エレベーターシステム

エレベーターシステムとは

エレベーターシステムとは、エレベーターの安全運用を目的として遠隔監視などの役割を担う通信システムです。

従来のエレベーターの保守は、人力での通報・監視・点検保守に頼る部分が大部分でした。ネットワーク・IoTを活用した現在のエレベーターシステムにおいては、エレベーターとサービス拠点との通信を利用し、自動での異常検知並びに報告・自動点検・遠隔復旧などを行うことが可能となります。

エレベーターシステムの使用用途

エレベーターシステムは、主にエレベーターの安全運用と保守管理を目的として導入されています。エレベーターの状態を、サービス拠点 (管制センター) に逐次送信するとともに、トラブル発生時にはエレベーター内の利用者と音声通話を行うことも可能です。災害時などの緊急停止の際、オペレーター側から利用者に外部の状況など、情報提供を行うこともできます。エレベーターの安全運用のため、備えられている主な機能は下記の通りです。

  • 平常時の運行状況・機器状況の遠隔監視
  • 緊急停止などの際におけるオペレーターへの自動通報
  • 緊急時などにおけるエレベーター内とオペレーターとの音声通話
  • トラブル時の遠隔復旧・遠隔救出
  • 自動点検・機器変調の診断
  • 運行データの収集・解析

エレベーターシステムの利用によって遠隔で利用状況を知ることができるため、現地確認・点検などのコストを削減することができるというメリットがあります。また、現地での作業員対応が必要なトラブルの場合も、遠隔監視システムで予め情報を得てから出向くことができるので、作業時間の短縮・作業の効率化に繋がります。

また、機器による遠隔監視・点検により、ドアの開閉状態や開閉に関わるベルトの緩みなどを目視よりも更に細かく正確に定量することが可能です。目視で点検ができない部分についても、点検が可能になる場合があります。そのため、エレベーターシステムの導入により、異常の早期発見精度が向上するという効果もあります。

エレベーターシステムの原理

1. 構成

エレベーターシステムは、エレベーターに設置する「デバイス」、エレベーターとサービス拠点を繋ぐ「ネットワーク」、データを蓄積する「クラウド」の要素から構成されます。

デバイスは、エレベーターに付属している各種の監視装置・センサーに接続しており、ネットワーク経由でサービス拠点とやり取りします。緊急通報用のスイッチがついており、非常時には音声通話機能を備えます。

使用されているネットワークは、PHSや公衆電話回線、ISDN、LTEなどです。近年、高速・大容量回線であるLTEへの移行が進められています。従来の通信は、データ通信と音声通話との通信を切り替える必要がありましたが、LTEを利用したVoIPはデータ通信と同時に通話が可能なため、通話と遠隔救出作業を同時に行えることが長所です。また、Wi-Fiネットワークは、配線用ケーブルを必要としないというメリットがあります。

また、動作に関わるデータにはクラウド・サーバーを活用することで、システム構築に関わるコスト削減が行われている場合があります。

2. 監視・点検項目

エレベーターシステムで監視・点検が行われる項目には下記のようなものがあります。それぞれにセンサーが設置されており、データはネットワーク経由でサービス拠点へと送信されます。

  • 制御関連 (機器温度・ブレーキ動作状態・接触器動作状態・制御機器動作状態)
  • かご関連 (戸の開閉・ゲートスイッチ動作・押しボタン動作・インターホン電源)
  • 昇降路内における安全スイッチの動作
  • 乗場 (戸の開閉・ドアスイッチ動作・乗場操作盤の押しボタン動作)
  • 走行状態 (起動状態・着床状態)
  • 運行状況 (月毎起動回数・階床別利用状態)

エレベーターシステムの種類

エレベーターシステムは複数の企業から提供されており、それぞれ特色ある機能が搭載されています。

例えば、エレベーターが自動で点検運転を行う製品では、夜間に毎日1回定期点検を行う場合があります。運行データを取得し、顧客希望に応じてエレベーター機械監視点検報告書・エレベーター利用状況などの報告書を発行します。

最新のエレベータゲートウェイは、VolPやVoLTEを介した音声伝送をサポートし、エレベーターの通信システムのシームレスなリモート監視と管理する製品です。また、災害時に備えてエレベータ内部にバックアップバッテリーが備えられている場合もあります。

費用やグレードによって様々な製品があり、施設や建物の用途に合わせてサービス内容を選ぶことが必要です。

ファインバブルノズル

監修:株式会社ライヴス

ファインバブルノズルとは

ファインバブルノズルとは、直径100μm未満の微細な泡を作り出すことができるノズルです。

液体内の微細な気泡であるファインバブルは、環境、食品、美容、農業、医薬など、多様な分野で活用されている技術です。ファインバブルのうち、直径100μm未満、1μm以上の泡をマイクロバブル、更に小さい直径1μm未満の泡を「ウルトラファインバブル」と呼びます。

気泡の生成法には様々な方法があります。

サイズの大きなマイクロバブルを作るには、液のせん断によって気泡を粉砕する方法や、液中溶存ガスを析出させる方法などがあります。

また、さらに小さなウルトラファインバブルを作るにはマイクロバブルを原料として高速旋回によって粉砕する方法や、加圧溶解と急減圧によってマイクロバブルとウルトラファインバブルを発生させマイクロバブルを浮上分離する方法、そして液中の溶存ガスからキャビテーションによって直接ウルトラファインバブルを発生させる方法などがあります。

ファインバブルノズルの使用用途

ファインバブルノズルによって発生するバブルには洗浄効果や生理活性効果、浄化効果などさまざまな効果があり多様な分野で使用されています。

1. 環境

環境用途には、溶存酸素濃度を向上させることによる湖沼やダム湖、曝気槽、調整槽などの浄化や、地下ピットなどにおける臭気の低減などがあります。また、汚水・排水の処理や洗浄にも使用されます。ウルトラファインバブルを使用することで給排水の配管内部を清浄化し、設備の保全にも役立ちます。

