レールクランプ

レールクランプとは

レールクランプ

レールクランプは文字通り電車の線路などに使用されるレールを挟む装置です。

レールは中腹がくぼんだ形になっています。これは、レール同士を固定するためのボルト用の穴を開けやすいことと、原料の鉄の節約にもなりますのでこの形状なのですが、このくぼみをレールクランプで挟み込んでレール上を通る機器を固定したりする用途に使用されます。

レールクランプはこのレールを強い力で挟み込む用途に特化した機器となります。

レールクランプの使用用途

レールクランプはレール挟む際に使用されますので、レールを扱う各工場に設置されて使用されます。

レールは基本的に電車用として作られますが、JRや私鉄各社で使用しているレールの使用期限が来て使用済みになった場合は中古品として売り払われて造船所のドックのや工場内のトロッコやクレーンなどのレールとして再利用されていますが、例えばレールで移動する門型のクレーンを固定させる際にはレールクランプが使用されます。

レールクランプの原理

レールクランプはクリップのようにレールのくぼみ部分を油圧で挟み込み固定します。油圧ですから非常に強い力が得られますので、レールクランプを使用するとしっかりと固定することができます。

レールクランプはそれ単独では意味はなく、クレーンや電車などレール上で強く固定しておきたい機器や装置に取り付けて使用されます。門型のクレーンの場合は2本のレール上を動いていますので、固定する際には最低でも2つのレールクランプが必要になります。

また、レールクランプはそれ自体がレール上を動くことが可能ですので、基本的にタイヤのように4つのレールクランプを取り付けることでレール上を移動できると共に固定したいときにしっかりと固定することができます。

通常よく見かける鉄道用のレール以外にもトロッコ用など細身のレールもあり、軽レールと呼ばれています。また、レールにはいくつかの形状がありますので、形状に合わせてレールクランプを交換する必要があります。

参考文献
https://www.otaki-jack.com/%E8%A3%BD%E5%93%81%E6%A1%88%E5%86%85/%E5%90%84%E7%A8%AE%E6%B2%B9%E5%9C%A7%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%83%E3%82%AD/%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%97/

リングギア

リングギアとは

リングギヤ

リングギアは名前の通りリング状(環状)になったギアで、リング内部または外部に歯が加工された歯車です。一般的にプラネタリ・ギア(遊星ギア)の外周のギアに使用されています。リング内部に歯があるリングギアは内歯車とも呼ばれています。

リングギアはまず真円に近いかどうかが重要な点であり、その他、歯の形状や歯の面取りなども各メーカが独自の開発を行っています。これら歯の形状や面取りは、歯の噛み合わせ時の滑らかさや異音にも直結するため非常時重要な検討項目です。

リングギアの使用用途

製品としては、自動車のオートマミッションのドライブプレートやマニュアルミッションのフライホイールクラッチ等の減速率の高い製品に使用されており、リングギアはこれらの製品にとって無くてはならない歯車です。

一方、リングギアの一部を切断してセグメントギアとして使用することも可能です。セグメントギアとはリングギアの円弧の一部のみを使用する形状をしており、他のギアと組み合わせて往復運動を伝えるギアになり、機械式時計などで使用されています。

リングギアの原理

リングギア単体では特に機能を持たないため、ここでリングギアの主な使用用途であるプラネタリ・ギアの原理に付いて説明します。

プラネタリ・ギアは遊星ギアや遊星歯車とも呼ばれており、このプラネタリ・ギアはサンギア、プラネタリギア、リングギアの3種類のギアによって構成されます。これらの名前は、各歯車が太陽のまわりを回る惑星に似ていることから名付けられています。プラネタリギアは実際にはプラネタリギアキャリアという部品で保持されています。

プラネタリ・ギアの特色は、サンギア、プラネタリギア(キャリア)、リングギアの各ギアを入力、出力とする事が可能だということです。1つのギアを入力、1つのギアを出力、1つのギアを固定と考えると、6組の組み合わせが考えられ、これから2種類の増速の組み合わせ、2種類の原則の組み合わせ、二種類の逆転(増速/原則)が取り出せます。

また、どれか2つのギアを固定すれば入力と出力は直結となり、1つのギアを入力、他のギアをフリーとすれば出力は行われない状態となります。

参考文献
https://www.goo-net.com/pit/magazine/109689.html

プラチェーンコンベヤ

プラチェーンコンベヤとは

プラチェーンコンベヤ

プラチェーンコンベヤ (英: Plastic Chain Conveyor) とは、搬送部分にプラスチック製チェーンを用いたコンベヤです。

特に軽量な製品や食品、電子機器などを効率的に移動させるのに適しています。プラチェーンコンベヤ自体も軽量かつ取り扱いが容易で、設置や保守作業が比較的簡単です。一般的には、金属製よりも環境に対する影響が比較的少ないため、持続可能な運搬ソリューションとしての利点もあります。

