雨量計

雨量計とは

雨量計

雨量計とは、雪・霰を含む降水量を測る機器です。

取水口から降水を機器内部へ取り入れ、その量を測る方法で測定します。特に被害が深刻になる土砂災害は、降り始めからの雨量が100ミリを超えると起こりやすくなるため、土砂災害が警戒される場所に設置することで防災・減災に繋げることができます。

また、近年、無線ネットワークを活用することで、遠隔地にある複数の雨量計からリアルタイムでデータを収集できるIoT雨量計が登場し、他のセンサーデータとの連携により、複合的な分析が可能となりました。IoT雨量計であれば、ピンポイントで短時間の雨量計測をできるため、今まで推計しかできなかった場所でも実際の雨量が計測できるようになります。

雨量計の使用用途

雨量計の主な使用用途は、以下のとおりです。

1. 防災

河川の氾濫・土砂災害の防止や被害軽減のために、自治体などで雨量計が活用されています。河川の氾濫・土砂災害は、河川の上流部や山間部の降水量が多い場合に起こりますが、上流部や山間部へ雨量計を設置し、上流部で降った雨の量を正確に把握することで、災害発生の兆候を読み取ります。

下流部への影響を予測し、警報の発令・事前避難などの対策に役立てられます。

2. 農業

農業において薬剤散布や、かん水のタイミングをはかる目的で雨量計を活用します。残留農薬の減少のためには適切なタイミングで薬剤散布を行うことが重要で、散布後の降水量によって効力がどの程度続くか決まります。

正確な降水量の計測は、次回の薬剤散布のタイミングを判断する材料となります。また雨天の次の日にかん水を行う必要があるか、行う場合のかん水量はどの程度か、決定する際には降水量を目安にします。その他、水のやりすぎによる根腐れや病気の発生等の防止に役立ちます。

3. その他

IoT雨量計を活用することで無線ネットワークを通じて遠隔地からの監視でき、アラートを出すことも可能です。地下室などのビル管理、建設工事現場、上下水道、河川などの水利管理などに活用できます。

雨量計の特徴

雨量計は、受水部と呼ばれる部分に降ってきた雨を捕捉し、その量をはかることで降水量を計測する装置です。雨を受ける受水器は漏斗のような形をしており、計測部に水を送り雨量を計測します。

長所

近年、増えている集中豪雨などによる雨の被害を雨量計で雨量を測定することにより、未然に防いだり、最小限の被害で押さえたりすることができます。

自動的に雨量を計測してくれる雨量計もあり、手軽でかつ正確に雨量を測定可能です。

短所

寒冷地では低温により水が凍ってしまったり、降雪により雨量計が雪に覆われたりして、正確に測定できなくなる場合があります。これは受水器の部分に電熱線をを設置したり、加熱油を使用したりすることで対策ができます。ヒーター機能をもつ特殊な雨量計を使用するのも効果的です。

また、強風の際にも雨が強風に飛ばされるなどの理由から、正確に測定できない場合があります。この問題は、防風柵のような機能を持つ助炭という装置を取り付けることで改善されます。

そのほか、地面から跳ね返った雨水が受水器に入り、正確に測定できない場合もあります。この対策としては、雨量計の下に人工芝を敷くのが有効です。

雨量計の種類

雨量計は、降水量の計測方法の違いにより以下の2種類に分類されます。

1. 転倒ます型雨量計

自動で降水量の計測を行う雨量計です。雨量計内部に「転倒ます」と呼ばれるシーソー型の容器があり、降水量0.5ミリ程度が溜まると重みでししおどしの様に片側に転倒します。

転倒するごとに電気信号が発信され、時間当たりの降水量を測定できる仕組みです。自動で降水量が記録されるため無人で観測できる点がメリットと言えます。気象庁や河川事務所などでも活用されており、現在主に使われている雨量計です。

2. 貯水型雨量計

手動型の雨量計です。雨量計内部の貯水ビンに降水を溜め、取り出して雨量ますで降水量を目視で計測します。

貯水量に限界があること、長時間放置による雨水の蒸発の恐れがあることから、常時有人での観測を必要とします。手動のため停電など電気を利用できない状況でも、降水量を計測できることがメリットです。

3. IoT雨量計

IoT雨量計を活用することで遠隔地からの監視でき、雨量が一定量を超えた際のアラートを出すことも可能です。雨量を把握しておけば危険な水位がある程度予測ができる他、避難のタイミングや、土砂災害の危険性の予測、地下室などのビル管理、建設工事現場、上下水道、河川などの水利管理など、減災に役立てることができます。

またIoT雨量計であれば遠隔地からデータを監視できるので、避難対応や、ピンポイントの短時間の雨量計測ができ、それらのデータを蓄積し分析することが可能です。

雨量計の選び方

雨量計は、使用する環境に応じて選ぶ必要があります。電気の供給源がある場所では、転倒ます型雨量計がおすすめです。時間当たりの雨量を自動で計測してくれる上に精度も高いです。

電気の供給源の無い場所では、転倒ます型雨量計は使用できません。そのため、貯水型雨量計を使用します。手動で計測するため、電気が無くても使用できます。

貯水型雨量計は目視による測定なので、転倒ます型に比べると精度は落ちます。正確な測定が必要な場所では、転倒ます型雨量計が適しています。

人が行くのが困難な場所や危険な箇所に設置するには、IoTの雨量計が適しています。IoT雨量計は電源が確保できない場所での利用を想定したものもあります。

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