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クロム酸バリウムについての概要、用途、原理などをご説明します。また、クロム酸バリウムのメーカー7社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
図1. クロム酸バリウムの基本情報
クロム酸バリウム (Barium chromate) とは、化学式BaCrO4で表される無機化合物です。
バリウムのクロム酸塩にあたり、六価クロム化合物の一種でもあります。CAS登録番号は、10294-40-3です。分子量253.37、融点は1380℃であり、常温では、黄色から黄褐色の粉末状の固体で存在しています。水にはほとんど溶けませんが、塩酸などの酸には溶解します。
水への溶解度は、0.0002775g/100mL (20°C) であり、密度は4.498g/cm3です。他の六価クロム化合物と同様に人体における発がん性が確認されています。毒物及び劇物取締法では劇物に指定されており、労働安全衛生法では、第2類特定化学物質に「クロム酸およびその塩」として指定されています。また、PRTR法においても、特定第1種指定化学物質に該当するため、取り扱いには注意が必要な物質です。
クロム酸バリウムの主な用途の一つに、黄色顔料が挙げられます。一般的に、陶磁器やペンキに使用される場合が多いです。クロム酸バリウム由来の顔料は、バリウムイエロー (Barium Yellow) 、バライタイエロー (Baryta Yellow) 、バライトイエロー (Baryte Yellow) 、レモンイエロー、パーマネントイエロー、ピグメントイエロー31、レモンクロムなどの名称で呼ばれています。ルノワールやモネなど、印象派の絵画にも使用されました。
その他には、花火で反応速度を調整するための物質として使用されたり、異なる種類の金属の接合部における腐食防止剤として使用されたりします。金属の下塗りや、マッチ、点火装置及び、爆薬の反応開始剤などの用途もあります。
化学用途では、吸光光度による硫酸イオンの定量に用いられたり、フマル酸 (固体) の不純物や水分を取り除くのに用いられることもあります。酸化力がある物質のため、酸化剤として利用することも可能です。
図2. クロム酸バリウムの合成と酸性溶液
クロム酸バリウムは、バリウム水溶液とクロム酸を反応させることで沈殿として得られます。緑色の炎色反応を示す性質があります。水に不溶ながら酸類に対しては溶解し、二クロム酸イオンを生じる物質です。
図3. クロム酸バリウムの反応 (クロム酸バリウム(IV)の生成)
また、アジ化ナトリウム存在下で水酸化バリウムと反応して5価のクロム酸バリウムが生じます。炭酸バリウム存在条件において約800℃に加熱することでも同様に5価のクロム酸バリウムを得ることが可能です。酸化力があることから、還元剤と反応して酸化剤として働く物質です。室温における密封保存では安定な物質と考えられています。
クロム酸バリウムは、極めて有害な六価クロム化合物の一種です。
具体的な人体への危険として、以下のような症状が挙げられます。
換気の良い場所で取り扱い、換気が十分でない場合には、適切な呼吸用保護具の着用が必要とされています。
クロム酸バリウムは前述の通り、有害な化合物であることから各種法令によって取り扱いが厳しく制限されています。
労働安全衛生法では、特定化学物質第2類物質、管理第2類物質、特定化学物質特別管理物質などに指定されており、毒物及び劇物取締法では劇物に指定される化合物です。労働基準法でも、 疾病化学物質、及び、がん原性化学物質に指定されています。
管理・廃棄においても規制対象となっており、PRTR法では、 第1種指定化学物質、特定第1種指定化学物質に指定される他、大気汚染防止法や水質汚濁防止法でも指定を受ける化合物です。法令を遵守した正しい管理が求められます。
クロム酸バリウムは有害な物質であるため、今日では試薬製品など一部の用途に限定して販売されています。劇物に指定されており、各種法令によって規制されている薬品であることから適切な管理が必要な物質です。
試薬製品としては、25g , 500g , 1kgなどの容量の種類があります。冷所、換気の良い場所で、容器を密閉して保管することが必要です。
参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0102-0020JGHEJP.pdf
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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