ルーペ

ルーペとは

ルーペ

ルーペとは、小さなものを拡大して見る際に使う光学機器です。

小学校の理科では「虫めがね」として登場する、私たちの生活に最も身近な光学機器の一つで、一枚の凸型レンズに外周フレームと持ち手が付いた簡単な構造をしたものが基本です。レンズを折り畳みケースに収納できるようにしたもの、暗いところで観察するために照明が付いたもの、スタンドが付いていて両手を使わずに使用できるもの等、使い勝手を考慮して様々な形のものが市販されています。

ルーペの倍率は対象物を25cm離れた状態で観察したときに、何倍の大きさに見えるかを基準にしています。倍率は、約1.5倍から約10倍程度までのものが入手可能です。そして、倍率が4倍を超えるものが高倍率のルーペと言われています。

ルーペのレンズは、ガラス製のものもありますが、現在は高分子材料を使用したものが多くなっており、透明度、光の透過率、解像度、傷つきにくさなど、レンズには様々な性能のものがあります。

ルーペの使用用途

ルーペの使用用途は、普段の生活の中で使用するものと、仕事の中で検査や観察に使用するものとに大別できます。

普段の生活の中では、本や新聞、書類などの文字を読む際に使用されています。年齢が進むにつれて、目は近くのものに焦点が合いにくくなるとともに、小さな文字が読みにくくなります。老眼鏡は、近くのものに焦点を合わせやすくしますが、拡大する機能はありません。老眼鏡とルーペを併用して読書の疲れを低減するために使う人たちがいます。

また、折り畳み式で、小さく格納できるルーペは持ち歩きやすく、出先で書類などを確認する際に利用されています。

業務用では、時計の修理など精密機械部品の取り扱い、工場での小さな部品の検査などに使われています。また、ネイルアートのお店では、ネールの施術作業や、お客様による仕上がりの確認などに使用しています。

ルーペの原理

ルーペは基本的には一枚の凸レンズによって対象物を拡大して見ます。凸レンズは中心部から周辺部に行くに従って像にゆがみが生じてきます。中心部から周辺部に行くにつれても像がきれいに見えているレンズを解像度が高いレンズと言い、解像度の高い・低いは、同じ倍率のレンズ同士の性能の比較に使用します。

一方で、凸レンズは高倍率になるほど、周辺部のひずみが大きいです。ルーペでは倍率が4倍を超えるものを高倍率と言います。高倍率ルーペには片側凸のレンズ2枚を凸面側を向かい合わせて使用することで、像のゆがみを低減したものがあります。また、同様に周辺部の像のゆがみを低減する目的で、両面凸レンズと片面凹レンズを組み合わせたものがあり、産業界向けのルーペに使用されています。

さらにルーペは高倍率になると、拡大レンズ一枚では径の大きなレンズが作りにくくなり、視野範囲が狭くなります。観察対象物とルーペ、眼との距離が近くなり、両眼で観ることができず、片目で顕微鏡の接眼レンズを覗き込むようなイメージに近くなります。

従って、低倍率の製品は日常生活の中で気軽に使えて視覚機能を補助する製品、高倍率製品は決まった用途に使う産業用光学機器という性格分けがなされた機器と言えます。

ルーペの中には凸レンズと凹レンズが一体となったメニスカスレンズ (三日月レンズ) に非球面レンズを組み合わせて、高い解像度と長い焦点距離の両立を目指したルーペなどもありますが、構造の複雑さは増し、価格帯も高くなります。

ルーペの選び方

ルーペは、低倍率と高倍率の種類がある以外に、持ち手やスタンド、照明がついたものなど様々なバリエーションがあります。

日常生活の中で、小さな文字やモノを観察するために使用するのであれば、高倍率製品ではなく、2~3倍程度の倍率の製品の中から、眼の疲れにくさと使いやすさを優先して選択します。

低倍率のルーペでもレンズの性能が種々あるほか、レンズの大きさや形も様々です。さらに携帯性を重視する場合は折りたたんでケースに収納できるものがあります。

価格帯も様々ですが、身近にあるものを拡大して見るときのために家に置いておくような手軽な製品は、文具店で購入が可能です。一方、携帯性とファッション性を考慮した製品、性能の高いレンズの製品など、こだわりを持って選択する際には、眼鏡店、カメラ店を始めとした、光学レンズ製品を専門に取り扱う店で購入可能です。

産業用、あるいは高倍率のルーペを選択する際には、観察対象、使用環境、必要とする倍率を考慮した上で選択することが大切です。長時間にわたってルーペを使い続ける場合もあるため、作業時間・作業性と共に、照明を含めた眼の保護の観点から検討を行うことが重要になります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です