スライドスイッチとは
スライドスイッチとは、つまみをスライドさせてオンオフを切り替えるスイッチです。
縦スライドと横スライドがあり、身近な電化製品にも使用されています。ただし、デジタル化されている製品に採用される機会は減少傾向です。スライドスイッチの端子接続方法は様々で、スルーホールやライトアングル、はんだやねじなどがあります。近年は小型化が進み、ディップスイッチとして搭載される製品もあります。
スライドスイッチの使用用途
電源のオンオフなどが主な用途で、産業用製品から家電製品まで幅広く使用されます。以下はスライドスイッチの使用用途一例です。
- 扇風機などの家電製品
- ひげそりやドライヤーなどの可搬製品
- 懐中電灯などの照明器具
- インバータなどの産業機器設定用
薄型のものでは、厚さ1.4mm程度の製品もあり、一層の小型化が進んでいます。小型のスライドスイッチはディップスイッチとして基板に組み込まれて使用される場合もあります。接触機構を工夫してセルフクリーニング効果のある製品もあります。
スライドスイッチの原理
スライドスイッチは端子、つまみ・ケーシング、接点などで構成されます。
端子は外部配線を接続する部品です。ピン形状やはんだ端子などが使用されます。一般的には銅合金などを材料としますが、微少電流負荷向けに金や銀を用いた高価な接点を使用する場合もあります。
つまみは人が操作する可動部品であり、ケーシングは他部品を支持しつつ絶縁する部品です。強度のある絶縁材料が好ましいため、一般的には硬質の合成樹脂が使用されます。つまみの下は接点の可動切片があり、つまみを切り替えることでスイッチを切り替えることが可能です。
接点は電気の通り道となる部品で、可動切片と固定切片で構成されます。可動切片と固定切片との接触機構が1点の製品よりも、2点で接触する製品はスイッチとして信頼性が高くなっています。さらに、クリップ型で摺動させて接触させる方式では、セルフクリーニング効果が期待できます。
スライドスイッチの選び方
スライドスイッチは必要な回路数と端子数などに応じた製品を選択します。具体的には以下のような観点から選定します。
1. 許容電流・許容電圧
許容電流はスライドスイッチが通電することができる電流の大きさです。許容電流が大きいほど大電流を流すことができますが、小型化するほど許容電流が小さくなる傾向です。数十Aから数百mA程度の製品が販売されており、一般的には0.1~1A程度の製品が多いです。
許容電圧 (耐電圧) は製品が許容する電圧の大きさです。AC100Vでの使用を想定された製品は許容電圧がAC125Vと表記される場合が多いです。また、基板実装用などの場合、許容電圧はDC30V程度の製品が多いです。
2. 実装方法
実装方法はスライドスイッチを取り付ける方法です。端子形状と密接に関係しており、基板表面実装用や基板穴挿入用等があります。スイッチの配置が実装面に対して垂直方向の製品や水平方向の製品など、形状もさまざまです。
3. 機能動作
スライドスイッチの機能動作として、極や投、接点種類があります。これらを組み合わせて、二極双投などと表現することが多いです。
スイッチの極とは1つの操作を行って開閉することができる回路数です。スイッチをスライドさせることで、電気回路上の接点切替をいくつ同時に行えるかを指します。小型の製品は1極が多く、2極から4極の製品が販売されています。
接点種類は切替によって動作する接点の種類を指します。a接点やb接点などがあります。スライドスイッチでは通常時開端子と通常時閉端子を有し、1つのコモン端子を持つc接点が使用される場合が多いです。またスイッチの投とは、スイッチで行う操作の数を示します。スライドスイッチの投は2接点を意味する双投式が一般的です。
4. 切替方式
切替方式は切り替える際の接点動作です。ショーティングとノンショーティングの製品があります。
接点を切り替える際に同時に2接点以上が導通する方式がショーティングで、接点を切り替える瞬間は回路が一度断線する方式がノンショーティングです。一般的にはノンショーティングの製品が多いです。
参考文献
https://contents.zaikostore.com/semiconductor/1368/
https://www.nkkswitches.co.jp/support/klg/knowledge.html
https://www.nkkswitches.co.jp/support/klg/knowledge.html
https://www.omron.co.jp/ecb/product-info/basic-knowledge-series/basic-knowledge-of-switches