血球計算盤

血球計算盤とは

血球計算盤の概要

図1. 血球計算盤の概要

血球計算盤は、細胞数を数える際に用いる道具です。ヘモサイトメーターとも呼ばれています。細胞融合技術や細胞培養操作などの作業の前には細胞を数えることが必要なので、この際に使用されます。

赤血球や白血球などの血球やリンパ球、その他培養細胞など、計測したい対象によって、細胞の大きさが異なります。このため、血球計算盤の目盛りの刻み幅も対象によって異なったものを用います。

血球計算盤の使用用途

血球計算盤は、細胞に関連する技術の研究や開発などで使用されます。細胞数を算定することにより、細胞密度や、生存率などの各種必要な数値を計算することが可能です。トランスフェクションや細胞融合技術、凍結保存など、細胞培養操作などの際に、事前準備として必ず行われます。

血球計算盤の原理

血球計算盤には、刻み幅が異なる目盛りが等間隔で並んでおり、各幅の目盛りを使うことで数値を計算できるようになっています。一辺1mmの枠内に100個程度の細胞が存在するように懸濁液の濃度を調節し、16個の正方形からなる枠内の生細胞を数えます。

血球計算盤とカバーガラスの使い方

細胞の見え方のイメージ

図2. 細胞の見え方のイメージ

1. 血球計算盤

まず、観察したい細胞を集めて培地に再懸濁し、そこから採取した細胞懸濁液を色素で着色して、生きている細胞と死んでいる細胞を分類します。死んだ細胞は着色されますが、生きている細胞は着色されないので、色の有無で細胞の生死を見分けます。

懸濁液の濃度は濃すぎると計測しづらく、薄すぎると正しく計測することができないため、枠内に100個程度の細胞が存在するよう、適切な濃度に調節することが重要です。最初は、正方形が16個集まった一番大きい1mm四方の枠内に収まっている生細胞の数をカウントしますが、細胞数が多すぎる場合は細胞の大きさに合わせて、使用する目盛りを小さくしていきます。

この操作を通して生細胞・死細胞の数を計測することにより、細胞生存率の計算が可能です。

2. カバーガラス

血球計算盤は、カバーガラスを密着させて使用します。カバーガラスは使用前にエタノールで洗浄し、風乾させておきます。使用直前に軽く水で湿らせ、血球計算盤の目盛面に載せます。ガラスが割れないよう注意しながら、指ですり合わせるように軽く力を入れ、血球計算盤に密着させます。

この時、しっかりと密着できているかを確認するため、ニュートンリングの有無を確認します。ニュートンリングとは、表面が同率曲線のガラスを重ね合わせた時に生じる虹色の干渉縞です。血球計算盤とカバーガラスの間に埃などの汚れが入り込んでしまっている場合には見えません。

ニュートンリングが確認できない場合には、血球計算盤の目盛面とカバーガラスの密着面を、エタノールを適量含ませたガーゼ等で清拭し、再度同様の手順で確認します。汚れが入った状態では計算室の深さが変わってしまい、正確なカウントはできないため注意が必要です。

ディスポーザブル製品の中には、カバーガラス不要の製品もあります。そのような場合にはニュートンリング作成の手間を省くことが可能です。

血球計算盤の種類

様々な種類の目盛り

図3. 様々な種類の目盛り

1. ビルケルチュルク型の血球計算盤

血球計算盤にはいくつか種類があり、目盛りの刻まれ方と計算室の深さがそれぞれ異なります。最も一般的に使用されているのは、ビルケルチュルク(Burker-Turk)型の血球計算盤です。

計算室を2室もった複式の計算盤で、赤血球や白血球だけでなく、精子やバクテリア、酵母、プランクトン、培養細胞など、幅広い細胞のカウントに対応することができます。ビルケルチュルク型の血球計算盤では、各計算室の容積は0.9μL、目盛り線は縦横とも一辺が3mmとなるように設計されています。

この一辺がさらに三等分されていて、1mm×1mmの9つのブロックに分けられています。このうち、真ん中のブロックは主に赤血球系の細胞など、絶対数の多い細胞のカウントに使用され、一方、四隅のブロックは白血球系の細胞や培養細胞など、比較的絶対数の少ない細胞のカウントに使用されます。

2. その他の血球計算盤

血球計算盤には他に、計算室が1室で単式の計算盤であるトーマ型や、ビルケルチュルク型と同様の複式の計算盤で、目盛線がよりシンプルな改良ノイバウエル型などがあります。

参考文献
https://www.abcam.co.jp/protocols/counting-cells-using-a-haemocytometer
https://www.as-1.co.jp/academy/22/22-1.html
http://www.ncgmlipidsp.jp/protocol/4/12.html
http://minatomedical.com/01-ka111_m.html
https://www.abcam.co.jp/protocols/counting-cells-using-a-haemocytometer-2

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