2. 工業用途

工業用途では、各種洗浄や、配管や設備に発生するバイオフィルムやスケールの抑制に使用されています。下記は、主な用途の例です。

  • 金属部品の油分洗浄
  • 冷却塔での細菌・水垢・藻の抑制
  • 研削盤クーラント液などに使用することによる研削加工の改善
  • シリコンウエハーの超鏡面研磨加工
  • 循環配管内部の清浄化
  • 排水処理の負担軽減

3. 水産

水産業はファインバブルノズルが効果的に使用されている分野の一つです。養殖や漁獲から出荷までの間の畜養において、溶存酸素濃度の上昇、生理活性の向上、水質改善などの目的に使用します。

ガス溶解技術と併用することで窒素ガスを利用して鮮度保持に使用する場合もあります。また陸上養殖など水を循環させて使用する現場では接液部の清浄化や藻の繁殖を抑制するなど施設のメンテナンス性の向上を目的に使用することも増えています。現在使用されている主な水産物は下記の通りです。

  • 海苔
  • 貝類 (カキ、ホタテ)
  • ウニ
  • エビ、カニ
  • ウナギ、ヒラメ

4. 農業

農業分野では、農作物栽培に使用する水・肥料に利用されるほか、また収穫した農作物の洗浄にもファインバブルが利用されています。

特にウルトラファインバブルは気泡が長期間水に存在し続けるため溶存酸素濃度の向上が容易であることに加え、通常の水と比較してぬれ性が向上しているため、土や農作物の根に浸透しやすくなることで成長を促進することが期待できます。現在ファインバブルが使用されている主な作物は下記の通りです。

  • トマト、ミニトマト
  • イチゴ
  • レタス
  • ホウレン草

5. 医療

ファインバブルノズルは、医療における清浄化用途でも使用されている技術です。大量になる水の使用量を抑えることができるため、コスト削減につながる可能性があります。

医療現場では、ウルトラファインバブルが清浄化用途で使用されています。特に歯科医院では治療に水を多用することもあり、清潔な水環境を維持するためウルトラファインバブルノズルが使用されることがあります。また近年では透析病院においても活用が始まっています。

医療分野での主な用途には下記のようなものがあります。

  • 医療器具の洗浄
  • 人工透析における逆浸透膜、循環ラインの清浄化
  • 歯科利用 (診察台のユニットチューブ、口腔ケア、消毒室での器具洗浄)

6. その他

ファインバブルノズルは、その他にも様々な分野で使用されています。下記は用途例の一部です。

  • 入浴施設における配管の清浄化および人工炭酸泉の生成
  • 公共施設等でのトイレ配管の尿石の剥離・悪臭の除去
  • >家庭内における浴室、キッチン、洗面、洗濯機などの清性向上や、配水管におけるスケール蓄積の防止
  • 美容における温浴効果、保温効果・保湿効果

ファインバブルノズルの原理

1. ファインバブルの性質

ファインバブルは、気泡サイズによりマイクロバブルとウルトラファインバブルの2種類に分けられます。マイクロバブルとは直径100μm未満、1μm以上の気泡であり、それよりも更に小さい直径1μm未満の気泡はウルトラファインバブルと呼ばれます。これらは負の電荷を帯びている気泡です。

マイクロバブルの存在する水は白濁したように見えますが、ウルトラファインバブルは極度に小さいため目視することができず、無色透明に見えます。マイクロバブルはゆっくりと水中を浮上し消滅します。ウルトラファインバブルは、刺激を与えなければほとんど溶解も浮上もしないことが大きな特徴とされています。

2. ファインバブルノズルの仕組み

ファインバブルノズルは、ノズルを通る水流に微細な空気の泡を発生させる装置です。

例えばアスピレータと呼ばれる自吸式のノズルは、一般的にT字型管になっておりT字の水平線にあたる管の一方を水道の一次側、もう一方を二次側に接続します。水平方向に水を流すと一部細くなった部分で水圧が低下し流速が増しベンチュリ効果によって内部に負圧が発生し、空気を自吸します。自吸した空気は、内部構造で粉砕され微細な気泡を生成し、噴射されます。

一般的な構造では、ノズルに絞り部を設けることで多数の高流速部 (キャビテーションポイント) が形成され、この内部機構によって激しい乱流を起こすことで、バブルはさらに微細化されていく、という仕組みです。

ファインバブルノズルの種類

ファインバブルノズルは様々な分野で使用されていることから、製品の種類も多様です。

解決したい課題に合わせて必要な効果を発揮するノズルを選択する必要があります。

  • どんな液体を通すのか
  • マイクロバブルを作るのかそれともウルトラファインバブルを作るのか
  • 必要な流量はどれくらいか
  • 設置環境はどんな場所か
  • ガス溶解 (酸素や窒素、オゾンなど) が必要な現場か

などファインバブルが必要な現場によって選択するノズル (およびメーカー) が変わります。各メーカーや商品の情報をご確認ください。

本記事はファインバブルノズルを製造・販売する株式会社ライヴス様に監修を頂きました。

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フラットヒーター

監修:株式会社熱学技術

フラットヒーターとは

フラットヒーターとは、産業用途などに用いられる平形のシーズヒーターです。

シーズヒーター (英:Sheathed Heater) とは、金属管の中心に電熱線などの発熱体を配置し、絶縁物を充填した電気ヒーターです。通常のシーズヒーターは金属管が丸形ですが、フラットヒーターは扁平形をしています。液体・気体・固体の加熱に使用される、産業用ヒーターの一種です。丸形シーズヒーターが線接触での加熱となるのに対し、面接触で熱伝達されるため、加熱効率に優れています。

