全てのカテゴリ
閲覧履歴
ベンジルについての概要、用途、原理などをご説明します。また、ベンジルのメーカー4社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
ベンジルとは、黄色の結晶もしくは結晶性粉末の有機化合物です。
国内法令上の規制は特にありませんが、保管に関してガラスを安全な容器包装材料とし、注意事項は「直射日光を避け、換気のよいなるべく涼しい場所に密閉して保管すること」とされています。
ベンジルの用途には、印刷の製版に以前から使用されていた「光硬化性樹脂」の光増感剤としての利用が挙げられます。写真材料の分野では増感剤は、限られた波長以外の光でも反応するようにした「光学増感剤」と光の感度をよくする「化学増感剤」に使い分けられています。
光増感剤は、写真の感度向上に寄与しているといわれ、光硬化性樹脂は多方面へ活用することが可能です。そのほか、医薬品分野では中間体として、また重合反応の開始剤といった方面で使用されています。
ベンジルは密度が1.23 g/cm3の固体です。エタノールやエーテルに溶けますが、水には溶けません。
融点は94〜97℃、沸点は346〜348℃、引火点は180℃です。化学式はC6H5COCOC6H5、分子量は210.23、CAS登録番号は134-81-6です。
ベンジル (英: benzyl) は、芳香族のジケトンです。ジベンゾイル (英: dibenzoyl) 、ビベンゾイル (英: bibenzoyl) 、ジフェニルグリオキサール (英: diphenylglyoxal) などの別名を持っています。なお、ベンジルの構造式は、C6H5-C(=O)-C(=O)-C6H5と表されます。
図1. ベンジルの合成
研究室でベンジルを合成する場合には、ベンズアルデヒド (英: benzaldehyde) をベンゾイン縮合 (英: benzoin condensation) によって、2-ヒドロキシ-1,2-ジフェニルエタノンであるベンゾイン (英: benzoin) を得てから、硝酸や硫酸銅(II)などで酸化することで生成します。
ベンゾイン縮合とは、触媒としてシアン化物イオンを用いることで、芳香族アルデヒドが2量体化して、α-ヒドロキシケトンであるアシロイン (RC(=O)CH(OH)R') を生成する化学反応のことです。代表的な芳香族アルデヒドのベンズアルデヒドから、ベンゾインが生成するため、ベンゾイン縮合と呼ばれています。
強塩基をベンジルに作用させると、フェニル基の転位が起こって、ベンジル酸の塩が生じます。これをベンジル酸転位と呼びます。
図2. ベンジルを用いたベンジル酸転位
ベンジル酸転位 (英: benzilic acid rearrangement) とは、有機化学における転位反応の一つです。水酸化カリウムをベンジルに作用させると、フェニル基が1,2-転位を起こし、ベンジル酸のカリウム塩を与えます。この反応はユストゥス・フォン・リービッヒ (英: Justus Freiherr von Liebig) によって示されました。
脂肪族の1,2-ジケトンを基質として 、α-ヒドロキシカルボン酸を合成した例も知られています。
図3. ベンジル酸転位のメカニズム
量子化学計算の結果によって支持されている機構は、上図の通りです。まず反応は、1のカルボニル基に対して、ヒドロキシドアニオンの付加によって開始します。
付加体2から3への軸回転後に起きる、4へのR基の1,2-転位は協奏的です。溶媒の水と4の間で、プロトンの移動を起こして、5になります。酸で処理した段階で、6が生成します。
ベンジル基 (英: benzyl group) 構造はC6H5CH2-であり、トルエンからメチル基の水素1個を除いた構造です。ベンジルと名前が似ていますが、全く異なります。
ベンジル酸 (英: benzilic acid) も水酸化カリウムとアルコールの混合物を、ベンジルとともに熱することで作られる化合物です。
参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0102-0815JGHEJP.pdf
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社