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五塩化リンについての概要、用途、原理などをご説明します。また、五塩化リンのメーカー10社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
五塩化リン (英: phosphorus pentachloride) とは、化学式PCl5であらわされる無機化合物であり、リンの塩化物です。
モル質量は208.2g/mol、昇華点は160℃、比重は2.1、CAS番号は10026-13-8です。同じくリンの塩化物である三塩化リンや塩化ホスホリルと同様に、さまざまな物質の合成に非常に良く用いられてます。
気体中での五塩化リンは三方両錐型の構造をしており、塩化物イオンが1つ脱離したカチオンは正四面体構造を、1つ付加したアニオンは正八面体構造を取ります。
五塩化リンの工業的な使用用途として、医薬品 (抗生物質、ビタミン、その他) 染料等の各種塩化物の製造における試薬が挙げられます。五塩化リンは、その強い反応性からさまざまな有機化合物、無機化合物の塩素化試薬として有機合成に広く用いられます。
有機化合物との反応例として、カルボン酸と反応してカルボン酸塩化物を生成し、アルコールと反応して塩化アルキルを生成します。この反応は塩素化反応としては非常に優れていますが、副生成物であるリン酸トリクロリドが固体で取り除きにくいということが欠点です。そのため、研究室レベルの実験では、気体である二硫化酸素を副生成物とする塩化チオニルなどの試薬の方がより多く使われます。
さらに、第3級アミドと反応させて、ビルスマイヤー試薬を生成する際にも使用されます。この試薬は、アミドと活性芳香族化合物から芳香族ケトンやアルデヒドの合成に利用することが可能で、非常に有用です。
それ以外にも、アリール位やベンジル位の炭素に結合する水素を塩素に置換するといった反応にも使用されています。
五塩化リンは反応性が非常に高く、二酸化窒素などの無機物を塩素化することができます。また、様々な金属元素を塩素化し、金属の塩化物と付加体を作るという性質を持っています。しかし、有機物の場合と同様に、現在では他の反応剤を使用することが多くなりました。
無機化合物とのその他の反応例として、フッ化リチウムと反応し、リチウムイオン電池の電解質に用いられるヘキサフルオロリン酸リチウムを生成するといった反応もあります。
五塩化リンの外観は、白色または淡黄色の結晶あるいは固塊です。強い刺激臭および発煙性を持ち、極めて高い吸湿性を有します。五塩化リンは、通常三塩化リンと塩素ガスを反応させて製造されます。
この反応はエンタルピー的に有利な反応なので進みやすく、非常に多量の五塩化リンがこの方法で製造されています。しかし、180℃においては五塩化リンは三塩化リンと塩素との間で平衡状態となるので、五塩化リンには塩素が含まれて緑色を呈していることがあります。
五塩化リンは、非常に反応性の強い物質です。水と反応すると塩化水素を発生します。さらに、加水分解が進行すると、塩化水素に加えてリン酸も生成します。そのため、水に溶けることはできませんが、二硫化炭素やベンゼンなどの有機溶媒には可溶です。
五塩化リンは、GHS分類において、急性毒性 (経口) 、皮膚腐食性・刺激性、眼に対する重篤な損傷・眼刺激性、特定標的臓器・全身毒性 (単回および反復ばく露) が認められています。さらに、水などの物質と激しく反応することから爆発の危険性もあり、取り扱いには注意が必要です。使用する際には、保護メガネとゴム手袋の着用は必須です。
五塩化リンの法規制は、労働安全衛生法において「名称等を表示すべき危険有害物質に指定」されています。また、リスクアセスメントを実施すべき危険有害物質にも該当しており、毒物・劇物取締法においては、毒物に指定されています。
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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