トータルステーション

トータルステーションとは

トータルステーション

トータルステーションとは、距離と角度を一度に計測可能な測量機器のことです。

測量及び土木工学の分野において使用され、高度で多機能な計測機器です。トータルステーションは、さまざまな計測およびデータの処理機能を1つのデバイスに組み合わせ、土地測量士、建設現場などにとって、必要不可欠なツールとなっています。

トータルステーションは、対象物やポイントまでの距離と角度を測定します。また、トータルステーションの設置位置の座標 (経度・緯度・標高) を設定しておくと、対象やポイントの座標を自動で計算および記録することが可能です。

トータルステーションの使用用途

トータルステーションは、土地測量、建設などのさまざまな分野で使用されています。

1. 土地測量

土地測量は最も広く使用される分野です。距離、角度、標高を測定します。これにより、正確な地形図、境界測量、土地区画の作図に使用されます。

2. 建設

トータルステーションは、建設プロジェクトで重要な役割を果たします。現場のレイアウト、基礎の設置、設計図との誤差確認です。建物が設計図通りに建設できるよう活用されます。

3. 鉱業

掘削現場においては、正確な高山マップの作製、掘削量の測定、坑内および傾斜の安定性の監視に活用されます。また、大規模な鉱山運用では、測量制御ポイントの設置などに使用されます。

4. 考古学

考古学においては、発掘物や発掘現場の正確な位置を記録するのにも使用可能です。考古学的な地図や文献の作成につながります。

5. 環境のモニタリング

環境や地形の変化などのモニタリングに活用されます。

トータルステーションの原理

トータルステーションは、電子距離測定技術と角度測定、および三角関数を組み合わせて対象までのポイントを測量します。トータルステーションを用いた測定では、幾何学と三角関数の原理に基づいています。

1. 角度の測定

トータルステーションは、まず水平角と鉛直角を測定します。通常、以下の2つの要素を使用します。

  • 水平角
    トータルステーション自身と対象のポイントの水平角度を測定します。通常は、水平円盤やエンコーダを用いた検知です。
  • 鉛直角
    トータルステーションの光学軸 (視線) と対象ポイントへの視線の間の鉛直角も測定します。硬度を計算するためのパラメータです。

2. 距離の測定

図1. トータルステーションによる距離の測定

トータルステーションは、電子距離測定技術を使用して、対象ポイントまでの距離 (斜距離) を測定します。代表的に使用されるのは、赤外線やレーザーなどによる光パルスです。

光パルスが対象に到達して、戻ってくるまでの時間を測定します。戻ってくるまでの時間を光の速度で割ることで、トータルステーションから対象ポイントまでの距離 (斜距離) が導出可能です。

3. 三角関数を使用した計算

図2. トータルステーションと三角関数

トータルステーションは水平角、鉛直角、斜距離を使用して、対象ポイントの座標が計算可能です。この計算には、基本的な三角法が必要なります。

水平距離は、水平角を斜距離で割ることで求められます。高低差は、鉛直角−90度を斜距離で割ることで求められます。

4. データの記録

計算された座標 (緯度、経度、標高) はトータルステーションのメモリに記録されます。一部のトータルステーションでは、座標データをパソコンなどの外部デバイスへリアルタイムで転送することも可能です。

トータルステーションのその他情報

トータルステーションのICT活用

図3. トータルステーションの活用例

近年、建設分野において、ICT (Information and Communication Technology、情報通信技術) 活用の取り組みが推進されるようになりました。建設プロジェクトの計画、設計、および管理に必要不可欠な現場の情報を効率的にかつ正確に収集することが、トータルステーションの役割です。

1. 現場の評価と測量
建設プロジェクトの初期段階でトータルステーションは活用され、建設現場を測量します。現地の地形をマッピングし、土地の特徴に関するデータを収集、基準点の設定です。

2. 正確なレイアウト
ICTを活用した現場においては、トータルステーションの活用のために、通信機器、ネットワークの構築が必要です。通信塔、データセンター、ネットワーク機器など、ICTに関するインフラコンポーネントを正確にレイアウトさせます。最適なネットワークのパフォーマンスを確保することが目的です。

3. 竣工図の作成
建設が完了した後、トータルステーションは竣工図を作成するために使用されます。ICTのインフラコンポーネントや各測定点の座標が含まれており、将来のメンテナンス性を向上させます。

4. 品質の管理
トータルステーションは、施工中の状況を監視可能です。設計図との不一致を建設中の早い段階で特定し、修正できます。

5. プロジェクトの管理
GPSのリアルタイムデータと進捗状況の提供を通じてプロジェクト管理が可能です。施工管理者は、建設の進捗をモニタリングし、進捗情報を収集、プロジェクト計画の修正などに寄与します。