また、プラスチックの材料は金属と比較して静かで、作業環境の騒音を軽減します。曲線や傾斜に沿った運搬が可能で、複雑なレイアウトや配置に対して有利です。これにより、スペース効率を最大限に活用できます。

プラチェーンコンベヤの使用用途

プラチェーンコンベヤはさまざまな産業で使用されており、その柔軟性と軽量性から多くの用途に適しています。以下は、プラチェーンコンベヤの一般的な使用用途です。

1. 物流

物流におけるプラチェーンコンベヤの主要な用途は、商品の運搬と仕分けです。大規模な倉庫や配送センターでは、商品をピッキングするためにプラチェーンコンベヤを使用します。商品はコンベヤ上に配置して効率的に指定された場所に運ばれ、正確で効率的な注文処理が可能です。

2. 食品産業

食品産業では、プラチェーンコンベヤは食品の運搬に広く使用されます。食品の衛生基準が非常に厳格であるため、プラスチック製のコンベヤが最適です。

食品の包装ラインなどで使用され、食品を適切に運搬してパッケージに詰め込みます。また、焼き物や熱した食品のクーリングラインでも使用され、食品を冷ますのに用いる場合も多いです。

3. 医療機器

医療機器産業では、プラチェーンコンベヤが医療機器の製造プロセスに使用されます。手術室で使用される医療機器の組み立てラインや検査ラインで、部品や製品を清潔な環境で運搬するのに有利です。衛生基準を守るために、プラスチック製のコンベヤが好まれます。

4. 電子機器

電子機器製造業界では、プラチェーンコンベヤが部品や製品の運搬に使用されます。電子機器の基板を組み立てるラインでは、部品を運ぶのにプラチェーンコンベヤが適しています。また、電子機器のテストラインでも使用され、製品を自動的にテストステーションに移動させる役割を果たすことも可能です。

プラチェーンコンベヤの原理

プラチェーンコンベヤは、プラスチック製チェーンを使用して物品や製品を運搬する装置です。その原理は、チェーンがループ状に回転して物品が運ばれる仕組みに基づいています。プラチェーンコンベヤの中心的な要素は、プラスチック製チェーンです。

このチェーンはリンクと呼ばれる部分から構成されており、これらのリンクが連結されて長いループを形成します。チェーンは一般に、横方向と縦方向の移動を可能にするために、特定のパターンでリンクが配置されていることが多いです。

プラチェーンコンベヤのチェーンを駆動するためには、一般的に電動モーターとプーリーが使用されます。モーターはチェーンを回転させ、プーリーはチェーンを引っ張って運動を発生させる仕組みです。これにより、チェーンがコンベヤの上を動いて物品を運びます。

ただし、プラスチック製のため、高温に弱いというデメリットがあります。揚げ物などの高温食品を搬送する場合には不向きです。60℃程度が上限の製品が多く、これ以上の温度を搬送する場合にはステンレス製コンベヤなどを使用する必要があります。

プラチェーンコンベヤの選び方

プラチェーンコンベヤを選ぶ際には、いくつかの重要な要因を考慮する必要があります。以下はプラチェーンコンベヤの選定要素一例です。

1. コンベヤの寸法

コンベヤの長さは、運搬する物品や製品のサイズ、および運搬ルートに合わせて決定されます。必要なコンベヤ長を正確に計算し、製品を運搬するのに十分なスペースが確保されるようにします。また、将来的な拡張や変更にも対応できるように、余裕を持たせることが重要です。

コンベヤの幅は、運搬する物品や製品のサイズに合わせて選択されます。物品がコンベヤ上にしっかりと収まるようにするために、適切なコンベヤ幅を選ぶことが大切です。

2. 速度

コンベヤの速度は、運搬物の種類やプロセスに応じて選択されます。高速での運搬が必要な場合や、品質管理のために一定の速度が必要な場合など、要件に合わせて速度を調整します。また、インバータなどを使用した製品は可変速も可能です。

3. フレームの材質

コンベヤのフレーム材質は、使用環境や運搬物の特性に合わせて選ばれます。一般的なフレーム材質には、ステンレス鋼やアルミニウムなどがあります。食品産業では、衛生基準を満たすためにステンレス鋼やプラスチック製のコンベヤが選ばれることも多いです。

