石定盤とは
石定盤とは、素材や部品などの加工のための寸法測定や検査等を行う際に、平面の基準として用いられる台のことです。
一般的に、四角形の形状をしています。定盤の上に置くもののサイズや用途に合わせて、さまざまな大きさがあります。
定盤は高い平面精度を持っており、さらに重たい部品などを載せても精度が保たれるように、高い剛性も必要です。精度や大きさはJISで規定されており、部品を固定するための穴やリブなどを加工することも認められています。
なお、JISでは定盤の材質として鋳鉄と石材の両方を規定していますが、材質による規格上の相違はほとんどありません。
石定盤の使用用途
石定盤は素材や部品のケガキ、加工、測定などの際に絶対的な平面を確保するために使用します。これは材質に関わらず、全ての定盤に共通することです。定盤を平面基準として加工機や測定機を動作させることで、直線や平面の加工や測定が可能となります。
つまり、定盤の上面を理想的な直線、平面と仮定して、加工や測定を行うことができます。定盤の材質が用途の違いに直結することはありませんが、石定盤を使用することにより求められるものは、主に耐摩耗性や腐食などの耐環境性などです。
石定盤の原理
石定盤は平面の基準となるため、JIS B 7513 精密定盤によって平面度による等級が定められています。また測定する部品には重量が大きく、定盤が変形すれば測定精度に影響しかねません。
上記JISでは剛性についても規格が設けられています。また、取り扱いの注意事項として、温度及び湿度が管理された雰囲気の中に設置すること、直射日光や突然の通風なども避けることなどが謳われています。
石定盤の特徴
鋳鉄製の定盤と比較した場合の石定盤の特徴は、経年変化が少ない、耐摩耗性が高い、耐環境性が高い、キズによるかえりやまくれがない、磁性を持たないなどです。また、定盤は使用において、平面度の維持が絶対条件です。
長年の使用により平面度が悪化した場合は、平面度を良くするために研磨を行います。石定盤の経年変化が少ない、耐摩耗性が高い特徴は、平面度の悪化を遅らせることが可能です。再研磨の回数を減らし、維持管理コストの低減が図れます。
また、石定盤では不注意により部品などを落下させた際のキズによってかえりが出ません。平面度の悪化だけでなく、かえりにより部品や測定機へキズ防止にもなります。
鋳鉄製の定盤に比べ石定盤の方がメリットばかりのようにも見えますが、コストが高いのがデメリットです。多くの石定盤は斑レイ岩を使用しており、硬い材質のため、平面度を出すため多くの加工時間が必要です。
石定盤のその他情報
1. 石定盤の等級
石定盤にはJISに規定された等級があり、0級、1級、2級に分類され、0級が最も高精度です。それぞれの等級には、平面度を計算するための定数C1とC2が定められており、この定数と定盤の対角長さから許容平面度を算出します。
許容平面度は、C1に定盤の対角長さを乗じたものにC2を加えて計算します。例えば0級定盤の場合、C1は0.003、C2は2.5と規定されており、対角長さ1000 mmであれば、1000×0.003+2.5=5.5 μmです。1級では、C1が0.006、C2が5、2級では、C1が0.012、C2が10と規定されています。
等級によって価格が大きく変わることはもちろん、製作可能なサイズも制限があるので、必要平面度とサイズにあったものを選択しなければなりません。
2. 石定盤の手入れ
定盤は平面精度が保証されている基準として使用します。そのため、日々の管理をしっかり行い、精度の狂いがないようにすることが必要です。表面をきれいな状態に保つことも欠かせません。表面が汚れていると、測定器などをスムーズに動かすことができず、測定誤差につながります。
また、表面に油分や固着したゴミなどがあると、平面度が悪くなってしまいます。そこで、石定盤専用のクリーナーの使用が管理維持には不可欠です。
実作業としてはまず、大きなゴミや埃をエアーブローで除去してから、専用クリーナーで拭き上げます。クリーナーを水拭きできれいにふき取り、乾拭きして乾燥させます。清掃が終わった後はカバーをかけて、埃などがたまらない様に保護することも大切です。また、検査に使用するものであれば、定期的に平面度を確認します。
石定盤は経年変化が少ないため、日々の清掃や平面度管理をきちんと行うことで、半永久的に使用することが可能です。
参考文献
https://www.daiwajuko.co.jp/industrial/surface_plate/about/
https://www.nabeya.co.jp/jig/point-plate.html
https://kikaikumitate.com/post-3409/