強制空冷ヒートシンクとは
強制空冷ヒートシンクとは、ファンなどの送風機で空気を強制的に流し、発熱体から効率よく熱を逃がす際に用いられるヒートシンクです。
ヒートシンク単体では自然対流に頼った放熱しかできませんが、そこにファンを組み合わせることで、より大きな熱を処理できます。電子機器の小型化・高性能化が進む現代においては、限られたスペースで高い冷却性能を実現する必要があり、強制空冷方式が幅広く採用されています。
一般的なヒートシンクの原理は、アルミ合金や銅合金といった熱伝導率の高い金属で作られ、さらに表面に多数のフィンを設けることで放熱面積を拡大するものです。強制空冷ヒートシンクではファンなどで風が送られてくるため、自然冷却式のヒートシンクよりもフィンの間隔を狭めることができます。
強制空冷ヒートシンクの使用用途
強制空冷ヒートシンクは自然空冷よりも高い放熱性能を持ちながら、液冷方式に比べて構造がシンプルで導入しやすいため、以下の用途が挙げられます。
1. 半導体素子の冷却
まず挙げられるのが、半導体素子の冷却です。CPUやトランジスタ、IGBTといった高発熱の素子は、自然空冷だけでは十分な熱対策ができません。強制空冷ヒートシンクを用いることで、素子の性能を安定的に引き出すことが可能になります。パソコンやサーバーはもちろん、産業機器に搭載される高出力半導体でも不可欠な存在です。
2. 電源装置・電子機器
電源装置や電子機器の冷却も、強制空冷ヒートシンクの用途の一つです。電源は常に一定の熱を発生させるため、効率的な放熱が欠かせません。強制空冷ヒートシンクを組み込むことで、電源装置の小型化や長寿命化を実現し、安定した稼働を実現します。
3. インバータ・モータ制御装置
インバータやモータ制御装置といった高出力機器にも強制空冷ヒートシンクが利用されています。これらの装置は産業分野やエネルギー関連施設などで用いられており、大電流を扱うために発熱が避けられません。強制空冷ヒートシンクを用いることで、安定稼働と安全性の確保につながります。