ブラスター

ブラスターとは

ブラスター

ブラスターとは、砂や鋼球などの微粒子を表面に吹き付けることによって、洗浄や加工製品の仕上げ、表面加工などを行う作業のこと、またはブラスター作業を行うための機械のことです。

サンドブラスターやショットブラスターなどの用語が用いられますが、吹き付けるものによって使い分けられています。サンドブラスターでは珪砂などの砂を吹き付けるのに対し、ショットブラスターでは細かな鋼球を吹き付ける処理です。

さらに、特殊な例としてはアクアブラスターやジェットブラスターは、激しい水流で水配管を洗浄したり、強力な圧力でエアーを吹き付ける装置もあります。ここでは主に砂や鋼球など、個体を吹き付けるブラスターについて解説します。

ブラスターの使用用途

ブラスターは、ブラスト処理として製品の表面処理に使われる装置です。例えば、金属加工品のバリ取りや錆落とし、クリーニング、下地処理などに使われます。鏡面仕上げや研磨加工といった平面を平滑にすることによって光沢を出したり、逆に梨地に仕上げることによって光沢を抑えたりすることも可能です。

3Dプリンタによる造形品の仕上げにも、ブラスターが使われます。ブラストによって粉末や積層の跡を目立たなくする効果があります。特殊な使い方としては、金属製品の表面強化です。ショットピーニングなどは金属製品の表面強化の一例であり、例えばα (アルファ) 処理はナノ結晶化強化によって、鉄鋼材料の製品の強度と靱性を両立させる方法です。

さらに、マイクロステクチャによって摺動性の向上も期待され、工具や刃物、精密プレスの金型や歯車などに使用されています。なお、α処理は株式会社不二製作所の登録商標です。また、ガラス工芸や石材彫刻などにおいてもブラスターを用いることで、様々な芸術的な加工を行うことができます。

ブラスターの原理

ブラスターは、主に圧縮空気によって微粒子を噴射します。コンプレッサにより圧縮空気を送り出し、その流れに乗って粒子が飛ばされて微粒子が対象物に当たり、バリや表面についた付着物を除去します。

ぶつける粒子の種類やその強さに応じて、吹き付けられた表面の形状は大きく変化させることが可能です。例えば、金属表面を平滑にしたり逆に梨地にすることによって、製品の外観を整えます。3Dプリンタで作られた製品の積層の痕が目立たなくなるのも、製品の表面が整えられるからです。

なお、ブラスターの中でもショットピーニングの場合、鋼球などを圧縮空気以外に、モーターによる遠心力を用いて対象の表面に吹き付けます。金属の粒子は重いため、吹き付けられるときの運動量が大きく、表面を粗くしたり、より強力に削ることができます。

ブラスターの種類

ブラスターは持ち運びできるマシンから、工場に設置する大型の設備までさまざまな規模の機械があります。持ち運びできる大きさのブラスターマシンは、1MPa以下の圧縮空気で研磨材を吹き付ける機械です。

一方で、工場に設置される大規模設備では、回転テーブルやコンベア、自動台車テーブルなどで、連続して大量の製品を処理できるものがあります。

ブラスターのその他情報

研磨材の種類

ブラスターでは目的に応じた研磨材を選ばなければなりません。代表的な研磨材を紹介します。

1. セラミックス・ガラス研磨材
セラミックス・ガラス研磨材にはアルミナ・炭化ケイ素系、ガラス系、ジルコン・ジルコニア系、その他セラミックス系の研磨材があります。

2. 樹脂・植物研磨材
樹脂・植物研磨材は硬さが低いため、加工対象にダメージを与えにくいのが特徴です。樹脂成形品のバリ取りや金型のクリーニング、塗装の剥離作業で使われます。

3. 金属研磨材
金属の研磨剤は比重が大きく硬度もあるため、強力な洗浄やショットピー二ングなどの表面強化ができます。研磨剤は鉄系、ステンレス系などです。

4. 特殊研磨材
特殊研磨材には二流化モリブデン、ドライアイス、重曹などがあります。二流化モリブデンは対象物の表面に付着することによって、固体潤滑の効果が得られるのが特徴です。

ドライアイスは、衝突で昇華し体積が750倍に膨張します。この膨張する際のエネルギーによって汚れやバリを除去します。重曹は安全性が高く水溶性であることから、食品工場で使われる研磨材です。