参考文献
https://www.rentalsurvey.jp/topics-menu/topics-top03.html
https://note.com/tkc_exp/n/na41862965497
https://www.cbr.mlit.go.jp/kensetsu-ict/model/pdf/GNSS-youryou_chigai.pdf

トーションスプリング

トーションスプリングとは

トーションスプリング

トーションスプリング (英: Torsion Spring) とは、回転運動によって力を生じさせるばねです。

日本語ではねじりコイルバネとも呼ばれるコイルばねの一種です。回転軸周りのトルクを加えると、弾性変形を起こして反作用トルクを発生させます。螺旋状の形状であるため、空間効率が高い点が特徴です。比較的小さなサイズで大きなトルクを発生させることができます。

トーションスプリングの使用用途

トーションスプリングは、幅広い用途で使用されており、身近な物ではペーパークリップや洗濯ばさみに使用される場合があります。

1. 自動車産業

自動車産業では緩衝機構 (サスペンション) やドアヒンジとして用いられます。特に、ドアヒンジのトーションスプリングは、ドアを開いた状態で安定した位置に保持する役割を担っています。コンパクトな構造で反力を得られるため、スペース効率とコストから選定されます。

2. 建築業界

建築業界では、ドアヒンジや窓枠、ガレージドアなどにも使用されています。特に、大きなガレージドアを開閉するためのスプリングとして、非常に重要な役割を果たしています。クローゼットのドアなど家具にも広く使用されています。

3. その他

その他、医療業界における医療機器のベッドや手術台など、様々な箇所で使用されます。私たちの生活や産業に欠かせない重要な部品の一つです。

トーションスプリングの原理

トーションスプリングは回転運動によって力を生じさせるばねの一種です。トーション (捻れ) を利用して、トルクを発生させます。螺旋状に巻かれたワイヤーで構成され、螺旋状の形状を維持するために一端または両端がフック状に曲げられています。

トーションスプリングは、回転軸周りに適用されたトルクに応じて変形します。トルクが作用するとワイヤーが捻れ、弾性的な力を発生させます。この弾性力はトルクがかかっている方向に逆向きの反作用トルクを発生させ、トーションスプリングを元の形状に戻そうとします。

トーションスプリングのトルクは、以下の式で表されます。

  T=kθ

Tはトルク、kはトーションスプリングの剛性係数、θはトーションスプリングの捻れ角度を表します。トルクと捻れ角度は比例し、トーションスプリングの剛性係数が大きいほど、同じ角度でより大きなトルクが発生します。

トーションスプリングの種類

トーションスプリングは使用環境に応じて素材の種類が選定されます。一般的には安価なスチール製が使用されますが、耐食性を持たせる場合はステンレス鋼が使用される場合があります。トルクを向上させたい場合はニッケルチタン合金なども使用されます。

また、航空産業や自動車産業など、非常に高い強度と耐食性が要求される部門ではタングステン合金製も製作されます。高温や腐食性のある環境で使用されることが多く、医療機器や宇宙船などの高度な技術が必要な場合に使用されます。

また、トーションスプリングには構造に応じていくつか種類が存在します。以下はトーションスプリングの種類一例です。

1. 傾斜巻きトーションスプリング

ワイヤーを斜めに巻いたトーションスプリングです。通常のトーションスプリングよりも大きなトルクを発生させることができます。大きなトルクが必要な自動車のサスペンションやドアヒンジ、建築材料などに使用されます。

2. ダブルトーションスプリング

二つのトーションスプリングを同時に使用したスプリングです。より高いトルクを発生させることができます。両端に直線状のアームを持つ構造です。ダブルトーションスプリングは、大型ドアなどの、より大きなトルクが必要な場面で使用します。

3. ミニチュアトーションスプリング

小型に製作されたトーションスプリングです。直径が数ミリメートル以下の製品も販売されています。腕時計や電子機器などの小型機器で使用されます。

非常に小さいため、細いワイヤーを使用して製造されます。非常に高い精度が必要であり、製造には非常に高度な技術が必要です。小さなスペースに収まるように設計されており、非常に小さなトルクを発生させることが可能です。

参考文献
https://www.aoi-spring.co.jp/technology/twist/

チューブライト

チューブライトとは

チューブライト

チューブライトとは、透明で柔らかいチューブ内に多数のLED電球を連ねた照明器具です。

ロープライトとも呼ばれます。柔らかいチューブで電球が覆われているため、非常に耐久性に優れている点が特徴です。様々な光の強さ・色の製品が販売されており、発光パターンも選定することができます。

