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トリエチルアミン塩酸塩についての概要、用途、原理などをご説明します。また、トリエチルアミン塩酸塩のメーカー6社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
1993年~2019年に日本化薬株式会社医薬研究所にて医薬品の研究開発、各種生体試料の分析に従事。危険物取扱者、放射線取扱主任者として施設管理業務も担当。2019年に同業他社に転職、現在まで同様の業務を担当。専門書執筆・翻訳・校閲活動も行っている。>LinkedIn: h
トリエチルアミン塩酸塩とは、強塩基性の有機アミン (3級アミン) であるトリエチルアミンに塩酸を加えて反応させたときにできる塩 (アンモニウム塩) です。
元のトリエチルアミンは液体で有機溶媒と混ざりますが、塩酸塩は固体で水溶性が高いという性質になっています。別名、トリエチルアンモニウムクロリドとも呼ばれ、化学式は(C2H5)3N · HCl 、CAS番号は554-68-7です。
通常は、白色の固体として存在しており、わずかにアミン臭がすることが特徴です。
トリエチルアミン塩酸塩は、主に医薬品や染料等の有機合成原料として用いられます。例えば、強塩基を用いてトリエチルアミンを遊離させ、これを他の分子と反応させます。また、疎水性のエチル基を3つ持つ性質と強塩基である性質を併せ持っているため、酸性物質と会合体を形成させて有機溶媒中に抽出する (イオンペアー抽出) 際のイオンペアー試薬として使用されることもあります。
抽出と同様に、イオンペアー高速液体クロマトグラフィー (HPLC) にも使用可能です。抽出と同様に、酸性物質と会合させてイオンペアーを形成することで、水溶性の酸性物質を逆相HPLCで分析できるようにします。ただし、HPLCではより効果の大きい4級アンモニウム塩であるテトラエチルアンモニウム塩酸塩が用いられるようになってきています。
液体クロマトグラフィー質量分析 (LC-MS) では揮発性が重要であるため、より揮発性が高いトリエチルアミン酢酸塩等が用いられることもあります。これらのイオンペアー試薬に対して、トリエチルアミン塩酸塩は比較的廉価であることが特徴です。また、弱酸性から中性の液性を示す性質を持つため、生化学実験でナトリウムイオンの影響を調べるときに塩化ナトリウムの比較対象として用いることがあります。
トリエチルアミン塩酸塩の外観は白色の固体 (結晶または結晶性粉末) です。水、エタノールに溶けやすく、エーテルに不要です。特に水には良く溶けます。
水溶液は中性付近から弱酸性の範囲であり、濃度50g/LでpH3.0~6.0です。融点は明確でないとされており、加熱していくと約260℃で分解します。
粉末は潮解性を有するため、保管・取り扱いの際には湿度に注意が必要です。また、光によって変質するおそれがあるため、保管する際は遮光が必須となります。
トリエチルアミン塩酸塩は化学合成によって製造されます。一般には、アンモニアをエタノールでアルキル化してトリエチルアミンを獲得し、それを塩酸塩にすることで合成されます。
皮膚腐食性や刺激性、眼に対する重篤な損傷性、眼刺激性が知られており、危険有害性区分は皮膚刺激性がカテゴリー2、眼に対する重篤な損傷性と眼刺激性はカテゴリー2Aです。消防法や労働安全衛生法といった国内法規には該当していません。
ただし、化学物質の一般的な留意点として、防塵マスク、保護手袋を着用し、局所排気装置がある環境で取り扱う必要があります。また、強酸化剤とは激しく反応するため、混在を避けることも重要です (法令上は強酸化剤の方が第一類または第六類危険物として規制されています) 。
火災になった場合、完全燃焼により二酸化炭素、窒素酸化物が発生、同時に塩化水素ガスが発生します。熱分解によりアミンやアンモニアが発生する可能性もあり、いずれも人体に有害です。
トリエチルアミン塩酸塩からは、トリエチルアミンが生じる可能性があります。トリエチルアミンは水生環境に有害であるため、トリエチルアミン塩酸塩の処分も環境放出が無いように実施しなければなりません。
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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