参考文献
http://www.atsuchi-ascon.co.jp/vacuum_blaster/

非常発電機

非常発電機とは

非常発電機

非常発電機とは、災害などによる突発停電を想定して、防災や保安の目的で設置される非常用発電装置です。

電力の供給が停止してしまうと、ビルや病院などで通信回線が止まって二次災害が発生するリスクがあります。このような事態に備えて非常用発電機の設置が重要視されています。

非常用発電機には、主にエンジン発電装置とガスタービン発電装置があります。用途や使用する建物に合わせて選定することが大切です。どちらも信頼性が高く、高品質な電力供給装置として使用することができます。

非常発電機の使用用途

非常発電機は、突発停電時に二次災害が発生するリスクが想定される場所で使用されます。以下に使用例を列挙します。

  • 病院などの医療施設
  • エレベーターなどを有している大型ビルやホテル
  • コンピューターセンターや巨大サーバー
  • 高速道路のインターチェンジ
  • 照明が必要なトンネル
  • 空港や港の夜間照明
  • 防災用の消火スプリンクラー

上記の中には、法律で非常電源設置が義務付けられているケースもあります。

非常発電機の原理

発電の仕組みは、電磁誘導の原理を利用して導体が磁界を横切ることで起電力を発生させます。

非常用発電機は緊急時に確実に使用できる必要があるため、停電を感知して発電電源に素早く切り替えるシステムを備えています。さらに地震などがあっても稼働できるように耐振構造です。

非常用発電機の種類

非常用発電機は主にエンジン発電機とガスタービン発電機があります。

1. ディーゼル発電機

ディーゼル発電機ではディーゼル機関を機動力に用いて、交流発電機をディーゼル機関に直結させて発電させています。始動するまでにかかる時間が短い上に熱効率は高く、35%〜40%程度です。起動における信頼性も高い発電装置です。

2. ガスター発電機

ガスタービン発電機は、非常用には空冷式を採用します。冷却水を必要としないので、凍結や断水でタービンが故障する心配がありません。また、設置面積がディーゼルエンジンと比べて小さい点も特徴の一つです。

非常発電機のその他情報

1. 非常発電機の負荷試験

非常発電機は、有事の際に確実に稼働させるために定期的に3つの点検を行う必要があります。

電気事業法に基づく定期点検
この点検では、電気系統を立ち上げた状態で5分程度の無負荷運転 (空ふかし) を実施します。

消防法に基づく定期点検
半年に一度の機能目視点検と一年に一度の無負荷運転を実施します。

消防法に基づく負荷試験運転
この試験は一年に一度行う必要があり、非常発電機に負荷試験装置を接続し、30%以上の負荷をかけた状態で30分間連続運転させます。負荷試験運転では、非常発電機に異常振動や発熱などの異常がなく運転が正常であることを確認します。これに加えて、無負荷運転時に生成されたカーボンを燃焼排出させるという役割があります。

前述の通り、負荷試験運転では非常発電機に負荷試験装置を接続する必要があります。ただし、非常発電機の設置場所によってはそれが困難な場合もありました。しかしながら、令和元年に消防法が改正され、ガスタービン非常発電機は負荷試験運転の実施が不要となりました。負荷試験が必要な機器でも、実施が困難なときは定められた内部観察を行うことで、現在は負荷試験同等の点検を行ったとみなされています。

2. 非常発電機の価格

非常発電機の価格は、発電方法や容量などによって大幅に異なります。家庭用小型機であれば、45000mAh/3.7V/167Wh/定格150Wのソーラー充電・リチウムイオン電池蓄電タイプの発電機を1万円代で購入することができます。

一方、店舗やサーバー室で用いる非常発電機は、ガスタービン発電型で数百万円〜の価格帯になります。エンジン非常発電機も大型施設向けの製品が多く、ガスタービン発電型と同じく数百万円〜の価格帯です。

参考文献
https://www.yanmar.com/jp/energy/emergency_generator/
https://www.denyo.co.jp/products/generator/emergency/
https://www.meidensha.co.jp/products/energy/prod_04/prod_04_04/index.html
https://www.fujielectric.co.jp/products/power_supply/eeg/

パワーユニット

パワーユニットとは

パワーユニット

パワーユニット (英: power unit) とは、自動車などのエンジンやモーターなどの動力を発生させる装置のことです。

様々な産業機器など、大型機器の動力源として利用されます。内燃機関に加え、複数のモーターや発電機から成るため、一体の動力源としてパワーユニットと呼ばれています。

内燃機関としては、ディーゼルエンジンを用いる場合が多いです。ここで発生した動力を油圧ポンプなどによって伝達し、機械を動作させます。

パワーユニットの使用用途

パワーユニットは、様々な大型機械を動作させるために使用されます。例えば、排水用ポンプ、オイルポンプ、農業機械、建設機械、通信機器などです。この場合、油圧式パワーユニットがよく使用されています。

