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ビフェニルについての概要、用途、原理などをご説明します。また、ビフェニルのメーカー7社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
図1. ビフェニルの構造式
ビフェニルとは、ベンゼン系芳香族炭化水素の1種です。
図1のように、二つのベンゼン環が単結合で結合した構造をしています。外観は白色または無色の結晶です。水にはほとんど溶けませんが、アセトンやアルコールにはよく溶けます。ビフェニル及びその誘導体は安定性が高く用途が広いものもありますが、その反面毒性が強いものもあるため、取り扱いから廃棄する際まで注意が必要です。
ビフェニルの外観は、無色あるいは白色の結晶です。フレーク状になっていることもあります。
ビフェニルは有機化合物であり親水基 (ヒドロキシル基など) を持たないため、水溶媒に溶解しません。ビフェニルは芳香族化合物であるため、同様にベンゼン環を持つ芳香族溶剤 (トルエン、キシレンなど) によく溶けます。芳香族溶剤以外にも、アセトン、エタノールなどの有機溶媒に溶かすことができます。
ビフェニルは室温下の結晶においては、図1のような平面構造をとっていますが、固相あるいは液相、または結晶を相転移温度以下まで冷却すると、二つのベンゼン環が互いにねじれた構造をとります。
有機化合物は共役構造をとることで安定化します。単純に共役構造をとるだけであれば、各々の元素の電子軌道をできるだけ重ねるために平面構造をとることがエネルギー的に有利になりますが、ビフェニルの場合はオルト基の水素原子同士が立体障害を起こします。
つまり、「共役構造による安定化」と「水素原子の立体障害」のバランスによって、エネルギー的に有利なねじれ角度が決まります。
図2. ポリ塩化ビフェニル (PCB)
ビフェニルの主な用途として、防カビ剤、合成樹脂、熱媒体およびその原料が挙げられます。
日本では防カビ剤としての使用が多く、特に柑橘類の防カビ目的でよく使用されていましたが、ビフェニルに対する耐性菌が発見されてからはあまり使用されていません。他の使用用途としては、過充電防止剤としてリチウムイオン電池の電解液に添加されることがあります。
過去にはビフェニルの水素を塩素に置換した図2のようなPCB (ポリ塩化ビフェニル) が広く利用されていました。その使用用途は、絶縁体、熱媒体、可塑剤、感圧紙と幅広く、特に絶縁性の高さが評価され、1970年代初めごろまではトランスなどに使用されていました。
しかし、PCBは油にとけやすいため、徐々に体に取り込まれ健康に悪影響を及ぼします。また安定性が非常に高いため、廃棄しても分解は容易でなく、自然への負荷が大きくなることが明らかになり1974年に使用禁止となりました。
該当する年代のトランス・変圧器を廃棄する際は、製品にPCBが含まれていないか確認する必要があります。
図3. ウルマン反応
ビフェニルは様々な方法で合成することができます。知られている合成法のうち、一部を以下に紹介します。
収率やコストの観点から、状況に応じて適切な合成法を選択することが重要です。
ビフェニルは、眼刺激性及び発がん性が指摘されています。また、長期の暴露により肝臓、腎臓、神経系への悪影響をもたらす可能性があります。ビフェニルだけでなく、ビフェニルの誘導体も毒性が高いため、利用する際には使用環境に応じた安全設備や保護具の着用が必要です。
ビフェニルは以下の法令指定物質に指定されています。
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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