通常は耐候性があり、屋内外の様々な環境で使用することが可能です。LED自体も寿命が長く、数千時間以上持続します。一般的に取り付けが容易なため、仮設照明や注意表示として使用されることがあります。

チューブライトの使用用途

チューブライトは、様々な用途で使用されます。以下はその一例です。

1. 工事現場

工事現場では夜間や暗い場所での作業が必要な場合があります。チューブライトは工事現場での作業照明として活用されます。構造物の周囲に巻き付けたり、足場に取り付けたりして、作業エリア全体を均一に照らすことが可能です。

また、チューブライトは安全灯として使用される場合も多いです。道路工事などにおいて、工事区画のフェンスをチューブライトで覆うことがあります。これにより、車両の接触事故などを防止することが可能です。

2. 商業施設

店舗やショーウィンドウのディスプレイを引き立たせるためにチューブライトが使用されます。商品や特定のエリアを照らすことで、顧客の注意を引き、商品の魅力を高めます。
また、商業施設内のアクセント照明として、特定のエリアや商品を強調するために配置する場合があります。

3. イベント会場

イベント会場ではチューブライトが装飾として幅広く活用されます。パーティーやコンサートなどのイベントでは、会場内の装飾品などにチューブライトを取り付けて、雰囲気を演出します。舞台イベントなどのパフォーマンスでは色や明るさを調整して演出を加え、雰囲気を高めることもあります。

チューブライトの原理

チューブライトは柔らかい透明なチューブにLEDチップを一定間隔で埋め込み、配線とともに密封したライトです。チューブでLEDチップを覆っているため、耐久性に優れています。チューブは一般的にプラスチックまたはゴム製で、耐久性や防水性を向上させるために加工されることもあります。

チューブライトの核となるのは複数のLEDチップです。これらのLEDチップは発光ダイオードとして知られる半導体デバイスで、電気が通過すると光を放出します。内部配線によって、電源からLEDへ電力が供給されます。

上記の構造からチューブライトは柔軟性があるため、自由な形で設置することが可能です。看板のロゴなどの形に合わせて使用することができます。コンセントプラグなどを付属する製品も販売されており、簡単に給電することができます。

チューブライトの選び方

チューブライトを選ぶ際は、考慮すべき要素がいくつが存在します。以下はその選定要素一例です。

1. 発光色

チューブライトは様々な発光色の製品が販売されてます。一般的なオプションには、暖かみのある温白色からクールな白色、またはカラフルなRGBなどがあります。照明の用途や雰囲気に合わせて、適切な発光色を選択することが重要です。

2. 発光パターン

チューブライトの発光パターンは、一般的に均一な照明や点滅、フラッシュ、フェードなどがあります。また、一部のチューブライトには、色や明るさを変更することができるプログラム機能が搭載されています。照明効果や装飾効果を考慮して、適切な発光パターンを選択することが必要です。

3. 寸法

チューブライトは様々な長さ・直径で購入することができます。設置する場所や使用目的に合わせて、適切な寸法を選択します。また、柔軟性があり、必要な形状に合わせて切り離し・連結することができる製品も販売されています。

4. 電源

チューブライトの電源には、直流電源や交流電源などがあります。直流電源のチューブライトはバッテリーでの駆動が可能であり、交流電源の製品はコンセント電源などを使用することが可能です。一部のライトには電源アダプターやバッテリー駆動のオプションもあるため、設置場所や使用方法に応じて適切な電源の製品を選択します。

参考文献
https://www.sparkling-lights.jp/product/led-rope-light/
https://www.otsuka-shokai.co.jp/products/led/knowledge/lighting/tubelight.html

チップトレイ

チップトレイとはチップトレイ

チップトレイとは、ウエハチップやプリズム、レンズ、水晶などの様々なチップ状部品を入れるための容器です。

半導体製品やガラス製品など、ほこりの付着や微小な傷が大きなダメージとなる製品をチップトレイに入れることで、これらの製品の機能性を損なうことなく保管・運搬することができます。

また、チップトレイは内部が区分けされているために、運搬中の内容物同士の衝突による破損や混合し見分けがつかなくなるなどの問題を解消することができます。

チップトレイの使用用途

チップトレイは区分けされたケース内にチップ状の製品を保管することによって、製品をほこりの付着が傷の発生などから保護することができます。

したがって、半導体に使用されるシリコンウエハを切断したウエハチップや半導体チップ、精密機器に使用されるボールレンズや半球レンズの保管容器として使用されています。

これらの製品は清浄化管理された空間であるクリーンルーム内で生産されるものが多く、次工程への搬送や出荷などのためにクリーンルーム外に持ち運ぶ際に、チップトレイに保管して運搬します。