また、モータースポーツの一つであるF1では、F1カーの動力源としてパワーユニットが使用されます。従来のエンジンだけでなく、ハイブリッド式のターボエンジンへと改良したため、二酸化炭素排気量の減少が実現されています。

パワーユニットの原理

パワーユニットを使用すれば、ディーゼルエンジンなどのエンジンから発生した動力を複数のモーターなどを通じて、様々な産業機械の動作が可能です。産業用において以前から利用されてきた一方、近年ではF1におけるパワーユニットの開発が進んでいます。

F1のパワーユニットでは、内燃エンジン、ターボチャージャーやバッテリー、エネルギー回収システムなどのハイブリッド装置から成ります。これらの装置がコンピュータ制御されることで、燃費の向上やエンジン性能の向上、排気ガスの清浄化が実現可能です。このように、自動車産業においては、パワーユニットの高度化が進んでいます。

一方、自動車においてエンジンや変速機、クラッチを含めた装置の呼び方は、パワープラントです。なお、発電所という意味でもパワープラントが用いられます。

パワーユニットのその他情報

1. F1パワーユニットの歴史

F1がはじまったのち50年以上、F1マシンは燃料を用いて走っていました。一般車でいうと、ガソリン車にあたります。F1は、モータースポーツであるとともに、次世代技術の開発という面も持ち合わせています。

石油や化石燃料の枯渇、環境問題への取組みを鑑み、2014年にハイブリッド式パワーユニットの導入を行いました。このパワーユニットは小排気量でハイパワーを生み出す技術が詰まっています。

2. F1パワーユニットの構造 

F1のパワーユニットは、以下の部品構成になっています。

ICE
ICEは、内燃機関であり、エンジンに相当する部品です。従来は想像を絶するようなハイパワーエンジンが使用されていましたが、現在は、排気量1.6l、6気筒のエンジンに定められています

TC
TCは、ターボチャージャーと呼ばれ、エンジンより排出される排気ガスを利用し、エンジンへ送られる空気を圧縮して送りこむ機能を持っています。圧縮された大量の空気を送ることで、エンジンのパワーを飛躍的に高めます。

また、ターボチャージャーと連動しているMGU-Hは、熱エネルギー回生システムです。ターボチャージャーの回転を補助します。これにより、熱回収とともに、ターボチャージャー最大の泣き所であるターボラグの緩和が可能です。

MGU-K
MGU-Kは、運動エネルギー回生システムであり、一般的なハイブリッド車でおける発電機に該当し、役割は、減速時に発生する運動エネルギーを電気エネルギーに変換することです。

電気エネルギーはバッテリーに送られ備蓄されます。また、MGU-Kは、モーター駆動の機能も備わっており、バッテリー内の電気エネルギーを使い、モーターとして駆動力を発揮します。

MGU-H
MGU-Hは、熱エネルギー回生システムであり、排気ガスによる熱エネルギーを電気エネルギーに変換するものです。MGU-Hは、ターボチャージャーに連結されており、ターボチャージャーが使い切れない排気ガスの熱エネルギーを利用します。

変換された電気エネルギーはバッテリーに備蓄され、ターボチャージャーを補助する際は、バッテリーの電気エネルギーを利用します。

その他

  • ES
    変換された電気エネルギーを備蓄するバッテリーです。
  • CE
    パワーユニットの制御を行う電子デバイスです。

参考文献
https://formula1-data.com/glossary/car/body/power-unit
https://www.goo-net.com/knowledge/10568/
https://formula1-data.com/glossary/car/body/power-unit

非接触回転計

非接触回転計とは

非接触回転計とは、非接触で物体の回転速度を測定する装置です。

回転計には、機械の回転軸に物理的に接触する製品もありますが、非接触回転計は直接接触することなく回転速度を測定することが可能です。直接接触せず回転速度を測定するため、測定対象に損傷を与えず非破壊的に測定することができます。

また、光学的な方法や磁気センサーを使用して回転速度を測定するため、高速な回転にも対応することが可能です。物体が高速回転する場合でも、正確な測定結果を得ることができます。

物理的な接触がないため、摩耗や磨耗の問題が少なく、長寿命です。接触式の場合は回転軸やセンサーが摩擦や衝撃によって劣化する可能性がありますが、非接触回転計ではその問題がありません。

