ヒートカット機

監修:株式会社キンダイ

ヒートカット機とは

ヒートカット機とは、シート状の素材を任意の寸法に切断する機械の一種です。

切断に使用する刃に熱を加えて高温にすることにより、切断面を熱溶着させてバリやシワの発生を抑えて綺麗に切断できるのが特徴です。

従来からシート素材をカットする機械には様々なタイプがあります。工業的に短時間で大量のカッティングを行う機械には、ロール状の原反を装置にセットして、原反を回転させながら、中心部の芯の役割を担っている紙管ごとその原反を切断するロールスリッターという装置があります。

一方、原反のロールとは別に、巻きとり用の芯を用意し、原反からシートを引き出しながら切断し、その芯に巻き取る機械をスリッターと言います。このスリッターに使用する刃を、常温の鋼ではなく、熱を加えた刃を使用する機械のことをヒートカット機と言います。

また、ヒートカット機の中には、テーブル状の平らな台の上に、手作業にて裁断する長さ分のシートを引き出し、加熱された直線状の刃を上から降ろして、一枚ずつ切断するものもあります。

ヒートカット機とは、それ自身が独立した機械ではなく、スリッター等の裁断機の中でシートの切断時に刃に熱を加えて、より高度な切断が可能な機械の別名です。

ヒートカット機の使用用途

ヒートカット機は、広範囲なシート素材の切断に使われています。例えば、塩ビやPETなどのフィルム、アセテートなどの天然の高分子を主体とした半合成繊維、天然繊維、紙などがあります。刃に熱を加えることで、常温の刃でうまく切断できない生地を切断可能です。また、常温の刃よりも熱を加えることで、より綺麗に切断するためにも使われることがあります。

ただし、ヒートカット機であれば、どの機械でもどのようなシート素材に対応できるわけでもないので、各メーカー、各機械ごとの適用素材を確認することが大切です。

他方、ヒートカット機を使って切断した素材が使われる用途には、ワイピングクロス、カーテン、のぼり、プリント旗、ベルトの芯、毛布縁飾りテープ、リボンテープ、紙テープ、メッシュ状の布などがあります。

他の用途としては、商品の発送などの際に梱包用に広く使われている気泡緩衝材の裁断があります。気泡緩衝材は、小さな空気の入った袋を並べた形状をしており、普通の刃では切りにくいものですが、刃を加熱することで凸凹したシートを綺麗に切断することができます。

ヒートカット機の原理

ヒートカット機の最大の特徴は刃に熱を加えることです。スリッタータイプのヒートカット機では、固定の刃を使用する機械と、円盤状の回転する丸刃を使用する機械があります。

回転丸刃タイプでは輻射熱を利用して、回転している刃に熱を加えています。回転丸刃タイプは生地に高速で回転する刃を当てることで、固定刃タイプに比較して溶着面が滑らかに仕上がり、バリを抑えながらカットできる利点があります。

一方、固定刃タイプは、丸刃回転タイプと比較すると、刃の温度をより高温まで上げることが可能です。生地の切断部分をより高温で溶着できるので、確実にホツレや切断くずを防ぐことができ、しっかりとした溶着面を作るカッティングができます。

本来であれば、ヒートカット機は刃を加熱しないスリッターと比較して、パラメータが多くなり扱いが難しい機械となります。各メーカーは様々な経験や実験結果に基づいたノウハウを制御装置に盛り込むことで、より簡単なオペレーションで機械を操作できるように工夫を凝らしています。

また、刃に関しても、鋭角な刃先角度から鈍角まで様々な種類の刃先角度を用意し、生地に熱を加えて切断した際に、最も良い切断ができるように選択肢を増やしています。

ヒートカット機の選び方

ヒートカット機を選択する際には、ヒートカットの性能に加えて生地を切断する装置としての性能や使い易さを考慮する必要があります。

例えばスリッタータイプのヒートカット機であれば、装着可能な反物の大きさ、カッティングの速度、カッティングの幅、カッティングの幅のばらつきなど、ヒートカットの有無とは関係なく、カッティング装置本来の仕様も重要になります。

また、巻き取り部のテンション部のコントロールはより緻密さが要求されます。一般的に、細くカットされた生地は、巻き取りの際に引っ張る力が強すぎると伸びが発生し、逆に弱すぎるとシワが発生します。

ヒートカット機での切断では、切断里直後には生地の切断部分に熱が残っているので、この特性はより顕著になります。最適な引っ張り力を精密にコントロールすることが要求されます。

以上のように、ヒートカット機の選択の際には、ヒートカッティングの仕上がりの品質と、カッティング装置本来の仕様、そして装置の扱い易さ等を総合的に判断して、選択することが大切です。

ヒートカット機の動画

本記事はスリッターを製造・販売する株式会社キンダイ様に監修を頂きました。

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