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デカブロモジフェニルエーテルについての概要、用途、原理などをご説明します。また、デカブロモジフェニルエーテルのメーカー5社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
図1. デカブロモジフェニルエーテルの基本情報
デカブロモジフェニルエーテル (英: Decabromodiphenyl ether) とは、化学式C12Br10Oで表される有機化合物であり、ジフェニルエーテルの全ての置換基が臭素化された化合物です。
デカブロモジフェニルエーテルは、分子量959.17、融点300℃、沸点425℃であり、常温において白色または淡黄色の固体です。別名には、「デカブロモジフェニルオキシド」「ペルブロモジフェニルエーテル」「 1,2,3,4,5-ペンタブロモ-6-(2,3,4,5,6-ペンタブロモフェノキシ)ベンゼン」などの名称があり、略称にはdecaBDE, DBDE, BDE-209などの名称があります。
密度は3.364g/mL、水への溶解度は1.0×10-4mg/L (25℃) です。CAS登録番号は1163-19-5です。「高濃縮性でないが難分解性及び長期毒性を有する疑いのある化学物質」であり、化審法で指定を受けています。
デカブロモジフェニルエーテルは、臭素含有率が高く、かつ難燃化効果が高いことから、難燃剤として幅広く利用されてきました。ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエステル、ABSなどの合成樹脂に添加されている物質です。具体的な利用製品は、電気や電子機器用プラスチック、自動車の部品、ゴム用難燃処理剤、防炎性の繊維製品、接着剤、シール材、コーティング剤およびインクなどです。
ただし、デカブロモジフェニルエーテルは、さまざまな工業製品に添加されているものの、自然環境で分解されにくく、環境汚染や健康被害をおよぼす化学物質です。平成28年には、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約 (POPs条約) に基づき、廃絶・制限の対象物質への追加が決定されました。
図2. ポリブロモジフェニルエーテルの一般式
デカブロモジフェニルエーテルは、ポリブロモジフェニルエーテル (英: Polybrominated diphenyl ether) 、PBDEの1種です。合成的には、酸化ジフェニル、すなわちジフェニルエーテルの臭素化によって得られます。
ポリブロモジフェニルエーテルは、ジフェニルエーテルの臭素化物の総称で、置換臭素の数や位置によって、計算上209種の異性体が存在し、分子式は C12H(10−n)BrnO (1≦n≦10) と表される物質です。これはちょうどPCB (ポリ塩化ビフェニル) が計算上209種類の異性体を有することと同様です。
デカブロモジフェニルエーテルは、主に研究開発用試薬製品や工業用難燃剤原料として一般に販売されています。研究開発用試薬製品としては、主に50μg/mLなどの標準液として販売されており、ノナン溶液、イソオクタン溶液、イソオクタン:トルエン=50:50溶液などの製品があります。
容量は1mL前後と少量です。ただし、「化審法」に基づく「第一種特定化学物質」であるため、入手する際は使用するための確認書が必要となります。
図3. 臭素化ダイオキシンの構造
ポリブロモジフェニルエーテルの難燃メカニズムは、臭素がラジカルを捕捉することにより、燃焼前段階のラジカル連鎖反応を止めることによると言われています。ただし、デカブロモジフェニルエーテル自体はOHラジカルとの反応性は報告されていません。
一方で、臭素化合物であるため光には敏感であり、日光を用いた試験では直接的光分解が速やかに進行します。この反応では、主に 4あるいは 6 臭素化同属体に変換される物質です。ただし、光分解過程で脱臭素化がおき、さらに毒性の高い臭素化ダイオキシン類が形成されるという報告もあります。
デカブロモジフェニルエーテルは、脂溶性が高く生物蓄積性を有し、生物濃縮される物質です。そのため、化審法において、第一種特定化学物質に指定されています。水棲生物における生物濃縮性は中程度もしくは低いと推定されていますが、河川等環境中に放出してはならないとされます。
人体への有害性としては、 軽度の皮膚刺激、眼刺激、遺伝性疾患の可能性、また、長期又は反復ばく露によって肝臓、甲状腺、腎臓に障害を生じるおそれが指摘されている物質です。
参考文献
https://www.nite.go.jp/chem/risk/products_risk-decabde.pdf
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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