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テトラブロモエタンについての概要、用途、原理などをご説明します。また、テトラブロモエタンのメーカー4社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
図1. テトラブロモエタンの基本情報
テトラブロモエタン (Tetrabromoethane, TBE) とは、分子式C2H2Br4のハロゲン化炭化水素の一種である有機化合物です。
IUPAC命名法による正式名称は、1,1,2,2-テトラブロモエタンです。1つの炭素原子に3つの臭素原子が結合すると熱力学的に不安定になるため、1,1,1,2-テトラブロモエタンとはなりません。他の名称には、「アセチレンテトラブロミド」「四臭化アセチレン」などがあります。CAS登録番号は、79-27-6 です。
分子量345.65、融点0℃、沸点243.5℃であり、常温では無色から黄色の液体です。樟脳とヨードホルムの臭いに似た刺激臭を呈します。4つの臭素原子を含むことにより、密度は2.967g/mLと比較的重くなっています。
水にはほとんど溶けません (溶解度0.063g/100mL、20℃) が、エタノール、エーテル、クロロホルム、酢酸エチル、ヘキサンに対して任意の割合で混和します。
消防法、毒劇法、PRTR法では規制を受けていない物質です。労働安全衛生法では、「 名称等を表示すべき危険物及び有害物」及び「名称等を通知すべき危険物及び有害物」に該当しています。
図2. テトラブロモエタンを使用した比重選別
テトラブロモエタンの主な用途は、溶剤、スチレン樹脂難燃剤、TPA触媒などです。高分子材料の難燃化は、ハロゲン化合物、リン化合物、窒素化合物、無機化合物を添加分散したり反応させることによってなされます。
臭素化ポリスチレンは最も難燃効率が高いとされており、テトラブロモエタンは臭素化ポリスチレンを製造する際の溶媒に用いられます。それ以外のテトラブロモエタンの重要な用途の一つは、比重選別です。比重選別とは、リサイクル現場などで粉砕した金属種を分けるのに用いられる方法です。
例えば、砂や石灰石、ドロマイトなどはテトラブロモエタンに浮き、閃亜鉛鉱、方鉛鉱や黄鉄鉱などは沈殿します。これは、密度が2.967g/mLと高く、有機化合物の中では比較的重いことを利用したものです。また、液相をとる温度範囲が比較的広く、蒸気圧が低いことから、ブロモホルムの代用としても使用されることがあります。
図3. テトラブロモエタンの性質
テトラブロモエタンは、1,2-ジブロモエチレンへの臭素付加反応により合成することが可能です。テトラブロモエタンは、光や熱により徐々に分解し、黄褐色を帯びる性質があります。難燃性ですが、強熱下では分解し、可燃性です。
燃焼や強熱による分解では、一酸化炭素、臭素、臭化カルボニルおよび臭化水素を含む、有毒で腐食性のフュームを生じます。強アルカリ物質、アルカリ金属、アルカリ土類金属又は金属粉と混触すると激しく反応します。
また、軽金属 (アルミニウム、マグネシウム) 、 亜鉛、鉄に対して腐食作用を及ぼします。一方、銅と黄銅は耐久性があり、反応しません。
現在販売されているテトラブロモエタンは、主に研究開発用試薬製品が一般的です。容量500gなどのガラス瓶で主に販売されています。常温保管可能な試薬ですが、人体に対して有害であるため、適切に保管することが必要です。
参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/79-27-6.html
https://www.nies.go.jp/kisplus/dtl/chem/KN201085
https://www.nite.go.jp/
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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