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テトラヒドロピランについての概要、用途、原理などをご説明します。また、テトラヒドロピランのメーカー6社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
テトラヒドロピラン (英: Tetrahydropyran) とは、無色透明液体の環状エーテルです。
IUPAC名はオキサン (英: Oxane) 、別名として、THP、オキサシクロヘキサン (英: Oxacyclohexane) 、1-オキサシクロヘキサン (英: 1-Oxacyclohexane) 、1,5-エポキシペンタン (英: 1,5-epoxypentane) 、ペンタメチレンオキシド (英: Pentamethylene oxide) とも呼ばれます。
有機合成において、2-テトラヒドロピラニル基は、アルコールの保護基として汎用されます。基質のアルコール部位に対し、酸性条件下、2,3-ジヒドロピランを作用させることでテトラヒドロピラニルエーテルへと変換可能です。
典型的な条件では、アルコールをジクロロメタン溶媒中でp-トルエンスルホン酸存在下、ジヒドロピランを作用させます。脱保護は、酸加水分解により行われ、5-ヒドロキシペンタナールが複製されます。水を作用させることが好ましくない場合は、水の代わりにアルコールを用いることも可能です。
2-テトラヒドロピラニル基は、塩基や求核剤、還元剤の存在下で比較的安定なため、有用な保護基です。しかし、保護の過程でテトラヒドロピラニル基の2位に不斉中心を生成させるため、NMRスペクトルが複雑になるなどの欠点があります。
また、不正中心を有する基質の保護に用いた場合、ジアステレオマーが生成しうるため、反応系が複雑になる可能性があります。ジアステレオマーは、立体異性体のうち鏡像異性体でないもののことです。ジアステレオマー同士は、沸点や溶解度、カラムクロマトグラフィーでの挙動など物理的性質が異なります。
テトラヒドロピランは、酸性条件や塩基性条件、還元条件に強い耐性を持つため、反応溶媒、抽出溶媒、晶析溶媒といった様々な用途で使用できる有機溶媒です。
n-BuLiなどの強塩基性条件下では、同じ環状エーテル構造を持つ、五員環のテトラヒドロフランに比べ、テトラヒドロピランはより強い耐性を有します。そのため、医薬・農薬原料としても使用されます。
化学式はC5H10Oで表され、分子量は86.13です。CAS番号は142-68-7で登録されています。融点は-45 °C、沸点は88 °Cで、常温で液体です。
密度は、0.880g/ml (20℃) です。揮発性とエーテル系の刺激臭を持つ液体で、アルコールやエーテルなど多くの有機溶媒、および水に溶けます。
ラネーニッケル触媒に代表されるラネー合金を触媒として用い、2,3-ジヒドロピランに水素添加することで合成できます。また、酸性条件下、1,5-ペンタンジオールの脱水を伴う環化反応によっても合成可能です。
テトラヒドロピランは、以下の国内法令に指定されています。
取り扱う場合の対策
使用の際は、局所排気装置であるドラフトチャンバー内で、個人用保護具を着用してください。テトラヒドロピランは、強酸化剤との接触で激しく反応する恐れがあります。
強酸化剤には近づけないようにしてください。また、空気との長時間の接触により過酸化物を生成します。テトラヒドロピランは-22 °Cに引火点を持つ、引火性の非常に高い液体です。高温物や熱、炎、火花、静電気、スパークには近づけないようにしてください。
火災の場合
熱分解により、刺激性で有毒なガスと蒸気を放出する可能性があります。水スプレー (水噴霧) や二酸化炭素 (CO2) 、泡、粉末消火剤、砂などを用いて消火活動をしてください。
皮膚に付着した場合
使用時は、白衣や作業着などの保護衣と保護手袋を着用し、皮膚が暴露しないようにしてください。
皮膚に付着してしまったら、すぐに石けんと大量の水で洗い流します。汚染された衣類は、すべて脱いで隔離します。皮膚刺激が続く場合は、医師に連絡してください。
眼に入った場合
使用時は、保護メガネまたはゴーグルを必ず着用してください。万が一眼に入った際は、コンタクトを着用している場合は外し、水でしっかり洗浄します。眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けてください。
保管する場合
直射日光を避け、換気が良好かつ涼しい場所で、ガラス製容器に入れ、密閉して保管します。保管庫は、必ず施錠してください。
参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/142-68-7.html
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0120-0508JGHEJP.pdf
https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Tetrahydropyran
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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