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フルオロ酢酸についての概要、用途、原理などをご説明します。また、フルオロ酢酸のメーカー4社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。フルオロ酢酸関連企業の2024年11月注目ランキングは1位:東京化成工業株式会社となっています。
図1. フルオロ酢酸の基本情報
フルオロ酢酸 (Fluoroacetic acid) とは、化学式C2H3FO2で表される有機化合物であり、カルボン酸の一種です。
酢酸のメチル基上の水素原子が一つフッ素原子に置き換わった構造をしています。IUPAC命名法による名称は、モノフルオロ酢酸です。CAS登録番号は、144-49-0です。
分子量は78.04、融点は35.2℃、沸点は165℃であり、常温では無色無臭の固体です。結晶は針状の形状をしています。密度は1.37g/cm3、酸性度の指標となるpKaは2.586です。水及びエタノールなどに溶解します。
毒性が高いため、「毒物および劇物取締法」において特定毒物に指定されており、許可なく所持することが禁じられています。その他には、消防法で「貯蔵等の届出を要する物質」に指定されており、道路法や航空法においても規制を受ける物質です。
フルオロ酢酸は非常に高い毒性を持つため、殺虫剤や殺鼠剤に使用されている化合物です。人体にも極めて有害で、全身のけいれんを引き起こしたり、心臓に障害を起こしたりします。致死量は2~5mg/kgと言われています。
また、関連する物質では、モノフルオロ酢酸ナトリウムが殺鼠剤に、モノフルオロ酢酸アミドが殺虫剤に使われます。
フルオロ酢酸の原理を合成方法と毒性などの観点から解説します。
図2. フルオロ酢酸の合成
ヨード酢酸メチルをフッ化銅またはフッ化水銀と加熱する、またはクロロ酢酸メチルをフッ化カリウムと加熱するなどの方法によって、フルオロ酢酸のエステルを得ることができます。フルオロ酢酸は、これらのエステルを加水分解することによって合成・製造が可能です。
また、フルオロ酢酸は自然界の中では植物の中から見つかっている物質です。南アフリカなどに生息する植物「ジフブラール」をはじめとして、南半球を中心に、モノフルオロ酢酸塩 (カリウム塩) を含む有毒植物があることが知られています。
図3. フルオロ酢酸の生体毒性
フルオロ酢酸は酢酸の水素原子が一つ置換されただけの化合物ですが、毒性が大幅に高くなっています。これは、フッ素原子の原子半径が小さいため、酢酸と間違えられて酸素呼吸に代謝経路に取り込まれてしまうことが原因です。
好気性代謝経路においてフルオロ酢酸がフルオロクエン酸に代謝され、クエン酸回路に取り込まれます。クエン酸回路は、細胞のエネルギー生産手段であるため、フルオロクエン酸による阻害を受け、細胞死へ至ります。クエン酸回路を代謝経路に持つ生物ならば、動物・植物を問わずあらゆる生物に対して有害です。人体での致死量は2~5mg/kgとされます。
似た名称のものに、トリフルオロ酢酸がありますが、こちらは毒性も低く、実験室等で強酸として汎用される物質です。トリフルオロ酢酸とフルオロ酢酸 (モノフルオロ酢酸) を混同しないように注意が必要です。
フルオロ酢酸は、加熱により分解すると、フッ化物などの非常に有毒な蒸気などを生じます。また、多くの化学物質と反応し、有毒で引火性のガスを生じる化合物です。強酸化剤、塩基との混触は危険性があるため、避けるべきとされます。
フルオロ酢酸は、毒性が非常に高いため、滅多に使用されることはありません。また、毒物及び劇物取締法 (毒劇法) により、特定毒物に指定される物質であることから、取り扱いも厳しく制限されています。そのため、一般にはほとんど流通していません。
関連する物質としては、フルオロ酢酸の塩であるモノフルオロ酢酸ナトリウムが研究開発用の試薬として販売されています。1g , 25gなどの容量がありますが、こちらも特定毒物であることから、法規制のかかる化合物です。
尚、酢酸のメチル基の水素がすべてフッ素に置換されたトリフルオロ酢酸は、強酸として汎用されるため、研究開発用試薬・HPLC用など、様々な製品があります。名称が酷似していますが、フルオロ酢酸 (モノフルオロ酢酸) の方が毒性が非常に高いため、混同しないように注意が必要です。
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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