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過塩素酸リチウムについての概要、用途、原理などをご説明します。また、過塩素酸リチウムのメーカー11社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
1993年~2019年に日本化薬株式会社医薬研究所にて医薬品の研究開発、各種生体試料の分析に従事。危険物取扱者、放射線取扱主任者として施設管理業務も担当。2019年に同業他社に転職、現在まで同様の業務を担当。専門書執筆・翻訳・校閲活動も行っている。>LinkedIn: h
過塩素酸リチウムとは、化学式LiClO4で表される無機化合物で、過塩素酸のリチウム塩です。
過塩素酸リチウムは、リチウムクロリドと過塩素酸ナトリウムとの反応により、生成されます。水や有機溶剤に良く溶けることが特徴の1つです。
また、過塩素酸塩に共通する酸化剤としての性質と、水溶液にしたときにイオン半径が大きい陰イオンとなり、水分子のネットワークを乱すカオトロピックイオンとしてふるまう性質を有しています。
なお、CAS登録番号は無水物が7791-03-9、三水和物が13453-78-6です。
過塩素酸リチウムの最も重要な用途は、リチウムイオン電池の製造に使用される電解質です。この用途は、高い溶解度を有することと、電池に応用できるリチウムイオンを含む塩であることに基づいています。また、リチウム硫黄電池の電解質としても同様に使用されます。
その他の用途で有力なものは、ポリマーに導電性を付与する添加剤 (導電性付与剤) です。この用途に寄与する特徴は強酸と強塩基から成る塩であることと、溶解度が高いことです。
主にリチウムイオンがルイス酸として働く触媒として有機化学反応に用いられます。ここでも有機溶媒への溶解度が高い点は使いやすさにつながっています。アルデヒドとα、β不飽和カルボニルの結合反応、エポキシドの無溶媒チオール開裂、アルコールおよびフェノール類のアシル化などにおける触媒が使用例です。
分解して酸素を発生する性質を利用して、化学的酸素発生器の酸素の供給源としても使用されています。過塩素酸リチウムは無水物の質量の約60%が酸素であり、効率的に酸素が得られるため、酸素供給源としては魅力的です。
高濃度の過塩素酸リチウムの溶液は、タンパク質を変性させるカオトロピック剤としても使われています。
過塩素酸リチウムには無水物と三水和物があります。いずれも白色であり、無水物は結晶または結晶性粉末、三水和物は結晶です。過塩素酸リチウム三水和物は潮解性があります。水溶液からは三水和物の結晶として析出します。過塩素酸リチウムは無臭です。
無水物の融点は236℃、三水和物の融点は75℃です。水に可溶で、エタノール、アセトン、エーテル、酢酸エチルなどの溶媒にも可溶です。水に対しては25℃で37.5重量%になるほどの高い溶解度を有しています。高い溶解度が利用され、さまざまな分野で用いられています。
過塩素酸リチウムは溶液として用いられることが多く、過塩素酸イオンは希薄溶液では安定ですが、過塩素酸塩は一般に酸化剤です。
過塩素酸塩の酸化力の源は、含まれる塩素が塩素原子の最高酸化状態 (7価) であることです。この塩素原子は自身が還元され、周囲の物質を酸化する性質を持ちます。
加熱していくと、約400℃で塩化リチウムと酸素に分解されます。結晶は強い酸化剤であり、有機物や還元剤と反応をすることで火災の原因となるため、これらを避けて保管することが必要です。
また、火災時には熱分解して酸素を放出するため、火災を拡大する性質があります。
GHS分類で酸化性固体、皮膚腐食性/刺激性物質、眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性物質、気道刺激性物質に分類されています。また、生殖毒性 (区分1A) が知られています。
消防法の危険物第一類の酸化性固体・過塩素酸塩類に指定されています。加熱・衝撃などにより、酸素を放出して分解し、可燃物の燃焼を助長します。分解が激しい場合には、爆発することもあり取り扱いに注意が必要です。
労働安全衛生法で危険物・酸化性の物に、危険物船舶運送及び貯蔵規則で酸化性物質類・酸化性物質に、航空法で酸化性物質類・酸化性物質にそれぞれ該当しています。化学物質排出管理促進法では、第1種指定化学物質です。毒劇物には該当せず、PRTR法や輸出貿易管理令にも該当していません。
参考文献
http://www.kishida.co.jp/product/catalog/msds/id/7338/code/LBG-45163j.pdf
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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