非接触回転計の使用用途

非接触回転計は、さまざまな産業や分野で使用されています。一般的には、モーターやその負荷装置の回転検出に使用されることが多いです。

1. 自動車産業

自動車産業では、自動車の回転部品監視や制御に使用されます。エンジンの回転数や回転速度、モーターやポンプの回転数などを測定し、性能のモニタリングや制御に寄与します。

2. エネルギー産業

エネルギー産業においては、風力タービンや水力タービンなどの回転機械モニタリングに適用可能です。回転速度や回転方向の測定により、効率の最適化やトラブルの早期検出などが可能です。

3. スポーツ

スポーツのパフォーマンス分析やトレーニングに使用される場合もあります。スポーツカーや自転車のホイール回転速度を測定することで、動きを最適化するためのデータを得ることができます。

非接触回転計の原理

非接触回転計の原理は、使用される具体的な技術によって異なります。以下は一般的な非接触回転計原理の一例です。

1. 光学的原理

光学的な非接触回転計では、レーザー光や光源からの光を使用して回転速度を測定します。光源からの光を測定対象の表面に照射し、反射光を検出します。回転する対象物の速度に応じて反射光の位相や周波数が変化するため、これを検出して回転速度を計測可能です。

2. 磁気原理

磁気センサーを使用する非接触回転計では、測定対象に取り付けられた磁石の位置や動きを検出します。磁石は回転する対象物に固定され、磁気センサーはその近くに配置することが多いです。回転すると、磁石の磁場が磁気センサーに影響を与えて回転速度を検出します。

3. 音響原理

音響的な非接触回転計では、音波を使用して回転速度を測定する回転計です。音源から発せられる音波を測定対象の表面に向けて放射し、その反射音を検出します。回転する対象物の速度によって反射音の周波数や位相が変化するため、これを検出して回転速度を計測します。

4.電磁波原理

回転する対象物に電磁波を照射し、その反射波や散乱波を検出する非接触回転計です。回転速度によって反射波や散乱波の位相や周波数が変化するため、これを検出して回転速度を計測します。マイクロ波やレーダー技術が使用されることもあります。

非接触回転計の選び方

非接触回転計を選ぶ際には、応用範囲や測定要件、測定環境などを考慮することが重要です。これらを検討しつつ、性能とコストをバランスさせることが重要です。

1. 応用範囲

まず、回転計を使用する目的や応用範囲を明確にします。機械の監視や制御に使用する場合は、定置型を選定します。また、突発点検や定期点検など、人が操作する場合は可搬式を選定することが多いです。

2. 測定要件

測定要件も確認します。測定したい回転速度の範囲や精度、測定対象のサイズや形状に基づいて選定することが重要です。高速回転に対応する必要がある場合は測定レンジが高速側に広い製品を選定し、スペースが小さい場合は小型の製品を選定します。

3. 使用環境

測定を行う環境も重要な要素です。高温や腐食性など、非接触回転計が使用される環境に適応できる耐久性を有するかを検討します。

参考文献
https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/products/category/h_revo.htm
https://www.webshiro.com/syouhinsetumei/MD34T-477S.html
https://www.webshiro.com/p04-25sokukaiten.htm

露点計

露点計とは

露点計とは、大気中の湿度を測定するための装置です。

特に、水蒸気が凝結して水滴や霜が形成される温度を示すのに使用されます。露点計の主な目的は、湿度と温度のデータを組み合わせて、空気中の水蒸気の過飽和度や凝結のリスクを評価することです。

露点計は多くの場合、冷却ミラー法や冷却鏡法を使用して、水蒸気の凝結点を正確に測定します。湿度の変化や凝結の可能性に対する警告や制御が可能となるため、さまざまな産業やアプリケーションで使用されています。

露点計の使用用途

1. 湿度管理

露点計は、湿度を正確に測定し、特定の湿度レベルに達した際に結露が発生するかどうかを監視するのに使用されます。建築物や工業プロセスにおいて、湿度を管理する際に役立ちます。例えば、建物の内部で結露が起きると、カビや腐食などの問題が発生する可能性があるため、湿度制御が重要です。

2. 気象観測

気象庁や気象予報士が天候予測を行う際に、大気中の湿度と温度を監視し、結露や凝結の可能性を評価します。これにより、降水の予測や霧、霜、凍結の予知が可能となります。

3. 冷蔵庫や冷凍庫の管理

露点計は冷蔵庫や冷凍庫内の湿度を監視し、食品や医薬品などの保存条件を維持するのに使用されます。湿度が適切でない場合、食品の劣化や医薬品の品質の低下が起こる可能性があります。