フラットヒーターの使用用途

フラットヒーターは、通常の丸形シーズヒーターと同様、各種分野における加熱に使用されています。油、水、薬液などの液体や固体加熱など広く加熱一般に使用することができ、主な用途には下記のようなものがあります。

  • フライヤーなどの業務用厨房機器
  • ホットプレート
  • 配管加熱
  • 理化学機器
  • 金型加熱
  • 各種洗浄装置の加熱用部品

特に多く使用されているのが、油を加熱して使用するフライヤーです。コンビニエンスストアなどの揚げ物の調理に採用されています。ヒーター発熱部の間隔を広く確保することができるため、揚げ物のカスが付きにくく、油の劣化が少なく、また、清掃がしやすいというメリットがあります。

また、金型加熱は、プラスチック成形工程に使用される用途です。金型を加熱して適切な温度に保つことで、プラスチックが均一に溶解します。

フラットヒーターの原理

1. シーズヒーターの原理

フラットヒーターは、シーズヒーターの一種です。シーズヒーターは、金属製のパイプの中に、電熱線をコイル状にしたものを通し、金属パイプと電熱線が接触しないように、絶縁粉末を詰めて密封する仕組みのヒーターです。電熱線をシース (鞘)に収めていることから、シーズヒーターと呼ばれます。

電熱線にはニクロム線、絶縁粉末には酸化マグネシウム (MgO) などが使用されることが一般的です。シース材質には、SUS316Lなどが使用されます。

2. フラットヒーターの特徴

通常のシーズヒーターは丸形ですが、フラットヒーターは平形をしています。平形で厚みが薄い為、通常のシーズヒーターよりも小さなRで曲げることができます。表面積が広く、熱効率に優れ、電力密度を低く設定できることが特徴です。狭い空間に大きな発熱面積をとることができます。

また、フラットヒーターは通常、1本のヒーターで3相電源への直接接続が可能です。このため、丸形シーズヒーターが3本のヒーター本数が必要なところ、ヒーター本数は1本で済みます (ヒーター本数が1/3) 。また、内部Y結線タイプの場合リード線本数は3本となり (通常の丸形シーズヒーターでは6本) 、結線作業を削減することが可能です。内蔵されている電熱線は2本から3本であることが一般的です。

フラットヒーターの種類

フラットヒーターは、用途に合わせて様々な曲げ形状の種類があるヒーターです。同心円状、四角形状、直線状の折り返しなどの様々な平面的形状のほか、直方体などの3次元的形状の製品もあります。曲げ形状の制約は、通常の場合最小曲げRt面R15、最小曲げRw面R40程度です。一般的なフラットヒーターは、幅22.5mm、厚み7.7mm、最大のシース長は4,000mm〜5,500mmです。最高温度は、ステンレス製の製品で650℃です。

また、大型の油加熱などでは、複数本 (4本、6本など) のヒーターがセットで使用される場合もあります。特殊なものでは、熱電対内蔵のフラットヒーターなどもあります。

フラットヒーターの種類

図1. フラットヒーターの種類

本記事はフラットヒーターを製造・販売する株式会社熱学技術様に監修を頂きました。

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試験紙

監修:シグマアルドリッチジャパン合同会社

試験紙とは

試験紙とは、溶液の性質や溶液に含有する特定の化学物質の濃度を調べるために用いられる、指示薬を浸透させて乾燥させた紙です。

溶液の性質や含有物質によって試験紙に浸透した指示薬が呈色し、色見本と見比べて判定を行います。物理化学及び分析化学的性質を利用した比色分析の一種です (比色法) 。最も有名なものにpH試験紙 (万能試験紙) がありますが、その他にも様々な種類があります。

試験紙の使い方

図1. 試験紙の使い方

試験紙の使用用途

試験紙は、教育・研究・開発・品質管理や排水試験を始めとする、幅広い用途で使用されています。

1. 教育

教育では、小学校から大学まで、リトマス試験紙やヨウ化カリウムデンプン試験紙、塩化コバルト紙、pH試験紙など、様々な試験紙が活用されています。こうした試験紙は比色法により結果がわかりやすく、また、特別な機器を必要とせずに定性分析ができるため、教育機関で活用されています。

2. 研究・開発

研究・開発の分野においても試験紙は簡易的な分析の方法として広く使用されています。pH試験紙は溶液等の液性 (酸性/アルカリ性など) を判定するために、化学を始めとする様々な分野で使用されています。

また、水分試験紙は、固体表面上の付着水や有機溶剤中に含まれる水分の検出に用いられます。

酸化剤を測定するヨウ化カリウムデンプン試験紙は、微量の酸化剤と反応して呈色し、塩素、オゾン、過酸化水素、次亜塩素酸塩などの検出に使用されます。

3. 検査

試験紙の中には検査に用いられるものも多くあります。水質検査試験紙は、残留塩素の測定や、各種水質モニタリングに使用されます。具体的な用途は、

  • プール、浴槽施設における残留塩素の測定
  • 貯水槽、鑑賞魚水槽などにおける残留塩素濃度の測定
  • 飲料水の残留塩素濃度の測定
  • 食品工場などで消毒に使用される塩素消毒液の濃度測定
  • 工業排水、畜産排水などの窒素成分の測定 (排水処理施設のモニタリング)
  • 河川や湖沼水、地下水などの水質モニタリング (富栄養化対策)

などです。また、オイル試験紙は、水や土壌に含まれるオイルの有無を検出するために使用されることがあります。

尿検査用試験紙など、医療用に使用されている試験紙もあります。

この他にも、水溶液中の鉄、マンガン、カルシウムなどの金属を測定する試験紙やブドウ糖、アンモニウム、過塩素酸などの特定の化学物質を測定するための数多くの種類の試験紙が存在します。

試験紙の原理

通常、試験紙は、ろ紙に各種指示薬を染み込ませて製造されます。試験紙に測定したい試料溶液を滴下もしくは塗布する、あるいは、試験紙を浸すことで呈色させる仕組みです。また、試料溶液に試薬を添加してから試験紙に滴下して呈色を確認する試験紙もあります。

