ファインバブルノズル

監修:株式会社ライヴス

ファインバブルノズルとは

ファインバブルノズルとは、直径100μm未満の微細な泡を作り出すことができるノズルです。

液体内の微細な気泡であるファインバブルは、環境、食品、美容、農業、医薬など、多様な分野で活用されている技術です。ファインバブルのうち、直径100μm未満、1μm以上の泡をマイクロバブル、更に小さい直径1μm未満の泡を「ウルトラファインバブル」と呼びます。

気泡の生成法には様々な方法があります。

サイズの大きなマイクロバブルを作るには、液のせん断によって気泡を粉砕する方法や、液中溶存ガスを析出させる方法などがあります。

また、さらに小さなウルトラファインバブルを作るにはマイクロバブルを原料として高速旋回によって粉砕する方法や、加圧溶解と急減圧によってマイクロバブルとウルトラファインバブルを発生させマイクロバブルを浮上分離する方法、そして液中の溶存ガスからキャビテーションによって直接ウルトラファインバブルを発生させる方法などがあります。

ファインバブルノズルの使用用途

ファインバブルノズルによって発生するバブルには洗浄効果や生理活性効果、浄化効果などさまざまな効果があり多様な分野で使用されています。

1. 環境

環境用途には、溶存酸素濃度を向上させることによる湖沼やダム湖、曝気槽、調整槽などの浄化や、地下ピットなどにおける臭気の低減などがあります。また、汚水・排水の処理や洗浄にも使用されます。ウルトラファインバブルを使用することで給排水の配管内部を清浄化し、設備の保全にも役立ちます。

2. 工業用途

工業用途では、各種洗浄や、配管や設備に発生するバイオフィルムやスケールの抑制に使用されています。下記は、主な用途の例です。

  • 金属部品の油分洗浄
  • 冷却塔での細菌・水垢・藻の抑制
  • 研削盤クーラント液などに使用することによる研削加工の改善
  • シリコンウエハーの超鏡面研磨加工
  • 循環配管内部の清浄化
  • 排水処理の負担軽減

3. 水産

水産業はファインバブルノズルが効果的に使用されている分野の一つです。養殖や漁獲から出荷までの間の畜養において、溶存酸素濃度の上昇、生理活性の向上、水質改善などの目的に使用します。

ガス溶解技術と併用することで窒素ガスを利用して鮮度保持に使用する場合もあります。また陸上養殖など水を循環させて使用する現場では接液部の清浄化や藻の繁殖を抑制するなど施設のメンテナンス性の向上を目的に使用することも増えています。現在使用されている主な水産物は下記の通りです。

  • 海苔
  • 貝類 (カキ、ホタテ)
  • ウニ
  • エビ、カニ
  • ウナギ、ヒラメ

4. 農業

農業分野では、農作物栽培に使用する水・肥料に利用されるほか、また収穫した農作物の洗浄にもファインバブルが利用されています。

特にウルトラファインバブルは気泡が長期間水に存在し続けるため溶存酸素濃度の向上が容易であることに加え、通常の水と比較してぬれ性が向上しているため、土や農作物の根に浸透しやすくなることで成長を促進することが期待できます。現在ファインバブルが使用されている主な作物は下記の通りです。

  • トマト、ミニトマト
  • イチゴ
  • レタス
  • ホウレン草

5. 医療

ファインバブルノズルは、医療における清浄化用途でも使用されている技術です。大量になる水の使用量を抑えることができるため、コスト削減につながる可能性があります。

医療現場では、ウルトラファインバブルが清浄化用途で使用されています。特に歯科医院では治療に水を多用することもあり、清潔な水環境を維持するためウルトラファインバブルノズルが使用されることがあります。また近年では透析病院においても活用が始まっています。

医療分野での主な用途には下記のようなものがあります。

  • 医療器具の洗浄
  • 人工透析における逆浸透膜、循環ラインの清浄化
  • 歯科利用 (診察台のユニットチューブ、口腔ケア、消毒室での器具洗浄)

6. その他

ファインバブルノズルは、その他にも様々な分野で使用されています。下記は用途例の一部です。

  • 入浴施設における配管の清浄化および人工炭酸泉の生成
  • 公共施設等でのトイレ配管の尿石の剥離・悪臭の除去
  • >家庭内における浴室、キッチン、洗面、洗濯機などの清性向上や、配水管におけるスケール蓄積の防止
  • 美容における温浴効果、保温効果・保湿効果

ファインバブルノズルの原理

1. ファインバブルの性質

ファインバブルは、気泡サイズによりマイクロバブルとウルトラファインバブルの2種類に分けられます。マイクロバブルとは直径100μm未満、1μm以上の気泡であり、それよりも更に小さい直径1μm未満の気泡はウルトラファインバブルと呼ばれます。これらは負の電荷を帯びている気泡です。

マイクロバブルの存在する水は白濁したように見えますが、ウルトラファインバブルは極度に小さいため目視することができず、無色透明に見えます。マイクロバブルはゆっくりと水中を浮上し消滅します。ウルトラファインバブルは、刺激を与えなければほとんど溶解も浮上もしないことが大きな特徴とされています。

2. ファインバブルノズルの仕組み

ファインバブルノズルは、ノズルを通る水流に微細な空気の泡を発生させる装置です。

例えばアスピレータと呼ばれる自吸式のノズルは、一般的にT字型管になっておりT字の水平線にあたる管の一方を水道の一次側、もう一方を二次側に接続します。水平方向に水を流すと一部細くなった部分で水圧が低下し流速が増しベンチュリ効果によって内部に負圧が発生し、空気を自吸します。自吸した空気は、内部構造で粉砕され微細な気泡を生成し、噴射されます。

一般的な構造では、ノズルに絞り部を設けることで多数の高流速部 (キャビテーションポイント) が形成され、この内部機構によって激しい乱流を起こすことで、バブルはさらに微細化されていく、という仕組みです。

ファインバブルノズルの種類

ファインバブルノズルは様々な分野で使用されていることから、製品の種類も多様です。

解決したい課題に合わせて必要な効果を発揮するノズルを選択する必要があります。

  • どんな液体を通すのか
  • マイクロバブルを作るのかそれともウルトラファインバブルを作るのか
  • 必要な流量はどれくらいか
  • 設置環境はどんな場所か
  • ガス溶解 (酸素や窒素、オゾンなど) が必要な現場か

などファインバブルが必要な現場によって選択するノズル (およびメーカー) が変わります。各メーカーや商品の情報をご確認ください。

本記事はファインバブルノズルを製造・販売する株式会社ライヴス様に監修を頂きました。

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