4. 工業プロセス

工業プロセスにおいては、露点計は製品の製造や品質管理に使用されます。特に、特定の湿度条件が必要な製造プロセス (例: 塗装、乾燥、プラスチック成形など) において、湿度制御が重要です。

5. 環境モニタリング

環境保護や品質管理の観点から、露点計は大気中の湿度を監視するために使用されます。湿度の変化は、空気中の水分の量や汚染物質の拡散に影響を与える可能性があるため、環境モニタリングにおいて不可欠な装置です。

露点計の原理

露点計は、空気中の水分を測定する機器です。その測定方法は「静電容量式」と「鏡面冷却式」の2つに大きく分けられます。

静電容量式は簡単に測定できるため、ポータブル型などで活躍します。一方、鏡面冷却式は精度が高く、精度が求められる場合に使用されるケースがほとんどです。

1. 静電容量式

静電容量式は、電気の作用を利用して水分を検出する仕組みです。静電容量式は非常に細いセンサーが中に入っており、特殊な金属が蒸着されています。

このセンサー部に水分が付着すると水分の量により抵抗値が変化し、この抵抗値の変化を水分量としてセンサーから出力されます。

2. 鏡面冷却式

鏡面冷却式は、機器内部の鏡面に露点を測定したいガスを吹き付けます。その後、冷却をすれば鏡面に結露が発生し、鏡面を加熱すれば結露が無くなります。

これらの作業を繰り返して一番バランスの良いところを露点として出力するため、精度の高い測定が可能ですが若干時間がかかることが欠点です。

露点計の選び方

1. 使用用途

露点計を選ぶ際は、まず最初にその具体的な用途を明確にすることが重要です。例えば、建築、工業プロセス管理、気象観測、または環境モニタリングなど、使用する分野や目的によって必要な仕様が異なります。

2. 測定範囲と精度

露点計の測定範囲と精度は非常に重要です。測定する温度と湿度の範囲がカバーされ、かつ精度が高いものを選ぶ必要があります。

用途に応じて、適切な測定範囲と精度は異なります。高精度かつ広範囲であれば価格が高くなるため、予算との兼ね合いも重要な選定基準です。

3. データロギングと通信

測定データの保存、分析、および共有が必要な場合、露点計がデータロギング機能や通信機能をサポートしているか確認します。データの管理やリアルタイムのモニタリングが重要な場合に、最も適した機能を備えた露点計を選ぶ必要があります。

4. 耐久性と保守

露点計は長期間にわたって正確な測定を提供する必要があります。したがって、耐久性のある製品を選びます。

また、保守作業や校正が容易かどうかも重要な要素です。長期的な使用を考えて、保守性が高い露点計を選ぶことをおすすめします。

参考文献
http://www.nykk.co.jp/products/dew_point_recorder/and_dew_point_recorder.html
https://www.tekhne.co.jp/dewpoint/
https://www.tekhne.co.jp/products/dewpoint/

パワーマネジメント

パワーマネジメントとは

パワーマネジメント

パワーマネジメントとは、電源管理、省電力性能を目的としたシステムの消費電力を抑えるための機能を備えた装置です。

例えば、自動車などのパワーデバイスでは性能の高度化に伴い、消費電力が増大傾向にあります。低電力での動作や不使用下における動作停止等を組み合わせ、省電力化を実現します。

パワーマネジメントの使用用途

パワーマネジメントは様々なデバイスにおける省電力化を実現するために、コンピュータによりシステムの動作を制御するものです。例えば、システムが一定時間動作されない場合には、CPUが動作を低減したり、停止させたりします。PCのスリープ機能もこのプロセスの一つと言えます。

あるいは回路における消費電力を抑えるためのパワーMOSFETなどを活用した、自動車の制御システムが開発されています。これにより低消費電力が実現され、パワーマネジメントが進みつつあります。

パワーマネジメントの原理

パワーマネジメントは、自動車などのパワーデバイスのように、省エネルギー (省電力化) が求められる場面で重要な役割を担います。

特に、自動車の制御回路 (英: Electronic Control Unit, ECU) の高度化に伴い、バッテリへの負荷が高まっています。その分、制御回路における消費電力も増加しています。ECUにはLCIと呼ばれる半導体回路が搭載されています。LCIはLarge Scale Integrationの略で、大規模集積回路を意味します。