例えば、万能pH試験紙では、複数の指示薬を組み合わせて浸透させてあり、幅広いpHがわかるようになっています。万能pH試験紙を測定試料に浸漬し呈色させ、試験紙と付属のカラーチャート (色見本) を比較して試料溶液のpHを目視で読み取ります。また、試験紙によっては専用機器やスマートフォンでpHを読み取る事が出来るものもあります。

試験紙の種類

1. pH試験紙

pH試験紙で最も一般的なものは、ロールタイプの試験紙です。使用する分だけちぎって主に広い範囲を大まかに測る時に使用します。

その他に短冊タイプや、変色する部分が複数あるスティック状の試験紙もあります。

図2. pH試験紙

2. 水質検査試験

水質検査試験の分野では、窒素・リン成分を検出する試験紙や、残留塩素を検出する試験紙などがあります。

硝酸性窒素、亜硝酸性窒素、アンモニア性窒素、リン酸イオンなどを検出する試験紙は、主に排水中の成分検出に用いられています。

残留塩素を検出する試験紙は、塩素濃度の測定範囲毎に種類があり、用途によって使い分けられます。

この他にも、亜鉛、亜硝酸、アスコルビン酸、亜硫酸、アルミニウム、アンモニウム、過酢酸、過酸化物、カリウム、カルシウム、グルコース (ブドウ糖) 、クロム酸、コバルト、シアン化物、硝酸、スズ、全硬度 (総硬度) 、炭酸塩硬度、鉄、銅、鉛、ニッケル、ヒ素、ペルオキシダーゼ、ホルムアルデヒド、マンガン、モリブデン、硫酸、遊離脂肪酸などの試験紙があります。

3. その他

上記以外にも様々な試験紙があり、多様な分野で使用されています。

  • オイル試験紙は、水や土壌に含まれるオイルの有無を検出する試験紙です。炭化水素やガソリン、潤滑油と反応すると青色の試験紙が濃青色に変色します。
  • 塩化コバルト紙は、水分の有無を検出する試験紙で、乾燥時には濃青色ですが、水分を含むと淡紅色を呈します。
  • ヨウ化カリウムデンプン試験紙は、塩素、過酸化物など微量の酸化剤と反応して青紫色を呈する試験紙です。
  • ヨウ素試験紙は、ヨウ素の有無を検出します。ヨウ素が試験紙のデンプンと反応し、試験紙は青色に呈色します。例えば、ヨウ素を含む消毒剤の使用後に、ヨウ素が残留していないか確認することが可能です。また、教育現場でもヨウ素デンプン反応の観察のために用いられます。

本記事は試験紙を製造・販売するシグマアルドリッチジャパン合同会社様に監修を頂きました。

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PEEK3Dプリンタ

監修:株式会社システムクリエイト

PEEK3Dプリンタとは

PEEK3Dプリンタとは、PEEK樹脂及びその他のエンジニアリング・プラスチック、及びスーパーエンジニアリングプラスチックなど、特殊プラスチックの造形が可能な3Dプリンタです。

エンジニアリングプラスチック (エンプラ) とは、耐熱性、機械的強度などの性能が汎用プラスチックより優れ、工業用部品として適している素材です。PEEK樹脂をはじめとするスーパーエンジニアリングプラスチック (スーパーエンプラ) は、エンプラを上回る耐熱性、高温時の機械的強度を持ちます。

スーパーエンプラは、高い融点のため従来の3Dプリンタでの造形が難しい素材でした。PEEK3Dプリンタは、優れた温度コントロールにより、スーパーエンプラの加工も行うことができるようになっています。

PEEK3Dプリンタの使用用途

PEEK3Dプリンタでは、汎用樹脂からスーパーエンプラに至るまで数多くの材料に対応可能であることが多く、様々な産業用樹脂部品を製造することが可能です。下記のような様々な分野で活用されており、様々な樹脂部品が製造されています。

  • 航空宇宙
  • 自動車
  • 医療
  • ガス
  • 石油
  • 半導体
  • エレクトロニクス

特に、自動車や航空機の分野では、これまで金属部品を使用していた箇所を高強度のエンプラ製部品に置き換えることで車体・機体の軽量化が進んでいます。また、医療分野では、人工膝サポーターなどの医療器具を製作することに活用されています。

PEEK3Dプリンタの原理

1. PEEK樹脂及びスーパーエンプラの性質

エンジニアリングプラスチック (エンプラ) とは、強度と耐熱性に優れたプラスチックの総称であり、工業用部品として適した高機能樹脂です。一般的には、耐熱性100℃以上、強度49MPa以上、曲げ弾性率が2.4GPa以上を持つ素材をエンプラと呼び、150℃以上の連続使用温度を持つ樹脂素材をスーパープラスティック (スーパーエンプラ) と呼びます。

代表的なスーパーエンプラの1つが、PEEK (ポリエーテルエーテルケトン樹脂) です。PEEKは、200℃以上の耐熱性に優れ、また、機械的強度、耐薬品性、再スチーム、耐油性、電気絶縁性、耐放射線性などにも非常に優れています。

エンジニアリングプラスチックの素材例

図1. エンジニアリングプラスチックの例

2. PEEK3Dプリンタの仕組み

PEEK3Dプリンタは、熱融解積層方式で造形を行います。熱溶解積層とは、樹脂などを高温で溶解させ、ノズルから出力させながら重ねていくことで立体を造形する方式です。

PEEK樹脂をはじめとするスーパーエンプラは、融点が高いため、PEEK3Dプリンタは優れた昇温機能と共に、高温や温度変化に耐える構造を有しています。例えば、通常搭載されるノズルは最高で500℃前後まで昇温可能な高温対応ノズルです。造形を行うチャンバ内も高温環境になるため、機械ユニットに使用されるモータやリニアレール、駆動ベルトやPCB基板などには、高温耐性を持つ部品が使用されています。

