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ヨードベンゼンについての概要、用途、原理などをご説明します。また、ヨードベンゼンのメーカー9社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
図1. ヨードベンゼンの基本情報
ヨードベンゼンとは、化学式がC6H5Iで表される有機ハロゲン化物です。
ベンゼンにヨウ素またはヨウ化硫黄と硝酸を加えて加熱すると、ヨードベンゼンを生成可能です。
GHS分類で、引火性液体、急性毒性 (経口) 、眼刺激性に分類されています。ヨードベンゼンは労働安全衛生法で名称等を表示・通知すべき危険物および有毒物に、消防法では「危険物第四類・第三石油類」に指定されています。市販品としてヨードベンゼンの入手は容易です。
ヨードベンゼンは、有機化学で合成中間体として利用されます。とくにフェニル基は多くの天然化合物や有機化合物に含まれる構造であり、ヨードベンゼンを用いた反応は非常に有用です。
具体的には、マグネシウムとの反応によるグリニャール試薬 (英: Grignard reagent) の生成のほか、パラジウム触媒を用いたクロスカップリング反応 (英: Coupling reaction) の基質として使用されます。
図2. ヨードベンゼンの反応
ヨードベンゼンの融点は-29°Cで、沸点は188°Cです。無色〜赤褐色の明澄液体であり、揮発性や特異臭があります。時間が経過すると赤味を帯びます。有機溶媒によく溶解しますが、水には溶けません。
露光するとヨウ素が遊離します。金属ナトリウムとの反応で、ビフェニルを合成可能です。水酸化ナトリウムと熱すると、フェノールが生成します。
ヨードベンゼンの炭素-ヨウ素結合は、同じくベンゼンのハロゲン化物であるクロロベンゼンの炭素-塩素結合やブロモベンゼンの炭素-臭素結合よりも弱いです。そのため反応性が高く、目的の化合物にフェニル基を導入する際によく用いられます。
ヨードベンゼンはベンゼンが持つ6個の水素原子の1個が、ヨウ素に置換された有機化合物です。モル質量は204.01g/molで、密度は1.831g/cm3です。
図3. ヨードベンゼンの合成
アニリンをジアゾ化して、ヨウ化カリウムを加える方法なども知られています。この方法はザンドマイヤー反応 (英: Sandmeyer reaction) と呼ばれ、銅塩を触媒に使用して、ハロゲン化アリールを芳香族ジアゾニウムイオンから合成する反応です。
まず、氷冷下で亜硝酸ナトリウムを芳香族アミンの塩酸溶液に加えると、ジアゾニウム塩が生じます。次に過剰量のヨウ化カリウムによって塩が交換され、温度を上昇させると窒素ガスが発生し、ヨードベンゼンが得られます。強塩基によって過剰な亜硝酸は分解し、酸性にして水蒸気蒸留するとヨードベンゼンを精製可能です。
ヨードベンゼンとマグネシウムの反応によって、フェニルマグネシウムヨージドが得られます。フェニルマグネシウムヨージドはグリニャール試薬の一種であり、合成化学的にはフェニルアニオンの合成等価体 (英: synthetic equivalent) です。したがってフェニルマグネシウムブロミドとフェニルマグネシウムヨージドは同等です。
薗頭カップリング (英: Sonogashira coupling) やヘック反応 (英: Heck reaction) のようなパラジウム触媒-クロスカップリング反応の基質としてもよく利用されます。
薗頭カップリングは薗頭反応や薗頭・萩原カップリングとも呼ばれます。パラジウム触媒、銅触媒、塩基を用いて、ハロゲン化アリールと末端アルキンのクロスカップリングによって、アルキニル化アリールを合成する化学反応です。
ヘック反応は塩基存在下でパラジウム触媒によって、ハロゲン化アリールやハロゲン化アルケニルでアルケンが持つ水素原子を置換する反応のことです。溝呂木・ヘック反応とも呼ばれます。
参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0109-0243JGHEJP.pdf
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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