チップトレイの原理

ウエハチップや精密機器用ガラスレンズなどチップトレイで保管する製品はほとんどが微小な傷でも付けてはいけない製品であるため、チップトレイには比較的柔らかく繊維などのくずが発生しにくい材料であるプラスチックが使用されます。

また、チップトレイで保管する部品には半導体製品などの電気的に繊細な製品が数多くあります。これらの製品はトレイ内に蓄積された静電気によって故障してしまう可能性があるため、プラスチックの中でも静電気が蓄積しにくい導電性のポリスチレンや帯電防止のABSなどが使用されます。

使用環境によって耐熱性が必要な場合にはベークライトやカーボンファイバーを用いたり、紫外線を嫌う製品を保管する場合には黒色にしたりと様々な材質・色のチップトレイが製造されています。

クリーンルーム内で使用されることが多いことから、予めクリーンパック(クリーンルーム内で製造および真空パックした状態で出荷)されたチップトレイ製品も多くあります。

参考文献
https://www.kyokutos.co.jp/product/semiconductors/tabid/187/Default.aspx
https://www.yamato-material.co.jp/electronics/tray/
https://shinon.co.jp/jp/products_03/

チェーンゲート

チェーンゲートとは

チェーンゲート

チェーンゲートとは、金属製のチェーンを使用したゲートです。

チェーンゲートは比較的簡単に取り付けることができ、操作も容易です。従来の鉄格子ゲートよりも簡単に導入することができます。したがって、駐車場や商店、一般家屋に広く利用されています。

チェーンゲートを施錠すると、外部からの不正侵入を防ぐことが可能です。これにより、建物や店舗のセキュリティを向上させ、盗難や犯罪行為から保護します。鉄製の素材を使用しているため、耐久性がある点も特徴の一つです。

チェーンゲートの使用用途

チェーンゲートは様々な用途で使用されています。以下はその一例です。

1. 駐車場

夜間や営業時間外に駐車場の出入口にチェーンゲートを設置することで、不正な車両の侵入を防ぎます。特に有料駐車場やセキュリティの重要性が高い駐車場では、チェーンゲートを使用することが多いです。管理者用駐車場へのアクセスを制御する場合にも利用されます。

2. 店舗

店舗の営業時間外に出入口にチェーンゲートを設置することで、不正侵入や窃盗を防ぎます。特に高価な商品や貴重品を扱う店舗では、セキュリティのために重要です。

また、特定の商品展示エリアにアクセスを制限するために、チェーンゲートが使用されることがあります。特に高価な商品や盗難のリスクが高い商品を展示している場合に有効です。

3. 一般家屋

一般家屋では、玄関や庭先にチェーンゲートを使用することがあります。家屋のセキュリティを向上させ、不正侵入を防止します。プールやガレージなどにチェーンゲートを設置することで、子供やペットの安全を確保することも多いです。

チェーンゲートの原理

チェーンゲートは、フレームやチェーン、施錠機構などで構成されます。

フレームはチェーンを支持する構造部品です。一般的には鋼鉄が使用され、強度や耐久性を確保します。矩形や正方形の形状をしており、チェーンが取り付けられる場所として機能します。

チェーンはゲートを開閉するための部品です。一般的には鋼鉄や合金が使用されることが多く、これによって強度や耐久性が確保されます。フックやボルトなどによってフレームに付属するバーに固定します。

施錠機構はチェーンを開閉する機構部です。機械式の鍵またはキーカードを使用して開錠・施錠を制御します。これらの構造要素が組み合わさって、チェーンゲートは効果的なセキュリティ製品として機能します。

チェーンゲートの種類

チェーンゲートはサイズに応じて用途が異なります。小型なタイプは小規模の駐車場やマンションに向いています。また、大型タイプは公団住宅や大規模駐車場向けです。

また、動作方法などに応じてもいくつかの種類に分かれます。以下はその一例です。

1. 手動チェーンゲート

手動チェーンゲートは人が手で操作して開閉するチェーンゲートです。チェーンを引っ張ることでゲートが開き、たたむことで閉じます。施錠機構には一般的に南京錠などを使用して手動で操作します。

