積算流量計とは
積算流量計とは、流体通過量の累積値を表示する流量計です。
冷却水やアルゴンなど、多種多様の流体に使用されます。流体の流量には、瞬時流量と積算流量の2種類があります。
前者は一定時間あたりに流れる量を指し、後者は測定開始から流れた量の累積値を指します。積算流量計は後者を測定する流量計で、流体の累積流量を測定するために使用されるものです。
積算流量計の使用用途
積算流量計は、さまざまな産業および応用分野で使用されます。瞬時流量計はプロセス管理や制御用途に使用されることが多いですが、積算流量計は取引や排出基準監視用などに使用されることが多いです。以下は積算流量計の使用用途一例です。
1. 流体供給管理
流体の供給量を正確に測定し、管理するために使用されます。身近な例では、水道メーターやガスメーターが挙げられます。月初の値を確認またはリセットしておき、月末に再確認することで月毎の使用量を算出可能です。
また、製造現場においては、重油や軽油などの液体燃料の測定に使用されることがあります。液体燃料はタンクローリーなどで運搬されることも多く、車両に付属した積算流量計で取引量を確認します。
2. エネルギー管理
積算流量計は、エネルギー供給や消費の計測に使用されます。例えば、軽油などの燃料使用量確認や冷却用水使用量確認などで使用され、エネルギー効率の向上やコスト削減に寄与します。液体燃料や用水の取引量確認用と兼用されることも多いです。
3. 環境モニタリング
環境モニタリングにおいても利用されます。水質管理や廃棄物処理プラントでの流量測定、大気排出ガスの計測などがあります。工場の排出ガス量や排水量は条例などで規制されていることが多いため、積算流量計によって排出者と官憲の双方で確認します。
また、下水の排出量なども積算流量計で確認可能です。し尿などは合併浄化槽などで浄化した後、海や河川に放流されます。下水道にも使用料が定められているため、積算流量計などで適正に確認されています。
積算流量計の原理
積算流量は、瞬時流量に時間を掛け合わせると求められます。ただし、瞬時流量は流量変化時に不安定となる場合があるため、積算値を正確に表示できないことも多いです。したがって、積算値は積算流量計を用いて測定します。
積算流量計は積算値を正確に計量する必要があるため、容積式などの測定原理が用いられます。容積式は流体が管を通過する際に、その体積を計測する方式です。体積測定にはギアなどが使用され、ガソリンなど粘度の高い流体の流量も正確に計測できます。
積算流量計の種類
積算流量計はさまざまな種類が存在します。以下は積算流量計の種類一例です。
1. 容積流量計
容積流量計は流体が通過する際の容積を直接的に測定し、流量を算出する流量計です。容積の測定にはタービンやギアが使用されます。
流体の容積を直接測定するため、非常に高い測定精度です。正確な流量データを得られることから、燃料などの有価液体の流量測定などに使用されます。
また、堅牢な構造を持ち、耐久性があります。適切な保守と適切な環境条件下で使用される場合、長期間にわたって信頼性の高い値を計測可能です。
2. 渦流流量計
渦流流量計は、流体の流れにおける渦の発生および変化を検出して流量を測定します。流体が管内を通過する際に渦が発生し、その渦の周波数や振幅を測定することで流量を推定します。
気体と液体のどちらも測定することが可能です。主に蒸気の流量測定や清浄水の流量測定に利用されます。ただし、スラリーや粉体を含む流体に対しては、測定口が詰まるため不向きです。
一般に堅牢な構造を持ち、内部に可動部品がないため、耐久性が高く信頼性があります。渦の発生や変化に基づいて流量を推定するため、高い精度で測定することが可能です。また、可動部品が少なく、メンテナンスが比較的容易です。
3. 熱式流量計
熱式流量計は、流体の流れによる熱伝導または熱冷却の効果を利用して流量を測定する流量計です。一般的には熱線式流量計や熱散乱式流量計があります。熱源とセンサーを用いて温度差を検出し、その変化から流量を推定します。
4. 電磁式流量計
電磁式流量計は、流体中の導電性を利用して流量を測定します。磁場を掛けた状態で流体を通過させ、生じた電位差を測定して流量を算出します。
非接触で流量を測定可能であり、圧力損失が非常に低い点が特徴です。ただし、測定対象は導電性に限定されます。重油などの油の測定には使用できません。
参考文献
https://www.pentough.com/shiryo/kouza/keisoku02.pdf
https://www.keyence.co.jp/ss/products/process/flowmeter/base/instant.jsp
https://www.shinagawa-net.co.jp/j_m2_1.html
https://www.m-system.co.jp/mstoday1/MSTback/data/2001/07/Data/Ryuryo_T.htm