自動分析装置

自動分析装置とは

自動分析装置 (生化学自動分析装置) のイメージ

図1. 自動分析装置 (生化学自動分析装置) のイメージ

自動分析装置とは、目的が決まっているある程度ルーチン化された分析について自動で分析を行う装置です。

代表的な例として、臨床で用いられている生化学自動分析装置があります。生化学自動分析装置は、人体から採取した血液・尿などの体液成分の検体について基礎的な生化学検査項目の成分を分析する装置です。

その他の自動分析装置には、同じく医療分野で用いられている多項目自動血球分析装置の他、他分野では油中ガス自動分析装置、全有機体炭素自動分析装置 (TOC計) などがあります。

自動分析装置の使用用途

生化学自動分析装置は、病院の検査室や検査センターなど、主に大きな医療機関を中心に広く取り入られており、患者の微量検体を用いて迅速かつ高精度な検査分析を行う目的で使用されます。生化学自動分析装置を用いることにより、基礎的な生化学検査項目の測定を行うことができ、製品によってはその他にも腫瘍マーカー、免疫血清など、免疫測定項目の分析が同時に可能です。

検査用途としては、例えば健康診断などの大規模なスクリーニング検査、外来において診察の前に行う診療前検査、治療の効果を確認するフォロー検査などがあります。生化学自動分析装置による血液検査・尿検査は今日の医療における診断の大きなウェイトを占めており、病院の検査室など臨床検査の現場では無くてはならない存在です。

自動分析装置の原理

生化学自動分析装置による分析は主に吸光測定などの分光学的手法で行われ、微量の検体試料による測定が可能です。測定に用いる吸光光度法は、ランベルト・ベール (英: Lambert-Beer) の法則に従う分析法です。

測定したい検体成分と試薬の反応については吸光度と濃度の関係をプロットした検量線が予め用意されており、これに分光光度計を用いた吸光度測定の結果を当てはめることで、試料の濃度が同定できます。自動分析装置では吸光度測定後、コンピュータによって自動的に濃度の同定まで速やかに行われます。

自動分析装置の種類

自動分析装置の多くは、生化学自動分析装置や多項目自動血球分析装置など医療分野で用いられていますが、その他の産業で用いられている自動分析装置もあります。

1. 生化学自動分析装置などの臨床用装置

生化学自動分析装置では、基礎的な生化学検査項目である、グルコースなどの糖類やコレステロール、タンパク質及びγ-GTPなどの酵素などの測定を行います。製品によってはその他にも腫瘍マーカー、免疫血清など、免疫測定項目の分析が同時に可能です。大型機や卓上機など、様々な大きさの製品があります。

その他の臨床用装置に、多項目自動血球分析装置があります。多項目自動血球分析装置では、白血球や赤血球を始めとする血球成分の分析を行うことができます。

2. 油中ガス自動分析装置

油中ガス自動分析装置のイメージ

図2. 油中ガス自動分析装置のイメージ

油中ガス自動分析装置は、変圧器など油入機器に使用されている絶縁油中の溶存ガスを分析し、異常診断を行なうために用いられている装置です。

3. TOC計

TOC計のイメージ

図3. TOC計のイメージ

全有機体炭素自動分析装置 (TOC計) は、河川・湖沼・海域・工場排水や土壌、化学製品など、さまざまな環境サンプルや化学製品中の全有機体炭素量をオンライン、あるいはオフラインで迅速かつ正確に自動分析する装置です。微小濃度の有機物にも対応できるため、カーボンリサイクル関連施策のための環境モニタリングや、品質管理において正確な測定が可能です。各種研究・試験機関での研究開発用に、卓上型の小型機もあります。

自動分析装置のその他情報

1. 測定プロセスの概要

装置の主な測定プロセスは、サンプリング・試薬分注・撹拌・反応・分光学的測定・洗浄、となっており、下記のようになります。

  1. 装置のサンプラにセット血液や尿などの体液検体をセットする
  2. 微量の検体をサンプリング (分注) し、反応セルに入れる
  3. 検査項目に応じて必要な試薬を分注添加し、撹拌機構で撹拌する
  4. 撹拌した反応セルを反応テーブルに保持し、反応に必要な時間だけ恒温を維持する
  5. 反応が完了した検体をベルトコンベアー式に測光部へ送らり、分光光度計を用いた吸光光度法によって定量分析・定性分析を行う (分析完了)
  6. 繰り返し使用するプローブや反応セルなどを洗浄する

2. 侵襲性

生化学検査における患者の侵襲は、微量の血液や尿の採取を採取するだけです。検査操作は検査室内で試薬反応と分光学的検査となるため、放射線被曝などの侵襲を伴うレントゲン検査やCT検査などに比べて低侵襲であるという利点があります。

また、近年では高精度・高速・高機能な装置の普及が進んだことにより、測定の効率化や測定時間の短縮がなされている他、必要検体量も更に微量化されてより低侵襲な検査が行えるようになっています。

参考文献
https://www.jeol.co.jp/science/ca.html

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