半導体リレー

半導体リレーとは半導体リレー

半導体リレーとは、入力信号を出力回路へ伝達するリレーのうち、半導体を用いた無接点型であるものです。

一般的に、高応答性と高寿命性が確立されるため、リレーの開閉頻度が高い、高速応答が必要な場面に適しています。

半導体リレーの使用用途

半導体リレーは、その高応答性と高寿命を最大限享受できる温調管理システムなど、オン・オフが高頻度である場合に使用されています。

また、一般の磁力を用いた接点型のリレーとは異なり、機械的な摺動接点が存在しません。接点開閉に伴うノイズが発生しないため、ノイズに弱い製品にも組み込まれることが多いです。

一方で、信号の伝達には半導体やダイオードを介した発光現象を用いています。そのため、少なからず温度上昇の影響があったり、出力段が半導体素子であったりします。高電圧、高電流の製品には不向きな部分もあるため、注意が必要です。

半導体リレーの原理

半導体リレーの原理

図1. 半導体リレーの原理

無接点型といわれるように、入力側の回路と出力側の回路は物理的に隔離されており、信号の伝達はフォトカプラのような光絶縁デバイスを介して行われます。

入力側の発光ダイオードに電流を流すと発光し、その光を受光する回路が出力側にあり、光を検知すると出力回路が動作する仕組みです。半導体リレーのサプライヤによって光受光回路はフォトダイオードアレイやフォトカプラ、フォトトライアックなどが使用され、出力部もMOSFETトライアックなどのバリエーションが存在します。

信号伝達に光を使用していることから、非常に速い応答性があります。また、機械的な接点を持つわけではないので、接点部分が摩耗することもなく、一般的に接点型のリレーに比べて寿命は長いです。

その他、入力と出力との間は絶縁素子によって完全に絶縁されているため、入力側で発生したノイズを出力側に伝えにくい特徴を持っています。

半導体リレーの選び方

まずは、リレーが必要な回路においてその応答性がどのくらい必要かと、信号伝達の頻度を考える必要があります。もし、そこまで高い応答性が必要なく、低頻度の信号伝達で済む場合は、一般的な接点型のリレーの方が小型で安価であることが多いです。

半導体リレーが必要な場合は、その入力信号の最大電流値も確認します。半導体リレーは半導体を用いた出力回路であるため、過剰な電流が流れると半導体そのものが損傷し、それ以降使うことができなくなります。

半導体リレーのその他情報

1. 半導体リレーとメカニカルリレーの比較

半導体リレーとメカニカルリレー

図2. 半導体リレーとメカニカルリレー

半導体リレーとメカニカルリレーの違いは、無接点型であるか有接点型であるかです。半導体リレーはソリッドステートリレーとも呼ばれ、無接点リレーで、メカニカルリレーは有接点リレーです。

無接点の半導体リレーは、電子回路の中で機械的な閉開がなく信号の伝達のみでON/OFFの切り替えを行っています。有接点のメカニカルリレーは、回路の中に可動式の部品が組み込まれており、コイルを用いて電磁力を発生させることにより接点が接触してON/OFFの切り替えを行っています。

半導体リレーとメカニカルリレーにはそれぞれ下記の特徴があるため、ニーズに合わせて使い分けます。

  • 半導体リレーの特徴
    ・小型で軽量
    ・長寿命
    ・静音
    ・動作が高速
    ・振動に強い
    ・漏れ電流がある
    ・熱に弱い
    ・ON抵抗がある
  • メカニカルリレーの特徴
    ・高絶縁性・高耐圧性である
    ・漏れ電流がない
    ・ON抵抗がほぼない
    ・動作音がある
    ・接点の摩耗・可動端子の故障がある
    ・外部磁界の影響がある
    ・チャタリングがある

半導体リレーは小型かつ高速で開閉ができ、メカニカルリレーのような接点の摩耗・故障がないことが強みです。一方、メカニカルリレーはON抵抗がほとんどなく、高電圧・高電力の回路でも使用しやすいことが強みと言えます。

2. 車載用の半導体リレー

自動車は、ランプやワイパー、オーディオ、モーター、ウィンカーなどの操作を制御するパーツとして多くのリレーを搭載しています。そして、その車載用リレーには一般的にメカニカルリレーが使用されてきました。

しかし、メカニカルリレーは接点寿命による制限や搭載スペースが大きいという欠点があり、近年特に自動車への低燃費・低電費のニーズや先進技術搭載による多機能化により電動車載機器は増加傾向にあるため、リレーの小型・軽量化が求められています。

車載用半導体リレー

図3. 車載用半導体リレーの仕様例

こうしたメカニカルリレーの欠点を打破するリレーとして半導体リレーが車載用に開発され、徐々に置き換わっています。車載用半導体リレーの仕様例は図3の通りです。

半導体リレーを用いることで小型・軽量化を可能にし、車両搭載スペースを確保できるだけでなく燃費の向上にも貢献しています。また、ネックであった大電流化も半導体技術の進化により低オン抵抗を実現したことで、対応できるようになってきています。

参考文献
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/memory/memory_what2
https://www.omron.co.jp/ecb/product-info/basic-knowledge-series/basic-knowledge-of-relays/part1/basics
https://ac-blog.panasonic.co.jp
https://www.e-t-a.co.jp

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