手動チェーンゲートは操作がシンプルであり、電源や電気が不要なため、信頼性が高いです。また、手動であるため、停電や電源の問題があっても使用できます。

2. 自動チェーンゲート

自動チェーンゲートは電動機構によって開閉するチェーンゲートです。センサーやリモコンなどの装置を使用して、遠隔操作で開閉することができます。施錠機構も電子的部品が使用され、リモコンやキーパッドで施錠・解錠されます。

利便性が高く、遠隔操作が可能です。自動システムに組み込むこともできます。また、セキュリティ機能も高いです。

3. 可動式チェーンゲート

可動式チェーンゲートは必要に応じて移動可能なチェーンゲートです。車輪が取り付けられたフレームにチェーンが取り付けられており、自由に移動させることができます。
柔軟性が高く、必要に応じて移動させることができるため、一時的な通路や車両の出入り口などに適しています。

参考文献
https://www.ctmachin.co.jp/product/chain_gate/

チェスカチェア

チェスカチェアとは

チェスカチェア

チェスカチェアとは、ハンガリー出身の建築家でありデザイナーでもある、マルセル・ブロイヤー(Marcel Breuer1902年〜1981年)によってデザイン及び設計された、カンティレバーチェア(片持ち式の椅子)のことを示しています。

チェスカチェアの、「チェスカ」とは、マルセル・ブロイヤーの愛娘である、フランチェスカの名前より来ています。

このチェスカチェアは、1本のスチールパイプのみで形成された基本構造を基に、籐張りの背もたれ及び座面を組み合わせて製造しますが、これは腰掛けたときに適度な弾力をもたらす、「世界で最も有名な金属椅子」の1つとなっています。

チェスカチェアの使用用途

チェスカチェアが世界に公表されたのは1929年のことですから、それから90年以上経った現代においても、カンチレバー構造の名作な椅子として、様々な利用シーンで用いられており、「最も有名な金属製チェア」の1つにも数えられるほどの作品です。

利便性が高く、座り心地の良い椅子として、住宅だけでなく、オフィスなどでも、会議室などの様々な場所で用いられています。

チェスカチェアの原理

チェスカチェアは、後脚のないカンチレバー構造をしており、この椅子に腰を下ろした際の適度な弾力性があることで、快適な座り心地を可能にしていますし、この一本の屈強なスチールパイプが座った人の体重を支えます。

このチェスカチェアにおいて、1本のスチールパイプを曲げて椅子にするという、斬新なデザインは、世界的にも工業デザインの代表作と認知され、称賛を浴びることとなります。

チェスカチェアのオリジナルが誰かという裁判において、マルセル・ブロイヤーはオランダのデザイナー マルト・スタムに負けており、世界的にはマルト・スタムのものがオリジナルとされています。

ただし、チェスカチェアはその後、リプロダクト品が何度も製造されており、今日でも使われていることからも、優れたデザインであることは間違いないと言えるでしょう。

チェスカチェアの正規品としては、TOHNET(トーネット)が一番有名とされています。

パイプの硬質な質感及び籐の優しい質感が調和した、このチェスカチェアは、ナチュラルな木の空間だけでなく、ガラスや金属を多用したモダンな空間や、ダイニングや、ワークスペースなどの幅広く様々な空間に調和することが可能です。

参考文献
https://high-brands.com/interior-product.php?id=156
https://www.homes.co.jp/words/t2/525002912/
https://ogitaka.com/2019/08/17/cesca-chair/

タンクコンテナ

タンクコンテナとは

タンクコンテナ

タンクコンテナとは、液体や気体を輸送するタンク型の容器です。

タンクコンテナは、主にISO規格に基づいた輸送用のコンテナを指します。ISOのタンクコンテナは、規格に基づいて設計・製造され、安全性も非常に高く、海外への輸送も可能です。

一般的なドライコンテナなどと大きく異なっており、タンク本体を外枠で支える構造をとっています。20ftサイズのドライコンテナと外寸が同じであり、コンテナ輸送用のトラックシャーシに積載して、運搬が可能です。

タンクコンテナの使用用途

タンクコンテナでは、果汁や天然水、ワイン、醤油などの食品や、パーム油や牛脂などの食品の原料、及び医薬品などが輸送可能です。そして、液体化学製品や石油原料などの危険物まで、液体であるものなら、何でも対応できます。

また、タンクコンテナの中には、アルゴン、炭酸ガス、エタンなどのガスを輸送可能なものもあります。

そのため、タンクコンテナは液体を輸送する運送会社や船会社だけでなく、食品会社、化学品会社などでも使用されます。

タンクコンテナの原理

タンクコンテナは、強度が大きいフレームの中に固定されたものです。そのため外力による損傷などの発生がなく、安全です。ISO規格では、厳しい試験が必要で、安全面で安心して使用できます。

