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アジポニトリルについての概要、用途、原理などをご説明します。また、アジポニトリルのメーカー12社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。アジポニトリル関連企業の2024年10月注目ランキングは1位:メルク株式会社となっています。
図1. アジポニトリルの基本情報
アジポニトリルとは、ジニトリルの1種で、常温では無色の液体です。
別名、「ヘキサンジニトリル」「1,4-ジシアノブタン」などとも呼ばれます。可燃性で、有毒ガスを発生させます。他のシアン化合物と同様に、劇毒です。
消防法にて「第4類引火性液体」に、毒物及び劇物取締法にて「劇物」に、労働安全衛生法にて「名称等を表示し、又は通知すべき危険物及び有害物」に、それぞれ指定されており、取り扱いには注意が必要です。
アジポニトリルは、ナイロン66 (Nylon 66) の製造に用いられる重要な中間体で、用途の大部分はナイロン製造用です。ナイロン66には、高強度・耐摩耗性・電気絶縁性といった特性があり、電子機器や自動車、包装、建築、消費財などの用途に幅広く使用されています。
ナイロンの原料として用いられる以外にも、さび止め剤やゴムの加硫促進剤の製造中間体としても用いられています。ガラス繊維などとのコンポジット化によって、自動車の構造材としても利用される場合が多いです。
アジポニトリルは、水・メタノール・エタノール・クロロホルムに溶けます。融点は1°C、沸点は295°Cです。経口的に他のシアン化合物と同じく劇毒ですが、呼吸的には蒸気圧が低いため経皮的に危険性は少ないと言えます。
分子式はC6H8N2、分子量は108.14です。シアノ基を2つ持った有機化合物であり、示性式はNC(CH2)4CN、密度は0.97g/cm3です。
図2. アジポニトリルの合成法
一般的にアジポニトリルは、五酸化バナジウム等を触媒として、アジポアミドを脱水することで得ることが可能です。工業化された方法には、ブタジエンをヒドロシアノ化することによる合成法があります。
それ以外にも、プロペン (英: propene) のアンモ酸化 (英: ammoxidation) で生じるアクリロニトリル (英: acrylonitrile) を、電解二量化還元すると生成します。
アジポニトリルは、アジポアミドの脱水で得られます。具体的には、シクロヘキサンの酸化によって生じるアジピン酸に、アンモニアを反応させます。生成したアジピン酸アンモニウムを、リン酸系触媒を使用して脱水すると得ることが可能です。
ブタジエンのヒドロシアノ化でも合成できます。まず、銅-マグネシウムクロマイト触媒によって、青酸とブタジエンを気相で反応させると、3-ペンテンニトリル (英: 3-pentenenitrile) と4-ペンテンニトリル (英: 4-pentenenitrile) が主生成物として得られます。
これら生成物をニッケル系錯体触媒を用いて、さらに液相でシアン化水素酸と反応させることで、アジポニトリルを得ることが可能です。
図3. アジポニトリルの反応
ニッケルなどを触媒として、アジポニトリルを水素化すると、ヘキサメチレンジアミン (英: hexamethylene diamine) となります。そして、加水分解によって、アジピン酸 (英: adipic acid) を得ることが可能です。アジポニトリルから生成するヘキサメチレンジアミンとアジピン酸を縮重合することで、ナイロン66が製造されています。
ナイロン66の合成中間体として、アジポニトリルは重要な化合物です。ナイロン66を得るために必要なヘキサメチレンジアミンとアジピン酸は、いずれもアジポニトリルから合成できます。
参考文献
http://www.kishida.co.jp/product/catalog/msds/id/14055/code/LBG-01583j.pdf
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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