トーションスプリング

トーションスプリングとは

トーションスプリング

トーションスプリング (英: Torsion Spring) とは、回転運動によって力を生じさせるばねです。

日本語ではねじりコイルバネとも呼ばれるコイルばねの一種です。回転軸周りのトルクを加えると、弾性変形を起こして反作用トルクを発生させます。螺旋状の形状であるため、空間効率が高い点が特徴です。比較的小さなサイズで大きなトルクを発生させることができます。

トーションスプリングの使用用途

トーションスプリングは、幅広い用途で使用されており、身近な物ではペーパークリップや洗濯ばさみに使用される場合があります。

1. 自動車産業

自動車産業では緩衝機構 (サスペンション) やドアヒンジとして用いられます。特に、ドアヒンジのトーションスプリングは、ドアを開いた状態で安定した位置に保持する役割を担っています。コンパクトな構造で反力を得られるため、スペース効率とコストから選定されます。

2. 建築業界

建築業界では、ドアヒンジや窓枠、ガレージドアなどにも使用されています。特に、大きなガレージドアを開閉するためのスプリングとして、非常に重要な役割を果たしています。クローゼットのドアなど家具にも広く使用されています。

3. その他

その他、医療業界における医療機器のベッドや手術台など、様々な箇所で使用されます。私たちの生活や産業に欠かせない重要な部品の一つです。

トーションスプリングの原理

トーションスプリングは回転運動によって力を生じさせるばねの一種です。トーション (捻れ) を利用して、トルクを発生させます。螺旋状に巻かれたワイヤーで構成され、螺旋状の形状を維持するために一端または両端がフック状に曲げられています。

トーションスプリングは、回転軸周りに適用されたトルクに応じて変形します。トルクが作用するとワイヤーが捻れ、弾性的な力を発生させます。この弾性力はトルクがかかっている方向に逆向きの反作用トルクを発生させ、トーションスプリングを元の形状に戻そうとします。

トーションスプリングのトルクは、以下の式で表されます。

  T=kθ

Tはトルク、kはトーションスプリングの剛性係数、θはトーションスプリングの捻れ角度を表します。トルクと捻れ角度は比例し、トーションスプリングの剛性係数が大きいほど、同じ角度でより大きなトルクが発生します。

トーションスプリングの種類

トーションスプリングは使用環境に応じて素材の種類が選定されます。一般的には安価なスチール製が使用されますが、耐食性を持たせる場合はステンレス鋼が使用される場合があります。トルクを向上させたい場合はニッケルチタン合金なども使用されます。

また、航空産業や自動車産業など、非常に高い強度と耐食性が要求される部門ではタングステン合金製も製作されます。高温や腐食性のある環境で使用されることが多く、医療機器や宇宙船などの高度な技術が必要な場合に使用されます。

また、トーションスプリングには構造に応じていくつか種類が存在します。以下はトーションスプリングの種類一例です。

1. 傾斜巻きトーションスプリング

ワイヤーを斜めに巻いたトーションスプリングです。通常のトーションスプリングよりも大きなトルクを発生させることができます。大きなトルクが必要な自動車のサスペンションやドアヒンジ、建築材料などに使用されます。

2. ダブルトーションスプリング

二つのトーションスプリングを同時に使用したスプリングです。より高いトルクを発生させることができます。両端に直線状のアームを持つ構造です。ダブルトーションスプリングは、大型ドアなどの、より大きなトルクが必要な場面で使用します。

3. ミニチュアトーションスプリング

小型に製作されたトーションスプリングです。直径が数ミリメートル以下の製品も販売されています。腕時計や電子機器などの小型機器で使用されます。

非常に小さいため、細いワイヤーを使用して製造されます。非常に高い精度が必要であり、製造には非常に高度な技術が必要です。小さなスペースに収まるように設計されており、非常に小さなトルクを発生させることが可能です。

参考文献
https://www.aoi-spring.co.jp/technology/twist/

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