タンクローリーとは異なり、一定量毎に内部が仕切られておらず、1室構造になっていため、積み荷の積み降ろしや洗浄が容易です。

液体の充填、排出や保全などに必要な付属設備を全て完備しているため、安全に取り扱うことが可能です。また、輸送中の品質保持も万全で、積み替えなしのシームレスにドアからドアへの輸送が可能になります。さらに、ISO規格に準拠しているため、利用側で特別な器具を設置する必要はなく、充填や荷降ろし可能なため、労務時間及びコストも削減可能になります。

タンクコンテナの種類

ISO規格のタンクコンテナの容量・サイズは、次の通りです。

容量は、11~14kl、17.5kl、21~26kl、サイズは外寸で、長さ6,058mm、幅2,438mm、高さは11~14klが1,980mm、17.5klが2,438mm、21~26klが2,591mmです。自重は、約2,800~3,890kgであり、仕様により差異があります。

以下の例のような、特殊仕様のタンクコンテナもあります。

  • ガスコンテナ:ASME (アメリカ機械学会) 規格、LNG・LPGなど
  • アスファルトコンテナ
  • 左右配管仕様のコンテナ
  • 温度制御機器付きコンテナ

タンクコンテナのその他情報

1. タンクコンテナ導入のメリット

ISO規格のタンクコンテナは、安全性が高く、世界各国へ輸送ができます。

路上・鉄道・船上の複合一貫輸送に対応が可能で、一時保管にも使用できます。積み替えなしで、ドアからドアまで運べます。

一度に大量輸送が可能です。例えば、26klのタンクなら、ドラム缶130本分の液体が輸送できます。

環境に優しい輸送機器です。パレットや梱包材などが不要です。コンテナはフレームに固定されており、積み重ねて輸送や保管が可能です。

2. タンクコンテナの運用上の注意

ISO規格のタンクコンテナは、2.5年毎に中間検査をし、5年毎に定期検査の受検が必要です。

コンテナの充填率は、80~95%にします。これはIMDG (国際海上危険物規定) に定められています。充填率が80%以下の場合は、タンク内部に防波板が必要です。

タンクコンテナは、フォークリフトでの運用はできません。

3. タンクコンテナによる危険物輸送

危険物の海外輸送には、国際連合が定める「危険物輸送に関する勧告」 (通称オレンジブック) があります。

オレンジブックに定められているのは、危険物の運送で使用すべき品名・国連番号 (UN番号) 、クラスごとに表示すべきラベル (標札) 、国連分類、輸送用容器 (包装・梱包方法) に関する要件などです。

例えば、国連番号は、物質に番号が付けられており、「UN○○○○」と表示します。これにより、世界各国で物質が何かを知ることができます。

参考文献
https://www.nissin-tw.com/service/tank/transport/
https://www.ef-international.com/tank-container/tank-container.html
http://www.tanksystem.co.jp/service/iso.htm

タキステップ

タキステップとは

タキステップとは、階段用の遮音性と防滑性に優れた床材で、階段での滑りによる転倒事故を防ぐ効果を持つ製品です。

この床材は雨水への耐性も兼ね備えており、耐候性にも優れています。施工の容易さもタキステップの大きな利点の一つです。さまざまな場所に適応できる汎用性を持ち、モルタルや平鋼板の下地にも取り付けることができます。

さらに、廊下部分との色相を合わせることができ、高級感を演出する仕上がりを実現可能です。タキステップは機能性と美観を兼ね備えた階段床材として、広く利用されています。

タキステップの使用用途

タキステップは、遮音性と防滑性を備えた階段用床材であり、マンションやアパートのような建物の屋外及び屋内階段に最適です。モルタルや平鋼板製の階段に使用できる素材で、特に屋外の鉄骨階段においてその価値を発揮します。

鉄板の隙間から雨水が侵入し、錆や老朽化を進行させるのを防ぐために、タキステップを装着することで雨水の侵入を効果的に抑制し、階段の老朽化を防ぐ効果があります。このようにタキステップは、階段の安全性と耐久性を高めるために使用される床材です。

タキステップの原理

タキステップは、その凹凸面と階段の端に設置される滑り止めにより、防滑効果を発揮し、転倒事故を抑制できます。装着によって遮音効果もあり、階段を歩く際の騒音を減少させることが可能です。