パワーデバイスの省電力化を図るためには、LSIにおける消費電力を抑制することが重要になります。パワーマネジメントLSIを用いることで、LSIにおける消費電力を制御します。LSIにおける消費電力を抑えるために出力トランジスタとしてパワーMOSFETが用いられます。特に低電圧領域において電力の変換効率が高いという特徴があり、その性質を利用しています。

自動車も含め、様々な産業機器に搭載されるLSIの数は増えていくことが予想され、パワーマネジメントLSIのさらなる高度化が必要とされます。

参考文献
https://www.dempa.co.jp/productnews/trend/h060413/h0413.html
https://fscdn.rohm.com/jp/products/databook/datasheet/ic/power/switching_regulator_system/bd8165muv-j.pdf

電磁波吸収シート

電磁波吸収シートとは

電磁波吸収シートとは、電磁波を発生する、あるいは電磁波により誤作動する恐れのある電子機器に用いられる部材です。

電子機器のEMC (電極両立性) 対策には、電磁波ノイズ発生側の対策であるEMI (Electro Magnetic Interference) と、受ける側の対策であるEMS (Electro Magnetic Susceptibility) があります。国際IEC (International Electrotechnical Commission) 規格や電気用品安全法により、その方法が定められています。

電磁波吸収シートは、その対策に用いる代表的な部材です。近年、CPUの高速化に伴って、電磁波の周波数帯が高周波に移行してきており、ノイズ対策が困難になっています。電磁波吸収シートをノイズ発生源付近に貼り付けることで、近傍のノイズを吸収、抑制が可能です。

磁性材料とゴムの複合させた物や薄いプラスチックを積層させたものが電磁波吸収シートとして流通しており、切り貼りが容易、安価で軽量などの利点を有しています。

電磁波吸収シートの使用用途

電磁波吸収シートの使用用途は一般にはあまり知られていませんが、非常に幅広い分野に用いられています。代表的な使用用途は以下の通りです。

1. 電子機器用途

スマートフォンや家電など、半導体基板が内部にある機器に電磁波吸収シートが使われています。筐体の内部や基板に電磁波吸収シートを貼り付けることで、機器の中での輻射ノイズの発生や共振、内部反射を低減させることができます。

2. 通信障害対策用途

航空機や船舶の無線には周波数30MHz以下の電磁波が使われていますが、このノイズの低減に電磁波吸収シートが活用されています。また、日常生活に欠かせない携帯電話やテレビの電話障害を防ぐためにも電磁波吸収シートが使用されています。

3. 自動車用途

近年、自動車には衝突防止レーダーをはじめ、数多くのセンサーが搭載されています。レーダーはミリ波になりますが、その電磁波干渉やノイズ対策として、電磁波吸収シートが用いられています。

電磁波吸収シートの原理

電磁波吸収シートは、シートの中に複合された磁性材料に電磁波を吸収させ、電気エネルギーを熱エネルギーを変換しています。磁性材料は電磁波の吸収帯によって種類が異なり、例えば衛星通信のノイズ防止には、そこで実用する周波数帯域を選択的に吸収できる物質が採用されています。

また、近年は磁性材を使用していないプラスチック製、不織布製の電磁波吸収シートも流通しています。前者は異なる誘電率を持つ樹脂シートを積層させることで分極を発生させ、電磁波を吸収するタイプです。後者は、特殊な表面処理を施した不織布を使うことで、ノイズを抵抗損失により熱に変換しています。

電磁波吸収シートの種類

電磁波吸収シートは、構成される素材によって様々な種類の製品が流通しています。代表的な種類は以下の通りです。

1. 電磁波吸収ゴムシート

磁性材とゴムを混合させたシートです。ゴム特有の柔軟性と絶縁性に優れており、加工も容易です。また耐蝕性が良く、湿度が高い環境など、過酷な使用状況に適しています。厚みは薄いものでは0.25mm、厚いものになると4mmの製品があります。

2. 電磁波吸収プラスチックシート

ポリエステル樹脂を成形したプラスチックシートを積層させた製品です。磁性材を含有していないためコストを低く抑えられ、かつ厚みが薄いため軽量である利点があります。透明な製品も流通しており、窓など光を透過させる必要のある被着体にも使用可能です。

3. 電磁波吸収不織布

プラスチックシートと同様に、磁性材を使用していない環境に良い製品です。厚さは最薄で50µmにすることが可能で、柔軟であるため半導体基板の凹凸にも追従することができます。

参考文献
https://www.techno-kitagawa.com/techinfo/tech/absorbers.html
http://www.rf-world.jp/bn/RFW07/samples/p107-108.pdf