PEEK3Dプリンタの仕組み

図2. PEEK3Dプリンタの仕組み

3. 3Dプリンターによる造形の利点

PEEK樹脂をはじめとするスーパーエンプラを用いて3Dプリントを行うことには、主に下記のような利点があります。

  • 切削機にはできない形状が造形可能
  • 軽量化が簡単にできる
  • 材料のロスが少なくコスト削減できる
  • 内製化によるリードタイムの短縮
  • 3Dデータを用いて形状をカスタマイズできる柔軟性

PEEK3Dプリンタの活用事例

図3. PEEK3Dプリンタの活用事例

PEEK3Dプリンタの種類

PEEK3Dプリンタには様々な製品があり、用途に合わせて使い分ける/選定することが可能です。最大造形体積は製品によって異なり、大型のものでは400x300x300mmまでの造形が可能です。基本的にノズル温度は前述の通り高温対応ですが、機種によって最高温度は450℃から540℃程度と幅があります。

医療現場に特化した機種では、フィラメントから発生する臭気を外部に漏らさないよう、高性能なHEPAフィルターを装備していることがあります。また、騒音が抑えられた機種ではオフィスなどに設置することも可能です。多様な機種があり、用途に合わせて自由に選択することができます。

本記事はPEEK3Dプリンタを製造・販売する株式会社システムクリエイト様に監修を頂きました。

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粉末3Dプリンタ

監修:株式会社システムクリエイト

粉末3Dプリンタ

粉末3Dプリンタとは、粉末状の樹脂や金属にレーザーを照射し焼結させる粉末方式で造形を行う3Dプリンタです。

金属、砂、シリカ、樹脂など、他の方式では使用できない様々な材料での造形が可能で、高精度で高耐久の造形物の製作が可能です。そのため、試作品のみならず最終製品や鋳型の製造にも用いられます。

粉末3Dプリンタの使用用途

粉末3Dプリンタは、豊富な種類の素材を扱うことが可能で、耐久性の高い造形が可能なことから、幅広い用途で使用されています。一部では最終製品となる部品に使用されることも増えてきました。主な用途には下記のようなものがあります。

  • 各種プロトタイプ
  • 航空機、ロケット、医療、特装車、産業機器などの量産部品
  • 試作、少量生産、研究、教育などにおける造形
  • 性能評価試験用の実験モデル (風洞試験やベンチテストなど)

その他、シロッコファン、電動工具ハウジング、アート作品などが製作される場合もあります。また、高強度・高耐熱の造形品を製造できることから、金属パーツを樹脂化して軽量化を行うなどの用途で使用することも可能です。

粉末3Dプリンタの活用事例

図1. 粉末3Dプリンタの活用事例

粉末3Dプリンタの原理

1. 概要

粉末造形とは、粉末状の樹脂や金属材料にレーザーを照射して焼結させ、一層ずつ積層していく方法です。他の方法と比べて、素材選択の自由度が高く、耐久性のある造形物を作成できることが特徴と言えます。粉末の造形物は、強度・耐衝撃性・耐熱性・耐候性などの点で優れています。

他の3Dプリンターで主に使用される積層方式では積層方向に対しての強度面が脆いことが弱点の1つです。一方、粉末造形は数ある方式のなかでも強度が高く、ツメ形状やヒンジ形状などを作成してもある程度機能する強度を備えています。

2. 造形方法

粉末3Dプリンタには、主にパウダーベッド方式とバインダージェット方式の2種類の造形方式があります。パウダーベッド方式とは、パウダーベッド方式とは、材料となる粉末を敷き詰めてレーザーやビームを照射し、粉末粒子を焼結または溶解させることで造形を行う方法です。バインダージェット方式は、材料となる粉末に液体の結合材 (バインダ) を噴射して固形化する造形方法です。

パウダーベッド方式には、更に、選択的レーザー焼結 (SLS) 、選択的レーザー溶融 (SLM) 、直接金属レーザー焼結 (DMLS) 、電子ビーム溶解 (EBM) の下位分類があります。

SLS方式のプリンターは、材料粉末を融点に近い温度まで加熱して溶かし、CO2レーザーでモデルに従って粉末層を選択的に焼結します。このプロセスを繰り返すことで積層を行う仕組みです。SLMは、SLSと異なり、特に金属3Dプリントに特化した方式ですが、金属は、その他の熱可塑性プラスチックよりも密度が高く、重くなるため、サポートを必要とします。DMLSの場合、加熱によって材料を溶かす必要がなく、合金や異なる溶融温度を持つ複数の金属元素の混合物をプリントすることが可能です。EBMとは、電子ビームが使用され、導電性材料を必要とする手法です。

粉末3Dプリンタの造形方法

図2. 粉末3Dプリンタの造形方法

3. 積層目

粉末3Dプリンタは、粉末状の素材をレーザーで焼結していくため、表面がザラザラした感触になること、積層目が残ることが特徴の一つです。

そのため、完成した樹脂造形品に対して、強度・表面の粗さ・気密性の改善のために含浸と呼ばれる処理を行う場合があります。この処理は製品に薄く無色・透明なアクリル系樹脂を塗布するもので、製品表面の微細な隙間を埋める目的のために行われます。

粉末3Dプリンタの種類

粉末3Dプリンタには様々な種類があり、金属に特化したプリンタや、樹脂に特化したプリンタなどがあります。

金属用の粉末3Dプリンタでは、ステンレス、工具鋼、超合金、銅、チタン、アルミニウムなど、様々な汎用金属粉末を使用することが可能です。また、樹脂では、ナイロン6+ガラスビーズ、ナイロン11、ナイロン12、ポリプロピレン、エラストマ粉末などの素材が用いられます。特にナイロン6は熱収縮性が高く扱いにくい素材であるため、使用できる機種はとても希少です。搭載レーザーや、レーザ出力や速度、ベッド温度、溶解力、再コーティング速度も製品によって異なります。用途に合わせて適切な物を選定することが必要です。

