エアシャワー

エアシャワーとは

エアシャワー

エアシャワーとは、クリーンルームなどの入口に設置される箱型の装置です。HEPAと呼ばれる高清浄度多層フィルターを通した無塵な空気で、人の衣服に付着した塵埃を払い落とす役目があります。

エアシャワーの使用用途

エアシャワーは主に半導体や精密機器製造施設などで使用されます。クリーンルームへの塵埃の持ち込みを防ぐために、ほとんどの場合は入り口に設置されます。

クリーンルーム内の清浄度を保つためには、エアシャワー内ですべての塵埃を落とすことが重要です。数十秒で衣服の塵埃を取り除けるため、花粉症患者向けにマンションのエントランスに設置されることもあります。

エアシャワーの原理

エアシャワーは二重扉となっており、2つ同時には開かないようにインターロックが仕組まれます。外界側からエアシャワーへ入室すると、設定された秒数だけ噴射口から空気が噴射されます。噴射される空気はHEPAフィルタを通した高清浄度空気です。

これにより、塵埃が混ざった空気を強制循環させてエアシャワー空間を高清浄度に保ちます。人が入っていない状況でも緩やかに空気を循環させて、エアシャワー空間は常に高清浄度に保たれます。

二重扉に設けられたインターロックによって、退出の際も塵埃が少量しか混入せず、HEPAフィルターの長寿命化にも寄与します。

エアシャワーの選び方

除塵性能が高いと高価になるため、クリーンルームの必要清浄度に合致したエアシャワーを選定します。クリーンルームの清浄度は、内部に存在する粒子のサイズと数量からISOで分類されています。

エアシャワーごとにその保証クラスを確認して選定します。部屋を持たない簡易型のエアシャワーを選定してコストダウンを図ることも可能です。出入りする人数や頻度が多い場合は、複数人同時に入室可能な大型エアシャワーを選定する場合もあります。

エアシャワーのその他情報

1. エアシャワーの使い方

エアシャワーはクリーンルーム内に塵埃を持ち込まないように除塵する設備です。ただし、使用方法が悪いと想定された除塵効果を得られません。まず、決められた定員で立ち位置を決定し、「止まれ」の目印を付けます。立ち位置によっては体に当たる風速が落ち、除塵効果も低くなります。

次に、吹き出し口を立ち位置に向けて、やや下向きに調整します。これは空気の舞い上がりを抑え、埃の舞い上がりによる再汚染を低減させる効果があります。エアシャワー中は両手を広げて2~3回転し、体全体に風が当たるようにします。回転後はその場で設定時間まで待機します。

一般的に、片側吹き出しタイプでは30秒程度、両側吹き出しタイプで20秒程度を目安にエアシャワー時間を設定します。

2. エアシャワーの効果

エアシャワーにおいて、除塵効果と設定時間の相関関係を実験した結果があります。実験では、片側吹き出しタイプと両側吹き出しタイプで、設定時間を10秒、20秒、30秒とし、各サイズの塵埃の除去率を測定しました。

この実験では、片側吹き出しタイプでは微少な塵埃の除去率が低く、除塵効果は劣るという結果でした。両側吹き出しでは各サイズの埃の除去率がほぼ横並びになり、除塵効果は高い結果となりました。

この結果から、高清浄度が必要なクリーンルームには両側吹き出しタイプを選定するのが妥当だと分かります。清浄度の要求が高くない場所では、片側吹き出しタイプで大きな埃やごみを除去すると経済的です。

除塵時間については、両側吹き出しタイプの実験データから見ると10秒の時に除塵効果が劣ります。20秒と30秒では顕著な違いは見られないことから、除塵時間は20秒程度に設定するのが一般的です。エアシャワーは使用方法で除塵効果が変化するため、効果的な使用方法を徹底する必要があります。

参考文献
http://www.airtech.co.jp/products/airshower/
https://www.csc-biz.com/comunication/arubeki/sugata4a.html
https://www.csc-biz.com/csc%20bland/booth/as/kouka.html

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