硬度計とは
硬度計とは、広く一般的には金属や樹脂、ゴム製品などの表面の硬さを評価するための試験装置です。
金属の硬さを評価する機器は「硬さ試験機」、樹脂やゴムなど比較的柔らかい物質の硬さを評価する機器は「硬度計」と呼ばれる場合が多いですが、実際には明確な定義はありません。また、水のミネラル分の量を表すための硬度計もあります。
硬度の正しい定義は、圧子と呼ばれるものを測定対象部分に押し込んだ際の製品の変化などから、硬さを評価する試験結果を数値として表したものです。硬度を示すための試験は、さまざまな方法があります。測定する材料には、金属、樹脂など多くの種類があり、用途に応じて硬さを測定する方法を選択することが重要です。
硬度計の使用用途
硬度計の代表的な用途は、以下のとおりです。
1. ロックウェル硬さ
押込み硬さの1種で、ダイヤモンドや硬球などの圧子を、定められた荷重を測定する材料にかけてくぼみを作ります。そのくぼみの深さから硬さを測定する方法する方法です。
まず、最初に基準の押し付け荷重を圧子にかけて、深さの原点を決めます。その後、決められた試験押し付け荷重に達するまで、追加で荷重を負荷して一定時間保持した後に、基準荷重に戻します。この時の最初に基準荷重をかけて原点とした深さと基準荷重に戻した深さの差により、硬さを評価します。
主に熱処理をした鉄鋼材料の硬さを評価する試験です。金属用の硬さ試験であるビッカース硬さ試験とともに広く用いられています。ただし、ビッカース硬さ試験よりも試験荷重が大きいために、試験荷重に耐えられる試験片が必要です。
2. ビッカース硬さ
押込み硬さの1種で、ダイヤモンドを圧子として測定する材料に押してつけてくぼみを作り、押し付けた荷重とくぼみの表面積から硬さを測定する方法です。くぼみの大きさは、金属顕微鏡で計測します。
主に金属の硬さを評価する試験ですが、非常に狭い範囲の硬さを評価することが可能です。熱処理を施した金属において、熱処理で硬化した深さを評価する場合にも使用されます。有効硬化層深さと言います。
3. ショア硬さ
反発硬さの1種で、銅棒の先端にダイヤモンドを取り付けた圧子を測定物のに落下させて、測定物にぶつけた後の圧子の跳ね返りの高さから測定する方法です。反発高さ試験で圧子を特定の高さから落とし、ぶつけた後の圧子の反発の大きさ (跳ね返りの高さ) から測定します。
そのため、電源が不要です。大きな建築物などの現地試験が可能となります。
硬度計の原理
硬さを評価するための方法には大きく、押込み硬さと反発硬さの2つに分けられます。
1. 押込み硬さ
圧子と呼ばれるダイヤモンドなどの硬い材料を測定する材料に押し付け、その押し付けたくぼみの深さなどによって硬さを求めます。金属の硬さを評価するブリネル硬さ、ロックウェル硬さ、ビッカース硬さなどがあります。
2. 反発硬さ
圧子を測定する材料にぶつけて、ぶつけた後の圧子の反発の大きさによって硬さを測定します。主な試験にショア硬さがあります。
硬度計のその他情報
1. 食品用硬度計
食料品の硬さを計る測定器はレオテスター、またはレオメータと呼ばれます。レオテスターの測定対象となる食品は、本編のいわゆる硬度計のカテゴリに比すると、はるかに柔らかく上記の硬度計では測定することができません。
レオテスターの測定単位も他の硬度単位と同様に規定が無いため、測定で使った荷重計、フォーステスターなどの表示単位をそのまま使うか、圧縮板を用いた場合には圧縮板の面精あたりの表示 (N/㎟) などで表示されます。しかし、他の硬度と同様にデータの相関性は薄いため、同じ測定器で測定したデータ間での相対比較で評価することになります。
2. 水の硬度計
水の硬度はいわゆる硬水、軟水などと呼ばれるものです。水の硬度は水に含まれカルシウム量の2.5倍 (Cax2.5) とマグネシウム量の4倍 (mgx4) の和の値を表していて、それらの物質を、化学反応で測定する測定器と、試薬を使って測定します。単位は mg/L (アメリカ硬度) で表記され、数値が高いものを硬水、数値が低いものを軟水と呼びます。
参考文献
https://info.shiga-irc.go.jp/public/data/1008/205.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/75/10/75_10_1183/_pdf
https://www.keyence.co.jp/ss/products/recorder/testing-machine/material/hardness.jsp
http://ms-laboratory.jp/strength/ms2/hd/hd.htm