粉末3Dプリンタの種類

図3. 粉末3Dプリンタの種類

本記事は粉末3Dプリンタを製造・販売する株式会社システムクリエイト様に監修を頂きました。

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シリコン3Dプリンタ

監修:株式会社システムクリエイト

シリコン3Dプリンタとは

シリコン3Dプリンタとは、シリコン素材を材料として造形を行うことができる3Dプリンタです。

3Dプリンタで使用できる素材としてはABS樹脂やPLA樹脂などが一般的ですが、シリコン素材は粘度が非常に高いため、従来は3Dプリントで正確に形状を再現することが困難でした。技術の進歩により、現在、一部の機種ではシリコン素材を用いて造形を行うことが可能です。3Dプリンタでの造形は金型造形の手間がかからないというメリットがあります。

シリコン3Dプリンタ

図1. シリコン3Dプリンタ

シリコン3Dプリンタの使用用途

シリコン3Dプリンタは、金型を製作せずに造形を行うことができるため、様々なものの造形に使用されています。軽くしなやかで、荷重に合わせて曲がり、元に戻る復元力を生かし、下記のような用途があります。

  • 消費者向け製品 (コネクタ、グロメット、アクチュエータ、キーパッド、腕時計バンド、靴のインソール、スマートフォンケース、ジュエリー鋳造、メガネフレーム、フィギュア・模型、シリコン製食品型)
  • 自動車部品、産業機器などにおける製品開発サイクルにおけるプロトタイプ
  • 各種部品の少量生産やカスタム製造のコスト効率化 (シールやガスケット、ボルト、ナットなど)
  • 治工具や金型 (鋳造用金型、治工具、マスキングツールなど)
  • 医療器具 (患者ごとにカスタマイズした義肢装具、補聴器)
  • 臓器モデル

3Dプリンタは、高精細で滑らかな造形を行うことができるため、ねじ山などの凹凸、指輪やネックレスなどのアクセサリや時計など、微細な加工も可能です。3Dデータからダイレクトにプリントを行い、鋳造の工程をより効率化します。また、医療器具では、患者の身体の形状に合わせて器具製作を行うことができます。金型が要らないため、各種プロトタイプの試作にも活用されている技術です。

シリコン3Dプリンタの活用事例

図2. シリコン3Dプリンタの活用事例

シリコン3Dプリンタの原理

1. 概要

シリコンは粘度が非常に高いため、3Dプリントで正確に形状を再現することが比較的難しい素材です。また、加熱して押し出したり、光硬化性樹脂材料のようにUV光で硬化させることなどもできません。質感はなめらかで、荷重に合わせて曲がり、元に戻る復元力があります。

3Dプリンターは、デジタルデータから3次元造形を行うことができる機械です。物体を連続の薄い層に分解し、それらの層を一つずつ積み重ねて物体を構築します。3Dプリンターでシリコーン素材を直接造形すると、金型を製作することなく、直接目的物を造形することができます。また、金型での製造では作りづらいハニカム構造などの造形も容易です。

2. 液体積層造形法

シリコン3Dプリンタの造形法では、液体積層造形法 (LAM方式) が採用されています。仕組みの概要は下記の通りです。ここで使用されるシリコンゴムは熱硬化性です。

  1. 2つの液状のシリコンゴムを混合し、エクストルーダーで押出して層を造形する
  2. 1層ずつ高温のハロゲンランプによって熱硬化させ積層造形する

液体積層造形法のメリットには下記のようなものがあります。

  • 金型成型品と同等物性の造形品ができる (引張強度、伸びなど)
  • 金型が不要なため、大幅なコスト削減が可能
  • 材料の色調を活かして透明色 (または乳白色) での造形が可能
  • 3Dプリンターならではの難しい形状が造形できる

例えば、内部が空洞になった形状や逆テーパー形状は金型成型では製造困難ですが、3Dプリンターでは造形可能です。また、金型が要らないため、試作品製作時は開発スピードが格段に上がります。

液体積層造形法

図3. 液体積層造形法

シリコン3Dプリンタの種類

シリコンの3Dプリント造形は高度な技術が必要であることから機種が限られており、あまり種類は多くありませんが、各製品で機能が工夫されています。

製品によっては、複数種類の硬度のシリコン材料に対応しているものも有り、作成したいモデルに必要な硬度や用途に合わせて自由に選ぶことが可能です。また、2液材料を混ぜて吐出するプリントヘッドと、1液材料を吐出するプリントヘッドの2基を搭載しているものもあり、モデル材となる2液用プリントヘッドとそれを支えるサポート材用の1液プリントヘッドの同時造形を行うこともできます。

本記事はシリコン3Dプリンタを製造・販売する株式会社システムクリエイト様に監修を頂きました。

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アクリルパイプ

監修:日本真空化学株式会社

アクリルパイプとは

アクリルパイプとは、アクリルを利用して製造された透明な円筒型のパイプです。

透明プラスチックの中でもひときわ透明度が高く、ショーケース等の各種ディスプレイや、水族館の大型水槽などにも採用されています。優れた耐薬品性、耐候性、加工性が特徴です。

アクリルパイプの使用用途

アクリルパイプは、高透明度を生かした多様な用途で使用されます。

  • 光学部品
  • 照明器具
  • 室内装飾や各種ディスプレイ、看板
  • ドリンクサーバー
  • 実験装置
  • 建材

アクリルパイプの原理

1. 製造法

アクリルパイプには押し出し製法で製造されるものもありますが、押し出し製法の場合には押し出して筒状に仕上げるため、わずかに押し出しの押し出し痕が残ります。

特に高透明度の製品は遠心重合製法で製造されます。遠心重合製法とは、高純度のメタクリル酸メチルモノマーを円筒状型管に注⼊し過熱回転させながら重合固化させ、更に外⾯仕上げをする製法です。この方法では素材を高速回転する製造機で噴射しながら形を作り上げていくため、摩擦が生じず表面に痕が残りません。