モルタルをカバーすることで耐水性を向上させ、複層シートによる厚い皮膜が長期にわたり耐摩耗性と耐水性を保持します。タキステップの設置は工期が短く、コストも従来の水侵入防止工事と比較して大差ないため、効率的です。

さらに、選べるカラーリングやデザインで建物の外観を向上させる視覚的メリットもあります。ただし、タキステップはシート材であるため、階段の下地の凹凸や勾配はそのまま反映されます。

下地調整工事で完全には補えない場合、不均一な表面が残ることがあり、既にモルタルが劣化して大きな凹みがある場合は、水溜りができるリスクがあります。以前は床に侵入していた雨水が逃げ場を失い、水溜りとして現れることで、実際には雨水の侵入を防いでいることになります。

タキステップの種類

タキステップは、階段の安全性と美観を向上させるための床材として、様々な種類が開発されています。これらの種類は、使用場所や目的、デザイン要求に応じて選択されます。

  • 滑り止め機能タイプ
    階段の表面に細かな凹凸や特殊加工を施し、滑りにくい設計が特徴です。特に公共施設や学校、病院、老人ホームなど、安全性が最優先される場所での使用に適しています。滑り止め機能を強化することで、転倒事故のリスクを減少させ、すべての年齢層が安心して利用することができます。
  • 防音性能タイプ
    階段の歩行音や騒音を軽減することに特化したタイプです。材質や構造が工夫されており、特に集合住宅やオフィスビルなど、騒音が問題となりやすい環境での利用に最適です。快適な居住空間や働く環境を実現するために貢献します。
  • 耐久性タイプ
    高い耐久性を誇るタキステップは、人通りが多い場所や荷物の運搬が頻繁に行われる場所での使用に最適です。耐摩耗性や耐候性に優れ、長期間にわたりその機能性を保持します。屋外の鉄骨階段など、厳しい条件下でも優れた性能を発揮します。
  • 装飾性タイプ
    階段の見た目を美しくするためにデザインされたタイプです。カラーバリエーションやパターンの選択肢が豊富で、建物の外観や内装に合わせて選ぶことができます。機能性だけでなく、空間の美観を高めることも重視される場所での使用に最適です。
  • 耐水性タイプ
    水や湿気に強いタキステップは、雨水が頻繁にかかる場所や湿度が高い環境での使用に適しています。水の浸透を防ぎ、階段の材質を保護することで、老朽化を防ぎます。

参考文献
https://www.takiron-ci.co.jp/product/product_04/detail.php?n=21%E3%82%BF%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%83%E3%83%975W
https://www.m-neko.com/resurrection/takistep/

センターサイディング

センターサイディングとは

センターサイディングとは、表面材及び裏面材に、断熱材を一体にして成型した、高機能金属製外壁材のことを言います。

センターサイディングは、非常に耐断熱性に優れ、また非常に高い耐久性を誇る、3層構造の外壁材です。

表面材には、塗装耐食性GLめっき鋼板(溶融55%アルミニウム亜鉛合金めっき鋼板)、断熱材には硬質ウレタンフォームもしくはイソシアヌレートフォーム、裏面材には輻射熱を反射するアルミラミネート加工紙が用いられています。

センターサイディングの使用用途

センターサイディングは、金属製外壁材で、住宅や会社の建物の外壁に用いられ、新築時や、リフォーム時に採用されることが多いです。

金属製の外見は、和風の住宅にも、洋風の住宅にも馴染みます。

センターサイディングは18mm程度の厚みを誇り、これは芯材である断熱材によるものであり、高い断熱性、遮音性に優れていて、住宅用途に特に適していると言えます。

センターサイディングの原理

センターサイディングの表面材の塗装高耐食GLメッキ鋼板のメッキ層は、亜鉛がリッチな層が、アルミニウムがリッチな層を、網目状に囲い込んだ構造をしています。

こうすることにより、亜鉛の犠牲防食作用及び、アルミニウムの不動態保護作用を最大限に機能させることによって、メッキ層の組成で、非常に優れた耐食性を発揮可能にします。

表面材の塗装高耐食GLめっき鋼板は、鋼板の端部においても、高い耐久性を発揮可能です。

一方で、センターサイディングに用いられている断熱材は、断熱性及び遮音性に優れた硬質ウレタンフォーム及びイソシアヌレートフォームです。

この断熱材と、裏面材のアルミラミネート加工紙が実現する、輻射熱を反射させる機能が合わせて作用することで、高い断熱性を発揮可能にします。

更に、断熱材が入るセンターサイディングは、重ね張りリフォームすることで住宅の機密性も高めることが可能で、遮音性に関しても有利です。

重ね張り工法による、センターサイディングのリフォームでは、既存の外壁と新しいセンターサイディングの外壁の2重構造によって、より高い断熱性や、耐久性や、遮音性を得ることが可能になります。

