

点滴チューブの使い方

点滴チューブは露地栽培でも使用できますが、ハウス栽培や施設栽培などの雨が当たらず、人工的に水やりが必要な個所では特に高い効果を発揮します。

また、近年では肥料を混ぜた水を点滴チューブから流す養液土耕栽培という手法も普及しています。

1. 点滴チューブの接続方法

点滴チューブは、エンジンポンプもしくは水道に接続して使用します。接続する際は、エンジンポンプや水道に繋いだホースと点滴チューブとの間に点滴チューブ用ニップルを使用します。ホースとニップルは径が同じものを使うことが重要です。

また、貯め水を使用してエンジンポンプから水を吸い上げる場合は、不純物を取り除くためにホースとニップルとの間にフィルターを設置する必要があります。点滴チューブの末端は点滴チューブ用ストッパを使用し止水します。

2. 点滴チューブの設置方法

点滴チューブは、作物の株元にチューブを這わせるように設置します。チューブを継ぎ足す場合は接手、直角に曲げる場合はエルボ、分岐する場合はチーズという部品を使用することにより、作物に対して満遍なく設置することができます。

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