2. 工程

遠心重合製法で製造されるアクリルパイプの詳細な工程は下記の通りです。

原料の保管: 原料のメタクリル酸メチルモノマーは、地下タンクに貯蔵し保管される場合があります。地下タンクでの保管は、ドラム缶等での保管よりも品質の劣化が抑えられ、異物の混入も防止できます。

  1. 原料の重合・加熱: 熟成窯内でメタクリル酸メチルモノマーの重合反応や加熱を行い、固形化前のアクリル樹脂を生成します。
  2. 触媒の添加と撹拌: アクリル樹脂を固形化するための触媒を配合し、撹拌します。製作物の厚みや大きさ、室温によっても適切な触媒量は異なります。
  3. 材料の注入・成形: 材料を機械に注入し、パイプを成形します。遠心重合製法では、原料を筒状の型管に入れ、加熱回転させて成形します。
  4. 表面磨き・歪みの除去: 機械から成形したアクリルパイプを取り出して両端を切り落とした後、機械と人力の両方で表面を磨き光沢を出します。
  5. アニール処理: 成形品を加熱することでアクリルパイプを構成する分子を安定させる処理です。アクリルが変形する寸前の温度で成形品を加熱し、クリアな外観を保ちます。
  6. 検査・出荷: 目視で異物やキズ、歪みの有無を検査します。必要な場合は、画像測定器による検査が行われる場合もあります。

2. 性質

アクリルパイプは主に下記のような特徴があります。

  • 軽量性
  • 耐衝撃性
  • 高透明度
  • 耐薬品性
  • 耐候性
  • 加工性

アクリルパイプは非常に軽く、比重はアルミニウムの1/2.3、ガラスの1/2です。耐衝撃値は無機ガラスの15倍です。光線透過率も92%以上と高く、透明度が高い素材です。表⾯はガラスのように滑らかになっています。硬質ポリ塩化ビニル管・塩化ビニル管などの1.5倍の抗張⼒、1.5〜2倍の曲げ強度を示します。

耐薬品性では、無機塩類、油、ガソリン、酸やアルカリにも耐えることができます。耐候性も高く、⻑期間の屋外使⽤から寒冷地の使⽤まで可能です。また、⼯作機械での切削、切断、孔あけなどの加⼯もスムーズに行うことが可能です。また、加⼯⾯も研磨によって透明性と光沢を復活させることができます。 

アクリルパイプの種類

アクリルパイプには径の細いものから太いものまで様々なものがあります。最も細いものでは外径30mmから製造されており、標準サイズは概ね外径30mmから510mmです。それ以上の大径パイプでは600mm、800mm、1000mm、1200mm、2000mmなどがあります。

また、断面の仕上がりには、切りっぱなし (切断面に多少凹凸ができる) 、糸面取り (切断面を平坦にする) 、ツヤミガキ (平坦になった断面を更に磨く) などの処理の種類があります。色では、無色のクリアパイプだけではなく、意匠性の高い多彩な色調の製品た蛍光カラーの製品が提供されています。様々な製品があるため、多様な用途で使用することが可能です。

本記事はアクリルパイプを製造・販売する日本真空化学株式会社様に監修を頂きました。

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大型浴槽

監修:日本真空化学株式会社

大型浴槽とは

大型浴槽とは、複数名で入浴が可能な大型の浴槽 (バスタブ) 製品のことです。

大型浴槽は、主に各種施設の共同浴場や、リラクゼーションを目的としたスパ施設、介護施設などの介護浴室などで使用されています。素材には、FRPやステンレス、タイル貼りなどがあります。

大型浴槽の使用用途

大型浴槽は、複数名で入浴する浴室で主に採用されています。リラクゼーション用途と、清潔を目的とした福祉厚生用途に大きく二分されて利用されている印象であり、主な用途は下記の通りです。業務用では社内設備として自社ビル最上階に大浴室を設置した事例もあり、また、個人住宅であってもリラックス目的でやや大型の浴槽が採用されている場合もあります。

  • ホテルや旅館などの宿泊施設、保養施設やスパにおける温浴施設で使われるリラクゼーション用途
  • 介護施設や病院、高齢者施設 (デイサービス) 、障害者施設などの介護浴室、共同浴室
  • 社員寮、宿舎、工場、自衛隊施設など各種施設の共同浴室
  • 個人住宅

大型浴槽の原理

大型浴槽に用いられる素材にはFRP、FRAなどの樹脂系素材のほか、ステンレス、陶器などがあります。

1. FRP、FRA

FRPとは繊維強化プラスチック (英: Fiber Reinforced Plastic ) のことです。一般的にエポキシ樹脂などのマトリックス樹脂にガラス繊維などの強化材を混ぜて製造されます。普通のプラスチックに比べ、防水性が高く、軽さと丈夫さに優れているという特徴があります。また、FRPは補修が容易な素材です。劣化やひび割れが生じた場合、新しくガラス繊維と樹脂をその場で継ぎ足して補修する (FRPライニング) ことができます。複雑な形状を成形しやすいため、ステップや背もたれなど、複雑な浴槽形状を製作しやすいことも長所の一つです。

FRAとは表面層がアクリル樹脂で、裏面を強化プラスチックで補強した複合材です。アクリルの優しい肌触りと強度を両立した性質です。

2. ステンレス

ステンレスは、低コストで耐久性に優れた素材です。ステンレス浴槽ならではの長所として、24時間風呂に対応していることがあります。 24時間風呂とは、循環・浄化・保温の機能により、時間帯を問わずいつでも入浴できる浴槽です。