参考文献
http://www.nichiha.co.jp/center-siding-roof/centerSiding.html#about

セルフレベリング材

セルフレベリング材とは

セルフレベリング材

セルフレベリング材とは、石膏またはセメント系の自然流動材のことです。

セルフレベリングは日本語で自己水平性と訳され、別名レベラーとも呼ばれます。

流し込むだけで水平で均一なレベルを形成する特徴を持ち、セルフレベリング材と同様の役割を持つモルタルと比較すると画期的な床材です。

モルタルは職人の熟練度によって仕上がりに大きく差が出るのに対し、セルフレベリング材は流し込んだ後にトンボで慣らすことによって、平滑な床下地を素早く完成させることが可能です。

セルフレベリング材の使用用途

セルフレベリング材は床下地を平滑なコンクリート面で整える際に使用します。

導入する場所はビル、マンション、学校、病院、フォークリフトなどの重量車両が走行する工場や、駐車場、食品工場、厨房、屋上防水地下などが挙げられます。タイルなどの張り物等の仕上げ材を張る前段階において、施工する地下調整でも用いられます。

同様の役割をするモルタルと比較すると、材料費はセルフレベリング材の方が高いですが、工期が短いためコストを抑えることができます。

ただし、セルフレベリング材は1回の施工で厚みを取ることが難しく、20mm以上の場合は重ねがけが必要になります。その際はモルタルの方が適しています。

セルフレベリング材の原理

セルフレベリング材を用いたセルフレベリング工法の原理は、床面に流し込まれた石膏及びモルタルをスラリー (懸濁液) 状の液体が自然に流動することで平滑な床面を形成できるものです。

セルフレベリング工法は、次のような工程を辿って実行されます。

1. 施工前準備

施工前準備として、レベルチェックと墨出しを行います。墨出しとは、柱の中心線や壁の仕上げ面の位置など、水平位置や中心位置となる基準線を書き出す作業のことです。 材料のセルフレベリング材が外部に漏れ出していかないように、モルタルなどで隙間を埋めて直射日光や風を防ぎます。

2. 下地の下処理

下処理として特殊なブラシを用いて下地を清掃します。レイタンスや油分や突起物などの処理をすることにより、セルフレベリング材と床がよく接着可能になるようにします。

3. プライマー塗布

プライマを塗布し乾燥させることで、床下面に接着性を持たせます。プライマーとは、塗料の食いつきが悪い材料の接着性を高めるために塗る下地塗料のことです。

4. セルフレベリング材打設

上記の前準備を終えたらセルフレベリング材を流し込んでいきます。レベリング材を流す際に、波紋や躯体から発生する気泡が形として残ることがあるため、必要に応じてトンボなどを用いて均します。

細部はコテを使用して墨やレベルポイントに合わせていきます。静かにかつ速やかに、そして均一になるように流し込んで仕上げます。

5. 養生・乾燥

仕上げレベルまで打設が完了したら養生期間に入ります。硬化するまでは急激な乾燥を避けて行います。窓を閉めて通風を止め、風によって起こる表面のシワを抑えます。

硬化が完了したセルフレベリング材はまだ水分過多の状態のため、硬化を確認したら窓を開け通風を良くして乾燥を促します。

6. 仕上げ検査および手直し

最後に完成前検査として、歩行が可能となった後にレベルの検査を行います。取りあい部分や打ち継ぎ、高低差が生じていないか等全ての箇所の確認を行います。打ち継ぎ部の段差や、気泡など生じた場合は修正処理が必要です。

セルフレベリング材の種類

セルフレベリング材は、石膏系とセメント系の2つに分類することができます。

1. 石膏系セルフレベリング材

水和反応による硬化中に膨張・収縮しないという性質があります。石膏を主成分とした製品で寸法安定性が高く、浮きやクラックが発生しにくいです。

2. セメント系セルフレベリング材

セメント系には高強度を特長とするものが多くあり、一部は外部使用が可能です。硬化後は水にも強い特徴があります。建築工事標準仕様書 (JASS) に記載されている品質基準では、表面接着強度、下地接着強度および圧縮強度が石膏系製品の各基準よりも高く設定されています。

参考文献
https://www.fa-concrete.com/topics/column/
https://www.fa-concrete.com/self.html
https://sekokan-navi.jp/magazine/skk_words/