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メタミドホスについての概要、用途、原理などをご説明します。また、メタミドホスのメーカー3社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
メタミドホス(英: methamidophos)とは、化学式C2H8NO2PSで示される有機リン化合物の1種です。
CAS登録番号は10265-92-6、分子量は141.1、純度の高いものは無色の針状結晶結晶として単離されます。西ドイツのバイエルが開発した殺虫剤で殺虫効果は高いですが、ヒトへの有毒性も強く、日本国内では農薬取締法に基づき製造・輸入・使用は禁止されています。
メタミドホスは、昆虫を殺すために農作物に使用される有機リン系殺虫剤や殺ダニ剤としての用途が知られています。神経伝達物質であるアセチルコリンを分解する酵素アセチルコリンエステラーゼの活性を阻害することにより、分解されずに過剰となったアセチルコリンが神経に作用し、殺虫効果を示します。
日本国内では農薬として登録されていないため使用できませんが、国外では国によっては農作物 (穀類、野菜、果実など) を限定して使用が許可されています。国外では使用されており、国内登録農薬であるアセフェートの加水分解物としてメタミドホスが生成することから、日本においてもポジティブリスト制度やコーデックス委員会 (WHO/FAO 合同食品規格委員会) の基準を参考に残留基準が設定されています。
日本でのメタミドホスの残留基準値は品目によって異なりますが、0.01 ppm~1 ppm以下です。
メタミドホスの高純度品は融点44.5℃、常温では無色の固体で、玉ねぎの腐敗臭の様なにおいがあります。水への溶解性は高く、アルコール、アセトンなどにも可溶です。一方で、ベンゼンやキシレン、ジクロロメタンやエーテルなどへの溶解度は低いです。また、加熱 (160℃以上) により分解される特徴があります。
メタミドホスは動物において、シナプスに存在するアセチルコリンエステラーゼの活性を阻害する働きがあります。それによって、アセチルコリンが分解されずに過剰となり、中枢神経系の働きを阻害し、胃けいれん、下痢、嘔吐といった症状が起きます。
これらは典型的な有機リン化合物の中毒症状です。メタミドホスなどの有機リン化合物は摂取量によっては後遺症が残ったり、死に至ることもあります。有機リン中毒の治療としては胃腸を洗浄する、ヨウ化プラリドキシム (PAM) による解毒治療、硫酸アトロピンの使用などが行われます。
食品を介したメタミドホスによる中毒事例は過去に実際に発生しています。シンガポールや台湾では、生鮮野菜を介した中毒事故が発生しています。また、日本国内においても中国製冷凍餃子事件で健康被害が発生し、食の安全を脅かす大きな問題となりました。
メタミドホス (O=P(SCH3)(NH2)(OCH3)) は、下記のようなスキームで合成されます。
合成経路1 (米国特許 第3,887,658号)
三塩化リンと硫黄を反応させて塩化チオホスホリルを得ます。
PCl3 + S → S = PCl3
塩化チオホスホリルをメタノールでエステル化し、O-メチルホスホロジクロロチオエートを得ます。
S = PCl3 + CH3OH → S = PCl2(OCH3) + HCl
O-メチルホスホロジクロロチオエートをトリエチルアミンなどの三級アミンの存在下で加熱してメチル基を硫黄原子上に転位させ、メタノールおよびアンモニアと化学反応させます。
S = PCl2(OCH3) → O = PCl2(SCH3)・・・転移反応
O = PCl2(SCH3) + CH3OH + NH3 → O = P(SCH3)(NH2)(OCH3) + 2HCl
合成経路2 (特公昭42-021811)
塩化チオホスホリルをメタノールでエステル化し、O,O-ジメチルホスホロクロロチオエートを得ます。
S = PCl3 + 2CH3OH → S = PCl(OCH3)2 + 2HCl
O,O-ジメチルホスホロクロロチオエートをアンモニアもしくはアンモニア水と反応させてアミド化します。
S = PCl(OCH3)2 + NH3 → S = P(NH2)(OCH3)2 +HCl
ジメチル硫酸等を触媒としてメチル基を硫黄原子上に転位反応させます。
S = P(NH2)(OCH3)2 → O = P(SCH3)(NH2)(OCH3)・・・転移反応
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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