素材特性と加工性から自由な形状の浴槽を製作することができ、タイルや御影石などを貼り付けた高級浴槽も可能です。
また、漏水予防が必要な階上設置浴槽のステンレス防水層にも使用されることがあります。

4. 付帯設備・形状

スパなど、レジャー要素のある施設では、ジェットバス、水中照明などを備えたレジャー性のある浴槽が採用される事が多いです。

また、病院、リハビリセンター向け自立支援浴槽では可動式手摺や仕切板などが装着されます。浴槽またぎを小さくしたり、腰掛ける場所を作る目的でステップを浴槽内に設置する場合も多くあります。

大型浴槽の種類

1. 用途別

大型浴槽には前述の通り、リラクゼーション・レジャー的用途と、清潔を目的とする共同浴槽用途、介護・医療における入浴用途などに大きく分けられます。リラクゼーションを目的とした浴槽にはジェットバスなどの付帯設備が設けられる場合や、またタイル貼りなどによって意匠性を高めてある場合があります。

介護用途が想定される浴槽の場合は、手すりやステップが設置される場合が多いです。浴槽またぎを低くし、浴槽手前にもステップを取り付ける場合もあります。

2. 大きさ・形状

大型浴槽には、2〜3人程度が入浴できる小さめのものから、5人前後が入浴できる中程度のもの、10人以上入浴可能な超大型のものまであります。用途に合わせて、適切な大きさを選択することが可能です。

形状は、四角いものが一般的ですが、リラクゼーション施設などでは丸い形や多角形形状のものもあります。特に、FRP製浴槽では複雑な形状のものも多く提供されています。また、福祉用途の自立支援浴槽の中には仕切板が設置される場合もあります。

本記事は大型浴槽を製造・販売する日本真空化学株式会社様に監修を頂きました。

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DAQカード

監修:株式会社エレクトロニカIMT事業部

DAQカードとは

DAQカードとは、産業用データ収集 (DAQ) に使用される、PCI/PCIeカード、PXI/PXIeカード、シリアル通信カードなど、各種拡張カードなどを指す言葉です。

DAQ (Data Acquisition) とは、データ収集・データ集録を指し、特に電圧、電流、温度、圧力、音響などの電気的/物理的現象を計測するプロセスを指すことが多いです。産業用途で広く使用されています。

DAQカードの使用用途

1. DAQの使用用途

DAQは、様々な業界、アプリケーションのエンジニア、研究者によって広く利用されています。DAQで集録されるデータは、主には下記のような物理現象データです。

  • 温度
  • 電圧
  • 電流
  • ひずみと圧力
  • 衝撃と振動
  • 距離と変位
  • RPM、角度、および離散イベント
  • 重量 (質量)
  • 光量や画像

DAQによって集録されるこれらの計測データは、研究・開発におけるデータ収集の他、産業分野において下記のような用途で応用されています。

  • 各種装置の監視 (発電機、モータ、ファン、プラント装置など)
  • 建物や構造体の構造特性を監視 (橋やスタジアムなど)
  • 生産プロセスにおける監視・制御 (エネルギー消費及びエネルギー効率など)
  • 各種製品試験 (電気、機械、機器など)
  • 環境パラメータ (温度、湿度、圧力、高度)の変化における試
  • 信頼性試験(HALT、HASS、AST)
  • PCベースの制御/自動化アプリケーション
  • 装置オペレーションの調整や、動作・特性の評価と記録

特に、自動車産業でブレーキテストをはじめとする各種試験や、航空宇宙分野における各種開発試験、その他工場プロセスの監視、ロボット工学の開発に使用されている技術です。

2. DAQカードの使用用途

DAQカードは、上記DAQシステムの中で、取得されたデータをPCに転送する用途で使用されます。

DAQカードの原理

1. DAQの概要

DAQは、センサーなどで取得したアナログの測定値をデジタルに変換して表示、保存、解析を行うプロセスです。通常、下記のような装置構成から成ります。

  • センサ
  • シグナルコンディショナ
  • ADコンバータ (ADC)
  • コンピュータ (信号の収録と解析のためのDAQソフトウェアを搭載)

センサから得られた信号はシグナルコンディショナへ出力さされ、シグナルコンディショナからの出力はアナログデジタルコンバータ (ADコンバータ) によってサンプリングされます。このような信号をコンピュータに転送する際にPCIスロットなどを介して使用されるものがDAQカードです。

2. DAQカード

DAQカードは、PCIスロットなどを介してパソコンへ接続される拡張カード/拡張ボードです。ボードを利用することで、高速にデータ転送を行うことができます。カードによって提供される機能は、入力、出力の他、様々な機能があります。

PCでのデータ転送の種類は、Pollモード、割り込みモード (interrupt mode) 、DMA(Direct Memory Access:直接メモリ・アクセス)などです。

Pollモードでは、プログラムから、AD変換器が使用可能状態にあるボードにポール (問い合わせ) を行います。

割り込みモード(interrupt mode)では、データ収集プロセスを実行している間に他の処理を行うことをコンピュータに許可する方法です。 データの値を得られるようになると、割り込みは、データを転送するために、コンピュータに通知します。 

DMAモードのデータ転送では、DAQカードはコンピュータの介在なしでコンピュータのメモリーから計測装置、あるいはメモリーへ直接行われます。 

DAQカードの種類

DAQカードは、様々なメーカーから販売されており、多様な製品が販売されています。

製品によって、チャンネル数、分解能、サンプリングレートなどが大きく異なります。同時サンプリングチャンネル数では、4チャンネル、16チャンネルや32チャンネルなどがあり、通常、多チャンネル入力に対応しています。サンプリングレートの種類は、250kS/s、500kS/s、800kS/s、1MS/sなどです。

本記事はDAQカードを製造・販売する株式会社エレクトロニカIMT事業部様に監修を頂きました。

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