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二酸化セレンについての概要、用途、原理などをご説明します。また、二酸化セレンのメーカー14社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
図1. 二酸化セレンの基本情報
二酸化セレン (英: selenium dioxide) とは、セレンの酸化物の一種です。
無水亜セレン酸 (英: Selenous anhydride) とも呼ばれます。セレンの燃焼や硝酸を用いた酸化によって生成し、常温では無色の結晶です。
労働安全衛生法では、名称等を表示すべき危険物及び有害物、名称等を通知すべき危険物及び有害物に該当しています。労働基準法では疾病化学物質に、化学物質管理促進法 (PRTR 法) では第1種指定化学物質に、毒物及び劇物取締法では毒物に該当します。
有機化学分野で二酸化セレンは、酸化試薬の1つとして使用可能です。二酸化セレンを酸化剤に使用し、ほかの合成方法では難しい物質を容易に得られます。具体的には、カルボニル化合物、オレフィン、アセチレン類、アルコール等の酸化に利用可能です。
ガラスへの添加剤としても使用されており、ガラスに二酸化セレンを添加すると赤色を呈します。不純物を含む青色に見えるガラスを無色に見せるために、二酸化セレンを加える場合もあります。単体セレン、セレン酸塩、亜セレン酸塩も同様の用途で利用可能です。
常温で無色の針状結晶です。昇華点は315°Cで黄緑色の気体になり、封管中では融点は340°Cで青色の液体に変わります。25°Cで100gの水に、73.3g溶けます。
独特の不快臭を有し、毒性は強いです。マウスによる経口投与での50%致死量 (LD50) は23.3mg/kgで、ラットによる経口投与では68.1mg/kgです。吸入や皮膚から吸収されるため、取り扱いに注意する必要があります。
二酸化セレンの化学式はSeO2、式量は110.96g/mol、密度は3.95g/cm3です。室温では鎖状高分子を形成しています。交互にセレン原子と酸素原子が並んでおり、それぞれのセレン原子はピラミッド型を取っていて、末端にはオキシド基があります。架橋Se-Oは179pmで、末端Se-Oは162pmです。セレンの立体化学は、ポリマー鎖に沿って交互になっています。
気相で二酸化セレンは、二量体やオリゴマーとして存在し、高温では単量体になります。単量体は二酸化硫黄に似た曲がった構造を取り、結合長は161pmです。単量体は極性分子で、双極子モーメントは2.62Dで、2つの酸素原子の中点からセレン原子に向いています。二量体は中心対称のいす形を取っています。オキシ塩化セレン (英: Selenium oxydichloride) に二酸化セレンを溶かすと、三量体の[Se(O)O]3を生成可能です。
図2. 二酸化セレンの反応
二酸化セレンはアンモニアにより還元され、セレンが生じます。過酸化水素や硝酸中の酸素によって酸化すると、セレン酸を生成可能です。水との反応では亜セレン酸が得られます。
図3. 二酸化セレンを用いた反応
有機合成で二酸化セレンは重要な試薬です。アセトアルデヒドの三量体であるパラアルデヒド (英: paraldehyde) を、二酸化セレンによって酸化すると、グリオキサール (英: glyoxal) が得られます。シクロヘキサノンの酸化によって、1,2-シクロヘキサンジオン (英: 1,2-cyclohexanedione) を生成可能です。
二酸化セレンはセレンに還元され、赤色の非晶質固体として沈殿するため、容易に濾別できます。二酸化セレンを用いた酸化反応はライリー酸化 (英: Riley oxidation) と呼ばれます。
アリル基を有するアルキル化合物やアリール化合物の酸化にも使用可能です。アシル化ヒドラゾン誘導体から1,2,3-セレナジアゾール (英: 1,2,3-selenadiazoles) を合成する際にも用いられます。
参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0119-0035JGHEJP.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yukigoseikyokaishi1943/30/8/30_8_739/_pdf
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/7446-08-4.html
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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